9 w'g $s7tplaza.umin.ac.jp/~zen-jun/全循過去/public_html/secret...0¿) Ó - 35 - : u)z&É Æb...

5
全国循環器撮影研究会誌 Vol.26 2014 - 32 - 士別市立病院 北海道アンギオ画像研究会 士別市立病院 宮本 直武 ※1 長島 仁 ※2 沼崎 太 ※2 木下知美 ※3 高橋由香利 ※3 南橋 憲 ※4 診療部診療放射線室画像診断技術科 ※1 循環器内科 ※2 循環器内科外来看護部 ※3 診療部医療機器管理センター ※4 【はじめに】 士別市は北・北海道のほぼ中央の所に位置しており(Fig.1),日本最北端のインターチェンジがあり, 北海道第二の長流「天塩川」にいだかれた農業を中心産業とする緑豊かな田園都市である.気候は夏 +30度,冬‐30度になることもありその温暖の差は60度にいたる(Fig.2).現在,市民を中心 とするまちづくり運動が積極的に取り組まれており,羊をテーマとした「サフォークランド士別」と して大きな成果をあげ各方面から熱い注目を集めている. 【病院概要】 診療科は以下の通りである. 内科・消化器内科・循環器内科・小児科・外科・整形外科・産婦人科・眼科・耳鼻咽喉科・皮膚科・ 泌尿器科・麻酔科・精神神経科・放射線科・リハビリテーション科 職員数304名 医師名15名 看護師157名 助産師4名 薬剤師5名 社会福祉士1名 看護補助者33名 診療放射線技師7名 臨床検査技師12名 臨床工学技士6名 理学療法士4名 作業療法士2名 視能訓練士1名 管理栄養士2名 栄養士1名 事務職員13名 その他41名 平成24年度病床稼働率67.05% 一日外来平均559.9名 平均在院日数一般病床20.6日 療養病床72.8日 当院は,地域の中核病院として,CT・MRI・心エコー・シネアンギオなどの最新鋭の医療機器を 駆使して、一次医療から二次医療まで幅広く対応し,急性期から慢性期までの一貫した医療を提供し ている.夜間・休日の救急外来は24時間365日体制で地域に根ざした病院として地域の皆様に安 心を提供している(Fig.3)

Upload: others

Post on 02-Feb-2021

1 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

  • 全国循環器撮影研究会誌 Vol.26 2014

    - 32 -

    施 設 紹 介

    士別市立病院

    北海道アンギオ画像研究会

    士別市立病院 宮本 直武※1 長島 仁※2 沼崎 太※2

    木下知美※3 高橋由香利※3 南橋 憲※4

    診療部診療放射線室画像診断技術科※1

    循環器内科※2循環器内科外来看護部※3

    診療部医療機器管理センター※4

    【はじめに】

    士別市は北・北海道のほぼ中央の所に位置しており(Fig.1),日本最北端のインターチェンジがあり,

    北海道第二の長流「天塩川」にいだかれた農業を中心産業とする緑豊かな田園都市である.気候は夏

    +30度,冬‐30度になることもありその温暖の差は60度にいたる(Fig.2).現在,市民を中心

    とするまちづくり運動が積極的に取り組まれており,羊をテーマとした「サフォークランド士別」と

    して大きな成果をあげ各方面から熱い注目を集めている.

    【病院概要】

    診療科は以下の通りである.

    内科・消化器内科・循環器内科・小児科・外科・整形外科・産婦人科・眼科・耳鼻咽喉科・皮膚科・

    泌尿器科・麻酔科・精神神経科・放射線科・リハビリテーション科

    職員数304名

    医師名15名 看護師157名 助産師4名 薬剤師5名 社会福祉士1名 看護補助者33名

    診療放射線技師7名 臨床検査技師12名 臨床工学技士6名 理学療法士4名 作業療法士2名

    視能訓練士1名 管理栄養士2名 栄養士1名 事務職員13名 その他41名

    平成24年度病床稼働率67.05% 一日外来平均559.9名 平均在院日数一般病床20.6日

    療養病床72.8日

    当院は,地域の中核病院として,CT・MRI・心エコー・シネアンギオなどの最新鋭の医療機器を

    駆使して、一次医療から二次医療まで幅広く対応し,急性期から慢性期までの一貫した医療を提供し

    ている.夜間・休日の救急外来は24時間365日体制で地域に根ざした病院として地域の皆様に安

    心を提供している(Fig.3).

  • 施設紹介

    - 33 -

    また、当院の医療圏は士別市(面積1,

    119.29km2 総人口21,131

    人)剣淵町(面積131.20km2 総

    人口3,475人)和寒町(面積224.

