oriental consultants holdings co., ltd オリエンタルコンサル...

8
https://www.oriconhd.jp 株主の皆様に必要な I R 情報を公開しております。 I R に関するお問い合わせ先 TEL : 03-6311-6641 FAX : 03-6311-6642 メールアドレス : [email protected] hd. j p 検 索 oriconhd 〒1510071 東京都渋谷区本町三丁目12番1号 住友不動産西新宿ビル6号館 所有者別株式数比率と所有単元株数別株主数比率 所有者別株式数比率(%) 個人 金融機関 その他国内法人 外国人 証券会社 自己株式 [証券コード:2498] 所有単元株数別株主数比率(%) 5単元未満 5単元以上10単元未満 10単元以上50単元未満 50単元以上100単元未満 100単元以上500単元未満 500単元以上1,000単元未満 1,000単元以上 自己株式 52.98% 23.95% 14.75% 3.76% 0.77% 3.79% 77.83% 4.74% 12.97% 1.68% 1.99% 0.27% 0.48% 0.03% 株主名 株式の状況 (2019年9月30日現在) 株主メモ 事業年度の最終日 定時株主総会 上場証券取引所 一単元の株式数 株主名簿管理人 郵便物送付先 9 月 30 日 12 月中 9 月 30 日(中間配当を行う場合 3 月 31 日) 電子公告 ・ 株主様の口座がある証券会社にお申し出ください。 ・ 証券会社に口座がないため、特別口座が開設されました株主様は、特別口座管理機 関である三井住友信託銀行株式会社にお申し出ください。 発行可能株式総数 発行済株式の総数 20,000,000 6,080,920 2,914 大株主 配当金の推移 住所変更、単元未満株式の買取等のお申し出先について ※所有株式数の割合は小数点第2位以下を切り捨てて記載しております。 ※上記のほか、当社所有の自己株式230千株(3.7%)があります。 ・ 株主名簿管理人である三井住友信託銀行株式会社にお申し出ください。 未払配当金の支払いについて 配当金お支払いの際にご送付しております「配当金計算書」は、租税特別措置法の規 定に基づく「支払通知書」を兼ねております。確定申告を行う際は、その添付資料とし てご使用いただくことができます。 ただし、株式数比例配分方式をご選択いただいている株主様につきましては、源泉徴収 税額の計算は証券会社等にて行われます。確定申告を行う際の添付資料につきましては、 お取引の証券会社にご確認をお願いします。 「配当金計算書」について その他必要がある時は、取締役会の決議をもって予め公告いたします。 (電 先) (兼特別口座管理機関) ただし、事 故その他のやむを得ない事由により電子公告によることができ ないときは、日本経済新聞に掲載して行います。 取次事務は、三井住友信託銀行株式会社の本店および全国各支店で行っ ております。 オリエンタルコンサルタンツホールディングス社員持株会 日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口) オリエンタル白石株式会社 パシフィックコンサルタンツグループ株式会社 株式会社三井住友銀行 平野 利一 住友不動産株式会社 日本生命保険相互会社 清野 茂次 第一生命保険株式会社 大樹生命保険株式会社 明治安田生命保険相互会社 807,395 292,600 250,000 236,400 223,600 170,000 152,600 152,000 141,000 140,000 140,000 140,000 13.2 4.8 4.1 3.8 3.6 2.7 2.5 2.4 2.3 2.3 2.3 2.3 JASDAQ 100株 オリコンHD 2498 東京都千代田区丸の内一丁目4番1号(〒1008233) 三井住友信託銀行株式会社 東京都杉並区和泉二丁目8番4号(〒1680063) 三井住友信託銀行株式会社 証券代行部 電話 0120(782)031<フリーダイヤル> 当社への出資状況 持株数 (株) 持株比率 (%) (13/9) 第8期 (14/9) 第9期 (15/9) 第10期 (16/9) 第11期 7.5 10 12 20 (単位:円) (17/9) 第12期 (18/9) 第13期 (19/9) 第14期 22.5 30.0 0 5 10 15 20 25 30 35 40 (12/9) 第7期 7.5 37.5 高齢化による事故の増加、過疎によ る地方部での交通手段の低減、都 市部での渋滞などさまざまな課題 に対し、国内トップレベルの交通技 術による、たしかなソリューションを 全国に展開しています。 トップメッセージ 8期連続で増収・増益を達成 トピックス 地域の特性に応じた 『交通まちづくり』 重点化プロジェクト・リポート 社員座談会 [交 通] 海外プロジェクト・リポート INFORMATION 1 3 4 7 11 13 オリエンタルコンサルタンツ ホールディングス Business Report 2018.10.01 - 2019.09.30 第14期 のご報告 Oriental Consultants Holdings Co., Ltd Contents [証券コード:2498]

Upload: others

Post on 18-Dec-2020

18 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: Oriental Consultants Holdings Co., Ltd オリエンタルコンサル …download.finance.yahoo.co.jp/common/profile/2498/2498...TEL : 03-6311-6641 FAX : 03-6311-6642 メールアドレス

https://www.oriconhd.jp株主の皆様に必要な I R情報を公開しております。

I Rに関するお問い合わせ先

TEL : 03-6311-6641 FAX : 03-6311-6642メールアドレス : [email protected]

hd.jp検 索oriconhd

〒151-0071東京都渋谷区本町三丁目12番1号住友不動産西新宿ビル6号館

所有者別株式数比率と所有単元株数別株主数比率

所有者別株式数比率(%)

■ 個人■ 金融機関■ その他国内法人■ 外国人■ 証券会社■ 自己株式

[証券コード:2498]

所有単元株数別株主数比率(%)

■ 5単元未満■ 5単元以上10単元未満■ 10単元以上50単元未満■ 50単元以上100単元未満■ 100単元以上500単元未満■ 500単元以上1,000単元未満■ 1,000単元以上■ 自己株式

52.98%23.95%14.75%3.76%0.77%3.79%

77.83%4.74%12.97%1.68%1.99%0.27%0.48%0.03%

株主名

株式の状況(2019年9月30日現在) 株主メモ

事業年度の最終日

定 時 株 主 総 会

基 準 日

上場証券取引所

一単元の株式数

銘 柄 略 称

証 券 コ ー ド

株主名簿管理人

郵 便 物 送 付 先

公 告 掲 載

9月 30日

12月中

9月 30日(中間配当を行う場合 3月 31日)

電子公告

・株主様の口座がある証券会社にお申し出ください。 ・証券会社に口座がないため、特別口座が開設されました株主様は、特別口座管理機関である三井住友信託銀行株式会社にお申し出ください。

発 行 可 能 株 式 総 数

発 行 済 株 式 の 総 数

株 主 数

20,000,000

6,080,920

2,914

大株主

配当金の推移

住所変更、単元未満株式の買取等のお申し出先について※所有株式数の割合は小数点第2位以下を切り捨てて記載しております。※上記のほか、当社所有の自己株式230千株(3.7%)があります。

