データ アナリティクスの 成熟モデルとビジネス イ …...business intelligence...

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機密事項、開示禁止、本文書には秘匿性の高い情報が含まれます。本文書の意図された受領者でない者、本文書を意図され た受領者に引き渡す義務を負う従業員またはその代理人は、本文書を流布、配布、複写することを固く禁じます。 ホワイト ペーパー データ & アナリティクスの 成熟モデルとビジネス インパクト 2016 8 23 Keystone Strategy ボストン、ニューヨーク、サンフランシスコ、シアトル www.keystonestrategy.com

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機密事項、開示禁止、本文書には秘匿性の高い情報が含まれます。本文書の意図された受領者でない者、本文書を意図され

た受領者に引き渡す義務を負う従業員またはその代理人は、本文書を流布、配布、複写することを固く禁じます。

ホワイト ペーパー

データ & アナリティクスの

成熟モデルとビジネス インパクト

2016 年 8 月 23 日

Keystone Strategy ボストン、ニューヨーク、サンフランシスコ、シアトル

www.keystonestrategy.com

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た受領者に引き渡す義務を負う従業員またはその代理人は、本文書を流布、配布、複写することを固く禁じます。

目次

1. 要旨 ............................................................................................................................................... 3 2. 方法論 ............................................................................................................................................ 4 3. データ & アナリティクスの成熟モデルとビジネス インパクト ..................................................................... 5

A. データ 利活用が推進するビジネス パフォーマンス ............................................................................... 5

B. 戦略的資産としてのデータ (DaaS : Data as a Strategic ) .................................................................... 6

C. データ利活用により可能となるビジネス オペレーション........................................................................ 8

1. セールスおよびマーケティング .................................................................................................... 9 2. エンジニアリングおよび操業 ....................................................................................................... 9 3. リスクおよび不正 .................................................................................................................... 10 4. 金融、人事、バック オフィス .................................................................................................... 11

4. データ & アナリティクスの変革 ......................................................................................................... 11 A. 業界のリーディングカンパニーと遅れている企業のデータ プラットフォームの比較 ................................... 11

B. データ & アナリティクスの道のり .................................................................................................. 13

5. ロードマップ計画のガイドとしてのデータ & アナリティクスの成熟指数モデル ............................................. 16 A. データ & アナリティクスの成熟度モデルの概要 ................................................................................. 16

B. データ プラットフォームの製品分野ごとの成熟度 .............................................................................. 16

6. 付録: データ アナリティクスの成熟度モデルの事例 ............................................................................... 19 A. オンライン家具小売り企業 ............................................................................................................ 19

1. Company Overview ............................................................................................................... 19 2. Business Use Cases and Data Pipeline ...................................................................................... 19 3. データ利活用レベルの習熟度に対する評価 .................................................................................... 20 4. 将来のプラン .......................................................................................................................... 21

B. Industrial Conglomerate ............................................................................................................. 21

1. Company Overview ............................................................................................................... 21 2. ビジネスでの使用用途およびData Platform Roadmap ................................................................... 22 3. データ利活用レベルの習熟度に対する評価 .................................................................................... 22 4. 将来のプラン .......................................................................................................................... 23

C. 損害保険会社 .............................................................................................................................. 24

1. Company Overview ............................................................................................................... 24 2. ビジネスでの使用用途およびData Platform Roadmap ................................................................... 24 3. データ利活用レベルの習熟度に対する評価 .................................................................................... 24 4. 将来のプラン .......................................................................................................................... 26

D. 玩具メーカー .............................................................................................................................. 26

1. Company Overview ............................................................................................................... 26 2. ビジネスでの使用用途およびData Platform Roadmap ................................................................... 26 3. データ利活用レベルの習熟度に対する評価 .................................................................................... 27 4. 将来のプラン .......................................................................................................................... 28

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1. 要旨

現代企業にとっての「Big Data」の重要性は、メディアを大きく賑わせてきました。ビジネス リーダーやテクノロジ アナリスト、メディアや投資業界の関係者によって、データがビジネスや仕事、社会のあり方をいかに変えつつあるかが議論されてきました。データはまさしく「資本や労働力と同程度の価値を持つビジネスの新たな原動力」のさきがけであると考えられてきました。1

データ、ビジネス インテリジェンス、およびアナリティクスがビジネスにどのような影響をもたらしたかが議論される中、特にデータそれ自身および分析から得られたインサイトがもたらす具体的な利益について、論争の的となってきました。では、IT に巨額の予算を投じれば、より高いビジネス パフォーマンスが発揮されるのでしょうか?超巨大インターネット企業では、往々にして自社のビジネス モデルの中核をビッグデータや数百万もの接続されたデバイス、洗練されたソフトウェア プラットフォームやアルゴリズムに依存していますが、一般の企業も同じ手法でデータの潜在能力を解き放つことは可能なのでしょうか?従来の製造、消費者向けパッケージ製品、金融サービス、小売りなどの業界におけるデータとは、各企業にとってどのような具体的なビジネスの価値を持つのでしょうか?

本ホワイトペーパーでは、データ & アナリティクス技術とビジネス パフォーマンスの関係を、大企業による大規模な実証的研究に基づいて調査しています。Keystone Strategy ではデータがビジネス パフォーマンスに与える影響を定量化するため、対象となる企業が自社のデータおよびデータ プラットフォームを活用し、実施できる能力を格付けするデータ & アナリティクス成熟指数のインデックスとして示しました。企業の順位付けはおのおのの事業で展開してきた能力に基づいて実施されており、これまでの業績の観点から比較対照が行われています。本研究では、洗練されたデータ & アナリティクスの能力を持つ企業が、優れたビジネス パフォーマンスも兼ね備えているかどうかが評価されています。

結果は驚くべきものでした。調査では、データ & アナリティクス技術はこれらの企業にとって非常に重要であることが明らかとなりました。最新のデータ能力を実現した企業は、収益性の面でも従業員の生産性の面でも同業他社より優れていることが認められました。最も洗練されたデータ & アナリティクス プラットフォームを開発した企業は、これらの能力を通常の業務に適応した結果、立ち遅れている組織よりも営業利益率が 8% も高いことがわかりました。これは、企業の規模や業種などの要素を制御したサンプルで換算すると、最先端の企業で平均 1 00 億円の営業利益になります。

データ & アナリティクス能力を持つ企業は、優れた財務的結果に加え、業務プロセスも競合他社より洗練されていました。業界において、最も優れたパフォーマンスを誇る企業では、データを利

1 "Data, data everywhere." The Economist 2010 年 2 月 25 日。ウェブ。2016 年 6 月 24 日 http://www.economist.com/node/15557443

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用して経営運営を進化させてきました。その対象はセールスおよびマーケティング部門、エンジニアリング部門、オペレーション部門、金融部門、人事部門、そしてバック オフィスにまで及びます。トップ企業の業務機能に生じた著しい変化は、迅速で効果的な意志決定のために実施したデータの保管、処理および使用方法の結果としてもたらされました。

