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Ready-Now Leaders: 即戦力になるリーダー:明日のビジネス課題に向けて Global Leadership Forecast 2014|2015 日本特集

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  • Ready-Now Leaders: 即戦力になるリーダー:明日のビジネス課題に向けて

    Global Leadership Forecast 2014|2015

    日本特集

  • 2 Global Leadership Forecast 2014 | 2015 Japan

    大規模な 調査の優位性 The Global Leadership Forecast 2014|2015

    グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト2014/2015 は、ディベロップメント・ディメンションズ・インターナショナル(DDI)

    が1999年から実施しているリーダーに関する動向調査の7回目となります。今回は、DDIとThe Conference Boardが共同で

    実施し、2,031社から、13,124名のリーダーと1,528名の人事/人材開発担当者の皆様にご回答をいただきました。リーダ

    ーの回答がグローバル・サンプルの1%以上を構成する組織については、全体の調査結果に影響を及ぼさないよう、その

    組織については無作為抽出法を用い、サンプルの絞り込みを行いました。リーダーの属性は以下の通りです。

    過去最多数の参加者からサンプルを得ることができたため、調査所見を様々な観点から考察することが可能になりました。

    人事/人材開発担当者とリーダー(初級・中級・上級・経営層の4階層)からの各所見を、性別、世界48か国、32種の業界、

    多国籍企業/現地法人などの多様な視点に基づき、詳細な分析を行いました。今回取り上げたテーマごとのレポートや

    国別レポートは、ホームページ(www.ddiworld.com/glf2014)に掲載される予定です。

  • 3 Global Leadership Forecast 2014 | 2015 Japan

    日本特集 日本のリーダーに関するGLFハイライト

    本レポートは、グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト

    2014/2015の一環として、日本のリーダーの現状に関す

    る調査結果をまとめたものです。1,091名の日本のリーダ

    ーと110名の人事/人材開発担当者からの回答を基にし

    た調査結果は、日本と世界中の企業との比較を提供する

    ことが可能です。

    本レポートにはグローバルと日本のリーダーの調査結果

    が記載されており、グローバルの結果に関しては「 」

    のアイコンがついています。このグローバルアイコンがな

    い場合は、すべて日本の結果と考えてください。

    本レポートに、グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト

    2014/2015の日本に関するすべての調査結果を記載して

    いません。日本特集に取り上げていない情報は、グローバ

    ルレポートを参照してください。また、本レポートの調査結

    果はグローバルレポートと対比して活用することが可能で

    す。本レポートが、日本のリーダーの現状に対する洞察を

    深め、皆様のリーダーシップ能力向上の施策の一助となり

    ますことを願っております。

  • 4 Global Leadership Forecast 2014 | 2015 Japan

    洞察を得るための アプローチ

    グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト2014/2015 は、実用的な見識をもたらす独自の3つの論点で

    構成されています。

    # What Now(現状):現在の状態を表しています。一例を挙げると、本調査により、各社で採用しているハ

    イポテンシャル(将来優秀な業績を上げる人)人材育成プログラムのうち、約4分の3は効果的ではないと

    いうことが判明しました。ほとんどの調査は、現状(What Now)の把握に留まっています。

    ? So What(洞察):現状が続いた場合にどのような影響が生じるかを考えた結果、得られる洞察です。前

    に挙げたハイポテンシャル人材育成プログラムの例で考えてみると、優れた業績を上げている組織は、ハ

    イポテンシャル人材育成プログラムを導入している確率が大幅に高いというデータが示されています。従っ

    て、効果的ではないハイポテンシャル人材育成プログラムを継続しても、業績は上がらないという洞察が

    得られます(上場企業からの調査回答と、株式公開企業の外部財務指標の情報との関連を分析した上

    で、業績を判断しています)。

    ! Now What(行動):得られた洞察を基に、具体的な行動に移します。ハイポテンシャル人材育成プログラムの場合、業績

    にプラスの影響を与えるとすれば、どのような行動や施策を取るとプログラムの効果が高まるでしょうか?本レポートの

    「Now What」セクションをご覧いただき、対応策を検討する際にお役立てください。

    # What Now

    ? So

    What

    ! Now What

  • 5 Global Leadership Forecast 2014 | 2015 Japan

    目次 CEOが眠れない考え事

    CEOの最優先課題 - 準備ができていないリーダー ............................................................... 8

    VUCA時代に働くこと ................................................................................................... 10

    リーダーの準備度

    リーダーシップの見通し - 停滞................................................................................. 12

    リーダーの準備度 - 日本の状況 ................................................................................. 14

    重要なリーダーシップスキル - 軽視されている重要なこと ................................................ 16

    HRの新たな役割

    進化し続ける人事 - 受動/反応型から先見型へ ............................................................... 18

    リーダーシップ分析 - 価値を生むビッグデータの活用法 ...................................................... 20

    リーダーの能力向上に必要なこと

    ハイポテンシャル人材のジレンマ - 誰?適正人数は?そして能力開発は? ........................ 22

    能力向上の阻害要因

    学習の最大の阻害要因 - 業務のように研修を捉え、研修のように業務を捉える ........................ 24

    適切な施策の実行による組織への影響

    パイプラインの実現は夢か? - 悪夢の回避 ............................................................... 26

    結論 ............................................................................................................................ 28

    付録 ............................................................................................................................ 32

  • 6 Global Leadership Forecast 2014 | 2015 Japan

    日本のリーダーシップの能力開発ロードマップ 組織の成功への道-重要な課題

  • 7 Global Leadership Forecast 2014 | 2015 Japan

    グローバルアイコンのあるデータはグローバルの結果を示しています。

  • 8 Global Leadership Forecast 2014 | 2015 Japan

    CEOが眠れない考え事

    CEOの優先課題 準備ができていないリーダー

    The Conference Board CEO Challenges調査 – 自身を非常に準備ができていると回答したリーダーの割合

  • 9 Global Leadership Forecast 2014 | 2015 Japan

    組織は人で勝つ リーダーシップは開発できる 「The Conference Board CEO Challenge®」調査で1,000名以上のCEOから

    得た回答によると、「人材」は依然としてCEOの最優先課題です。さらにこ

    の2年間で「顧客との関係」も優先課題としての重要性が高まっています。

    これまで同様、「円滑な業務遂行」や「イノベーション」もビジネスを拡大し、

    持続可能な未来を築くための重要な優先課題として挙げられました。これ

    らの課題は、順位の違いはあるものの、調査に参加した4つの地域(米国

    、中南米、ヨーロッパ、アジア)すべてが重要課題として挙げました*。 人材戦略についてCEOが挙げた上位10項目のうち、4項目がリーダーシッ

    プに関する項目でした(リーダーの能力開発プログラムの改善、上級管理

    職の能力強化、初級管理職/マネジャー職の能力強化、後継者育成計

    画の改善)。様々な世代が混在し、テクノロジーを駆使して世界各国に分

    散した人が働く現代においては、リーダーに求められることは多様化して

    います。多様性に富むチームを管理し、コーチングし、能力開発を行い、

    チームのやる気を高めることができる優れたリーダーがいなければ、エン

    ゲージメントとパフォーマンスの高い人材を組織に定着させることは難しい

    ことを、CEOは確信しています。 また、成功するリーダーに求められる重要な特性や言動についてCEOに

    尋ねたところ、世界共通の上位5位の回答は、以下の通りでした。

    優秀な人材を確保し、育成する。

    複雑な状況を管理する。

    変革を推進する。

    リーダーとして誠実に行動する。

    起業家精神を持つ。

    今回のグローバル・リーダーシップ・フォーキャスト調査では、「CEO

    Challenge®」で検討された課題に対応する準備度を、リーダーに初めて自

    己評価していただきました。日本の評価結果は、まさに厳しい現実を表し

    ています。例えば、CEOが挙げた10個の課題に対応する準備が「かなりで

    きている」と回答したリーダーの割合は20%以下でした(左図参照)。また、

    人材を効果的に管理し、最高の成果を実現できる環境を整えるという人材

    に関するCEOの最優先課題に対応する準備が「全くできていない」または

    「ほとんどできていない」と回答したリーダーは、30%でした。人事/人材開

    発担当者の評価はさらに厳しく、63%が自社のリーダーは人材の最優先

    課題に対処する準備が「全くできていない」または「ほとんどできていない」

    と回答がしています。

    * Mitchell, C., Ray, R.L., & van Ark, B. (January 2014), The Conference Board

    CEO Challenge® 2014: People and Performance, New York, The Conference Board, www.conference-board.org.