・株主名簿管理人である三井住友信託銀行株式会社にお申し出ください。未払配当金の支払いについて

配当金お支払いの際にご送付しております「配当金計算書」は、租税特別措置法の規定に基づく「支払通知書」を兼ねております。確定申告を行う際は、その添付資料としてご使用いただくことができます。ただし、株式数比例配分方式をご選択いただいている株主様につきましては、源泉徴収税額の計算は証券会社等にて行われます。確定申告を行う際の添付資料につきましては、お取引の証券会社にご確認をお願いします。

「配当金計算書」について

その他必要がある時は、取締役会の決議をもって予め公告いたします。

(電 話 照 会 先)

(兼特別口座管理機関)

ただし、事故その他のやむを得ない事由により電子公告によることができないときは、日本経済新聞に掲載して行います。

取次事務は、三井住友信託銀行株式会社の本店および全国各支店で行っております。

オリエンタルコンサルタンツホールディングス社員持株会日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口)オリエンタル白石株式会社パシフィックコンサルタンツグループ株式会社株式会社三井住友銀行平野 利一住友不動産株式会社日本生命保険相互会社清野 茂次第一生命保険株式会社大樹生命保険株式会社明治安田生命保険相互会社

807,395292,600250,000236,400223,600170,000152,600152,000141,000140,000140,000140,000

13.24.84.13.83.62.72.52.42.32.32.32.3

JASDAQ

100株

オリコンHD

2498

東京都千代田区丸の内一丁目4番1号(〒100-8233)

三井住友信託銀行株式会社

東京都杉並区和泉二丁目8番4号(〒168-0063)

三井住友信託銀行株式会社 証券代行部

電話 0120(782)031<フリーダイヤル>

当社への出資状況持株数(株) 持株比率(%)

(13/9)第8期

(14/9)第9期

(15/9)第10期

(16/9)第11期

7.5 10 1220

(単位:円)

(17/9)第12期

(18/9)第13期

(19/9)第14期

22.530.0

0510152025303540

(12/9)第7期

7.5

37.5

交 通

高齢化による事故の増加、過疎による地方部での交通手段の低減、都市部での渋滞などさまざまな課題に対し、国内トップレベルの交通技術による、たしかなソリューションを全国に展開しています。

トップメッセージ8期連続で増収・増益を達成トピックス地域の特性に応じた『交通まちづくり』重点化プロジェクト・リポート社員座談会 [交 通]海外プロジェクト・リポートINFORMATION

1 …

3 …

4 …7 …11 …13 …

オリエンタルコンサルタンツホールディングス

Business Report2018 . 10 . 01 - 2019 . 09 . 30

第14期 のご報告

Oriental Consultants Holdings Co., Ltd

Contents

[証券コード:2498]

Page 2: Oriental Consultants Holdings Co., Ltd オリエンタルコンサル …download.finance.yahoo.co.jp/common/profile/2498/2498...TEL : 03-6311-6641 FAX : 03-6311-6642 メールアドレス

01 02

8期連続で増収・増益を達成2025年ビジョン・中期経営計画の推進により着実に成長

株式会社オリエンタルコンサルタンツホールディングス代表取締役社長

野崎 秀則1982年、オリエンタルコンサルタンツ入社。2000年に中央設計技術研究所社長、その後オリエンタルコンサルタンツ取締役執行役員などを経て、2009年社長に就任。同年より、ACKグループ(現:オリエンタルコンサルタンツホールディングス)連携推進担当、代表取締役副社長などを歴任し、2013年12月代表取締役社長に就任。現在に至る。

第14期 財務ハイライト

Top Message

第2四半期通期

第2四半期純利益通期純利益

第2四半期営業利益通期営業利益

第2四半期経常利益通期経常利益

売上高

(円)

営業利益・経常利益

親会社株主に帰属する当期純利益

1株当たり当期純利益

0

50

100

150

200

250

(百万円)

(百万円)

(百万円)

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

第11期16/9

第12期17/9

第13期18/9

第11期16/9

第12期17/9

第13期18/9

第11期16/9

第12期17/9

第13期18/9

第11期16/9

第12期17/9

第13期18/9

42,879

21,429

47,074

122.61

158.96

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

687

1,385

9691,068

1,2851,044 600

20,934

53,200

24,479

631 628523

852675

1,033

1,434 1,275

財務ハイライトの詳細は[オリエンタルコンサルタンツホールディングスホームページ ─IR情報 ─IR資料ライブラリー]に掲載しておりますので、そちらをご覧ください。(https://www.oriconhd.jp/ir/library/)

