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医師ターゲティングに関する考察
-行動ターゲティングを中心にー
2011年7月
MarkeTech Consultingwww.marketech.jp
代表 武藤 猛[email protected]
SASユーザー総会アカデミア/ テクノロジー&ソリューションセッション in 神戸 2011
2Copyright © 2011 MarkeTech Consulting. All rights reserved. 第1版
1.背景と目的
2.SFEと行動ターゲティングの考え方
3.医薬品における行動ターゲティングの応用事例
4.医薬品市場別SFE展開の課題
5.まとめ
医師ターゲティングに関する考察-行動ターゲティングを中心に 内容
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1.背景と目的
■背景:-製薬企業を取り巻く経営環境は厳しい(医療費や薬価抑制)-新薬上市が益々困難になる中、マーケティングと営業の役割が重要になる-このため、SFE(Sales Force Effectiveness)の視点が必要になる-そこで、SFEの中核をなす、ターゲティングを再検討する
■目的:-SFEという枠組みの中で、ターゲティングの意義と行動ターゲティングの位置付けを確認する
-実例を用いて、行動ターゲティングの可能性を検証する-今後の実務への展開方法について検討する
4Copyright © 2011 MarkeTech Consulting. All rights reserved. 第1版
2.SFEと行動ターゲティングの考え方[1]SFEとは
■成果(例:売上、顧客満足度向上)と原因(例:営業活動)との間の因果関係(つまり営業生産性ドライバー)にフォーカスする
■実証的であること(実データの活用)
■体系的であること(統計解析など確立された方法論に基づく)
■実践的であること(営業現場ですぐに適用できる)
■IT活用と親和性があること(既存のITを活用できる)
SFEとは、収益力・競争力向上を目的とした、データに基づいたMR生産性アップ法である
5Copyright © 2011 MarkeTech Consulting. All rights reserved. 第1版
2.SFEと行動ターゲティングの考え方[2]SFEの全体モデル
[出典]Andris A. Zoltners, et al :Building a Winning Sales Force, ANACOM(American Management Association), 2009
営業担当者 営業活動 顧客の成果 企業の成果営業組織
SFEドライバー
営業組織
成果
営業システム
マーケティング・営業戦略
企業戦略
・STP:-セグメンテーション-ターゲティング-ポジショニング(価値提案)
・営業戦略
・企業の事業目的と目標
・M&A・製品ポートフォリオ戦略
外部要因
外部環境
顧 客
競 合
企業
医療・医薬品業界および外部環境
営業生産性の改善(SFE)
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2.SFEと行動ターゲティングの考え方[3]SFEの三大要因
[注]これは、「数式」ではなく、「売上を決定する要因は3つに集約される」という意味である
売上=ターゲティング
ディテーリングの質×
ディテーリング回数×
最適な顧客に
最適な頻度で届ける
質の高いメッセージを
「SFEの三大要因」売上アップに対して即効性が大きい3要因にフォーカス
最も重要 重要 計画重視> >
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2.SFEと行動ターゲティングの考え方[4]適切なターゲティング戦略がもたらすインパクト
営業担当者営業組織 営業活動
ターゲティング戦略
①営業組織の最適サイズ②専門MRの導入可否③営業テリトリの設計
①適切な人材採用②人材育成の目標③トレーニング具体化④公平な報酬制度
①効率的活動⇒無駄な訪問の削減
②効果的活動⇒インパクト力アップ
インパクトの例
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2.SFEと行動ターゲティングの考え方
[5]ターゲティングの新しい動向
価値観・購買心理
購買行動
顧客セグメンテーションに用いる顧客情報の種類
従来型ターゲティング
サイコグラフィックターゲティング
行動ターゲティング
静的ターゲティング 動的ターゲティング
人口統計的属性
関係性は一般に弱い
関係性は強い
商品・サービス
顧客
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2.SFEと行動ターゲティングの考え方
[6]各種セグメンテーション&ターゲティング手法の比較