    83km2 総人口3,775人)であ

    りこの広範な医療圏の中で病院は当院

    の1施設のみであり,このようなこと

    から救急医療や医療型療養病床にも対

    応するなど,地域の基幹病院として大

    変重要な役割を果たしている.

    病院付属の検診センターでは人間ドック・一般健診・職員健診など積極的に受け入れ,地域の保健活

    動にも力を入れ.健診後の精密検査を当院で行えるよう、連携を密に取って利用者の便宜を図ってい

    る.

    外科の胸腔鏡・腹腔鏡視下手術など,当院では患者さんの負担が軽く入院期間が短くて住む内視鏡視

    下手術を積極的に取り組む.17台の最新鋭機を使った人工透析を行っているが,腹膜透析も積極的

    に取り入れ患者さんの社会復帰を図っている.消化器内科においては、内視鏡センターおよびPEG

    センターを開設し消化器内視鏡による検査・治療に力を入れており,肝・胆・膵の治療に積極的に取

    り組んでいる.整形外科では,各種骨折の治療に加え,リハビリテーションに力をいれており,脊柱

    及び人工関節手術では、特筆すべき技術、実績を誇る.さらに当院では100%近い院外処方箋を発

    行している.それに伴い入院患者さんの服薬指導にも積極的に取り組み,生活習慣病の患者さんに対

    する栄養指導におおいに成果を上げている.

    【病院沿革】

    当院の歴史は今年で70年目となる.

    昭和29年 9月 国民健康保険士別病院として診療開始

    昭和32年 7月 市立士別総合病院として認可を受ける

    昭和39年 6月 救急指定病院となる

    昭和62年12月 新築移転

    平成 8年 4月 成人病健診センター開設

    平成17年10月 シネアンギオ装置更新

    平成18年11月 オーダリングシステム導入

    平成19年 4月 内視鏡センター開設

    平成20年 5月 64列 MDCT導入

    8月 循環器内科撤退

    平成21年 5月 内視鏡センターを日本内視鏡学会指導施設に認定

    8月 1.5T MRI導入

    平成24年 6月 循環器内科再開設

    10月 放射線画像情報システム(PACS)導入

    平成25年10月 ポラリスネットワーク(道北北部連携ネットワークシステム)

    11月 病棟再編(消化器内科・循環器内科混合病棟をそれぞれ単科へ)

    【士別市立病院の特色】

    士別市立病院における特徴的なものとしては『士別市立病院応援隊』の存在があげられる.こちらは

    平成24年4月14日に約90名で構成されるものであり,活動の目的としては『士別市立病院が存

    続できる環境を作ること』となっている.主な活動の内容としては,

    ✓広報誌の発行(応援隊が中心となって作成)

    ✓市民に親しまれる病院を目指した病院との交流(病院の現況を理解する勉強会の開催)

    ✓士別市立病院のPR

  • 全国循環器撮影研究会誌 Vol.26 2014

    - 34 -

    ✓士別市立病院に関するボランティア活動

    ・病院環境整備(花壇整備・屋外施設の塗装など)

    ・病院市民公開講座の共催

    以上の内容で市民自ら士別市立病院を思い,地域密着型の医療を行える環境となっている.

    【循環器内科概要】

    循環器内科は平成20年3月に撤退され循環器疾患を持つ患者は,近隣市への通院を余儀なくされた.

    士別市において発症したACS(Acute Coronary Syndrome)などの緊急を要する患者も,循環器内

    科不在という理由で救急搬送せざるを得ない状態であった.この苦渋の4年半そこに『僻地における

    地方医療再生』を目指し、当院副院長である長島仁循環器内科医師が平成24年4月に就任した.就

    任後には近隣市へ通院していた患者も徐々に当院の外来に戻って来るようになり,現在では循環器内

    科外来一日平均31名 循環器内科入院一日平均22名となった.

    また,同年9月には長島副院長と師弟関係にある循環器内科の沼崎太医師が就任し循環器治療目的の

    入院も開始され,同年10月にはカテーテル室を再開した.翌日にはそれを待っていたかのようにA

    CSの患者が立て続けに運び込まれたが無事に治療は成功し現在も元気に生活をしているようだ.

    士別市における循環器診療の重要性について長島副院長はこう語る.