    Now What

    1. 優れたリーダーは、CEOの最優先課題に効果的

    に対処することができます。本調査では、優れた

    能力開発はリーダーシップに良い影響を及ぼすと

    いうことを示唆しています。どのリーダーも学習を

    すれば、お客様の声を組織に反映し、有能な人材

    を発掘し、イノベーションが活発な環境を創ること

    ができるようになります。重要なことは、リーダー

    シップは効果的に開発することができると、人事

    は認識すべきです。

    2. 業績管理とアカウンタビリティの向上(下記の人材

    戦略の3番目)は、人材管理システムの中で最も

    軽視されがちな要素です。このギャップに対処す

    るために、業績管理に関する自社の状況を確認し

    てください。特に、日本のリーダーは、業績管理と

    アカウンタビリティの向上が課題です。

    トップが決めた戦略の実行に役立つビジネ

    ス・システムとして、業績管理は活用されて

    いるか?

    社員は目標を理解し、目標達成に対するア

    カウンタビリティを負っているか?

    社員が成長できるように、彼らの強みや啓

    発点に関するフィードバックを、リーダーは

    提供しているか?

    CEOの人材戦略

    グローバルアイコンのあるデータはグローバルの結果を示しています。

  • 10 Global Leadership Forecast 2014 | 2015 Japan

    CEOが眠れない考え事

    VUCA時代に働くこと

    リーダーはVUCAの課題に対応する準備がより必要

  • 11 Global Leadership Forecast 2014 | 2015 Japan

    VUCAの時代こそリーダーが 成功の鍵 VUCAの時代は、変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(

    Complexity)、曖昧さ(Ambiguity)に満ちています。この用語は、米軍が軍

    備計画の議論の際に使用したことが始まりで、その後、Institute for the

    FutureのBob Johansen氏が発表し、一般に広まりました*。

    本調査では、次の4つの主要課題に対するリーダーの準備度を測定し、各

    課題に、VUCA指標を設定しました。

    • 変化および変化のスピードを予測し、それに対応する。(変動性)

    • 先が見えない状況において意思決定を行う。(不確実性)

    • 複雑、混沌、混乱の状況下において方向付けをする。(複雑性)

    • 突発的で予測不能な事態が絶え間なく起き続けている状況において

    も、効果的に対処する。(曖昧さ)

    上記4つのVUCAの課題に対応する能力について、「極めて自信がある」

    または「かなり自信がある」と答えた日本のリーダーは3分の1以下でした。

    日本の人事/人材開発担当者の認識は左図の通りです。人事/人材開

    発担当者の半数以上が、自社のリーダーについて、変動性(60%)、不確

    実性(53%)、複雑性(62%)、曖昧さ(51%)の課題に対応する能力がない

    と回答しています。自社のリーダーは「極めてVUCA対応能力が高い」と

    回答した人事/人材開発担当者は、わずか5%でした。

    日本のリーダーは、「先が見えない中で、新たな課題に取り組むための

    VUCA対応能力が、グローバルと比較して、かなり低い」ということが、今

    回の結果から如実にわかります。従来の方向性を維持し、これまでの成

    功パターンで事業を推進することは得意でも、そのやり方だけでは通用し

    ないビジネス課題に直面し、日本のリーダーは自信を失っています。

    本調査によると、リーダーのVUCA対応能力が高い組織は、低い組織に

    比べ、リーダーの供給体制が整っている確率が3.5倍高いという結果がで

    ています。つまり、将来の課題に対応する準備ができているリーダーがい

    るということです。また、VUCA対応能力は、業績にも関連しています。業

    績が高い上位20%の組織は下位20%の組織に比べて、VUCA対応能力

    の高いリーダーを有する確率が3倍高い傾向が見られました。

    * Johansen, B. (2009), Leaders Make the Future: Ten New Leadership Skills for an

    Uncertain World, San Francisco, Berrett-Koehler Publishers.

    Now What

    VUCAの時代では、正しい意思決定、強い信頼感、高

    い適応力を備えたリーダーが必要とされています。

    VUCAに対応する準備ができているリーダーが多くい

    ると回答した組織は、左図に示したような人材管理施

    策を行っています。その中でも、日本の人事がまずや

    るべきことは、自社の重要なリーダー職に必要とされる

    能力要件(コンピテンシー)を明確にすることです。

    VUCAに対応するために強化すべきスキルを適切に

    定め、そこに重点を置くことによって、人材管理施策の

    効果性がさらに高まります。本調査から、リーダーの準

    備度と自信に最も大きな影響を及ぼす上位4つのスキ

    ルが判明しました。VUCA対応能力が低い日本のリー

    ダーには、「変革を引き起こし、対応する」スキルをはじ

    め、以下のスキルの強化が必要です。

    1. 変革を引き起こし、対応する。

    このスキルを獲得したリーダーは、自信を持って

    VUCAに対応できるようになります。

    2. 合意を形成し、コミットメントを取り付ける。

    このスキルは、意見の衝突や誤解を避けるため

    に重要です。

    3. これから挑戦しなければならない将来のビジョン

    へ向けて、他者を動機付け、鼓舞する。

    リーダー自身が意欲的でなければ、他者を駆り立

    てることはできません。

    4. 世代を超えて人々を率いる。

    このスキルは、異なる動機や視点をもつ社員が、

    共通の目的意識を作り上げるために重要です。

    25%の組織がリーダーにVUCA対応能力がないと回答。

    リーダーにVUCA対応能力がある組織は、業績の高い組織の上位20%になる

    確率が3倍高まる。

    グローバルアイコンのあるデータはグローバルの結果を示しています。

  • 12 Global Leadership Forecast 2014 | 2015 Japan

    リーダーの準備度

    リーダーの準備度

    リーダーシップの見通し 停滞

    グローバルベンチマーク調査におけるリーダーの質の変遷

  • 13 Global Leadership Forecast 2014 | 2015 Japan

    リーダーシップに自信がない 日本のリーダー

    このままでは世界と戦えない! 直近の2回に実施したグローバル・リーダーシップ・フォーキャストの結果と比

    較すると、日本のリーダーの質については、検討すべき課題が山積していま

    す。自社のリーダーの質は高いと回答したリーダーはやや増加しましたが、

    わずか6%です。人事/人材開発担当者の評価は、さらに厳しく2%で、2011

    年の調査結果から変わっていません*。日本は、リーダーも人事も共に、リー

    ダーの質にはまったく自信がない状況です。(左図参照)

    多くの日本企業がリーダーの能力開発に取り組んでいますが、その取り組み

    は行き詰まっています。自社のリーダーの能力開発プログラムが効果的だと

    評価した日本のリーダーは、過去2回の調査結果同様、わずか19%でした(グ

    ローバルは37%)。大多数のリーダーが、自社の能力開発の取り組みに依然

    として満足していません。日本の人事は、この7年間で能力開発プログラムを

    大幅に改善してこなかったと思われます。前回と比べてリーダーの質に大き

    な違いが見られないという結果は、驚くに値しません。

    VUCAの時代、そしてグローバル化の時代に、従来と変わらない能力開発プ

    ログラムでは、リーダーの質を高めることはできません。日本の人事は、リー

    ダーの能力開発プログラムの内容を本気でてこ入れすることが急がれます。

    現状維持では、将来の見通しは暗いままです。実際、今後3年間の重要な管

    理職あるいは経営職を担うべき人材の供給体制が「劣っている(極めて劣っ

    ている/劣っている/やや劣っている)」という人事の回答は、77%にのぼり

    ました。さらに、将来的な人材の供給体制が整っていると回答した組織はわ

    ずか6%であり(グローバル15%)、前回の調査よりも2%悪化しました(グロー

    バル3%)(右図参照)。

    このままでは、世界で勝てるリーダーを日本企業は輩出できません。日本の

    組織は、自社の能力開発プログラムの改善に、本腰を入れて取り組まなけれ

    ばなりません。

    自社の能力開発プログラムの

    質を高い/非常に高いと

    回答したリーダーの割合。

    * Boatman, J., & Wellins, R.S. (2011), Global Leadership Forecast 2011: Time for a

    Leadership Revolution, Pittsburgh, PA, Development Dimensions International.