セグメンテーションが効果的であるための条件(コトラー+α):①測定可能性(セグメントの規模と購買力)②実質性(最低限の規模ないし利益獲得の見込み)③到達可能性(そのセグメントへ効果的に到達でき,効果的な販売チャネルが分かっていること)④実行可能性(そのセグメント向けの効果的なマーケティング・プログラムを作れること)⑤差異性(各セグメントに明確なパフォーマンスの差があること⇒効果的ターゲティングへ)
比較項目 従来型ターゲティング サイコグラフィックターゲティング 行動ターゲティング
セグメンテーション
変数
主に人口統計学的(デモグラフィック)属性
主に価値観・購買心理に関する属性
主に購買行動に関する属性
医薬品マーケティングにおけるセグメンテーション変数
年齢、性別、卒業大学、診療科、開業医/勤務医、
専門医の種類など
所属学会、治験活動、学会活動、
処方方針(効果重視/安全性重視)など
新薬採用時期(革新/中間/保守)、第一選択薬の種類、
使用薬剤プロファイルなど
メリットセグメンテーション作業と、該当セグメントへのアクセスが容易
である
購買行動との結び付きが強く、効果的なターゲティングが期待
できる
購買行動そのものに基づいているので、最も効果的なターゲ
ティングが期待できる
デメリット
購買行動との結び付きが弱く、効果的なターゲティングにつながらない(特に近年は、人口統計学的な属性では説
明が困難な購買行動が増えてきた)
価値観や購買心理を代表する変数の発見と検証が必要であり、該当セグメントへのアクセス方法を工夫す
る必要がある
購買行動を代表する変数の発見と検証が必要であり、該当セグメントへのアクセス方法を工夫する必要が
ある
10Copyright © 2011 MarkeTech Consulting. All rights reserved. 第1版[出典]クレイトン・M・クリステンセン、他:セグメンテーションという悪弊、DHB(2006.6)
■従来型セグメンテーションの課題:-デモグラフィックな基準によるセグメンテーションはあまり有効ではない-マーケターの都合で作られたセグメントに合わせて、顧客は行動しない
■新しい視点が必要である:-顧客は何らかの購買行動を行う必要があるだけだ-マーケターがなすべきことは、購買行動のメカニズムを理解することである
■セグメンテーションの失敗例:-ある人が、個人向けフィナンシャルプランニング(FP)のソフトを開発した-ターゲット顧客は定年退職者であった-シェアは90%以上を獲得したものの、売上は2億円以下に終わった-教訓:ニーズはあったが、退職者でFPを作成する人はごく少数であった(「金融資産の運用ニーズのある人」をターゲットにすべきだった?)
2.SFEと行動ターゲティングの考え方[7]従来型セグメンテーション&ターゲティングの限界
11Copyright © 2011 MarkeTech Consulting. All rights reserved. 第1版
■インターネットにおける活用例:-顧客の購買履歴を蓄積、分析し、顧客の好みを推定して商品を推奨-例1:Amazon 「あなたにお奨めの本は・・・です」-例2:TSUTAYA 「あなたにお奨めの映画・・・・のDVDが入荷しました」
■行動ターゲティングの特徴:-過去の購買履歴(POS)を用いると、将来の購買行動を精度よく予測できる-過去の購買履歴の変動は、システムが学習可能である-ただし、過去の購買履歴のデータを蓄積し、分析する仕組みが必要である
■医薬品マーケティングにおける行動ターゲティング(事例は後述)-MR生産性の向上が求められる現在、有望なターゲティング手法である-ただし、医薬品に適した工夫が必要である(例:購買行動の指標)
2.SFEと行動ターゲティングの考え方[8]行動ターゲティングの例
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■従来の顧客顧客セグメンテーションの例
量的基準
質的基準 LP MP HP
小
中
大
販売ポテンシャル(患者数)
処方意欲重要度小
重要度中
重要度大
従来の方法 【患者数区分の例】LP:24人以下(週当り)MP:25~50人(週当り)HP:51人以上(週当り)
■バリューマトリックスの例
量的基準
質的基準 LP MP HP
小重要度
小重要度小
重要度小
中重要度
小重要度中
重要度中
大重要度
中重要度大
重要度大
販売ポテンシャル(患者数)
処方意欲
新しい方法
質的基準を併用してターゲット
医師にフォーカスすると、売上を著しく伸ばすことができる
ターゲット医師(通常の場合)
質的セグメンテーションで処方意欲を分類
処方意欲は不明
ターゲット医師(通常の場合)
3.医薬品における行動ターゲティングの応用事例
[1]効果的なターゲティングの考え方①:質的基準の導入
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3.医薬品における行動ターゲティングの応用事例
[1]効果的なターゲティングの考え方②:行動ターゲティング
価値観・購買心理
購買行動
医師セグメンテーションに用いる医師情報の種類
サイコグラフィックターゲティング
行動ターゲティング
人口統計的属性
関係性は一般に弱い
関係性は強い 医
薬品
医師クラスター
薬剤使用パターン
顧客
関係性は?