1,115

186.48

第14期19/9

63,210

1,824

第14期19/9

2,069

第14期19/9

第14期19/9

237.28

1,985

904

1,344

27,547

2,4241,630

1,590

0

300

600

900

1,200

1,500

株主の皆さまには、益 ご々清祥のこととお喜び申し上げます。こ

の度の事業報告書「第14期 Business Report」をお届けするに

あたり、皆さまの日頃のご支援とご協力に対し、厚く御礼申し上げ

ます。

私どもは、2018年9月に2025年ビジョン・中期経営計画を

策定し、スローガンとして掲げた「社会価値創造企業」の実現に向

け、この計画に基づいた経営を実践し、着実に成長しております。

その結果、8期連続で増収・増益(営業利益)となり、売上高・利益

とも過去最高を達成することができました。これもひとえに皆さま

のご支援の賜物と感謝しております。株主の皆さまには、今後とも

より一層のご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げ

ます。

国内市場におきましては、ひき続き防災・減災関連のハード・ソ

フト対策業務、道路・河川・港湾等の維持管理業務、首都圏におけ

る再開発業務の受注が堅調に推移するとともに、地方創生関連の

業務の受注も堅調に推移いたしました。

このような状況のなか、当連結会計年度における国内市場の受

注高は、426億13百万円(前連結会計年度比18.0%増)となりま

した。

海外市場におきましては、フィリピンやインドネシア等、需要の

高い開発途上国でのインフラ整備を中心とした事業が堅調に推移

し、海外市場の受注高は457億46百万円(前連結会計年度比

23.4%増)となりました。

これらの結果、当連結会計年度の業績につきましては、受注高は

883億59百万円(前連結会計年度比20.7%増)となり、売上高は

632億10百万円(同18.8%増)、営業利益は24億24百万円(同

22.1%増)、経常利益は20億69百万円(同13.4%増)、親会社株

主に帰属する四半期純利益は13億44百万円(同30.1%増)とな

りました。

2025年の目標である売上高700億円、営業利益30億円を目

指し、特に、中期経営計画で定めた強化方針の推進により、当期で

は、事業創造・拡大に向け、次に示すような成果をあげることがで

きました。

「インフラ整備・保全」では、橋梁の維持管理のマネジメントを最

適化する支援サービス「橋梁維持管理計画最適化システム」を開

発し、自治体の効率的かつ効果的な公共施設マネジメントの支援

を推進しております。

「防災」では、東京都奥多摩町において、同町との協働による社

会実験として、昨年4月より導入している「土砂災害警戒情報支援

システム」や本年9月より設置している「AI付水位監視カメラ」に

より、要配慮者利用施設の管理者や住民の皆さまへの避難誘導に

関する情報提供の支援を行うとともに、同施設での具体的な避難

行動の訓練を行い、実効性の検証を行いました。今後も、地域の皆

さまの安全・安心の実現に向け、効果的な防災行政の支援に取り

組んでまいります。

「交通(高度化・総合化)」では、㈱南紀白浜エアポートと連携・協

働して、海水浴・花火シーズンにおける和歌山県白浜町およびその

周辺地域の交通渋滞対策を提案・実施し、対策の実施効果および

今後の渋滞緩和に向けた提言を行いました。今後も紀南地域にお

ける「地域全体の課題解決」、「地域価値の向上」に取り組んでまい

ります。

「地方創生」では、神奈川県開成町において酒蔵の再生に向け自

主事業を実施している㈱瀬戸酒造店にて醸造した日本酒が、海外

の日本酒コンテストで続 と々受賞いたしました(本誌14ページ参

照)。今後も、地域のブランディングに向けた取り組みとともに、そ

の土地ならではの魅力を最大限に活かした地域貢献活動を推進

し、“魅力ある地域づくり”と“持続可能な地域づくり”による価値向

上を目指してまいります。

「海外新規開拓」では、鉄道事業を中心に開発途上国でのインフ

ラ整備に関わる総合事業に参画しております。また、中南米の拠点

としてパナマ国に現地法人OC Latin America,S.A.を本年9月に

設立するとともに、フィリピン国PRIMEX社の株式取得契約を締

結し、農業、水資源、教育、医療分野等を中心とした事業の拡大や、

周辺諸国への展開の強化を図るなど、今後も海外市場の拡大に向

けた海外拠点整備もあわせて推進してまいります。

当社グループは、グループ全体のブランド力をより一層向上さ

せ、効果的な事業拡大、人材獲得・育成を推進するため、2018年

12月25日より、商号を「株式会社オリエンタルコンサルタンツホー

ルディングス」に変更いたしました。

私どもは、2025年ビジョン・中期経営計画を着実に推進し、

「社会価値創造企業」に向けて更なる成長を目指すとともに、当社

のミッション(使命)である「世界の人々の豊かなくらしと夢の創

造」の実現に向け、より一層の社会貢献を果たしてまいります。

強化方針の推進により、事業創造・拡大を着実に推進

ミッションの実現に向け、より一層の社会貢献を推進

国内・海外とも堅調に受注し、増収・増益を継続株主の皆さまへ

Page 3: Oriental Consultants Holdings Co., Ltd オリエンタルコンサル …download.finance.yahoo.co.jp/common/profile/2498/2498...TEL : 03-6311-6641 FAX : 03-6311-6642 メールアドレス

03 04

道路の混雑状況、駐車場の満空情報をリアルタイムに提供。南紀白浜で2度の花火大会の渋滞緩和に貢献。

花火大会の交通渋滞対策■ 地域の観光イベントにおける交通円滑化事業 1

横断幕による案内で、紀勢自動車道への誘導を促す。 カーナビによる臨時駐車場の満空情報の提供。 ホームページによる所要時間情報およびライブカメラ情報の提供。

今夏の渋滞対策の実施に関する記者会見の様子。左から、南紀白浜エアポート岡田社長、オリエンタルコンサルタンツ野崎社長、白浜町の井澗町長。

和歌山県から「民間活力導入企業」として選定され、2019年4月1日より南紀白浜空港の運営事業を開始した㈱南紀白浜エアポート。同社と業務提携したオリエンタルコンサルタンツは、アセットマネジメントのノウハウやICTツールなどを活用した、空港の土木施設維持管理の効率化・高度化とともに、地域観光促進、交通円滑化を推進しています。7月1日には、今夏の交通渋滞対策の実施についての覚書を締結。白浜町、㈱南紀白浜エアポートと三者が連携・協働しながら、「渋滞ゼロに向けた大作戦」と称して、海水浴・花火シーズンにおける白浜町と周辺地域の交通渋滞緩和に取り組みました。具体的には7月30日の「白浜花火フェスティバル」、8月10日の「白浜花火大

会」の両日、会場へ向かう交通と終了後に帰宅する交通に対し、紀勢自動車道・フラワーラインの利用を促進する情報を提供するとともに、空港の旧滑走路に設置される臨時駐車場の円滑な誘導を実施しました。シーンⅠ「白浜町へ向かう観光交通」、シー

ンⅡ「白浜町に入ってからの観光交通」、シーンⅢ「花火大会終了後の帰宅交通」と3つのシーンに着目。シーンⅠでは、横断幕や案内看板を設置し、ホームページで所要時間および道路のライブカメラ情報を、リアルタイムで配信しました。シーンⅡでは、カーナビによる臨時駐車場の満空情報をドライバーに提供。なかでも例年、帰宅が翌日になるなど、深刻な渋滞が発生していたシーンⅢでは、電光掲示板

の設置やティッシュの配布により、帰宅時間の分散を促しました。その結果、渋滞が予想された県道33号線

の最大渋滞長は、シーンⅠで7割以上、シーンⅢでは約5割も減少。渋滞継続時間はシーンⅠで9割以上、シーンⅢで約3割減少しました。全体を通して深刻な渋滞は見られず、十分な成果を得ることができました。開催後のアンケート調査によると、3~4割

の方がホームページや案内看板などで情報を得たと回答しており、渋滞緩和に貢献することができたものの、いくつかの課題も明らかに。今回の成果については9月26日、三者より白浜観光協会、白浜警察署に報告するとともに、今後の対策実施に向けた提言を行いました。

重点化プロジェクト・リポート

受 託 業 務事 業 経 営個別技術・サービス総 合 化・複 合 化

::::

発注者(公共・民間)からの受託を受け、業務を実施して対価を得る。自らが資金を調達し、サービスを提供することにより対価を得る。個別の技術・サービスを提供して、事業・業務の課題を解決すること。事業の上流から下流までを実施する垂直統合および複数の事業の複合化。

地域の特性に応じた

『交通まちづくり』

安全・安心・快適で活力のある地域の形成にむけて

日本トップブランドの交通技術を活用し、魅力ある持続可能な「交通まちづくり」を推進

■オリエンタルコンサルタンツホールディングスの交通[高度化・総合化]事業

国内においてはさまざまな交通インフラが整備されているものの、高齢ドライバーによる交通事故への安全対策、主に都市部の交通渋滞に対する円滑化への対応、地方部の過疎化にともなう交通ネットワークの維持・確保や地域活性化、さらに地震など自然災害時の避難路・緊急輸送路の整備ほか防災対策など、さまざまな課題に直面しています。このような状況のなか、オリエンタルコンサルタンツホールディングスは、交通安全・円滑化対策を軸とした管理・運用、道路ネットワークの強化を図る交通計画など、日本トップブランドの交通技術を活用したコンサルティングを展開するとともに、交通に関わる個別技術の事業化に努めています。さらに、これらの交通技術を活用し、都市中心部におけるにぎわい創出や、地方都市での安全・安心・快適性の確保、中山間地域では誰もが移動に困らない環境の構築など、「交通まちづくり」を推進してまいります。今後もビッグデータ・AIの活用、自動運転やMaaS※への取り組みなど、最