    Now What

    1. 将来の有能な人材の育成は、初級管理職から始

    めることが効果的です。日本の場合、初級管理職

    の質が高いと回答した人事は0%でした。現在の

    初級管理職は、次のリーダーの予備軍であるとい

    うことを忘れないでください。まずは、何よりも優先

    して、現在の初級管理職の公式的な学習をてこ入

    れする必要があります。また、公式的な学習だけ

    でなく、リーダーの成長を促進する継続的な学習

    経験やOJT型の学習をうまく組み合わせていきま

    しょう。

    2. リーダーが能力開発の取り組みを行ったとして

    も、新たに習得したスキルを実践し、活用する機

    会がなければ、能力開発の効果は持続しません。

    主要なスキルをリーダーが実践し、それに対して

    上司からのフィードバックを受けていると回答した

    組織は、そうでない組織に比べて、リーダーの質

    と人材の供給能力が高い確率が5倍以上になりま

    す。

    3. リーダーの能力開発プログラムの質は、リーダー

    の質と強く相関しています。しかし、リーダーの質

    を高める要因には、優れた人材の選抜や後継者

    育成も大きく関わっています。最初の段階で誤っ

    た人材を選抜すると、どんなに優れた能力開発を

    行っても、リーダーの質を高めることができないと

    いうことも、忘れてはならない重要な点です。

    将来に向けた即戦力になるリーダー

    (Ready-Now Leaders)

  • 14 Global Leadership Forecast 2014 | 2015 Japan

    リーダーの準備度

    リーダーの準備 日本の状況?

    リーダーの質と供給能力における各国の評価

    グローバルアイコンのあるデータはグローバルの結果を示しています。

  • 15 Global Leadership Forecast 2014 | 2015 Japan

    リーダーの準備不足が続く日本 なぜか? リーダーの準備度とは、現在のリーダーの質と、将来のリーダーの供給能力

    の両面を含めて、どれだけのリーダー供給源があるかを示しています。ま

    た、今回の調査では、この2つの側面について、リーダーの準備度が前回の

    グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト2011(2011年)からどう変化したか

    を検討しています。*

    世界中を国別に見てみると、極めて問題含みです。多くの国々において、リー

    ダーの準備度は向上していません。

    日本も例外ではありません。人事/人材開発担当者を対象とした調査から

    は、現在のリーダーの質は「低い」と認識されており、将来のリーダーの供給

    能力も「低い」と認識されていることがわかります。両方「低い」と回答したの

    は、日本を除けば、ブラジル、中国、マレーシアなどの新興国が中心です。も

    ちろん、質問への答え方には国民性が影響し、謙虚さが美徳とされている国

    では自己評価が厳しくなる傾向にあります。しかし、謙虚な国民性と考えられ

    ているタイでも、現在のリーダーの質と将来のリーダーの供給能力は共に「普

    通」と回答しています。したがって、国民性を考慮したとしても、日本のリーダ

    ーの準備度には、問題があることがわかります。

    日本企業が真摯に捉えなくてはならない問題は、この状況が2011年の調査

    からあまり変わっていないという点です。2011年時点でも2014年時点でも、リ

    ーダーの準備度が「低い」ということは、リーダーの育成に関して有効な手立

    てを講じてこなかったということを意味します。問題を先送りにした現状維持で

    は、ビジネスの推進力は低下してしまいます。

    リーダーの質が低いと回答している日本において、リーダー側は、「自社のリ

    ーダーシップ開発や学習機会の質」について、54%が平均的であると回答し、

    自分自身のリーダーシップについては、53%が社内の同僚と比べると平均的

    と回答しています。つまり、「平均的な能力開発を受け、平均的なリーダー」だ

    と認識しているのです。しかし、客観的に見ると、「質の高い能力開発は不足

    し、リーダーの準備度は低い」という結果になっています。

    平均的な能力開発を受けている日本のリーダーの問題は、将来に向けてビ

    ジネスを成功させるために、どのようなリーダーシップが期待されているのか

    を明確に認識できていないということです。この問題に対処するために、人事

    は、経営課題や将来のビジネス課題に焦点を当てた能力開発を行うことが重

    要です。

    Now What

    1. 将来の人材供給能力が低い日本においては、今

    後のビジネス課題に対処できるスキルを兼ね備え

    たリーダーを育成するプログラムの実施が必須で

    す。つまり、必要とされるスキルを備えたリーダー

    を育成するために、組織がリソースを投入するこ

    とを奨励・促進する施策を実施しなくてはなりませ

    ん。人事として、早急に取り組むべきことは、自社

    の将来のビジネス課題に重点を置いたリーダーシ

    ップ開発プログラムの実行です。従来のプログラ

    ムを継続している限り、リーダーの供給体制は改

    善されないでしょう。

    2. リーダーの質を高めるためには、能力開発プログ

    ラムや体験型学習の質を高めなくてはなりませ

    ん。能力開発プログラムの見直しと刷新、そして、

    実際のビジネス課題に効果的に対応できるように

    体験型学習を効果的に行う必要があります。実際

    に、能力開発で最も効果的だと思う手法として、リ

    ーダーは「能力開発を目的とした任務経験」「研

    修」「社外コーチやメンター」の3つを挙げていま

    す。

  • 16 Global Leadership Forecast 2014 | 2015 Japan

    リーダーの準備度

    重要な リーダーシップスキル 軽視されている重要なこと

    軽視されている最重要スキル

  • 17 Global Leadership Forecast 2014 | 2015 Japan

    リーダー自身が非常に優れている、

    優れていると回答したスキル

    必須スキルの選択と集中 今後3年間でリーダーが成功するために必要なスキルについて、次の2つ

    の側面から、人事/人材開発担当者に回答いただきました(左図参照)。1

    つ目は、「現在重点を置いている能力開発項目」、2つ目は「今後3年間で

    重点を置く能力開発項目」です。現在、重点を置く能力開発項目に挙げら

    れているスキルの多くは、将来必須となるスキルの重要度と強い相関関

    係が見られました(将来の必要性が低い場合は現在の注力の度合が低

    く、将来の必要性が高い場合は現在の注力の度合が高い)。しかし、日本

    の場合、グローバルと比べ、特徴的な傾向がいくつかあります。

    左図の4つの象限を参照すると、日本の場合、右下の象限、すなわち、現

    在は注力していないが、将来必須となるスキル3つに注目すべきです。し

    かし、残念なことに、日本の人事は、将来必須スキルと考えているにもか

    かわらず、また、前回の調査でも必須スキルとして挙げたにもかかわら

    ず、これらの必須スキルについて現在重点を置かず、依然としてそのスキ

    ルに焦点を当てた能力開発を行っていません。その結果として、日本のリ

    ーダーのスキルは向上せず、「将来性のある有能な人材を特定し、育成

    するスキル」と「変化を巧みに引き起こし、対応するスキル」が優れている

    と回答したリーダーは20%以下です。さらに深刻なのは、「国や文化を超え

    てプロジェクトやチームを率いる」のスキルが優れていると回答したリーダ

    ーは10%以下だということです。しかし、一方で、日本の人事/人材開発

    担当者は、上記のスキルよりも、将来必須ではないと回答した以下の3つ

    のスキルに現在、非常に重点を置いています。そのスキルとは、「他者を

    コーチし、育成するスキル」、「他者とコミュニケーションをとり、関係を築く

    スキル」「合意を形成し、コミットメントを取り付けるスキル」です。この結果

    から、これらのスキルについて、人事は、過度に重視しているか、あるい

    はリーダーシップの基本スキルであるとして逆に将来の重要度を過小評

    価しているために、将来重要なスキルには選ばなかったということが考え

    られます。

    CEOのビジネス課題の上位に挙げられている「イノベーション」も、注目す

    べきスキルです。競争の激しい市場で主導的な位置を確保するために

    は、「創造性や革新性(イノベーション)を促進するスキル」を備えたリーダ

    ーの存在は極めて重要です。しかし、このスキルについて現在優れている

    と回答した日本のリーダーはわずか19%(グローバルでは56%)で、グロー

    バルと大きく差が開いています。

    日本の人事は、「国や文化を超えてプロジェクトやチームを率いる」スキル

    は将来必須だと回答しているにもかかわらず、現在の開発の焦点としてい

    ません。このスキルに優れていると回答したリーダーは10%以下だという

    事実からも、このことは明らかです。日本企業は将来の成功に重要なスキ

    ルに焦点を移して投資していくことが必要です。組織は「イノベーション」や

    「国や文化を超えてプロジェクトやチームを率いる」というリーダーのスキ

    ル構築に投資する利点はあるでしょうか?答えは「イエス」です。これらの

    スキルの能力開発に焦点を当てている組織では、業績が上位20%の企業

    になる確率が3倍高くなることが明らかになっています。

    Now What

    1. リーダーが成功するために不可欠なスキルに特

    化した能力開発プログラムを設計しましょう。特に

    重要なスキルは、戦略的目標の達成に役立つス

    キルです。日本の人事は、今まで実施してきた能

    力開発を継続的に実行することに注力する傾向

    が強いです。能力開発プログラムの内容を、将来

    の必須スキルに大きく変えるタイミングを逃さない

    でください。すぐにでも現在の能力開発プログラム

    を見直すことが重要です。

    2. 特に多国籍企業は、異文化間の課題に対応し、

    世界的成長を推進することができるグローバルリ

    ーダーとしてのスキルを開発することに重点を置く

    必要があります。

    3. The Conference Boardの調査でCEOの課題の

    上位であるイノベーションの促進に寄与するの

    は、リーダーの行動です。そのため、リスクを恐れ

    ない姿勢、ネットワーク構築、新たなアイデアの創

    造といったスキルを備えたリーダーが必要です。

    残念なことに、日本のリーダーは、上記のスキル

    については、劣っていると回答しています。人事

    は、将来必須となるスキルの開発を後回しにせ

    ず、より選択的かつ集中して重要なスキル開発に

    取り組むことが求められています。

  • 18 Global Leadership Forecast 2014 | 2015 Japan

    HRの新たな役割

    進化し続ける人事 受動/反応型から先見型へ

    人事/人材開発担当者はどのようにビジネスに貢献していますか?