ターゲティング分析
学会活動、処方方針など
薬剤別の処方人数(手術種類、件数)
診療科、年齢、医療機関属性など
14Copyright © 2011 MarkeTech Consulting. All rights reserved. 第1版
3.医薬品における行動ターゲティングの応用事例
[2]アンケートの概要
No. 薬剤名 薬効領域
1 カルデナリン α遮断薬
2 コバシル
3 タナトリル
4 レニベース
5 オルメテック
6 ディオバン
7 ニューロタン
8 ブロプレス
9 ミカルディス
10 アダラート
11 アテレック
12 アムロジン
13 カルブロック
14 コニール
15 ノルバスク
ACE阻害剤(ACE)
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤
(ARB)
Ca拮抗剤(CCB)
■調査内容:薬剤使用に関する医師アンケート
■調査方法:インターネット
■調査実施時期:2006年3月
■調査薬剤:降圧剤の15薬剤(右表)
■回収件数:1080件(内訳は,GP:515件,HP:565件)
■今回の分析対象:GPの515件(医療機関による属性の差を少なくするため)
15Copyright © 2011 MarkeTech Consulting. All rights reserved. 第1版
3.医薬品における行動ターゲティングの応用事例
[3]アンケートの構造
医師アンケートの構造マーケティング上の意義 ターゲティング分析
Q2:薬剤別 認知の有無
Q3:薬剤別 特徴①(効能・効果)
Q7:薬剤別 使用の有無
Q8:薬剤別 使用理由
Q10:薬剤別 MRとのコンタクト有無
Q11:薬剤別 MRとの面談回数
Q1:1ヶ月間の高血圧患者数
F1~5:診療科・経営形態・ベッド数・年齢・地域
Q9:薬剤別 処方人数
Q4:薬剤別 特徴②(副作用・安全性)
Q5:薬剤別 特徴③(臨床・薬理データ)
Q6:薬剤別 情報入手経路
医師クラスター(質的軸)
販売ポテンシャル(量的軸)
行動ターゲティング(薬剤使用パターン)
販売ポテンシャル
製品認知(価値観)
購買(処方)行動
MR活動への反応
人口統計的属性
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製品特徴から見たクラスター特性
-0.60 -0.40 -0.20 0.00 0.20 0.40 0.60 0.80 1.00
D_CLUSTER1
D_CLUSTER2
D_CLUSTER3
Q3_F1:血管・腎臓保護作用
Q3_F2:早朝高血圧に効果
Q3_F3:腎血流を増やす
Q3_F4:持続性に優れている
Q3_F3:重度の陣障害にも適す
N=492
情報経路から見たクラスター特性
-0.40 -0.30 -0.20 -0.10 0.00 0.10 0.20 0.30 0.40 0.50 0.60 0.70
D_CLUSTER1
D_CLUSTER2
D_CLUSTER3
Q6_F1:製品説明会・MR
Q6_F2:先輩・同僚
Q6_F3:症例報告集
Q6_F4:医学雑誌
Q6_F5:MS
N=492
使用理由から見たクラスター特性
-0.40 -0.20 0.00 0.20 0.40 0.60 0.80 1.00 1.20
D_CLUSTER1
D_CLUSTER2
D_CLUSTER3
Q8_F1:使い慣れ
Q8_F2:副作用・禁忌が少ない
Q8_F3:医師仲間・医局で使用
Q8_F4:大規模試験で効果・安全性
Q8_F5:新製品
N=492
3.医薬品における行動ターゲティングの応用事例
[4]処方意向に関する医師のクラスター特性