本ホワイトペーパーではデータ & アナリティクスの主導的企業によって適用された能力および技術的ロードマップの概要について述べ、また企業が戦略の策定に役立てることができるフレームワークを提示しています。データ & アナリティクス 能力のフレームワークおよびオンラインアセスメントツールを使用し、現在の自社の能力を評価したり、競合他社と比較し格付けを実施したりすることができます。 (www.microsoft.com/datamaturity をご覧ください) 同フレームワークは、現代のデータ プラットフォームにおいて鍵となる 製品分野、すなわち Operational Databases、Enterprise Data Warehouse、Enterprise Data Lake、Business Intelligence、Advanced Analytics、およびCloud Computing Infrastructure) の 6 つにわたってデータ & アナリティクス能力を発展させる方法について、そのパターンも提供します。

2. 方法論

本ホワイトペーパーにおける知見は、主に Keystone Strategy が実施した、大企業によるデータ & アナリティクス のビジネスへの適用方法や、ビジネス オペレーションの指針としてのデータの利用方法に関する調査に基づいています。Keystone では企業のビジネスおよび技術の上級意思決定者を対象に、企業が展開してきた技術の概要を捉え、またデータの管理と分析を実施してデータからインサイトを生成するためのビジネスおよび技術的能力を評価するため、344 時間に及ぶ電話インタビューを実施しました。本調査では、上位の中堅企業やエンタープライズ組織に焦点を当てています。中央値の企業は従業員が 6,000 人以上、企業収益が 34 億米ドルの規模です。本文書で取り上げた組織は製造、消費者向けパッケージ製品、金融サービス、および小売りの業界に属しています。

アンケートに回答した企業は、データの持つ戦略的重要性の認識に加えて、自社のビジネス、展開した技術、データ & アナリティクスの能力に関連するおよそ 150 問の選択形式の設問に回答しました。データ & アナリティクス能力のフレームワークの設計には、 データ & アナリティクス ソリューションを提供するテクノロジ企業の分析レポートや白書、調査事例やマーケティング素材など、複数のインプットが使用されました。組織のデータ プラットフォームの洗練度を測るためのデータ & アナリティクス能力に関する設問は、最終的に 74 問に絞られました。これらの設問は 6 つの技術領域にわたっており、組織のデータ プラットフォームの最も重要な要素を対象としています。

Operational Databases

Enterprise Data Warehousing (EDW)

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Enterprise Data Lake (EDL)

Business Intelligence (BI)

Advanced Analytics

Cloud Computing Infrastructure

回答者は、自社の持つ能力の割合に基づいて 4 つのグループに分けられます (能力をパーセンテージで回答させる設問では、回答者の答えた数値は自社に肯定的なものでした) 。データ & アナリティクス能力において最も高い数値を持つ組織は、4 つのグループのうちトップに格付けされます。その一方で、能力の数値が最も低く、最も洗練されていない企業は最下位のグループに格付けされます。

Keystone では調査データをビジネス パフォーマンス メトリックによって補完しています。ビジネス パフォーマンス メトリックは企業プロフィール、一般に公開されている情報ソースや承認申請、S&P CapitalIQ、Dun & Bradstreet から取得しています。

3. データ & アナリティクスの成熟モデルとビジネス インパクト

A. データ 利活用が推進するビジネス パフォーマンス

本研究では、最も洗練されたデータ分析能力を持つ企業は、業種および企業規模などの固定要素を維持して他社と比較した場合、よりビジネス パフォーマンスの水準が高いことが明らかとなりました。企業ランキングの上位 4 分の 1 の企業の営業利益率は、下位 4 分の 1 の企業よりも 8 ポイント上回っています。この営業利益率の差は、企業の規模や業種を制御して営業利益の差に換算すると、年間 100億円に上ります。 「データおよび分析がビジネスにこのような価値をもたらすことなど誰も予想していま

せんでした。もはやデータをどこに適用するかは問題ではなく、どこからインサイトを

得るかが問題なのです。」

− Lead Technical Architect、10 億米ドル家電メーカー

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今回の調査では、データ & アナリティクス能力を持つ主導的組織は、生産性や収益性の点で比較した場合も、パフォーマンスがより優れていることが明らかとなりました。以下の表では、企業ランキングの上位 4 分の 1 の企業と下位 4 分の 1 の企業を比較した結果を示しています。

立ち遅れている企業 - 第 1 段階

(下位 25% 企業)

リーダー - 第 4 段階 (上位 25% 企業)

従業員 1 人あたりの平均収入2 47 万 3 千米ドル 50 万 7 千米ドル 3 年間の売上総利益の平均値3 37% 55% 3 年間の税金調整前純利益の平均値 11% 16% 3 年間の純利益の平均値 7% 11%

B. 戦略的資産としてのデータ (DaaS : Data as a Strategic )

最先端のデータ & アナリティクス能力を持つ組織は、データを市場での差別化を図るための戦略的資産と見なしています。ビジネスをリードする企業は積極的かつ組織的にデータを収集し、流入する膨大な量のデータを処理して管理するためのシステムを展開する戦略を推進しています。また

2 従業員 1 人あたりの平均収入は 2014 年の収益に基づいています 3 3 年の平均値は 2012 年から 2014 年の記録に基づいています。

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た受領者に引き渡す義務を負う従業員またはその代理人は、本文書を流布、配布、複写することを固く禁じます。

ビジネスのインサイトを発展させたり、分析モデルに基づいて行動したりしながら、同時に慎重な扱いを要する機密情報を保護しています。

主要な組織では平均 22 ペタバイトのデータの保存および管理を実施しているのに対し、遅れをとっている組織では平均 0.5 ペタバイトのデータを取り扱っています。業界のリーダーポジションに位置する企業ははあらゆる種類の情報源からデータを収集しています。データはビジネス アプリケーションやウェブ サイトを通じたオペレーションで生成されたものを捕捉したり、顧客やパートナー企業から獲得したり、第三者企業から購入したり、またはインターネットやその他公共のリソースから収集したりされるほか、製品に埋め込まれたセンサーやサービスに組み込まれた「接続された」デバイスから生成されるデータが増え始めています。 「データの価値は、手にしてみないとわかりません。データは資産であり、1 度取得す

ると驚くようなことができるようになります。我々は収集したデータからまったく新し

い収益源を作り出しているのです。」

− VP、データ & アナリティクス、Fortune 100 工業製品メーカー

最新のデータ プラットフォームを持つ企業は、データと技術への投資を、まったく異なる観点からデータの処理、保管、分析を実施するためのものと考えています。リーディングカンパニーは、包括的データ獲得戦略を持つこと、彼らの持つデータ プラットフォームの競合他社との差別化、ビジネス ユーザーが意思決定のため一貫した最新のメトリック セットにアクセスできること、そしてデータからビジネスに関する予測を生成できることを述べています。