  • 19 Global Leadership Forecast 2014 | 2015 Japan

    戦略人事に変わるのは今! ビジネスは待ってくれない!

    ビジネスを成功させるために重要なことは、戦略と、それを実行する「人」です。

    そのためには、有能な人材の採用や登用、人材育成が、事業戦略の立案のプロ

    セスの中に組み込まれていなければなりません。

    日本でも、「管理型人事」から「戦略人事」への転換が求められています。しかし、

    ビジネスの変化のスピードに対して、人事の変化のスピードが追いついていない

    という現状もあるようです。今回の調査では、「人事が事業戦略プロセスと全く関

    連がない」または「間接的もしくは一貫性を欠いた形で関連がある」と回答した人

    事/人材開発担当者が、80%にものぼりました。

    日本の人事は、より早く戦略人事へと転換する必要があります。グローバルにお

    いても、20年以上にわたり人事の課題は、管理者あるいは「受動/反応型」から

    ビジネスパートナー、すなわち協働型に移行することでした。日本においても、

    54%の人事がビジネスパートナーを目指し、自らを協働型と回答しています。(左

    図参照)

    戦略人事を目指している日本の人事は、新たな役割である先見型を担う時で

    す。先見型は常に先を見越しています。ビジネスの状況を鑑み、将来の人材の

    ギャップを予測し、そのギャップを埋める取り組みに邁進します。このような先見

    型人事は、ビジネスの成功に必要となる将来の人材を明確にし、現状の人材に

    関する情報を基に戦略実行の可能性について経営に働きかけます。

    左図にあるように、日本の人事の21%は、自らを先見型と分類しています(グロ

    ーバルでは18%。

    右図は、先見型人事が協働型や受動型よりも、組織の戦略立案プロセスに関与

    する確率が格段に高いことを表しています。このような関与は組織にとって大き

    な利点があり、人事が戦略立案に早い段階で関与している組織は、関与するタ

    イミングが遅い、または関与していない組織に比べ、リーダーの人材供給能力が

    高くなる確率は3倍、業績が高くなる確率は6倍になります。

    日本の人事が先見型になるためには、事業戦略は勿論のこと、CEOが抱えてい

    る人材に関する課題を理解することが何よりも重要です。先見型人事は、過去の

    継続性を重視するのではなく、ビジネスの将来を考えたうえで、現状を変えていく

    ことを優先します。

    Now What

    1. 人事は、事業戦略立案の早い段階から積極的

    に関与する必要があります。一部の組織では、

    これを実践するために、事業目標に直結した将

    来の人材供給体制の強化を目指し、「戦略的人

    材計画」と呼ばれる取り組みを行っています。自

    社の事業戦略やビジネスの将来についての理

    解と洞察を深めるということが、「先見型人事」

    になるための第一歩です。人事は、人材の分析

    や人事データの取り方がビジネス課題と関連付

    けることができるか、見直しをする必要がありま

    す。そうすることによって、事業戦略やビジネス

    の変化と整合させて、より正確に人材ニーズの

    予測に必要となるデータが得られ、人材のギャ

    ップを埋めるために有効な手段を講じることが

    できるようになります。

    2. 人事がこれまで培ってきたスキルや知識は、今

    後通用しなくなる可能性があります。陳腐化を

    防ぐためには、常に新たなものを取り入れる努

    力が必要です。人材管理の役割は、過去30年

    の変化より、今後5年間の変化のほうが大きくな

    るはずです。

    戦略立案に最も関係する人事はどのタイプですか?

    グローバルアイコンのあるデータはグローバルの結果を示しています。

  • 20 Global Leadership Forecast 2014 | 2015 Japan

    HRの新たな役割

    リーダーシップ分析

    価値を生むビッグデータの活用法

    リーダーシップ分析の誤算

    グローバルアイコンのあるデータはグローバルの結果を示しています。

  • 21 Global Leadership Forecast 2014 | 2015 Japan

    未来につながるデータ活用 2014年にThe Conference Boardが実施した調査*によると、「ビッグデータ分

    析」はCEOにとって第1位の「関心事」でした。一方で、CEOの課題の上位であ

    る「人材」に対応するために、戦略的に分析を行うというCEOの回答は、22の

    項目中19位でした*。人材分野においては、分析から何が可能になるかを認

    識している経営陣は、ほとんどいないということです。言い換えれば、人事は

    経営に影響を与えるだけの分析を行ってこなかった、ということではないでし

    ょうか?

    人事が取り組んでいる分析と、その分析がビジネスに与える価値とのギャッ

    プを明らかにするために、リーダーシップ人材に関する人事のデータ活用の

    実態について調査しました。分析の実行頻度、分析のレベル、そして分析デ

    ータがどのように業績に関連しているかについて調べました。詳しい結果は、

    以下の通りです。

    人事が頻繁に行っている分析は、ビジネスに価値をもたらさないものが多くあ

    ります。左図がその違いを表しています。よく分析されている項目が左側に、

    あまり分析されていない項目が右側に示されています。皮肉なことに、右側

    の項目は業績と強い関連性があり(外部の財務指標を反映)、左側の項目は

    業績との関連性がほとんどありません。

    日本企業の4社に1社は、リーダーシッププログラムの効率性/反応の測定基

    準の収集をしていますが、これらは“低価値分析”と位置づけられている分野

    です。グローバル企業と比べ、日本企業では“高価値分析”の活用が効果的

    に行われていません。右図から分かるように、リーダーシッププログラムの結

    果の測定基準を収集し(グローバルでは24%)、データを使って将来の人材ニ

    ーズを予測しているのは(グローバルでは23%)、日本企業では5分の1以下

    です。リーダーシッププログラムのビジネスへの影響を測定する基準を収集

    しているのは日本企業の10分の1以下です(グローバルでは21%)。

    日本企業で特筆すべきは、約80%の人事が、将来のリーダーシップ施策を組

    織の長期ビジネス戦略に整合すること、または将来的なリーダー人材ニーズ

    をビジネス目標に鑑みて予測することをしていないと回答していることです。

    リーダーシッププログラムの事後アンケートの収集や社内ベンチマーキング

    のような日本の人事で多く行われているデータの使い方は、ビジネスに価値

    をもたらしません。

    ビジネスや業績に付加価値を提供するためにも、日本の人事は、ビジネスに

    影響を与えることができる項目を優先して分析することが求められています。

    * Mitchell, C., Ray, R.L., & van Ark, B. (January 2014), The Conference Board CEO

    Challenge® 2014: People and Performance, New York, The Conference Board,

    www.conference-board.org.

    Now What

    1. ビジネスの世界では、ビッグデータに懐疑的な見

    方をしている人が多いので、その状況を理解し、

    正しい知識を広めることが大切です。人事がビジ

    ネスに付加価値のある分析を組織に提供するた

    めには、今まで重視してこなかったデータを分析

    する仕組みとそのデータの検証、分析論理の活

    用といった取り組みを始めなくてはなりません。分

    析をする際には、ビッグデータを過大評価せず、

    より厳密かつビジネスに目を向けて現実的にデー

    タを取り扱っていくことが重要です。

    2. 何を目的にデータを収集し、分析するのかに焦点

    を絞ることが重要です。分析に対する経営陣やビ

    ジネス・パートナーの見解と人事の見解は一致し

    ているでしょうか? 人事にとって重要なデータを

    収集し活用することも必要ではありますが、これま

    で行ってきたデータ分析では、ビジネスに必要な

    洞察を得ることはできません。ビジネスに影響を

    与えるということを念頭に置いて、分析の優先順

    位を検討してください。

    3. 人事は、ビジネス中心の視点に立つことが求めら

    れています。人事がすべきことは、ビジネス戦略と

    人材戦略とを整合させ、将来に向けての人材の

    ギャップの予測を立て、経営に向けてそのビッグ

    データを活用して人事課題についての説明を行う

    ことです。そうすることによって、人事のビッグデー

    タやリーダーシップ分析を企業全体の運営に活用

    でき、組織の業績に反映させることが可能となり

    ます。

    分析を効果的に行っている企業の割合

    リーダーの能力開発プログラムの

    効率性/参加者の反応の測定基準の

    収集 26%

    リーダーの能力開発プログラムの結果

    の測定基準の収集 18%

    自社のビジネス目標に対し、将来必要と

    なるリーダー人材を予測するための

    データ活用 14%

    社内の他のリーダーとの

    ベンチマーキング 14%

    リーダーシッププログラムのビジネスへ

    の影響を測定する基準を収集 7%

  • 22 Global Leadership Forecast 2014 | 2015 Japan

    リーダーの能力向上に必要なこと

    ハイポテンシャル人材のジレンマ 誰?適正人数は?そして能力開発は?