先端技術による高度化をめざすとともに、地域の特性に応じたサービスを提供。魅力ある社会づくり、持続可能な社会づくりに貢献いたします。

※MaaS…Mobility as a Serviceの略。ICTの活用により、運営主体を問わず、自家用車以外のあらゆる交通手段による移動をひとつのサービスとし、シームレスにつなぐ新たな概念のこと。

個別技術の事業化・製品化

■交通量調査・予測■道路計画■公共交通計画■鉄道・港湾など施設計画■交通結節点計画        など

■ドライバー安全 支援サービス(車録)■交通計測機器        など

道路網計画を軸とした交通計画

■安全対策■移動円滑化■防災・維持管理■自動運転・MaaS■ITS・AI技術        など

交通安全・円滑化などの対策検討

高齢者の移動手段の確保や公共交通機関の整備誰もが移動できる環境の創出

道路アプローチによる面的な施設整備安全・安心・快適性の確保

交通結節点整備や道路空間の多目的活用の推進人中心のにぎわい創出

交通まちづくり

総合化・複合化

個別技術・サービス

事業経営

受託業務

都市中心部

地方都市エリア

中山間地域

自主事業

Topics

Page 4: Oriental Consultants Holdings Co., Ltd オリエンタルコンサル …download.finance.yahoo.co.jp/common/profile/2498/2498...TEL : 03-6311-6641 FAX : 03-6311-6642 メールアドレス

05 06

新宿駅東口付近の共同荷さばきスペース。車道わきでPCを操作する若者たちの姿も。

SHINJUKU STREET SEATSの様子。壁面にはラグビー関連情報のパネルを展示。

荷さばきの集約と歩行者の賑わい創出の社会実験で、仮設歩道を活用した“歩きたくなるみちづくり”を支援。

■ 繁華街のメイン通りのモール化に向けた社会実験を支援

魅力ある歩行者空間の創出 2

高速道路に渋滞検知システムを設置する。

監視用画面では、交通流をタイムリーに把握できる。

道路のガードレールに設置されたMOVTRA。

高齢ドライバーの事故は社会問題に発展している。

政府高官らが参加する合同調整会議の様子。中央政府、地方政府、日本側の関係者が一堂に会す。

市内の幹線道路では、客待ちのため小型バスが道をふさぎ、車両の通行を妨害。

現地調査員に対し、道路幅員の計測方法など基本から指導する。

工事規制中の交通流観測を最適化するMOVTRA。通信機能や他のシステムとの連携を強化。

■ 高速道路における交通量・速度情報を提供

計測装置による交通測定 3事故リスクの軽減で高い評価を得てきた「車録」。AI機能の搭載でユーザビリティを強化。

■ ドライブレコーダーによる運転動画分析

交通事故削減サービス 4巨大都市圏における20年後の交通需要を予測。優先順位を考慮し、さまざまなプロジェクトを計画。

■ 後発開発途上国の深刻な交通渋滞への対策

都市交通マスタープラン策定 5

重点化プロジェクト・リポート

新宿駅東口地区は、百貨店や家電量販店をはじめ、多数の飲食店を有する日本有数の商業集積地です。しかし、路上での荷さばきが常態化しており、うろつき車両や違法な路上駐車が頻発。歩行者の環境が阻害されるだけでなく、休憩に利用できる空間に乏しいため、街の魅力に欠けるという課題がありました。オリエンタルコンサルタンツは新宿区より業務を受託し、新宿駅東口地区歩行者環境改善協議会と連携しながら、「荷さばき集約化プロジェクト」と「道路空

間の活用による賑わい創出」の複合型社会実験を、2ヶ年にわたり支援してきました。社会実験のテーマを「新宿

モール&パサージュ」と名付け、荷さばき車両の集約による路上駐車の減少、荷さばき時間の集約化、駐車場所・時間の適正化を図りました。さらに、車道の一部 を 転 用 した 仮 設 歩 道「SH I N J U K U S T R E E T SEATS」の設置、試飲イベントの開催・パネル表示により、歩行者が「歩きたくなるみちづくり」を提案しました。

交通事故リスクに対して、リサーチアンドソリューションでは、ドライブレコーダーを活用した事故削減サービス「車録(シャーロック)」を提供し、企業や自治体における交通安全を支援してきました。専門分析官が動画を1件ずつ確認し、危険運転を抽出、注意喚起を促すレポートを毎月作成するもので、導入企業からは高い評価を得ています。一方、通信機能がなく、SDカードでのデータのやり取りが煩雑で、かつ、即時データが取得できないこと、PCへのアプリのインストールが必要なことが

運用上のデメリットに。そこで、外部パートナーと協業し、車録サービスの強化を進めてきました。新たなドライブレコーダーの本

体には、画像認識AIを搭載。さらに、分析システム内に危険検知アルゴリズムAIを組み込みました。これらにより、車両や歩行者、車線、ドライバーの顔の向きや目の開閉を検知します。また、通信機能を有していることから、リアルタイムでドライバーへの注意喚起ができるようになります。今後は高齢ドライバーが多い介護事業者を中心に、導入先の拡大を図ります。

コンゴ民主共和国の首都キンシャサは、約1,200万人を超える巨大都市圏でありながら、市内の道路は多くが未舗装、鉄道は1日1往復と十分な都市交通機能を果たしていません。このため交通渋滞は深刻化しており、抜本的な対策が望まれています。日本政府への協力要請を経て、2017年にはJICAより、オリエンタルコンサルタンツグローバルが幹事会社となる4社JVへの業務委託契約が締結されました。同国初の都市交通マスター

プランの策定では、各分野の整合性を図り、優先順位を考慮しました。ベースマップ作成やインタビュー調査など収集した情報をもとに、交通需要予測モデルを構築。2040年に向けたビジョンやシナリオを提示するとともに、具体的な実施計画を策定し、効果検証を行いました。マスタープランは中央省庁だけでなく、キンシャサ市や州議会ほか関係機関を巻き込み議論を経て合意に。今後はこのプランに基づくさまざまなプロジェクトを予定しています。

※画像はイメージです

政府高官らが参加する合同調整会堂に会す。

写真提供:OCG/JICA

写真提供:OCG/JICA写真提供:OCG/JICA

エイテックが自社開発した可搬型交通量計測装置「MOVTRA(モバトラ)」は、赤外線センサーにより2車線道路の断面交通量や速度を測定できる機器。設置が容易で、昼夜連続7日間の計測が可能です。取得データを即集計できることから、道路関連事業者に幅広く提供してきました。昨今、高速道路の老朽化による全国的なリニューアル工事が進められており、工事規制にともなう渋滞の発生やサービス低下が懸念されています。利用者への適切な対応には、工

事規制中の交通流の観測が欠かせません。そこで、道路管理者からの委託を受け、設置が容易なMOVTRAを活用し、数ヶ月に渡って交通量や速度の情報をタイムリーに提供しています。今後はさらなるサービスの高