医師クラスターの意味は次の通り:D_CLS1:伝統派D_CLS2:中間派D_CLS3:先進派
Cluster3は強く反応
ARB
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3.医薬品における行動ターゲティングの応用事例
[5]セグメント別医師数・高血圧症患者数分布
伝統派(CLS1)
中間派(CLS2)
先進派(CLS3)
LP
MP
HP
17%
14%
5%
22%
14%
5%
15%
6%
2%0%
5%
10%
15%
20%
25%
医師
数(比
率)
セグメント別医師数分布
薬効領域:ARBN=492
伝統派(CLS1)
中間派(CLS2)
先進派(CLS3)
LP
MP
HP
32%
23%
11%15%
10%
3%
4%
1% 1%0%
5%
10%
15%
20%
25%
30%
35%
患者
数(比率
)
セグメント別高血圧症患者数分布
薬効領域:ARBN=492
量的基準
質的基準 LP MP HP
LP1 MP1 HP1
LP2 MP2 HP2
LP3 MP3 HP3
販売ポテンシャル (患者数)
伝統派(CLS1)
中間派(CLS2)
先進派(CLS3)
医師数の分布と比較すると、患者数はセグメントHP1に集中している
【患者数区分の例】LP:24人以下(週当り)MP:25~50人(週当り)HP:51人以上(週当り)
医師数 患者数
ほぼ同数
ほぼ 60%:30%:10%
ARB
ほぼ70%:
25%:5%
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3.医薬品における行動ターゲティングの応用事例
[6]降圧剤の薬剤使用パターン①
患者数の差は小さい
P_PATERN1 P_PATERN2 P_PATERN3
慎重型 使い分け型 多種類多用型
296 157 50
59% 31% 10%
55.8 61.2 61.31.1 1.4 1.7
2.5 3.1 3.6
2.4 3.2 3.9
6.9 7.4 10.4
25.5 31.5 35.0
32.3 41.0 42.0
薬剤の使用種類数および処方人数共
に、3パターン中で最小である
薬剤の使用種類数および処方人数共に、パターン1および
2の中間である
薬剤の使用種類数および処方人数共
に、3パターン中で最大である
各パターン中で最小 各パターン中で最大
薬剤使用パターンの特徴
所属人数
薬剤使用パターン番号
ARB
CCB
薬剤使用パターン名称
所属人数比率
最近1週間の高血圧症患者診察人数
薬効領域別使用薬剤種類数
薬効領域別処方人数
(1週間当たり)
ACE
ARB
CCB
ACE
降圧剤全体
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3.医薬品における行動ターゲティングの応用事例
[6]降圧剤の薬剤使用パターン② 降圧剤全体
薬剤使用パターンの典型例
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
慎重型(PTN1)
使い分け型(PTN2)
多種類多用型(PTN3)
カルデナリン コバシル タナトリル レニベース オルメテック
ディオバン ニューロタン ブロプレス ミカルディス アダラート
アテレック アムロジン カルブロック コニール ノルバスク
患者数はいずれも100人(週当たり)
ACE他 ARB CCB5種類
14種類
12種類
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3.医薬品における行動ターゲティングの応用事例
[7]医師クラスターと薬剤使用パターンは一致するか?