    ハイポテンシャル人材のエンゲージメントと定着を最適化させる適切な割合

    グローバルアイコンのあるデータはグローバルの結果を示しています。

  • 23 Global Leadership Forecast 2014 | 2015 Japan

    ハイポテンシャル人材の育成は 民主主義では進まない ハイポテンシャル・リーダーを特定することは、非常に困難な作業です。さら

    に難しいのは、リーダーの潜在能力を引き出す能力開発が可能な環境を作

    り、そのリーダーを組織に定着させることです。

    左図は、ハイポテンシャル人材が多すぎる、または少なすぎる場合に組織が

    直面するジレンマを表しています。ハイポテンシャル人材が多い組織は、ハイ

    ポテンシャル人材が少ない組織に比べ、エンゲージメント・レベルや定着率が

    33%低く、一方、ハイポテンシャル人材が少なすぎる組織では、定着率とエン

    ゲージメント・レベルが低下するリスクがさらに大きくなります。

    調査に参加した日本企業の33%が、ハイポテンシャル・リーダーに関する具

    体的なプログラムや能力開発プログラムがあると回答し、19%のリーダーが、

    自らをハイポテンシャルとして認識しています。グローバルでは、ハイポテン

    シャル・リーダーのための具体的なプログラムや能力開発プログラムがある

    と66%の人事が回答し、25%のリーダーが自らをハイポテンシャルと認識して

    いますので、グローバルと比べ、日本はハイポテンシャル人材に関する取り

    組みでも遅れているようです。23%のリーダーが自社のハイポテンシャル・リ

    ーダープログラムは会社があまり支援していないと回答しており、約半数が

    そのようなプログラムは社内にないと回答しています。

    日本では、経営幹部がハイポテンシャル・リーダーの発見と育成に責任を負

    っていると、94%の人事が回答しています。しかし、ハイポテンシャル・リーダ

    ーのための特別なメンター・コーチングプログラムを持っているという回答

    は、半数以下になってしまいます(42%)。 日本の場合、ハイポテンシャル・

    リーダーを体系的に特定しプールし特別に育成するというよりも、経営幹部が

    属人的にハイポテンシャルリーダーを見極め、公式の育成は全員公平に民

    主的に行っていると考えられます。そのため日本では、リーダーの63%が自

    分をリーダーとして平均的またはそれ以下と回答しています。

    これも日本の特徴ですが、「12ヶ月以内に退職しようとしている」リーダーは、

    幸運にもたった5%(「当てはまる」/「やや当てはまる」)です。日本では一定

    年齢以上の人材市場の流動性が低いことや、年功序列・終身雇用の考え方

    がまだ根強くあるからでしょう。

    しかし、見方によっては、日本の組織には深刻な問題が潜んでいる可能性が

    あります。組織として、透明性の高い客観的なシステムでハイポテンシャル・

    リーダーを特定し、特別に育成することよりも、誰をも公平に育てるべきという

    考えを優先しているため、結果として、民主的な状況に安住しているリーダー

    が組織に定着し、民主的ということに不満を抱くハイポテンシャル・リーダー

    が、リーダーシップスキル開発の新たな機会を見つけて退職している可能性

    が危惧されます。

    「特別扱い」を避ける傾向がある日本では、「特別扱い」をするかどうかが、将

    来の組織力に差を生み出す可能性があります。

    Now What

    1. ハイポテンシャル・リーダーを特定するプロセスを

    再検討して、適切な人材を適切な数だけ確保でき

    るプロセスであるかを確認します。特に、日本にお

    いては、特定するプロセスを属人的ではなく、客

    観性の高いプロセスに構築し直します。そして、そ

    のプロセスを、透明化することが重要です。

    2. ハイポテンシャル・リーダーの育成プログラムは、

    質の高い人材特有のニーズに合致したものにす

    ることが、組織にとってもハイポテンシャル人材に

    とっても、得られる利点が大きくなります。ハイポ

    テンシャル・リーダーに、リーダーシップ能力開発

    の質に最も影響した能力開発施策を尋ねると、他

    の項目を大きく引き離してメンター制度を選択しま

    した。人事部門は、ハイポテンシャル・リーダー特

    有のニーズに対応する必要があります。

    ハイポテンシャルプログラム設計の 要素とその影響

  • 24 Global Leadership Forecast 2014 | 2015 Japan

    能力向上の阻害要因

    学習の最大の 阻害要因 業務のように研修を捉え、 研修のように業務を捉える

    学習の障害―リーダーの回答

    グローバルアイコンのあるデータはグローバルの結果を示しています。

  • 25 Global Leadership Forecast 2014 | 2015 Japan

    リーダーシップ能力開発の旅 迷走していませんか? 学習の効果を高めるにはどのようにすればよいでしょうか? 学習を妨げる

    要因とは何でしょうか? リーダーの能力開発が目指す目標は、リーダーの

    行動を持続的に改善し、行動変容することです。しかし学習方法によっては、

    この目標を達成するまでの道のりが長く、遠回りになってしまいます。そこで、

    今回の調査では、学習の最も大きな阻害要因について、リーダーに回答して

    いただきました。回答結果を公式的な学習(トレーニング・コース、診断アセス

    メント、書籍/記事など)とOJT型学習(他の社員のシャドウイング、ネットワー

    キング、能力開発を目的とした任務、特別プロジェクトなど)で比較したとこ

    ろ、驚くべきパターンが判明しました。学習の阻害要因は、公式的な学習と

    OJT型学習とで共通したものではなく、むしろ相反することが明らかになりまし

    た。OJT型学習で、能力開発を最も妨げている要因は、学習後の直属上司か

    らのフィードバックの質が低いことでした。しかし、公式的な学習の阻害要因

    にはなっていません。

    左図は、この相反するパターンを明確に示しており、リーダーが回答した6つ

    の学習の阻害要因を挙げています。一方の学習方法にとって有効な項目は、

    他方の学習方法にはほとんど該当していません。ただし、このパターンから、

    より学習効果が期待できる方法も見えてきます。組織は、仕事に関連付けて

    学習を提供することの重要性を認識しているため、OJT型学習ではほとんど

    阻害要因になっていません。また、直属上司からのフィードバックで学習体験

    を強化する方法についても理解しており、これは公式的な学習ではほとんど

    阻害要因になっていません。つまり、仕事への関連性と学習後の上司から受

    けるサポートの両方を満たすために必要なツール、プロセス、情報の使い方

    を組織は有していることになります。

    日本のリーダーが研修などの公式的な学習の最大阻害要因として挙げたも

    のは、学習を仕事に活かすことでした。同様に、OJT学習の最大阻害要因とし

    て挙がったのは、学習後の上司からのフィードバックとコーチングが有効に行

    われなかったことです。両方の学習においては、「学習したことを実務に活用

    する義務が問われない」というのは最大の阻害要因で、次は「個人的な能力

    開発ニーズへのつながりが弱い」ということでした。学習したことを実務に活

    用する義務がなく、学習が個人的なニーズに合致していなければ、当然学習

    を実務に適用する意欲は生まれず、投資は無駄になってしまいます。したが

    って、どの場合でも学習を実務に活用することを義務づけ意欲を高め、学習

    を個人的なニーズに合致させることが重要です。

    それに加え、3分の2の日本企業では、公式的な学習が単発の取り組みであ

    り、OJTともうまく組み合わされていません。公式的な学習をOJT型学習とうま

    く組み合わせて継続的な学習の場を作り、各学習手法の阻害要因を克服し、

    職場での実践を増やすことが大切です。

    Now What

    1. ビジネス課題に直結するテーマを能力開発の中

    心に据えるためには、まず、組織の戦略やビジネ

    ス課題に常に注意を払う必要があります。公式的

    な学習の場合、組織の戦略の変化によって、学習

    の重点項目やリーダーに対する学習の位置付け

    をどのように変える必要があるのかを、絶えず考

    慮してください。リーダーが自主的に関連性を見

    出し、勝手な期待を抱いてはいけません。学習者

    と直属の上司の両方が、これらの関連性を明確

    にし、その認識が欠けている場合は迅速に是正し

    ます。

    2. 能力開発テーマをビジネス課題に直結させたら、

    リーダーが公式的な学習で学んだことを実践でき

    るように、OJT型学習を支援する仕組みを構築し

    ます。そのためには、上司が業務やビジネスニー

    ズを学んだことに結び付けて補完することが大切

    です。公式学習後、学んだことを行動変容につな

    げるために支援することに対して、上司にアカウ

    ンタビリティを課すようにします。

    3. OJT型学習、および公式的な学習を単発のイベン

    トと見なすのをやめ、またそのようなリーダーの認

    識を改める必要があります。これらの学習を総合

    的なラーニング・ジャーニーの一環と捉え、公式的

    な学習を活用してOJT型学習の枠組みを構築し

    計画を立て、非公式な学習体験を強化すること

    で、学習をリーダーの持続的な行動変容へとうま

    く転換してください。

    「御社のリーダーの能力開発のアプローチを