次の表は、ビジネス戦略とオペレーションにとってのデータの重要性に関して、主導的組織と立ち遅れている組織との間に見られる姿勢の主要な違いを示したものです。

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データの重要性に関するこれらの姿勢は、企業がデータを業務上の指針にしたり、データでビジネス オペレーションを最適化したりする方法の違いや、データの潜在能力を余すことなく実現するために導入した技術的能力の違いを示しています。本調査では、データの重要性に関する態度が、業務に導入した技術的能力や、それによって実現した業務プロセスに反映されることが判明しています。

C. データ利活用により可能となるビジネス オペレーション

リーディングカンパニーでは、業務プロセスの実践におけるデータ戦略から利益を得ることを実現してきました。データは、市場および顧客に関するより包括的な理解を伴う、より迅速な意思決定のために利用されます。またビジネス オペレーションの最適化、差別化された製品およびサービスの開発、そして従業員の生産性向上のためにも活用されます。トップの組織では、組織全体の情報を統合してビジネスに関する「一致した見解」を醸成するだけでなく、リアルタイム データを活用してビジネスにおける変化を予測してそれに対処します。トップの企業はBIツールと分析モデルをシステム内で使用して、顧客に合わせたエクスペリエンスの展開、顧客離れのリスクの緩和、顧客サポートに関する問題の事前特定、装置の故障の防止、そして経営効率化のリアルタイムでの意思決定を実施しています。本調査を通じて、主導的企業と遅れをとる企業の間に著しい違いがあることがわかりました。その違いは企業のセールスおよびマーケティング部門、エンジニアリングおよび操業部門、リスクおよび不正管理部門、金融部門、人事部門およびバック オフィスにわたって確認されています。

4.6

3.9

4.9

4.0

4.6

7.3

6.8

6.8

6.5

7.0

データの収集と処理を実施してデータから洞察を獲得する

ため、最新のテクノロジに投資している

ビジネスに関する予測を生成し、作成したモデルに基づい

て行動することができる

社内のあらゆるビジネス ユーザーが意思決定のため、一貫

した最新のデータセットとメトリックにアクセスできる

データの収集および処理の手法により、市場における競合

他社との差別化を図っている

利用可能なあらゆる情報源からデータの収集、集計、処理

を実施するための包括的戦略を定めてい

データ & アナリティクスの役割に関するそれぞれの見解が、貴社の意見とどれほど合致しているか評価してください (10 段階評価)

上位企業群 下位企業群

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1. セールスおよびマーケティング

リーディングカンパニーは、データを利用し市場を深く理解し、効率的な新規顧客の獲得、広告効果の最適化、顧客とのエンゲージメントの確立やニーズの予測、顧客離れの防止などを実現しています。顧客ライフサイクル全体から収集されたデータは、より多くの情報に基づいた意思決定や顧客ニーズに沿ったオファーやエクスペリエンスの提供に役立てられています。また顧客のオンラインおよびオフラインの行動によって把握された全方位的な顧客像が、顧客サポートに関する問題の軽減に利用されています。

主導的企業に優位性をもたらすセールスおよびマーケティング分野の主要な能力。

顧客の獲得

o 顧客セグメントおよび顧客行動に応じてリアルタイムでウェブサイト エクスペリ

エンスのパーソナライズを実施する確率が 2.2 倍

o 予測モデル (現時点で「購買意欲が高い」顧客の特定など) を利用した、顧客行動

に基づく高価値顧客を特定する確率が 1.7 倍

o 顧客行動に影響を及ぼすマーケティング タッチポイントへの価値付けが可能とな

る確率が 1.6 倍

顧客の維持およびマネタイズ

o リスクのある顧客をプログラムで特定して適切な対処法を導き出す確率が 2.7 倍

o 顧客に関する知覚インテリジェンスを発展させ、直接窺い知ることのできない顧

客の気分や性別などのデータを利用して推測する確率が 2.5 倍

o 需要を見越して価格を設定するモデルを開発する確率が 1.4 倍

2. エンジニアリングおよび操業

リーディングカンパニーのエンジニアリング、製造および操業の各部門では、製品の開発ライフサイクルやサプライ チェーン全般の情報を統合することにより、データを利用してビジネスの機能を一体的に把握しています。ここで集約されたデータは、操業の効率や製品の品質を向上させる要素を理解したり、装置や操業のダウンタイムを予測したり、分散する生産および操業施設群をまたいでプロセスの健全性を確認したりするために使用されます。トップクラスのパフォーマンスの企業では、モノのインターネット (Internet of Things) 技術を活用し、自社の製品およびサービスにセンサーを組み込んで製品の使用やパフォーマンスに関するデータを収集するケースが増えています。集められたデータで企業はサービス オペレーションを最適化することが可能になります。データは企業に価値をもたらし、そして顧客から価値を引き出す方法へと変化させていきます。

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業界で最高のパフォーマンスを誇る企業に顕著にみられる能力

Operations & Process Optimization

o 高度な分析により装置のダウンタイムの予測が可能となる確率が 1.7 倍。

o 需要を見越して生産工程を最適化する確率が 1.5 倍

o 予測モデリングを活用して顧客のサポート リクエストを予期する確率が 2.3 倍

Data-Driven Products & Services

o 製品の使用やパフォーマンスに関するデータを獲得することで製品設計に役立て

る確率が 2.3 倍

o 製品を遠隔監視し、インサイトに基づいて顧客サポートを推進する確率が 1.8 倍

o 収集したデータを活用して顧客のベンチマークを実施し、製品およびサービスか

らより多くの価値を実現する方法を顧客に提案する確率が 1.9 倍

3. リスクおよび不正

特に金融サービス機関の間では、データは不正の抑制や制限に利用されることがよくあります。データは市場要素や信用リスクとかかわりのあるビジネスにおいて、オペレーション リスクの予測に利用することができます。トップ パフォーマンス企業の間では、インターネットやソーシャル メディア、ウェブサイトから収集した非構造化データを利用し、ビジネスに影響を及ぼす顧客行動のパターンを特定する機会が増えています。同様に、データを利用して不正をリアルタイムで検知することにより事前に回避したり、セキュリティ上の違反行為や疑わしい活動を特定、従業員の不正行為など数分以内に検知したりすることもできます。