度化・総合化をめざし、ICTを活用した通信機能の強化や、速度誘導灯・LED看板などのシステムとの連携を構築。規制計画~渋滞対策~交通監視・情報提供と、工事規制に関するワンストップ・サービスの実現に努めます。

交通事故削減サービスの高度化の仕組み

Page 5: Oriental Consultants Holdings Co., Ltd オリエンタルコンサル …download.finance.yahoo.co.jp/common/profile/2498/2498...TEL : 03-6311-6641 FAX : 03-6311-6642 メールアドレス

07 08

社員座談会[交 通]

SpecialIssue

当たり前に利用できる環境を支援合意形成に苦労する分、魅力の大きい仕事

─みなさんが関わっているプロジェクトをご紹介ください。竹平 南紀白浜で開催される花火大会の交通渋滞対策です。2019年4月に南紀白浜空港の管理・運営業務が民間企業に移管され、この会社と当社が業務提携をしました。主な業務は空港の維持管理ですが、これにとどまらず地域貢献として、観光や交通対策を支援しようというのがきっかけです。南紀白浜は海が美しく、夏は海水浴客に人気のスポット。毎年、2度の花火大会には多数の来場者があり、その多くは自動車で会場に向かうため、交通渋滞に悩まされていました。これを緩和するプロジェクトで、私は責任者とし

て、渋滞対策の企画、実施、評価、結果公表まで一連の業務を統括しました。木下 当社は大規模な交通計画よりも、現場の交通調査や分析が中心です。赤外線センサーで交通量を測る機器「MOVTRA」を自社開発し、国交省の調査にも導入しています。さまざまな用途があるのですが、最近は高速道路の老朽化にともなうリニューアル工事での需要が高まっています。工事規制により車線数が減少すると、長期間の渋滞が発生するリスクがあり、道路事業者にとっては、利用者へのサービス低下が懸念されます。この問題に対し、MOVTRAを使ったソリューションを提案しました。車線規制の影響がある箇所に取り付け、交通量や車両の速度などデータをリアルタイムに収集。これをもとに渋滞情報を知らせるというシステムです。大島 ドライブレコーダーを使った事故削

減サービス、「車録」の技術強化を推進しています。これまでは抽出された運転動画をSDカードから読み込み、担当者が一つひとつ分析してお客様にレポートを提出していました。導入企業からは好評ですが、通信機能がなくデータの処理に手間がかかる上、スマホでの閲覧ができませんでした。そこで外部パートナー企業と協力し、新たに「車録サービス」を開発することに。これは、カメラ内のAIが車線や車間距離を認知し、さらにシステム側のAIが運転データを判別して危険運転を自ら判断するというもの。通信機能をもち、動画や走行データが自動的にアップロードされ、煩雑なデータのやり取りやタイムラグはなくなります。スマホでのデータ確認もでき、リアルタイムでの注意喚起が可能となりました。近藤 商業施設や飲食店が立ち並ぶ新宿駅東口地区を対象に、地区内道路での荷さばき駐車対策と、街の賑わい創出をめざす複合型社会実験です。私は管理技術者として、事業全体のマネジメントに従事しました。この地区では路上での荷さばきが常態化している上、歩行者の休憩スペースがなく、空間的な魅力に欠けるという課題がありました。そこで、「歩きたくなるみちづくり」という将来的な目標を掲げ、物流車両への対策を講じるとともに、「SHINJUKUSTREETSEATS」と名付けた仮設歩道を提案しました。座ってPCやスマホを操作する人、人工芝でくつろぐ

親子連れの姿もあり、魅力的な歩行者中心のモール化につながっています。川口 コンゴ民主共和国の首都キンシャサを対象に、副総括として都市交通マスタープラン策定を支援しました。紛争が続いていたコンゴは、最貧国ながら資源が豊富で順調に経済成長する一方、自動車の数が増え、市街地では渋滞が頻発しています。インフラ整備も不十分なため、抜本的な計画が求められました。プロジェクトは大きく3つのフェーズに分かれ、第一に大規模な交通調査等による情報収集、第二にマスタープランの策定、最後に特定の事業を抽出、その事業の実現可能性を検討し、完了しています。キンシャサでは初の大規模マスタープランで、今後はこの計画に沿ってさまざまな事業が展開される予定です。そもそも情報不足で、最大の難関は地元住民への交通調査でした。約9,000世帯にインタビューするのですが、現地の調査員をトレーニングするにも骨が折れました。しかも、街の中心部にある刑務所が武装集団に襲われ、4,600名もの受刑者が脱走する事件が発生。調査員が盗難被害に遭うなど交通調査は中断することに。再開後も治安の悪さはつづきましたが、地域の青年ボランティアと協働し、調査をつづけ無事に完了できました。日本の国内では想定できない危険と隣り合わせのため、緊張感があります。─交通にたずさわる上で、事業に対する喜び

ややりがいをお聞かせください。木下 いつ、どれくらいの渋滞が発生するかわからない状況で、精度の高いデータをタイムリーに提供することができました。道路の利用者へのサービスを維持し、発注者である道路管理者からも高い評価を受けたことは誇りに思います。大島 当社はBtoBで民間企業を対象としているため、住民に直接かかわる仕事は多くありません。しかし、交通分野の事業はドライバーが起こす事故の先には住民の存在があります。事故の削減は、人のくらしの安全と直結する点が、やりがいにつながります。近藤 車道の一部を仮設歩道に転用しましたが、利用者の声には賛否両論があり、無理難題を言われることも少なくありません。しかし、地域や期間を限定した社会実験の意義を説明し、実践することにより、関係者の意識が変化するのを目の当たりにすると、大きな達成感を得られます。

国内の交通インフラの整備は、ほぼ充足しつつあるものの、高齢ドライバーによる事故の増加、主に都市部や高速道路での渋滞、さらに、限界集落など地方部では交通手段がなく生活に支障をきたすなど、今も交通分野には、さまざまな課題が山積しています。一方で、自動運転やライドシェアなど新たな技術やモビリティ・サービスの登場、機械による業務の省人化・自動化など、新たなニーズも生まれています。今回は、交通分野で事業を推進する5名の社員に、関わっているプロジェクトのやりがいや、今後の抱負をうかがいました。

入社以来、道路交通の計画や運用に幅広くたずさわる。在職中、工学博士の学位を取得。現在は、自動運転サービスの導入や、交通まちづくりへの展開に力を注いでいる。

㈱オリエンタルコンサルタンツ関東支社 交通政策部 部長

竹平 誠治

入社後は主に首都圏を対象として、道路・交通計画やまちづくりに関する業務を中心に従事する。最近では、官民連携による都市・交通施設の整備事業にもたずさわっている。

㈱オリエンタルコンサルタンツ関東支社 都市政策・デザイン部 次長

近藤 浩治

エイテックの前身となる㈱オリエス交通情報サービスに入社以来、主に交通調査や分析、計画業務を担当する。現在は主に、関東の自治体や民間企業を対象とした業務ほか、現場経験を活かした調査機器、システムの検討に参画。