    一言で言うと、どのような言葉になりますか?」

    という質問へのリーダーの回答

    (文字の大きさは回答数と比例しています)

    グローバルアイコンのあるデータはグローバルの結果を示しています。

  • 26 Global Leadership Forecast 2014 | 2015 Japan

    適切な施策の実行による組織への影響

    パイプラインの実現は夢か? 悪夢の回避

    人材供給能力に影響を与えるタレントマネジメント施策

    グローバルアイコンのあるデータはグローバルの結果を示しています。

  • 27 Global Leadership Forecast 2014 | 2015 Japan

    タレントマネジメントの成功の秘訣 絵に描いた餅ではありませんか? 日本企業の特徴は、グローバルと比べて、社内の人材をリーダーに登用

    する割合が極めて高いということです。80%の日本企業が、社内からリー

    ダーを登用していると回答していますが、これはグローバル(65%)と比べ

    て非常に高い数字です。本調査では、社内昇進の割合が多い企業は、リ

    ーダーの供給能力と業績が共に高い(業績が高くなる確率は3倍)という結

    果が出ていますので、日本企業には良い知らせです。

    有能なリーダー候補を十分に確保することが組織の目標であるとすれば、

    この状態を作り、継続させることがタレントマネジメントの目的です。つま

    り、「変化の激しいビジネス状況下にあっても、業績を出すことができる人

    材」を常に輩出し続けることができる仕組みであり、結果として、ビジネス

    インパクトを高めるということです。

    左図を参照してください。この図には、タレントマネジメントに関する重要な

    施策が紹介されています。中心にある木の左側の要素ですが、これらの

    施策が実行されなければ、「重要な役職を社内の人材で供給できる」とい

    う指標にマイナスの影響を及ぼします。もし、これらの施策を実行しなかっ

    た場合、「重要な役職を社内の人材で供給できる」という指標がどのくらい

    下がるかが示されています。日本の場合、この必要条件の中でも、「重要

    な管理職および経営職に求められるコンピテンシーを明確に定義してい

    る」と回答した人事は、半数以下(46%)でした。そして、「リーダー人材管

    理関連の様々な仕組み(採用、教育、業績管理など)は、コンピテンシーを

    基盤に設計されている」という回答は、より少ない42%でした。日本企業

    は、リーダーのコンピテンシーの整備、各コンピテンシーの幅広い活用を

    検討することが、タレントマネジメントを成功させるうえで必要になります。

    木の右側の施策は、実行することで「重要な役職を社内の人材で供給で

    きる」という指標にプラスの影響を及ぼすものです。これらの施策を実行し

    た組織は、他社よりも人材供給能力を大幅に高めることができます(葉に

    記載された割合を参照してください)。日本の場合、「将来の事業を成功さ

    せるために必要なリーダーの質を見極めるための体系的なプロセスがあ

    る」という質問に対し、4分の3以上の人事は「ない」と回答しています。ま

    た、「昇進昇格をした管理職や経営職が新たな役割に円滑に移行できる

    ようにするための効果的なプログラムがある」という質問についても、80%

    もの人事は「ない」と回答しています。さらに、残念なことに、「質の高い効

    果的な能力開発計画がある」ということについては、80%の人事が「ない」

    と回答しました。

    日本のタレントマネジメントの現状は、このままでは、絵に描いた餅になっ

    てしまう心配があります。

    Now What

    1. まず最初にすべきことは、左図のタレントマネジメ

    ント施策の中でも、木の左側にある施策から実行

    します。重要な管理職および経営職のポジション

    に求められるコンピテンシーを明確に定義するこ

    とが、最優先です。そして、コンピテンシーを基盤

    にして、採用、トレーニング、業績管理や後継者育

    成などを設計します。

    2. 必要条件に関する施策が定着し、効果的に運用

    できるようになったら、木の右側にある施策を実

    行し、組織の差別化を図ります。将来に向けての

    施策は、組織の人材供給体制の強化と密接に繋

    がります。

    3. タレントマネジメントの施策を定期的に見直し、

    各々の取り組みが一貫性をもって実施されている

    ことを確認してください。特に、実施効果が大きい

    にもかかわらず、実施されていない施策に重点を

    置いてください。重点を置くべき施策は、次のリー

    ダー階層へ円滑に移行できるプログラムの導入

    (適切に導入している組織は21%)、質の高い能

    力開発計画の立案(20%)、能力開発計画の定期

    的な見直し(45%)の3つです。

    人事/人材開発担当者が当てはまると回答した割合

    リーダーの業績への期待は会社の事業戦

    略に関連づけられている 74%

    リーダーは重要なスキルを実践し、上司か

    らフィードバックを受けている 56%

    重要な管理職および経営職のポジションに

    求められるコンピテンシーを、明確に定義し

    ている 46%

    リーダーは上司と定期的に能力開発計画の

    見直しを行っている 45%

    リーダー人材管理関連の様々な仕組みは、

    コンピテンシーを基盤にして設計されている 42%

    将来の経営や事業を成功に導く上で必要な

    リーダーの質と量を見極める体系的なプロ

    セスがある 23%

    階層をまたがる昇進昇格を果たした管理職

    や経営職が新たな役割に円滑に移行できる

    ようにするための効果的なプログラムがあ

    21%

    リーダーは、質の高い効果的な能力開発計

    画を自身で定めている 20%

  • 28 Global Leadership Forecast 2014 | 2015 Japan

    結論

    将来の業績は予測できる 優れたリーダーが企業価値を 創り出す

    あなたの会社の製品やサービスに、市場は大きな価値を見出していますか? VUCAの時代、企業が勝ち続けるにはどうしたらいいの

    でしょうか? その鍵を握っているのは、現在と将来のリーダーであることは疑いの余地がありません。

    あらゆる業種、そして、あらゆる規模の日本企業が直面している課題は、先が読めないVUCAの中で組織の価値を維持・向上させるこ

    とです。その中でも、経営陣が最も頭を悩ませていることは、新たな課題に挑戦し、イノベーションを起こせるリーダー人材が、果たして

    どれほどいるのか、ということです。VUCA時代にリーダーに求められることは、従来の日本のリーダーに求められてきた「事業の一機

    能を効率的に回し、小さな改善を積み重ねていく」ということを遙かに超えています。

    今、人事が問われていることは、2つです。1つは、人事自らが新たな価値を組織に提供できるように変わること。そして、行き詰っている

    人材に関するリーダーシップ能力開発施策に革命を起こすことです。これは、経営層から預けられた重大な経営課題でもあります。ここ

    に「今」から取り組めるかどうかが、5年後のあなたの会社の「リーダーの質と量」、そして「業績や企業価値」に対して多大な影響を及ぼ

    すことになります。

    2011年のリーダーシップ能力開発施策の効果

    グローバルアイコンのあるデータはグローバルの結果を示しています。

  • 29 Global Leadership Forecast 2014 | 2015 Japan

    実際、今回の調査では、リーダーシップ能力開発プログラムの質が高い組織は、プログラムの質が低い組織に比べ、リーダーシップの

    質と人材供給体制が8.8倍優れていました。つまり、有効なリーダーシップ能力開発プログラムを構築できれば、それが強力な推進要素

    となり、現在だけでなく将来的にもリーダーの質を高めることができるのです。そして、それは、リーダーのエンゲージメント・レベルと組

    織への定着率を高めるというメリットがあります。結論として言えることは、リーダーの質から業績を予測することは可能であるということ

    です。リーダーの質が高い組織は、全体の中で業績上位20%に含まれている数が6倍にのぼります。

    こうした関連性からわかるように、タレントマネジメントとリーダーシップ能力開発の施策は、将来の業績に大きな影響を与えているので

    す。

    ! Now What

    1. 投資対効果を考慮し、優先されるべき質の高いリーダーシップ能力開発を確立、又は強化しましょう。リーダー育成のための総合的な戦略なくしては、リーダーの質、人材供給能力、リーダーのエンゲージメントや定着率を改善し、それに伴う業績向上を達成することはできません。

    2. リーダーに影響を与える重要な経験に焦点を置いて、現在のタレントマネジメントプログラムの有効性を測定しましょう。リーダーのエンゲージメント・レベルが高まり、能力が開発され、リーダーとしての力と自信がつけばつくほど、業績の向上に貢献できるようになります。

    3. 過去の傾向と将来の人材ニーズを把握し続けるために、分析を活用しましょう。そうすることで、何に注力すべきかが明確になり、タレントマネジメント施策の最適化の方法を特定することができます。将来の成果を予測するためには、適切なデータを追跡し、その意味を読み取り、対策を取ることが重要です。

  • 30 Global Leadership Forecast 2014 | 2015 Japan

    リーダーシップ施策実施状況スコアボード―1,500以上の組織において、最も重要なこと?