トップ企業に顕著に見られる、リスクおよび不正に対処する能力。

リスクの予測および管理

o プログラムにより非構造化データを解析し、ビジネス パフォーマンスに対してリ

スク評価を実施する確率が 2.2 倍

o 財務データやクレジットカードの与信履歴、電子メールやソーシャル メディアな

ど、複数の情報源のデータを分析して信用査定や取引のリスク評価を実施する確

率 1.6 倍

o インターネットから情報を収集して分析し、組織内のリスクを推定する

確率が 1.6 倍

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不正および脅威の防止

o 従業員の行動の監視および分析をリアルタイムで実施し、不正行為を特定する確

率が 1.4 倍

o 疑わしい行動の特定と追跡を発生と同時に実施する確率が 1.3 倍

o パターン認識モデルを利用してセキュリティ侵害やハッキングをリアルタイムで

検知して対処する確率が 1.2 倍

4. 金融、人事、バック オフィス

さまざまな業種のリーディングカンパニーはデータを利用し、パフォーマンスをより迅速かつ 1 元的に解析することでビジネスの俊敏性を向上させています。またこれらの企業ではデータを利用して、ビジネス戦略の最適化から従業員各自の啓蒙プランの自動作成まで、あらゆるサポート機能における予測とレコメンドを作成します。

業界でトップパフォーマンスを誇る企業で顕著に見られるファイナンス部門、人事部門およびバックオフィス部門の能力

ビジネス オペレーションの俊敏性

o 会計レポート作成ツールを利用して企業全体の業績をニア リアルタイムで評価す

る確率が 1.5 倍

o 従業員のパフォーマンスと行動を自動的に分析して改善策を提案する確率が 2.7

予測および予算管理

o エンタープライズ全体のダッシュボードから財務状況を確認し、財務予測と予算

管理を実行する確率が 1.2 倍

o 予算管理および予測システム内で "what-if" 分析を実施し、財務成績を見積もる

確率が 1.3 倍

4. データ & アナリティクスの変革

A. 業界のリーディングカンパニーと遅れている企業のデータ プラットフォームの比較

業界のリーディングカンパニーと、データ & アナリティクス プラットフォームへの投資を実施してこなかった組織を比較すると、所有する技術的能力が非常に異なります。本調査でデータ プラットフォームの概要を紹介している企業は、6 つの大きな製品分野、74 の技術的能力で格付けされています。

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次の表では、主導的組織と立ち遅れている組織のプラットフォームの能力の違いを説明しています。

立ち遅れている企業 - 第 1 段階 (下位 25% 企業)

リーダー - 第 4 段階 (上位 25% 企業)

Operational Databases

従来のリレーショナル データベースの旧バージョン

リレーショナル データベースの新バージョン

インメモリ技術 主要なトランザクション システムにリアルタイム分析を実装

非リレーショナル データベ ース

顧客向けのミッション クリティカルなアプリケーション用パブリック クラウド

Enterprise Data Warehouse (EDW)

複数のデータ マートおよびデータウェアハウス

一貫性確保 必ずしも最新の状態であることが保証されていないデータ

包括的エンタープライズ データウェアハウス

一貫性確保 データのリアルタイム更新

Business Intelligence (BI)

複数の BI ツール アドホック分析のための限定的な「セルフサービス」BI 機能

主要なビジネス メトリックのための一元化されたダッシュボード

SaaS ベース BI パッケージ モバイル デバイスでのレポートや通知へのアクセス

主要システムに組み込まれた BI

Advanced Analytics 統計モデリングの限定的能力、通常は 1 回限りまたはバッチでの実行

主要システムに統合されたリアルタイム予測および規範的分析モデル

知覚インテリジェンスの使用 ビッグデータ分析やリアルタイム ストリーム分析のためのパブリック クラウドの使用

Enterprise Data Lake (EDL)

N/A 非リレーショナル データおよび非構造化データのための中央リポジトリ

非構造化データの処理および分析能力

Cloud Computing Infrastructure

パブリック クラウドを利用していない仮想化インフラストラクチャ

プライベート クラウド内の 仮想マシンの自動プロビジョニング

クラウド ベースのバックアップおよび復旧

ハイブリッド クラウド

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B. データ & アナリティクスの道のり

自社データ プラットフォームで高い水準のビジネスおよび技術的能力を獲得した企業は、データの価値を最大限に引き出す明確なビジョンを持ち、時間をかけてそのような能力を実現してきました。企業はそれぞれ異なるビジネスの優先事項に直面し、独自の技術ロードマップを展開します。そうして自社の能力を発展させ、データ利活用への投資することによって、ビジネス インパクトを実現します。しかし、今回収集したサンプルからは、ある共通点を見つけることができます。

業務データベースはデータ & アナリティクス プラットフォームの中核であり、トップパフォーマンス企業ではソフトウェアのアップグレードや最新技術の展開を通じ、データベース能力を着実に発展させることに注目してきました。今や業務データベースはよりスケーラブルで可用性が高く、また信頼性の高いものになりました。リーディングカンパニーではインメモリ データベース技術を採用し、処理 データベース内にリアルタイム分析を実装し始めています。これにより、組織は他のシステム内にあったり、または事後的に得られたりするトランザクション データの抽出と分析を実施することなく、迅速にビジネス行動を取ることが可能となります。さらに業界のリーディングカンパニーでは、非リレーショナル データベースを展開し、リレーショナル データベースに対する投資を補完しています。NoSQL はハイ スケールでハイ パフォーマンスなウェブ アプリケーションを実現したり、モノのインターネット (Internet of Things) にかかわる使用用途をサポートしたりするために頻繁に使用されます。パブリック クラウドがバックアップ、復旧、ホスティング アプリケーションを通じて、多くの組織のトランザクション データベースの能力を拡張します。 「我々は Azure 上に SQL Server 中にデータを保管し、分析を実行するのです。その

おかげで優れた柔軟性とデータの制御が可能となります。」

− VP、 Data Analytics、100 億米ドル規模の産業工具メーカー

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機密事項、開示禁止、本文書には秘匿性の高い情報が含まれます。本文書の意図された受領者でない者、本文書を意図され

た受領者に引き渡す義務を負う従業員またはその代理人は、本文書を流布、配布、複写することを固く禁じます。

最新のエンタープライズ データウェアハウスの確立は、最先端のデータ プラットフォーム構築において 2 番目に大きな前進になります。大企業では誰も管理していない大量のデータ群に直面することがよくあります。異なるビジネス アプリケーションの立ち上げや、社内のまとまりのない技術プロジェクトにより、そうしたデータ群は長い時間をかけて肥大化してゆく傾向にあります。この問題は顧客やサプライヤー、製品に統一された ID が付与されていない場合、さらに悪化します。その結果、ビジネスにとって非常に重要なデータが複数の統一されていないシステムにまたがって整合性なく保管されることになるため、意思決定の際、どのデータが信頼性のある最新データなのかを判断し、活用することが困難になります。結果としてビジネスの意思決定プロセスにおいて、どのデータの数字が正しく、かつ最新のものであるかや、どこのデータをどのように取得するのかなどの事柄によって議論の本質を妨げられてしまうことになり、本来の目的である、データのインサイトに基づいた意思決定やビジネス行動をとることに集中することができなくなります。