医師クラスターと薬剤使用パターンの一致率:69%
[注1]この他、ACEおよびCCBの一致率は、各々50%、88%である[注2]ACEの一致率が低いのは、α遮断剤とまとめてグループ化したことによるものと思われる[注3]いずれの場合も、伝統派と先進派を間違える割合は小さい(各々、3%、3%、0%)
■ARBの医師クラスター対薬剤使用パターン(各医師クラスター別の薬剤使用パターン比率)
慎重型 使い分け型 多種類多用型 (計)
伝統派 83% 16% 1% 100%
中間派 33% 55% 12% 100%
先進派 20% 35% 45% 100%
(計) 58% 32% 10% 100%
薬剤使用パターン
医師クラスター
各列の最小値 各列の最大値
ARB
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3.医薬品における行動ターゲティングの応用事例
[8]医師クラスターと薬剤使用パターンは対応付けられる
価値観・購買心理に基づくセグメンテーション
購買行動に基づくセグメンテーション
先進派(CLS1)
中間派(CLS2)
伝統派(CLS3)
多種類多用型(PTN1)
使い分け型(PTN2)
慎重型(PTN3)
対応付け降圧剤領域降圧剤領域
医師クラスターと薬剤使用パターンの一致率は平均70%(他の薬効領域でも成り立つ可能性が高い)
アンケートやMR調査で推定可能
アンケートの他、市場データやMR調
査で推定可能
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売上 =ターゲティング
ディテーリングの質×
ディテーリング回数×
最適な顧客に
最適な頻度で届ける
質の高いメッセージを
3.医薬品における行動ターゲティングの応用事例
[9]SFEモデルの検証①:検証方法
量的基準
質的基準 LP MP HP
LP1 MP1 HP1
LP2 MP2 HP2
LP3 MP3 HP3
販売ポテンシャル (患者数)
伝統派(CLS1)
中間派(CLS2)
先進派(CLS3)
処方人数(売上と
高い相関)
セグメントHP1~HP3のカバー率(MR訪問の有無)
MR訪問回数顧客満足度で測定可能
(売上と高い相関)ただし、今回はアンケート項目にないので検証から除外
[注]検証は、処方人数を目的変数、セグメント(HP1~HP3)カバー率とMR訪問回数を説明変数にした変数選択重回帰分析で行った
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3.医薬品における行動ターゲティングの応用事例
[9]SFEモデルの検証②:検証結果
降圧剤全体、ARB、CCBの処方人数(売上高)は、ターゲティング精度
(セグメントHP1のカバー率)だけで決まる!
量的基準
質的基準 LP MP HP
LP1 MP1 HP1
LP2 MP2 HP2
LP3 MP3 HP3
販売ポテンシャル (患者数)
伝統派(CLS1)
中間派(CLS2)
先進派(CLS3)
[注]HP1のカバー率は最小4%~最大44%
■処方人数の決定要因(処方人数を目的変数にした変数選択重回帰分析結果)
ディテーリングに関する説明変数
HP1セグメントのカバー率
HP2セグメントのカバー率
HP3セグメントのカバー率
最近1ヶ月のMRとの面談回数
降圧剤全体の処方人数 ○ × × × 0.401
ACEの処方人数 × × × ○ 0.802
ARBの処方人数 ○ × × × 0.874
CCBの処方人数 ○ × × × 0.820
[注]○:統計的に有意 ×:統計的に有意でない
ターゲティングの精度に関する説明変数目的変数
(計算ケース)決定係数
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3.医薬品における行動ターゲティングの応用事例
[10]行動ターゲティングを用いたMR生産性向上
価値観・購買心理に基づくセグメンテーション
購買行動に基づくセグメンテーション
先進派クラスター
中間派クラスター
伝統派クラスター
薬剤使用パターン1
薬剤使用パターン2
薬剤使用パターン3
薬剤使用パターン1
薬剤使用パターン2
薬剤使用パターン3
購買行動に基づくセグメンテーション
①アンケートによる分析
②市場データによる分析またはMR調査
対応付けの確認
③全医師の購買行動に基づくセグメンテーション
アンケートの世界 顧客DBの世界
(これにより、全医師への行動ターゲティングが可能)
薬効領域X薬効領域X薬効領域X
MR生産性向上
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3.医薬品における行動ターゲティングの応用事例
[11]行動ターゲティングを実践するには
①医師単位での疾患別患者数の把握が重要:⇒市場データ(200床以上:施設別、199床以下:ブリック単位)からの推定
(かなり面倒)⇒定期的なMRによる概数調査