    下記は、3つのカテゴリーに関連する20のリーダーシップ施策について、人事/人材開発担当者の回答結果を示した表です。

    各施策について、自社で実施されているか否か、また、これらの施策が本調査で論じられている「質の高い能力開発」「リーダーの経験(エンゲージメントと定着)」「リーダーの質(現在と3年後)」、および「組織の業績」に与えた影響が示されています。

  • 31 Global Leadership Forecast 2014 | 2015 Japan

    組織的要素スコアボード―1,500以上の組織において、最も重要なこと

    下記の表は、組織的要素が本調査で論じられている「質の高い能力開発」「リーダーの経験(エンゲージメントと定着)」「リーダーの質(現在と3年後)」、および前年度の「組織の業績」に与えた影響を示しています。今回取り上げた要素は様々なリーダーシップやタレントマネジメント施策なしでは効果が得えられないため、これらの要素への効果的な取り組みは、他の施策より大きな影響を与えます。

    人事のベンチマーク 今回調査にご協力をいただいた組織の人事担当者に、自社の人員構成、離職率や成功率に関する情報の提供を依頼しました。下記の図は、世界中から参加した組織の基準を示しています。縦棒は、人事担当者から得た回答結果の範囲(10~90パーセンタイルの範囲)を表しています。青の丸印は、全組織の中央値、緑の星印は、上位の組織群(リーダーの質がもっとも高く、リーダー人材の供給体制を整えた組織)の平均的な回答を示しています。

  • 32 Global Leadership Forecast 2014 | 2015 Japan

    付録

    回答者の属性 組織の属性

    業界 11% 電子/電気機器・部品

    11% 金融

    7% 化学

    6% コンピュータ・ソフトウエア

    5% 小売

    4% ビジネスサービス

    4% 一般消費財製造

    4% 食品

    4% 輸送、運送

    4% 技術(テクノロジー)

    3% 医療

    3% 保険

    3% 製薬

    35% その他(回答企業3%以下の業界)

    従業員数 17% 1–200名

    17% 201–500名

    14% 501–1,000名

    28% 1,001–5,000名

    5% 5,001–10,000名

    6% 10,001–20,000名

    9% 20,001–50,000名

    5% 50,001名以上

    グローバル市場における展開 54% 国内企業

    46% 多国籍企業(多国に事業所、事業展開、あるいは業務提携のある企業)

  • 33 Global Leadership Forecast 2014 | 2015 Japan

    リーダーの属性

    階層 33% 初級管理職

    47% 中級管理職

    19% 上級管理職

    2% 経営職

    勤続年数 3% 1年未満

    12% 1–5年

    14% 6–10 年

    11% 11–15年

    60% 15年以上

    ハイポテンシャル人材 19% はい

    81% いいえ

    世代 3% 新世紀世代

    80% X世代

    17% ベビーブーム世代

    年齢 1%未満 25歳未満

    7% 26–35歳

    46% 36–45歳

    41% 46–55歳

    5% 56–60歳

    1% 60歳以上

    性別 92% 男性

    8% 女性

  • 34 Global Leadership Forecast 2014 | 2015 Japan

    DDIの応用行動研究センター(CABER)について Global Leadership Forecast 2014|2015は、DDIの応用行動研究センター(CABER)が継続的に実施している調

    査研究の一環です。CABERは、DDIが科学的根拠に基づくマネジメントの概念や手法を提供するための調査

    研究の中心的機関です。CABERの出版物は、リーダーの能力開発、後継者管理および人材の採用など、現在

    と将来のタレントマネジメント関する調査に基づいた実用的な洞察を提供しています。

    また、CABERは、DDIの顧客企業と共同で分析調査の実施や支援を行い、タレントマネジメント施策のベンチマ

    ーク、効果測定、評価や予測を行い、事業目標に整合した人材の供給体制の向上を目指し、人材施策の最適

    化を図ります。CABERが実施している調査研究の内容と結果については、www.ddiworld.com.をご覧ください。

    Development Dimensions International(DDI)について Who We Are:Development Dimensions International(DDI)は、世界最大手のタレントマネジメントコンサルティ

    ング企業です。この分野の先駆者として45年前に設立以来、常に革新的な企業として業務を展開しています。

    What We Do:リーダーや社員の採用、昇進昇格、能力開発手法に変革をもたらす支援を提供します。その結

    果、社員が事業戦略を理解し、推進、実行し、困難な課題に対処可能になります。

    How We Do It:DDIの能力開発が効果的に行われると、社内に優れたリーダーが育ち、採用した社員は飛躍

    的に活躍し始めます。DDIは、自社で展開可能な企業特有のニーズに合わせたトレーニングや診断方法の開

    発や、組織が大きな変革を推進するための支援を行っています。DDIは常に、長年にわたる実績と科学的根拠

    に基づいた最新の手法を駆使しています。

    Who We Do It With:DDIのお客様は、フォーチュン500に名を連ねる世界有数の多国籍企業や、ドイツからイ

    ンドに至るまで、様々な都市で、多角的事業を展開しています。DDIは、42ヶ所の事業所や提携先を通してサー

    ビスを提供しています。日本では株式会社マネジメントサービスセンター(MSC)がDDIのサービスを提供してい

    ます。

    The Conference Boardについて The Conference Boardは、独立した事業団体で構成する、非営利のグローバルな民間調査機関です。The Conference

    Boardは、世界をリードする組織に、業績向上に必要な実用的な知識を提供するという独自のミッションを掲げています。

    1916年に設立されたThe Conference Boardは、会員企業向けに、昨今の最重要課題やその対応に役立つ経済指標とビジ

    ネス情報を、客観的な独立した機関として発表しています。

    当機関では、調査を実施し、ビジネスリーダー向けに様々な規模の会議を開催しています。また、調査のテーマや会議の

    議題に幅広いネットワークから得られた洞察を反映し、今日の重要課題に焦点を当てた活動を展開しています。

    The Conference Boardは、経済およびビジネス環境、人的資本、そして企業におけるリーダーシップ、という3つの主要なテ

    ーマの下に活動を行っています。そこで生み出される独自の経営的視点は、ビジネスリーダーが将来を予測し、今日のビ

    ジネス課題に対応し、戦略上の正しい判断をするために役立っています

    http://www.ddiworld.com/

  • 35 Global Leadership Forecast 2014 | 2015 Japan

    著者紹介 エバン・サイナー, Ph.D. DDIの応用行動研究センター(CABER)チーフ・サイエンティスト兼ディレクター。

    CABARは、人材管理・開発プログラムの包括的な分析評価を実施し、その効果の測定と事業戦略との整

    合性を高める機会の予測を行う。人材管理・開発の戦略と施策に関する、現代の規範的なソートリーダー

    シップを発揮。リーダーの能力開発、人材管理・開発の分析、データの視覚化、世代間の差異、ソーシャ

    ル・メディア、採用試験といったテーマについて、DDIにおける思想的リーダーとして活躍。また、米国産

    業・組織心理学会の理事を務め、専門家向けの会議でも頻繁に講演を実施。『Chief Learning Officer』、

    『Journal of Applied Psychology』、『Personnel Psychology』、その他多数の出版物を発表。

    リチャード・ S・ウエリンズ, Ph.D. DDIのシニア・バイス・プレジデント。DDIの新製品および新サービスの

    上市、DDIの応用行動研究センター(CABER)およびDDIの主要な調査プロジェクト、グローバル・マーケ

    ティング戦略の策定を担当。リーダーの能力開発、社員のエンゲージメント、および人材管理・開発の専門

    家として、40以上の刊行物に寄稿し、『Empowered Teams』、『Inside Teams』、『Reengineering’s

    Missing Ingredient.』など6冊の書籍を執筆。世界中の専門家会議で100回以上の講演を実施。CNBCの

    Asia BusinessLeaders Awardの審査員。『The Wall Street Journal,』、『BusinessWeek』、Forbes.com、