エンタープライズ データウェアハウスは、データ & アナリティクスにおいて、ロードマップの基礎に位置づけられています。主要なデータ要素の特定、共通データの辞書とビジネス メトリックの解釈と定義、複数のデータ ストアにまたがるデータの重複の解消、レポート作成と分析、意思決定のための重要な情報集計、すべてがエンタープライズ データウェアハウスの展開には不可欠です。データ & アナリティクス戦略を持つ企業は時間をかけてデータウェアハウスを発展させ、最新の包括的な情報で企業全体の事業利害関係者のニーズをサポートする戦略を達成しています。最も成長した企業のいくつかは、自社のデータウェアハウス インフラストラクチャの一部をクラウドに移行し始めています。クラウドの活用により、地理的に分散した地域からのデータ収集においても高いスケーラビリティと優れた柔軟性を実現することで、市場投入までにかかる時間を大幅に短縮することができました。 「24 時間、週 7 日の可用性を持つサーバー ファームを構築するために巨額の投資をし

たり、長い時間を費やしたりしたくはありません。そこで Azure SQL を使用して、複

数のチャネルからすべてのデータを集計することにしました。」

− シニア ディレクター、IT、ファッション小売り企業 ほとんどの企業にとって、次のステップはレポートを作成したりセルフサービス分析を実施したりする BI ツールの標準化です。多くの企業では、BI ツールの重複に直面しています。これらの BI ツールは長年をかけて、異なるビジネス アプリケーション、または異なる部署のニーズに応じて導入されてきたものです。業界のトップ パフォーマンス企業では、標準的なレポート生成とシンジケーションのためにエンタープライズ BI を標準化し、新たなインサイトを獲得して変化するビジネス環境に対応するため、データ アナリストや幅広いセクションのビジネス ユーザーがその場限りの分析やデータの深い掘り下げを実施できるように「セルフサービス」BI システムを標準化

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た受領者に引き渡す義務を負う従業員またはその代理人は、本文書を流布、配布、複写することを固く禁じます。

しました。SaaS ベースの BI は、社内外のユーザーに BI システムへのアクセスの提供を開始したトップパフォーマンス企業の間でも、人気が出始めています。 「さまざまな方法で非常にすばやくデータをカットできるので、チームではセルフサー

ビス BI を使用しています。また顧客にインタラクティブ ダッシュボードを提供するた

め、同じ BI を顧客向けツールとしても使用しています。」

− VP、 Data Analytics、100 億米ドル規模の産業工具メーカー エンタープライズ データウェアハウスと BI ツールの展開に関しては、ほとんどの企業では詳細な統計的分析、モデリング、および意思決定のサポートのため、次にアドバンスド アナリティクス システムを導入します。高度な分析 ツールは、エンタープライズ データウェアハウス内のデータを活用します。同ツールは特定の顧客セグメントの需要予測に活用でき、顧客の製品の購入や顧客離れの傾向のモデル作成、設備の障害発生の予測と対処、価格モデルの最適化、財務リスクや不正の最小化、または高いパフォーマンスの従業員の特定に使用されます。高度なデータ分析ツールはデータの探索や新しいインサイトの発見のため、しばしば分離された状態で使用されます。しかし主要企業ではリアルタイムの意思決定とビジネス オペレーションの最適化のため、洗練されたモデルを頻繁に展開しています。例えば、トップの小売り企業ではアドバンスド アナリティクスを利用して、顧客のオンライン、オフラインでの行動に基づく「購買意欲が高い」顧客を特定しました。特定の顧客にカスタマイズされたオファーや調整されたユーザー エクスペリエンスを提供し、顧客へのアプローチを最大限に活用することを可能にします。機械学習技術もまた同様に、ウェブサイトのトラフィックにおけるパターンを特定し、顧客のコンバージョン率の高いテキストやイメージに基づき、広告コピーの最適化を実施することができます。企業はパブリック クラウドのメリットを活用し、数値計算タスクをオンデマンドの仮想マシンへとオフロードしたり、パワフルなクラウドベースのアナリティクス サービスを利用して非常に広範なデータ セットからインサイトを引き出したりすることが可能です。一般的に、IoT 戦略を追求する企業がクラウドを採用し、ストリーム分析により膨大なマシン データをリアルタイムで分析することがあります。 「非構造化データ分析および Hadoop への投資により、ウェブサイトを訪れた顧客への

リアルタイムのアップセルやクロスセルが可能となり、それがより高い顧客生涯価値

(CLTV) を生み出すことにつながります。」

− Director, Data Science, $2 Billion Online Furniture Retailer

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た受領者に引き渡す義務を負う従業員またはその代理人は、本文書を流布、配布、複写することを固く禁じます。

データ & アナリティクスの強固な基礎のもと、次に企業は Hadoop などの分散型ビッグ データ技術を利用して、ウェブ、マシンのログ、地理空間データ、動画または画像データなど、膨大な量の履歴データや非構造型データから価値を引き出すことに注目する傾向があります。今回の調査では 31% の企業が現在、実質的な分散型ビッグ データを展開していました。Hadoop などの技術を利用している企業の 10% が、非構造化データの集約、保管および処理を実施するためエンタープライズ データレイクを指定しました。このような非構造化データは、従来のビッグ データ テクノロジでは、専門的なデータ サイエンスやプログラミングのトレーニングが必要とされていました。Hadoop などの分散型ビッグ データ技術は、オン プレミスまたはクラウドでの展開が可能です。顧客は頻繁にHadoop をクラウドで展開すること選択します。特に多数の接続された分散型デバイスを伴う使用用途や、膨大な量のデータを大きなクラスターで処理する場合などは、その傾向が強く見られます。

5. ロードマップ計画のガイドとしてのデータ & アナリティクスの成熟指数モデル

A. データ & アナリティクスの成熟度モデルの概要

調査対象の企業はデータ プラットフォームの全体的な成熟指数に基づき、主に4 つの段階に分けられています。最も基礎となる段階においては、企業はデータからメリットを生み出し始めた初期段階であり、データは事後的に活用されます。段階が進むと、組織ではビジネスのサポートやプロセスの改善のため、データをより通知的な用途で利用するようになり、その後、意思決定を促すための予測的能力に利用します。最後の段階においてデータは、変革的な力となり、ビジネスを推進して新しい価値を生み出すのです。

B. データ プラットフォームの製品分野ごとの成熟度

データプラットフォーム発展の異なる段階にある企業は、異なるスキルセットを保有しています。データ プラットフォームの変革において、異なるポイントを有する企業を比較しています。これ

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機密事項、開示禁止、本文書には秘匿性の高い情報が含まれます。本文書の意図された受領者でない者、本文書を意図され

た受領者に引き渡す義務を負う従業員またはその代理人は、本文書を流布、配布、複写することを固く禁じます。

により、企業がデータ プラットフォームを累進的に構築する方法において重要となる段階の概要が明らかとなります。

次の表では、企業がそれぞれの生産分野内でどのように機能を追加しているのかが示されています。このフレームワークは、企業がデータ & アナリティクス能力をどのように向上させるかを決めるロードマップ計画のガイダンスを提供します。