②定期的な医師アンケート調査による、市場動向の把握:⇒製品ライフサイクルに対応した、医師クラスターの抽出⇒薬剤使用パターンと医師クラスターとの対応関係の確認
③行動ターゲティングの実践:⇒市場データからの医師別薬剤使用パターンの推定(かなり面倒)⇒MRによる調査(訪問の際に「Key Question」を問い掛ける)
「降圧剤の第一選択薬は何ですか?」「その第一選択薬は、いつ頃から採用されましたか?」「降圧剤は何種類くらいお使いですか?」「ARB、CCB等の使用比率はどのくらいですか?」
⇒医師クラスターの推定
⇒薬剤使用パターンの推定
⇒販売ポテンシャル(HP、ML、LP)の推定
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3.医薬品における行動ターゲティングの応用事例
[12]製薬企業における行動ターゲティングの事例
■製薬企業における行動ターゲティングの実情:-価値観・購買心理に基づくターゲティングの効果は実証済み(ユーザ会2005)-「行動ターゲティング」と銘打った実例はまだないようである-しかし、実質的に「行動ターゲティング」を実践して成功している企業がある
■概要(SFE Japan 2008より):-スペシャリティファーマA社-実践方法:
①当該スペシャリティ領域の医師は全数カバー②効率的・効果的なMR活動のために、各医師の疾患構成を調査③セグメンテーションの基本は、「市場規模×疾患構成」③各セグメントに対応したMR活動で、医師のニーズへの対応力が向上
-成果:MR生産性(MR1人当りの売上高)は、業界でトップクラス
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エリアMR
販路別MR(大学病院等)
領域MR
専門(疾患担当)MR
ジェネラリスト スペシャリスト
効率(主に製薬企業の視点)
効果(主に医師の視点)特にディテーリング
回数が重要
特にターゲティングとディテーリングの質が重要
4.医薬品市場別SFE展開の課題[1]MRの専門化と効率・効果の関係
==
××
××
売上ターゲティング
ディテーリングの質
ディテーリングの回数
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4.医薬品市場別SFE展開の課題[2]市場別SFEの三大要素の特徴とSFE上の課題
ターゲティングディテーリング
の質ディテーリング
回数
マス市場(生活習慣病治療薬等)
100,000人
全医師カバーは困難。「量×質」のセグメンテーションを行った上で、最も重要なセグメントにフォーカスする
セグメント別医師のニーズに即したディテーリングが重要
訪問計画に即して訪問
ディテーリング回数重視から、ターゲティングとディテーリングの質重視に移行し、生産性アップすることが重要(eディテーリングの活用を含む)
スペシャリティ領域
(眼科、皮膚科等)
10,000人
全医師カバーが原則。「量×質」のセグメンテーションを行った上で、セグメント毎に重みを変える
医師のニーズに即したディテーリングが重要
医師とのアポイントに基づいて訪問
医師の質的ニーズ把握とそれに対応したディテーリングが重要
がん領域 1,000人
全医師カバー。「量×質」のセグメンテーションを行った上で、セグメント毎に重みを変える
医師の臨床上・研究上の相談相手になれるコンサルタントレベルが求められる
医師とのアポイントに基づいて訪問
医師の質的ニーズ把握とそれに対応した専門MRの育成、およびディテーリングの質の把握が重要
オーファンドラッグ領域
100人臨床上・研究上のニーズを持った医師を開拓し、個別に対応する
医師の臨床上・研究上の相談相手になれるコンサルタントレベルが求められる
医師とのアポイントに基づいて訪問
コンサルタントレベルの専門知識と、社会貢献意識の高い「熱いMR」が重要
SFEの三大要素医薬品市場の種類
SFE上の課題市場の
規模目安(対象医師数)
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5.まとめ
■行動ターゲティングの有効性について:-医師の購買行動は、医薬品の処方特性で把握できる-医師の購買行動の特性には、価値観や購買心理の裏付けがある-医薬品マーケティングにおいて、価値観・購買心理に基づくセグメントと、購買行動に基づくセグメントとは、ほぼ1対1の対応がある
-医師の処方特性を把握することで、有効なセグメンテーションが可能である
■SFEの考え方とターゲティング:-SFEの決定要因の中で、ターゲティングは薬効分野によらず重要である-医薬品市場が、マスマーケット(生活習慣病)から、より細分化された市場(抗体医薬に代表されるバイオ医薬品など)に移行し、MR生産性向上への要求が益々厳しくなる現在、ターゲティングの精度アップが重要となる
-行動ターゲティングは、そのための解決策の一つとなりうる-もちろん、併せてディテーリングの質向上も重要な課題である