㈱エイテック東日本支社 調査技術部 副主幹

木下 康之Pマークや各種ISOの取得など経営品質に関わる業務や、調査分析の支援などを担当。マネジメントシステム構築の経験を活かし、車両管理のプロセスマネジメントや運営を支援する。

㈱リサーチアンドソリューションコンサルティング営業グループ プロジェクトリーダー

大島 千波都市交通計画分野を中心に、アジア、アフリカ、南米のプロジェクトに参画する。ODAの交通マスタープランやFSの総括・副総括を務めるほか、ライドシェアなど新たな技術開発にも挑戦中。

㈱オリエンタルコンサルタンツグローバルプランニング事業部 交通計画部 副部長

川口 裕久

社員座談会﹇交

通﹈

地域特性やニーズに合わせて、

安心・安全・快適で、活力のある

交通まちづくり”

を全国に展開。

TV会議で参加

Page 6: Oriental Consultants Holdings Co., Ltd オリエンタルコンサル …download.finance.yahoo.co.jp/common/profile/2498/2498...TEL : 03-6311-6641 FAX : 03-6311-6642 メールアドレス

09 10

社員座談会[交 通]

自動運転などの新たな動きに対し、グループの連携で新サービスを創出

竹平 家を出て出勤する。休日にレジャーへ出かける。交通はすべての方が毎日ふれるものです。当たり前に利用できる環境を支えるのが交通の醍醐味ですね。例えば、花火大会など大勢の人が集まる観光イベントに出かけ、スムーズに移動できれば、かけがえのない思い出になるはず。「来年もまた来たい」と思ってくれれば、地元の方にとっても励みになります。レジャーには「行く」、現地で車を「停める」、終了して「帰る」の3つの場面があります。南紀白浜の花火大会では、「行く」ときは海水浴やアドベンチャーワールドに立ち寄る人もいて、渋滞は発生しにくい。臨時駐車場をつくり上手く運用して入庫待ちを防ぎ、「停める」も改善できました。問題は「帰る」です。早く帰りたい気持ちはみな同じですから、帰宅時間をずらしてもらう工夫が必要です。地元のお店に立ち寄る、花火の後に別の行き先を用意するとか、来年は新たな企画を検討したいです。

川口 交通の仕事は関係者が多いため、合意形成には毎回苦労します。その分、プランを発表後、キンシャサ州の大臣から「このプランにはやるべきことがすべて書いてある。我々もやろうじゃないか!」と言われたときは、震えるほど強く感動しました。異なる意見を一つにまとめ、チームが一体化する瞬間でした。木下 ある歴史的な街並みを有する地域で、道路計画にたずさわったことがあります。保守的な住民が多く、バス停の移動ひとつでも、反対意見をまとめるのに苦労していました。そこで、社会実験という位置づけで、まずは一緒に取り組みましょうと。実際に動いて成果を実感してもらうと、合意形成が図れやすいもの。机上で考えるだけでなく、地域に飛び込んで一緒に行動することが大切だと思います。

─交通分野におけるグループのシナジーについてお聞かせください。川口 海外事業において交通管理・交通安全分野の実績は少なく、得意だとはいえません。そこで今回の案件では、オリエンタルコンサルタンツから2名の技術者に協力を仰ぎ、交差点改良やパーク&ライド※1などいろんな施策を提案していただきました。また、ウガンダ・カンパラ市の案件では、交通量の自動計

測への関心が高く、エイテックのMOVTRAを試験的に導入しました。それまでは人の手や、道路に敷いたパイプの空気圧でカウントする旧式の方法だったので、画期的だったようです。木下 本格導入はまだですが、MOVTRAは海外でも活用できると思います。オリエンタルコンサルタンツは全国で交通事業の実績があるし、リサーチアンドソリューションはICTを活用したシステムに強みがある。当社は現場視点の調査や分析が得意なので、各社が連携すれば今後も新たなサービスを創出できると思います。以前、三重県熊野市の花火大会では、MOVTRAを使った渋滞情報提供システムを導入していただきました。一定の交通量に達したら異なるルートに案内誘導をするため、取得した渋滞データを活用してリアルタイムでお知らせするというものです。今後もこのようなシナジーを展開したいです。大島 社会の問題解決に対し、データ活用の支援をするところに、私たちシステム会社の出番があると考えています。車録もMOVTRAと同じく、海外からの引き合いがあります。カンボジアの首都プノンペンでは、バス運転手の技術向上や事故削減をサポートする提案をしました。いずれ開発途上国が豊かになれば、導入実績も増えていくと思います。

竹平 交通の仕事は、現状を正確に把握して分析することがスタート。この点ではグループ会社との連携は心強い。さっき大島さんが話した車録ですが、1つの案件で100台導入しました。これは大学から受託した研究で、ある県に住む65歳以上の高齢者100人の車両にドライブレコーダーを設置し、運転行動を分析するというもの。受託したのは我々ですが、実業務はほぼリサーチアンドソリューションが担当している(笑)。導入時は旧型でしたが、今後は通信機能が付加され、リアルタイムでのデータ収集が可能になれば便利です。近藤 地域やケースによって課題やニーズは異なりますが、グループ会社が保有する要素技術を集約することが大事です。いま、自動運転など新たなテクノロジーが登場しています。より一層のシナジーを活かし、今後も、高度で総合的なサービスを提供していきたいと思います。竹平 もし本格的に自動運転が普及すれば、移動の手段や方法が激変するはずです。生活の仕方やまちづくり自体も大きく変わるでしょう。地方では高齢者の外出機会が増え、家族の負担が減れば、地域活性化につながります。一方、市街地では駐車場が減るため、新しい土地活用が求められると思います。川口 海外事業では対象が開発途上国中心なので、まだ自動運転の具体的な事業化は多

くありません。ただ、自動運転が主流になればライドシェア(相乗り)が増えると予測できます。インドネシアのジャカルタを対象に、ライドシェアによってどのくらい渋滞を緩和できるか、試算して学会に発表したことがあります。自動運転の登場が、交通計画に影響を及ぼすのはまちがいありません。─さいごに、今後の目標をお願いします。近藤 いま、自動運転やMaaS※2など、100年に一度のモビリティ革命といわれています。その時代の変化のなかで、官民の協働により新たな時代を支える交通サービスの実現に貢献したいです。大島 車録サービスの実績を拡大するため、高齢ドライバーの多い介護事業者への導入を推進します。さらに、これまで蓄積してきた運転データを使って何ができるのか。オリエンタルコンサルタンツ、大学の研究室、保険会社と協働して検討中です。高齢ドライバーの事故が社会問題になりつつある今、高齢者の運転適性を判断する指標はニーズが大きいと考えています。木下 すでに国交省からも方針が示されているのですが、交通量調査は従来のように人手に頼るのではなく、機器を使った方法にシフトする機運が高まっています。今後はMOVTRAだけでなく、機械観測やシステムの高度化に取り組みたいと思います。竹平 事故をなくす、渋滞を減らすなど、現