事後的利用 通知的利用 予測的利用 変革的利用

Operational Databases

組織では業務データベースを、主に重要なビジネス アプリケーションのために使用。データベースは既存のハードウェアへの追加やアップグレードによりスケール アップが可能。トランザクション データはフェイルオーバーや復旧のため、2 次データ センターへバックアップ。

業務データベースは超並列処理を通じたスケール アップとプールを通じた柔軟なスケール アウトが可能。アップタイムの可用性は「99.999%」以上。データベース レベルでロールベースのセキュリティが定義されており、データの保管時および稼働時に暗号化が可能。

パフォーマンス チューニングは SSD (半導体ドライブ) およびフラッシュベースのストレージを通じて実現。データベース スキーマは動的に更新可能。いくつかの組織ではパブリック クラウド上で顧客向けアプリを展開。

インメモリ データベース技術と非リレーショナル データベースを利用。分析モデルはトランザクション システム内に頻繁に導入されており、リアルタイムの意思決定が可能。パブリック クラウドをデータのバックアップ、復旧、フェイルオーバー、およびミッション クリティカルなアプリケーションのために頻繁に利用。

Enterprise Data Warehouse (EDW)

組織が個別のビジネス機能やシステムのため、複数のデータ マートを維持。いくつかの組織ではエンタープライズ データウェアハウスへ孤立したデータの統合を開始しているものの、更新が定期的に行われていないことも多くあります。

エンタープライズ データウェアハウスは、複数のビジネス アプリケーションおよびデータ ソースからデータを集計。エンタープライズ データウェアハウスは成長に対応するスケーラビリティを有しており、スケジュールされた頻度で自動的に更新を実施。

エンタープライズ データウェアハウスはほとんどのレポート作成や分析にニーズに対応する包括的データを内包。エンタープライズ データウェアハウスは、ほとんどのレポート作成、分析、ニーズに対応する包括的データを含んでいます。一元化されたエンタープライズ データウェアハウスにより冗長データ マートを廃止。

エンタープライズ データウェアハウスで保管されている一部またはすべてのデータは、リアルタイム更新データかストリーム データによるものです。予測モデリングは多くの場合、データウェアハウスの拡張機能を利用。パブリック ウェブ サイトや一般的なソーシャル メディア からのデータにより内部データ セットが増大。パブリック クラウドはデータウェアハウスのいくつかニーズに対応するため利用。

Business Intelligence (BI)

BI ツールはエンタープライズ レポート作成やセルフサービス分析のために展開。ユーザーは BI ツールのワークスペースをカスタマイズして、限られたサービス ソフトウェア パッケージを通じてレポートを作成可能。

主要なビジネスメトリクスを企業全体で定義パワー ユーザーは複数の情報ソースからデータのマッシュアップを作成。BI ツールは主にクラウド上で展開するか、または SaaS ソリューションとして展開。

組織では、主要なアプリケーションおよびモバイル BI 内に組み込まれたダッシュボードを利用して、幅広いユーザーに BI へのアクセスを提供。ユーザーはその場限りの分析およびビジュアル化を実施することが可能。十分に定義されたデータ辞書およびデータ ガバナンスの方針を確立。

組織は、組織全体の KPI のためのインタラクティブなストリーミング 、BI ダッシュボードを構築している。ビジネス ユーザーは BI ツールを利用し、ビジネスの状態の表示をカスタマイズしたり、ユーザー定義のカスタム アラートを通じて機会やリスクを特定したりすることが可能になります。

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事後的利用 通知的利用 予測的利用 変革的利用

Advanced Analytics

手動でのデータ入力によって、 データ分析やモデリング機能の利用はアドホックあるいは限定的なレベルでの利用にとどまっている。

主に手動での計算および予測を通じた、予測および統計モデリング機能の限定的な使用。基本的なバッチ予測モデルがしだいに増加。

予測モデルを顧客離れ分析や装置の予兆保守など、複数の目的のために開発。企業はユーザーのデータ分析に基づいた推奨されたビジネス行動の予測モデルの開発を開始。

予測モデルはリアルタイムのデータ ストリームに基づき、また動的に更新を実施。ビジネスにおけるリアルタイムの意思決定とパーソナライズ・レコメンデーションをサポートするため、主要なビジネス アプリケーション内にモデルを導入。データ サイエンティストは複数のモデルの構築と調整を実施し、それらを並行に実行して最も優れているものを選択することが可能。

Enterprise Data Lake (EDL)

組織が非構造化データを使用する機会はわずかか皆無に等しい。Hadoop などの分散型ビッグ データ技術を利用する機会は皆無。

非構造化データは中央リポジトリに保管されても、非構造化データや非リレーショナル データについては分析は限定的なレベルになります。

組織は Hadoop などの分散型ビッグ データ技術を試験的に利用。主要な非構造化データは分析のため構造化データへとバッチ変換。

組織はエンタープライズデータレイクをオンプレミスまたはクラウド内に構築、構造化データと非構造化データを保管する。データは通常リアルタイムで届き、データレイク内で分析を実施可能。

Cloud Computing Infrastructure

企業のインフラストラクチャの大部分は仮想化されているものの、多くの組織ではパブリックの IaaS (Infrastructure-as-a-Service) またいは PaaS (Platform-as-a-Service) を不 使用。

プライベート クラウド内にある組織の自動プロビジョニング インフラストラクチャ。いくつかの組織では 主に開発およびテスト環境用にパブリック クラウドを試験的に 利用。

組織はクラウド インフラを特定の生産アプリケーションのために利用。たとえば、大量のインスタンスを高速で起動する一時的なタスクのために利用するなど。

組織はパブリック IaaS または PaaS プロバイダーを利用して、システムの特定部分が展開される場合には「ハイブリッド」アプリケーションを展開。その他の対象 (機密性が高い企業データなど) は企業のファイアウォールの内側に 維持。

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た受領者に引き渡す義務を負う従業員またはその代理人は、本文書を流布、配布、複写することを固く禁じます。

6. 付録: データ アナリティクスの成熟度モデルの事例

A. オンライン家具小売り企業

1. Company Overview

当該企業は米国を拠点とする家具およびインテリアを販売する E コマース小売り企業で、年間収益は 20 億米ドル、前年比成長率は 2014 年から 2015 年にかけて 70% です。同社のカタログには数千万品目の商品があり、数百テラバイトものデータを保管しており、その大半は非構造型のクリックストリーム データかサーバーのログです。

2. Business Use Cases and Data Pipeline

同社では、データ戦略に関するいくつかのビジネス ゴールを定めてきました。ビジネスでの使用用途にはセールスおよびマーケティングの効率性およびビジネス オペレーションが含まれます。