    『USA Today』およびその他多数の国際的な刊行物やNational Public Radioに寄稿。

    レベッカ・レイ, Ph.D. Knowledge Organizationのエグゼクティブ・バイス・プレジデントならびにカンファレ

    ンス・ボードの人的資本分野の責任者。3つの分野(企業におけるリーダーシップ、経済およびビジネス環

    境、人的資本)の調査計画と宣伝活動を監督。調査課題の策定に責任を負い、カンファレンス・ボードの事

    業計画プロセスを推進。また、カンファレンス・ボードの調査およびエンゲージメント活動の全体的な品質と

    継続的な統合の責任者。多数の記事や書籍を執筆。『Measuring Leadership Development』

    (McGraw-Hill)や『Measuring Employee Engagement』(ATD)を共同執筆。

    エイミー・ルイ・アベル, Ph.D. カンファレンス・ボードの人的資本分野のマネージング・ディレクター。また、

    人的資本の分析、リーダーの能力開発、労働市場、戦略的な社員計画、人材管理・開発、多様性と一体

    性、人事、社員のエンゲージメントに焦点を当てた調査活動のリーダー。『People & Strategy Journal』、

    『The SAGE Handbook of Workplace Learning』、『Human Resource Development Quarterly,』、およ

    びATDの雑誌『T+D(Training and Development)』に寄稿。

    ステファニー・ニール, Ph.D. DDIの応用行動研究センター(CABER)の研究員。職場におけるリーダーシ

    ップと人材に関する評価研究と調査を実施。また、多岐にわたる顧客企業と共同で、分析プロジェクトを設

    計、実施し、診断プログラム、および能力開発プログラムによる個人の行動変容や組織の事業目標に与え

    る影響について研究・発表。

  • 36 Global Leadership Forecast 2014 | 2015 Japan

    日本の著者紹介 伊東 朋子 株式会社マネジメントサービスセンター、執行役員 / DDI事業部 事業部長。

    国内企業および国際企業のタレント マネジメントに関するコンサルティングに従事するとともに、執行役員 DDI

    事業部 事業部長を務める。タレント マネジメントの中でも、特に中間管理職から経営幹部レベルのリーダーを

    対象とした人材の発掘、能力開発プログラムの設計に取り組む。2012年から、DDI社との関係を強化し、グロー

    バル タレント マネジメントのプロジェクトを推進している。社外・社内からの人材の採用のためのシステムの設

    計、コンピテンシー モデルの設計、アセスメントテクノロジーを用いたハイ ポテンシャル人材の特定や自社の

    グローバル化の強化にも取り組む。著書「大転換する人材マネジメント」(東洋経済)他。

    宮田 丈裕 株式会社アセットケア代表取締役社長、HRデベロップメント・コンサルタント。

    専門はイノベーション、組織文化、インタビューアセスメント、アセスメント統計分析、ファイナンスと幅広く、独自

    の洞察から日本企業の経営戦略と人材育成のあり方を提言している。慶應義塾大学、英国ウォリック大学MBA

    卒業。戦略コンサルティング・ファーム等を経て、㈱アセットケア設立後、MSC/DDIの緊密なパートナーとして

    数々のプロジェクトの責任を担う。著書・訳書にはノヴァック他「トレーラーハウスから巨大企業の社長になった、

    幸運な私」(翻訳、2008年)等の4冊。

  • 37 Global Leadership Forecast 2014 | 2015 Japan

    グローバル・スポンサー Association for Talent Development

    Association for Talent Development(ATD、旧ASTD)は、

    人材の能力開発に携わる専門家を会員とする世界最大

    級の会員制組織です。会員は、お互いの知識、スキル、

    能力を活用したり、潜在能力を十分に発揮できるよう支援します。ATDの会

    員は、120か国以上の人々で構成され、あらゆる業種の公的機関や民間団

    体に勤務しています。ATDは、世界各地の125以上の支部、国際的な戦略

    上のパートナー、および世界規模のメンバー・ネットワークで専門家の業務

    を支援しています。詳しくは、www.astd.orgをご覧ください

    Berlitz

    ベルリッツは、135年以上の歴史を誇る、世界最大手の

    語学サービス提供企業です。70か国以上の500を超え

    る拠点で、語学サービス、コミュニケーション、異文化コ

    ンサルティング、およびグローバル・リーダー向け能力開発の総合的なサ

    ービスを対面式、バーチャル、さらには両方を融合するなど複数の方法で

    提供しています。詳しくは、www.berlitz.usをご覧ください。

    Gutemberg Consultores

    GutembergConsultoresは、人財とは人財であって、単な

    る人材ではないと考えています。GutembergConsultores

    は、顧客合わせたサービスを専門分野に特化したコン

    サルタンチームが提供します。コンサルタントは、必要な

    資格を有し、英語とスペイン語に長け、ブラジルやその他の地域で優れた

    業務実績を残しています。詳しくは、www.gutemberg.com.brをご覧くださ

    い。

    HR.com

    HR.comは、人事の専門家向けとしては最大のオンライン・

    コミュニティです。ここでは、自らの専門知識を共有し、業界

    の専門家から学び、24万人以上の人事の専門家と人脈を

    形成して貴重な資源を活用できます。HR.comでは、認定や再認定に利用

    できるEラーニングの単位(制限なし)、合格を保証するPHR/SPHR試験の

    準備コース、個人の卓越性を高めるアプリ、様々なテーマを網羅する毎月

    のオンラインニュース、およびグローバル・リーダー向けのプログラムを提

    供しています。詳しくは、www.HR.comをご覧ください。

    HRoot

    HRootは、中国の大手人事関連メディア兼インターネット企

    業です。同社のブランドとサービスにはwww.HRoot.com、

    雑誌『Human Capital Management』、『Overclass』、『Society for HR

    Executives』などがあります。毎年2万人以上の参加者が、HRootのオフライ

    ン・イベントに参加し、雑誌の購読者は3万人に上ります。現在2万社を超え

    る顧客にサービスを提供していますが、フォーチュン500にランクインしてい

    る中国企業の95%以上が同社の顧客です。詳しくは、www.HRoot.comをご

    覧ください。

    Institute of Executive Development

    Institute of Executive Development (IED)のミッション

    は、エグゼクティブ向け能力開発にイノベーションを

    起こすことです。IEDは、企業幹部、取締役会、人材開発・管理の専門家の

    ベンチマーク調査、戦略の策定、および効果の高いエグゼクティブ向け能

    力開発サービスの創造を支援します。詳しくは、www.execsight.com.をご覧

    ください。

    Mexican Association for Human Resources Direction

    Mexican Association for Human. Resources Direction

    (AMEDIRH)は、1947年の設立当初からメンバー数を

    著しく増やしており、提供するサービスの数や米国およ

    びカナダの提携先も大きく拡大させています。メンバー組織から参加してい

    る12,500人以上の人事部門の経営幹部とはパートナー関係にあります。

    AMEDIRHのミッションは、これらの経営幹部の能力開発を推進し、成長に

    関する目標を達成できるよう支援することです。詳しくは、

    www.amedirh.com.mx.をご覧ください。

    People Matters

    People Mattersは、インドを代表する人事関連の知識とメデ

    ィアプラットフォームの企業です。People Mattersの印刷、オ

    ンライン、デジタル、およびイベントでは、多くの人事および

    ビジネスステークホルダーに、情報、ベスト・プラクティス、トレンド、および

    業界のニュースを提供しています。People Mattersは4年という短期間で、イ

    ンドで人事業界の知識の唯一の照会先として台頭しました。詳しくは、

    www.peoplematters.inをご覧ください。

    The Next Step

    The Next Stepは、1998年からオーストラリアの人事市場で専

    門的なコンサルティング事業を展開しています。The Next

    Stepは、検索、募集広告、人材契約、および暫定的な人事管

    理など人材採用のあらゆる分野に対応しています。詳しくは、

    www.thenextstep.com.au.をご覧ください。

    http://www.astd.org/http://www.berlitz.us/http://www.gutemberg.com.br/http://www.hr.com/http://www.hroot.com/http://www.hroot.com/http://www.execsight.com/http://www.amedirh.com.mx/http://www.peoplematters.in/http://www.thenextstep.com.au/

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