在は特定の課題を解決する単発の受託業務が中心です。しかし、住民が心から安心して暮らすには、地域の交通全体を最適化する必要があります。いま、従来の建築物を中心とした都市計画ではなく、人の移動、つまり交通を基点とした「交通まちづくり」という概念が注目されています。グループ一体となり、安全・安心・快適で、活力のある交通まちづくりに貢献します。川口 海外でもTOD※3といって、交通を主軸としたまちづくりが注目されています。日本はTODの先進国といわれていて、古くは東急や阪急のように、鉄道と一体化したまちづくりで成長してきました。私どもグループは交通分野に大きな強みをもつので、この経験と実績を活かし、交通技術で世界をリードしていきたいですね。─本日はありがとうございました。

都市計画から“交通まちづくり”へシナジーを発揮して世界をリードする

※1 パーク&ライド…自動車で駅またはバス停留所まで行き、自動車を駐車させた後、バスや鉄道など公共交通機関を利用して目的地に向かう方法を指す。

※2 MaaS…Mobility as a Serviceの略。ICTの活用により、運営主体を問わず、自家用車以外のあらゆる交通手段による移動をひとつのサービスとし、シームレスにつなぐ新たな概念のこと。

※3TOD…Transit Oriented Developmentの略。公共交通機関に基盤を置き、自動車に依存しない社会をめざした都市開発のこと。

Page 7: Oriental Consultants Holdings Co., Ltd オリエンタルコンサル …download.finance.yahoo.co.jp/common/profile/2498/2498...TEL : 03-6311-6641 FAX : 03-6311-6642 メールアドレス

11 12

アジアやアフリカなど、経済成長や社会の発展へのポテンシャルが高い地域にむけ、幅広い分野で貢献しています。

開発途上国の成長を力強くサポート海外プロジェクト・リポート

中米に位置するグアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドル、ニカラグア、コスタリカ、パナマの6ヶ国は、中米経済統合一般条約常設事務局(SIECA)の下、経済統合を進め、経済発展や国際競争力の向上に取り組んでいます。こうしたなか、同地域の発展を妨げる一因として挙げられているのが、先進国と比較して高い水準にある陸上輸送コストです。この原因として、国境税関手続きの非効率性、物流インフラの不足・老朽化など様々な課題が指摘されていましたが、各国が独自に対策を講じるなど、効率的な課題解決にはつながっていませんでした。本調査では、各国の物流の現状、政策・戦略、計画などの基礎情報を体系的に整理し課題を明らかにしました。また、すべての交通セクターをカバーする地域のマスタープラン策定、交通需要や経済性、財務健全性に関する定量的な評価、政策立案・実施を担う組織体制の強化の必要性など、今後の支援ニーズに関する提言もあわせて行いました。同提言は中米各国および日本政府に採用され、同地域全体の物流・ロジスティッ

クス開発マスタープランの策定業務を引き続き受注しました。2019年9月にパナマで設立した当社グループのOC Latin America,S.A.とも協力し、今後も継続して同地域の経済開発・地域統合に向けた取り組みに貢献していきます。

ジャカルタ首都圏の人口は約3千万人と年々増加し、自動車・オートバイの登録台数が激増。昼夜を問わず、交通渋滞がつづく状況でした。今後は周辺の在来線だけでなく、都心部に地下鉄を建設することで渋滞緩和を図る必要があると判断。インドネシア政府と日本政府の二国間による「ジャカルタ都市高速鉄道南北線建設事業」がスタートしました。第1期工事は、レバックブルスとブンデランハイ間を結ぶ総延長15.7㎞で9.8㎞

の高架区間と5.9㎞の地下区間から構成されています。道路上の高架駅は、2階にコンコース、3階にプラットフォームを設置し、上り線と下り線が停車できる相対式の2面2線駅。地下駅はB1階にコンコース、B2階に島式プラットフォームを有しています。円借款が承認された2009年から10年を経て、2019年3月に開業し、現在は1日9万人以上の乗客が利用。渋滞時には車で2時間以上かかっていたこの区間は、地下鉄を利用すれば28分へと短縮しました。同国初の都市高速鉄道システムに対し、大統領ほか関係者が注目するなか、計画・設計から土木・軌道工事、鉄道システム、車両にいたるまで、全パッケージを日本企業が受注。オールジャパンとインドネシアでの海外鉄道プロジェクトとなりました。今後は、北へ延伸する第2期工事が予定されています。

政治的な混乱がおさまった80年代終盤以降、順調に経済発展を遂げている。コーヒー、バナナ、サトウキビなど農業ほか、固有種も多く生息する豊かな自然とマヤ遺跡など独特の文化を目的とした観光業も盛ん。

中米6ヶ国

中米地域の発展を、物流・ロジスティックス分野の改善提案によりサポート

グアテマラ-エルサルバドル間 国境付近の渋滞の様子。

国境付近を視察し、国境税関手続きの状況などを確認した。

調査では、定期的に日本と中米の調査関係者があつまり意見交換を行った。

高架のブロックM駅。改札を出ると、隣接したショッピングセンターが目の前に。

全工区の施工監理を担当したオリエンタルコンサルタンツグローバルに対し、ジャカルタ特別州政府より感謝盾が送られた。

2019年3月24日に行われた開通式。政府要人も多数参列した。

インドネシア初、オールジャパン・インドネシアの都市高速鉄道システムが開通

Central America

東西に長く大小1万3千もの島で構成され、人口は2億3千万人以上で世界第4位。ASEANの盟主といわれる。農林業が中心だが鉱業資源にも恵まれ、日系企業も多数進出している。

インドネシア共和国Republik Indonesia

[概 況]海外事業は、橋梁、トンネル、道路、鉄道、空港など社会インフラの整備にとどまりません。防災、交通、エネルギーなどをふくめ、ハードとソフトの両面から開発途上国の成長を支援しています。

Page 8: Oriental Consultants Holdings Co., Ltd オリエンタルコンサル …download.finance.yahoo.co.jp/common/profile/2498/2498...TEL : 03-6311-6641 FAX : 03-6311-6642 メールアドレス

13 14

https://www.oriconhd.jp/

事務所

商 号所 在 地

資 本 金設 立取 引 銀 行

従 業 員 数代 表 取 締 役取 締 役

監 査 役

株式会社オリエンタルコンサルタンツホールディングス〒151-0071 東京都渋谷区本町三丁目12番1号       住友不動産西新宿ビル6号館727,929千円2006年8月28日三井住友銀行/三菱UFJ銀行/三井住友信託銀行みずほ銀行/伊予銀行2,749名(2019年9月30日現在 連結ベース)野崎 秀則森田 信彦青木 滋三百田 敏夫米澤 栄二高橋 明人田代 真巳小道 正俊(常勤)圓山 卓町田 英之