顧客獲得の最適化: o 顧客へのレコメンド調整やユーザー行動に基づいたオンラインの販売促進の最適

化により、ウェブ上のエクスペリエンスのパーソナライズをリアルタイムで実施し、売上の増大を実現しました。

o 顧客がウェブサイトを訪れた際に閲覧した製品に基づき、メッセージの文言や内容を調整し、電子メールでのマーケティングの効率を最適化を図る。

分析モデルを利用したオペレーションの最適化: o バック オーダーを最小化するため、在庫保有水準の履歴およびサプライヤーのパ

フォーマンス データに基づいた需要予測モデルを作成 o 出荷した商品の損傷を予測する分析モデルの利用。ビジネスの一連の流れにおけ

るデータ(フルフィルメント データ)は、サプライ チェーンのオペレーションへの通知に使用 (たとえば、損傷が多く見られた商品は過剰に詰め込まれた状態だった、など)

「我々はまずセールスおよびマーケティング シナリオとパーソナライゼーションに注

目しました。我々はウェブサイトとデジタル マーケティングを顧客それぞれのニーズに

合わせて調整しました。現在は、いかにしてオペレーションとビジネスの一連の流れに

影響を及ぼすことができるかということに関心があります。」

− ディレクター、データ サイエンス、年商 2000 億円の オンライン家具小売り企業

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同社ではビジネスのニーズに対応するため、最新のデータ パイプラインを作成しました。マーケティングをサポートするため、非構造化データ (ウェブサイトのクリックストリーム アクティビティなど) を分散型ビッグ データ環境に蓄積しています。そこではデータのクレンジングと処理が実施され、パイプラインを通じて同社の分析パッケージへと送られます。分析モデルは開発と実証を経て、最終的にはトランザクション システム内に導入されます。たとえば、機械学習モデルは購買意欲の高い顧客や訪問歴の浅い顧客を特定するために開発されてきました。これらのモデルは顧客のウェブサイト エクスペリエンスや特別なオファーのカスタマイズに使用され、購入確度を最大限に高めます。

3. データ利活用レベルの習熟度に対する評価

次の図では、企業の成熟度が 6 つのデータ プラットフォーム ワークロードごとに示されています。このベンチマーク分析は、同社がクラウドの利用を除くすべての領域において最新のデータ プラットフォーム能力を有しており、またクラウドの利用においては他の企業よりも相対的に立ち遅れていることを表しています。データ プラットフォームの成熟度をこの水準にまで高めるため、同社では最新のトランザクション データベースを展開してきました。このデータベースでは、オペレーション分析のためのインメモリ技術が使用されています。同社では分散型ビッグ データ クラスターを用意してデータ サイエンス チームを結成しました。同チームはプログラミング言語と機械学習ライブラリによる分析モデルを開発し、モデル導入のアシストを実施しています。同社ではパブリック クラウドを利用しないことを意識的に決断しています。これは自社の技術スタックをより自由に制御してコストを最小限に抑え、そして Amazon.com からの潜在的な競合の脅威を軽減するためです。

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4. 将来のプラン

同社ではデータ プラットフォームの開発を継続して、新しいビジネスにニーズに対応することを計画しています。これにはモバイル BI 技術の導入が含まれます。これにより、従業員が遠距離からビジネス ダッシュボードにアクセスし、現場でより優れた意思決定が行うことができるようになります。モバイル BI はサプライヤーの評価を実施するバイヤーにとって特に重要なものと見なされています。また、プログラムが製品画像と文字の説明に基づいて製品の属性を特定し、タグ付けを実施することができるよう、自社の技術力を高めようとしています。これを実現させるために、同社のデータ サイエンティストはオープンソースの機械学習技術を、タグ付けされた同社製品の説明と画像が蓄積されたレポジトリに適用しています。この能力により、最終的に顧客は同社のカタログの中から製品をより簡単に見つけられるようになります。

B. Industrial Conglomerate

1. Company Overview

当該企業は技術および製造分野の革新的な多国籍コングロマリットであり、全世界で 13 万人もの従業員を擁し、売上は 400 億米ドルに上る Fortune 100 企業です。同社では航空宇宙関連装置を供給しているほか、自動化制御ソリューションや最新の素材、プロセス制御技術を開発しています。

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2. ビジネスでの使用用途およびData Platform Roadmap

同社ではデータを、新製品の開発や顧客への新しいサービスの提供のための戦略的リソースと見なしています。たとえば同社は最近になって、接続されたデバイス向けのソフトウェアや分析サービスを産業分野の顧客に提供する IoT 部門の立ち上げを発表しました。

同社のデータに関連する戦略には、より優れたデータ対応製品を顧客向けに開発することや、さまざまな産業やサービスのパートナーが、同社によって集約されたデータから価値を享受できるエコシステムを構築することが含まれています。データ & アナリティクス技術が適用されているいくつかのビジネスケース:

電源管理向けの障害予測サービス: デバイスから収集されたデータ内のパターンを検知し

て全国的なエネルギー使用量を予測し、需要に対応したり、予測された装置の故障に対処

したりします。

顧客向けスマート ホーム製品: 顧客が電話により遠隔で操作でき、なおかつ経時的に顧客

行動を学習してユーザー エクスペリエンスを向上する、革新的な接続された「スマート

ホーム」家電を開発しています。

これらのデータ アプリケーション戦略を実現するため、同社ではデータ プラットフォームを大幅に増強する必要がありました。リレーショナル データベース、データウェアハウスやレガシー レポートに加えて、同社では Azure Public Cloud 上にいくつかの Hadoop クラスターを構築し、接続されたデバイスからデータ収集、予測モデル用のプログラミング言語やリアルタイム分析をサポートする NoSQL データベースを追加したりしています

3. データ利活用レベルの習熟度に対する評価

次のグラフでは、同社の能力を 6 つのデータ プラットフォーム ワークロードごとに分類し、他社と比較した結果が示されています。比較対象には、本調査の対象となった企業が含まれます。同社はすべての領域において、平均的な組織の成績を著しく上回っています。たとえば、同社では従来のオンプレミス インフラストラクチャのパフォーマンスの限界を克服するため、パブリック クラウド インフラの利用を大規模に実施しており、カスタム アプリケーション向けに SQL Server を広範囲に利用しています。Advanced Analytics に関して、同社ではプログラミング言語による予測モデルを開発し、トランザクション データベースにそれらのアナリティクスを展開しています。同社はビジネス インテリジェンスの活用について他の組織よりも遅れており、Operational Databases、Enterprise Data Warehousing、Enterprise Data Lakes、Advanced Analytics、そして Cloud Infrastructureの優先順位が低く設定されてきました。

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4. 将来のプラン

現在、同社では多くのシステムをクラウドに移行しており、またパブリック クラウドに最適なワークロードの評価も積極的に実施しています。 「我々の目標は、データ センターを動かす仕事からの脱却です」