    『医療崩壊が進む上川北部地域で,士別市立病院は士別市唯一の病院として,

    その存在意義は間違いなく大きいです.高齢者医療がその中でかなり多くの部

    分を占めていますが,循環器内科の専門的医療を緊急も含めて,良質に提供で

    きるように,チーム医療の力を高めていきたいと思っている.』

    【放射線科概要】

    当院の診療放射線室は放射線技術科と画像診断技術科に分かれており,診療放射線技師7名,専属看

    護師1名,受付クラーク1名で日常業務を行っている.

    当科の特徴として,医療機器は一般撮影・CT・MRI・X線TV・MMG・ポータブル・骨密度・

    術場イメージがあるが全てがローテーション制となっている.理由としては,当科は夜間・休日は待

    機制となっており待機者は全ての機器を扱えなくてはならないからである.

    また、当科マンモグラフィ遠隔画像診断支

    援システムを利用したマンモグラフィ読影

    支援ネットワークのモデル事業にも参加し

    ている.モデル図を(Fig.4)に示す.概要と

    して,マンモグラフィ読影認定医が少ない

    医療機関とネットワークを結び,それらの

    医療機関で撮影されたマンモグラフィの画

    像を札幌がん検診センターで2次読影支援

    するものである.現在このネットワークも

    利用しながら当科では約40件/月のマン

    モグラフィの検査が行われている.

  • 施設紹介

    - 35 -

    【放射線科内の医療機器】

    導入年度 装置名 名称 メーカー

    平成15年7月 X線骨密度測定装置 QDR-DELPHI-W HOLOGIC

    平成17年9月 乳房X線装置 MAMMOMAT 1000 SIEMENS

    平成18年7月 X線画像情報デジタル装置

    放射線画像情報システム

    Velocity

    EV Insite net

    FUJI

    PSP

    平成20年5月 X線CT装置 Brilliance64 PHILIPS

    平成21年8月 MRI装置 Signa HDi 1.5T GE

    平成24年3月 X線透視撮影装置 VERSA100R SIMADZU

    【カテーテル室概要】

    当院カテ室は循環内科撤退に伴い、約4年半もの月日がおかれていた.当室が再開したのは平成24

    年10月1日であり現在のカテ件数の推移としては(Fig.5)に示した通りである.

    PCI(Percutaneous Coronary Intervention)では待機的なものからACS,そして現在ではCT

    O(Chronic Total Occlusion)病変まで幅広く行っている.また,当室ではEVT(Endovascular

    Therapy)も積極的に行っており,近隣市からもEVTを目的とした短期入院も徐々に増えてきてい

    る.

    当室は(Fig.6)の通り救急外来からまっすぐの位置にあるため,ACSの患者が来てもDTBT(Door

    to Balloon Time)の短縮には大変有利であり,術中・術後合併症等の緊急時にはCT・MRI室が

    隣接しているため迅速に検査できる構造となっている.

    当室に従事するスタッフは,医師2名 看護師9名 診療放射線技師7名 臨床工学技士5名 臨床

    検査技師4名と他職種で構成されており,検査・治療時には医師1(2)名 看護師2名 診療放射

    線技師1名 臨床工学技士1(2)名 臨床検査技師1名の体制で行っている.また,当院には心臓

    血管外科がないため緊急事態には名寄市立総合病院・旭川日赤病院・北海道大学病院などに救急搬送

    できるシステムとなっている.

  • 全国循環器撮影研究会誌 Vol.26 2014

    - 36 -

    【カテーテル室の主な医療機器】

    導入年度 装置名 名称 メーカー

    平成17年 9月 臨床用ポリグラフ RMC-3100M 日本光電

    平成17年10月 循環器血管撮影装置 Allura Xper FD10C PHILIPS

    平成17年10月 造影剤自動注入器 AvantaTM

    Mark V ProVis MEDRAD

    平成21年 2月 人工補助呼吸器 VELA IMI

    平成24年10月 血管内超音波機器 i-Lab

    s5TM Imaging

    Boston

    VOLCANO

    【おわりに】

    カテ室を再開した当初,カテ室に従事する半数は未経験者であったため,カテ室再開後すぐに未経験

    者の教育とチーム医療の構築を目指し『カテーテル検査室における教育セッション』と題した勉強会

    を開催した.概要としては業務終了後,経験豊富な医師 看護師 診療放射線技師 臨床工学技士

    臨床検査技師がそれぞれ持ち寄りで講師となり様々な内容で週1回30分間という短い勉強会

    (Fig.7)を開催している.

    このように他職種混合で勉強会を行う事で職種間における垣根が低くなりお互いの信頼関係の構築

    にも繋がっていると考えれ,今後もこの活動を続け僻地における地域でも良質な医療を提供できるよ

    うカテ室一同日進月歩努めていきたい.