会社概要

海外拠点

主要グループ会社

株式会社オリエンタルコンサルタンツ〒151-0071 東京都渋谷区本町三丁目12番1号 住友不動産西新宿ビル6号館

日本トップブランドの技術により、社会価値創造企業へ

株式会社中央設計技術研究所〒920-0031 石川県金沢市広岡三丁目3番77号 JR金沢駅西第一NKビル

北陸から全国へ展開する「上下水道のプロフェッショナル」

株式会社オリエンタルコンサルタンツグローバル〒163-1409 東京都新宿区西新宿三丁目20番2号 東京オペラシティタワー

世界的な企業ブランドとグローバルな事業展開へ

株式会社アサノ大成基礎エンジニアリング〒110-0014 東京都台東区北上野二丁目8番7号

地盤・地下水・建物のエキスパート、設計・施工のワンストップサービス

株式会社エイテック〒151-0071 東京都渋谷区本町四丁目12番7号 住友不動産泉西新宿ビル

現場で培う経験と先進のICT技術が融合するチャレンジ精神企業

株式会社リサーチアンドソリューション〒812-0036 福岡県福岡市博多区上呉服町12番33号

お客様のニーズを的確に捉え、IT/BPOサービスで最適な課題解決

INFORMATION当社グループ会社のトピックスニュースをご紹介します

プレストレストコンクリート工学会賞にて小名浜マリンブリッジが作品賞を受賞㈱オリエンタルコンサルタンツ

Award

授賞式にて。左から国土交通省東北地方整備局小名浜港湾事務所所長の尾﨑精一氏と㈱オリエンタルコンサルタンツ関東支社構造部の栗山照雄。

3号ふ頭から望む、橋長927mの小名浜マリンブリッジ。

ベトナムのラックフェン国際港建設事業がFIDIC Award 2019優秀賞を受賞㈱オリエンタルコンサルタンツグローバル

Award

全長15.63㎞にもおよぶ、ラックフェン港アクセス道路。

授賞式にて。左からNelson Ogunshakin OBE FIDIC事務局長と㈱オリエンタルコンサルタンツグローバル社長の米澤栄二、営業第二部長代行石井亮平、Alain Bentéjac FIDIC会長。

日本酒コンテストの授賞式に瀬戸酒造店が参列フランスから欧州へ日本酒の輸出を開始する㈱オリエンタルコンサルタンツ

Award

KuraMaster主催者のグザビエ・チュイザ氏から表彰状を受け取る㈱瀬戸酒造店代表取締役の森隆信。

企業活動や財務状況、最新トピックスなど、株主の皆さまに必要なIR情報を公開しております。

当社グループの基幹会社である㈱オリエンタルコンサルタンツは、国土交通省東北地方整備局小名浜港湾事務所から受注し、設計を実施した「小名浜マリンブリッジ」が、公益社団法人プレストレストコンクリート工学会の主催する「平成30年度プレストレストコンクリート工学会賞」において、作品賞(土木部門)を受賞いたしました。同橋は、福島県いわき市小名浜港に建設される東湾地区(人工

島)とふ頭地区をつなぐ橋長927mの臨港道路橋です。航路上をまたぐ主橋梁部は、5径間連続PCエクストラドーズド橋であり、臨港道路橋として日本で初めて採用した形式。小名浜港および周辺地区のランドマークとして、地域環境と調和し、景観に配慮したデザインとしています。施工者は、上部構造をJVを含む4社、下部構造を同じく9社が担当。工事は、大規模なものとなりました。厳しい腐食が予測される海上橋のため、長期耐久性をもつ構造・

仕様を採用。東日本大震災の教訓を活かした耐震性と、将来にわたる長期の健全性を確保するため、橋の特性に沿った独自の点検マニュアルを策定するとともに、目視点検しやすい工夫を補完しています。プレストレストコンクリート技術の発展、普及に顕著な貢献をした

と高く評価され、受賞にいたりました。

2019年9月9日、㈱オリエンタルコンサルタンツグローバルが参画した、ベトナム国ラックフェン国際港建設事業(道路・橋梁)が、経済発展や地域社会の生活水準の向上に寄与したプロジェクトを表彰する「FIDIC Award 2019優秀賞」を受賞いたしました。受賞プロジェクトは、ベトナムハイフォン市において2017年に

開通したベトナム最長の海上橋を含むラックフェン国際港へのアクセス道路の建設プロジェクト。ベトナム北部の港湾都市ハイフォン市、ハロン市から首都ハノイまでの地域には、日本をはじめとする多くの外国企業が進出しており、北部の経済発展に貢献しています。当プロジェクトでは経済発展に伴う海運貨物需要の急増により、既存の港湾では対応が困難になったため建設された大型国際港湾「ラックフェン港」とあわせ、同港へのアクセス道路として建設されたものです。同社は、事業当初から、設計、入札支援、施工監理などのコンサ

ルタント業務を一貫して行ってまいりました。最新の各種橋梁技術の導入、軟弱な地盤への適切な対応など難易度の高い建設工事でしたが、工事期間も橋梁部分は13ヶ月で完成させ、日本の優れた技術と同社のマネジメント力が評価されました。

㈱オリエンタルコンサルタンツの子会社である㈱瀬戸酒造店は、2019年7月にパリで開催された日本酒コンテスト、KuraMasterにて、過去最多となる720点もの出品酒のなかから、「セトイチ音も無く」が純米酒部門のプラチナ賞TOP5に、「セトイチ手の鳴る方へ」がゴールド賞に選ばれました。最高賞であるプレジデント賞の受賞にはいたりませんでしたが、

自家醸造再開1年目での栄誉は、日本酒業界において大変稀有なこと。大会関係者をはじめ、他の受賞蔵元にも驚きが広がりました。また、酒処で知られている東北や北陸をおさえて、神奈川県の酒蔵が受賞したことも大きな話題になりました。瀬戸酒造店は、これを契機に欧州への日本酒の輸出を開始する予定で、“食の都”パリで神奈川県開成町の日本酒が認められることは、世界に認知されることにつながります。また、㈱オリエンタルコンサルタンツが開成町で展開している地方創生事業においても、地域のブランディング、シティセールス、今後さらに高まるインバウンド需要に向けて、大きな一歩をふみ出したことになります。㈱オリエンタルコンサルタンツは、今後も開成町の地域活性化

を目指して、魅力を最大限に活かした地域貢献活動を続けてまいります。

純米酒部門プラチナ賞TOP5に選ばれた「セトイチ音も無く」(左)、ゴールド賞に選ばれた「セトイチ手の鳴る方へ」(右)。

・マニラ(フィリピン)・ジャカルタ(インドネシア)・ホーチミン(ベトナム)・ハノイ(ベトナム)・バンコク(タイ)・ダッカ(バングラデシュ)・コロンボ(スリランカ)・アンタナナリボ(マダガスカル)・カイロ(エジプト)・マプト(モザンビーク)・アビジャン(コートジボアール)

・OC Latin America,S.A.(パナマ)・Oriental Consultants Philippines Inc. (フィリピン)・PT. Oriental Consultants Indonesia (インドネシア)・Oriental Consultants Thailand(タイ)・Oriental Consultants Japan Co., Ltd. (ミャンマー)・Oriental Consultants India Private Limited (インド)・Oriental Consultants Al Khaleej W.L.L. (カタール)・OCG East Africa Limited(ウガンダ)

現地法人

酒造店代表取締役の森森隆