− ディレクター、IT、Fortune 100 に位置する 工業製品メーカー また、同社では新たな収益を獲得することができるデータ利活用のための技術への投資を継続的に優先しており、自社のデータ プラットフォームを発展させ、データを基盤とした顧客へのサービスを拡充しています。たとえば、家電のパフォーマンスの分析によって得られたデータのマネタイズが検討されています。機材のパフォーマンスが低下したり、保守が必要な状況に陥った場合、修理やメンテナンスが必要な旨が保守事業者や地域の保守業務請負業者に警告として通知されます。データは同社の製品を差別化する役割を果たしており、より優れた顧客エクスペリエンスを実現しながら、同社のエコシステムおよびパートナーにも価値をもたらしています。

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C. 損害保険会社

1. Company Overview

当該企業は米国の自動車、住宅および生命保険業界で主導的立場にある企業の 1 つで、全米の契約世帯数は 1500 万世帯以上に上ります。同社は株式を公開する S&P 500 企業であり、年間の収益は 300 億米ドルを超え、4 万人の従業員を擁しています。

2. ビジネスでの使用用途およびData Platform Roadmap

同社では、データ アナリティクス技術を主要なビジネスの問題に適用し、また斬新なビジネス シナリオの実現にも利用しています。

リスクおよび不正行為の予測: 同社では Hadoop のデータを収集して機械学習技術を適用

することにより、予測モデルおよび不正検知のための「自己学習サービス」を構築してき

ました。保険リスクや顧客の支払い請求の傾向の評価などのようなビジネスの課題に対処

するため、新しい技術の予測精度は著しく向上しました。

テレマティクスを通じてパーソナライズされた価格を設定する新しい試み: 同社ではカス

タム IoT プラットフォームを構築し、運転手の行動に関するテレマティクス データを収

集しています。テレマティクス データにより、顧客に認められるリスクの水準を評価して、

運転手の習慣に基づくより正確な生命保険価格を決定することができます。 「ビジネスの利害関係者に関して我々は非常に積極的であり、常にデータによる価値提

供の方法を模索しています。」

− VP、ビッグデータ分析担当、S&P 500 に数えられた保険会社 同社では 2012 年に CDO (チーフ データ オフィサー) が指名され、データ & アナリティクスチームが発足して以来、データ プラットフォームが著しい発展を遂げてきました。新しい部門では Hadoop 上にエンタープライズ データレイクが実装され、いくつかのオープンソース アナリティクス技術が導入されました。

3. データ利活用レベルの習熟度に対する評価

今回調査した他の企業と比較すると、同社は成熟した EDL、ビジネス インテリジェンスおよび Advanced Analyticsの能力を備えています。データレイクと分析は技術チームによって管理されています。このチームは CDO に報告を実施し、企業 IT 部門とは別の部門に属しています。IT 部

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門は業務データベースとデータ ウェアハウジング システムをサポートしています。業務データベース能力は、同社のデータ プラットフォームの他の領域ほど、急速に発展を遂げてきませんでした。レガシー ビジネス アプリケーションのシステム アップグレードに伴う煩雑さのため、多くのシステムでは今もなお以前のバージョンのデータベース ソフトウェアを実行しています。それでも同社では業務データベースにおいて、いくつかのシステムに伴うインメモリ技術の活用を開始しており、また自社のエンタープライズ データウェアハウス内において、マスター データ管理のため NoSQL を利用しています。 「弊社に関して最も重要なことの 1 つは、IT チームとは別に分析 チームを擁していると

いうことです。我々のデータ サイエンティストは研究開発部門に在籍し、業務にあたって

います。これによりチーム メンバーはより自由にイノベーションを実現できます。」

− VP、ビッグデータ分析担当、S&P 500 に数えられた保険会社 同社では自動プロビジョニング機能を備えた洗練されたプライベート クラウドを所有しているものの、規制に関する懸念からパブリック クラウドは利用しないことを選択してきました。

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4. 将来のプラン

同社ではデータ プラットフォームを継続的に開発しており、特にエンタープライズ データレイクと高度なデータ分析能力の開発に力を入れています。データレイクに関しては、Hadoop 上のデータ管理や機械学習アルゴリズムの利用において、より高い柔軟性を実現するため、新しい技術の試用を実施しています。特に同社のチームは Hadoop 用のオープンソース ETL ツールの実装のため、資金の調達を検討しています。また、分析モデルの展開時間を短縮する技術も評価しています。現在、同社では生産システムへのモデルの実装に 6 ~ 9 か月を費やしており、このプロセスを大幅に加速したいと考えています。最後に付け加えると、同社ではパブリック クラウド インフラストラクチャをより広範囲で利用することを検討しており、政府および業界による規制の範囲外での使用用途では利用を開始しています。たとえば、自社のテレマティクス プログラムを通じて展開されたセンサーからのデータ ストリームを、クラウドを利用して捕捉することを検討しています。

D. 玩具メーカー

1. Company Overview

当該企業は創業 70 年になる玩具メーカーで、収益は 60 億米ドルに上ります。従来ホールセール チャネルを通じて販売を実施してきましたが、近年ではしだいに E コマースを通じてエンド カスタマーにリーチするようになりました。同社が開発する製品も変貌を遂げました。センサーを備えた玩具を開発し、子供と親が自社製品でどのように交流しているのかについてデータを収集する試みを実施しています。

2. ビジネスでの使用用途およびData Platform Roadmap

同社では新しい技術とデータドリブン型の製品への投資を開始して、ビジネスの転換に役立ててきました。

よりダイレクトで優れた顧客とのエンゲージメントのための新たなデータ ソース: 同社で

は販売時点管理 (POS) や E コマースのデータに加えて、ソーシャル ネットワークからの

非構造型ウェブ データの収集も開始し、ブランドの認知度や玩具の検索および購入方法に

見られる顧客の好みなど、より豊かな顧客像の把握を実現しました。また、データを利用

して需要予測モデルの精度を高めました。これには従来所有してこなかった新しいメトリ

ックやデータ ソースが使用されました。

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データを通じた製品の変革: テクノロジに精通した世代向けに、差別化されたデジタル製

品を新たに発売しました。データは消費者の製品とのかかわり方を把握し、ユーザー エク

スペリエンスを豊かにするために使用されます。製品事例

o ユーザーの声を認識して適切に反応する、接続された玩具。

o 赤ちゃんやその周囲の環境に関するデータを収集して両親へフィードバックを提

供するベビー モニター。 「より顧客への理解を深めたり、マーケティングや製品開発に役立てたりするため、ソ

ーシャル ネットワーク、販売時点管理 (POS)、E コマースなど、すべてのデータを一

元化したいと考えています。」

− Senior Director、BI Platform、年商 6000 億円のおもちゃメーカー 同社のデータ プラットフォームには、長年使用されてきた、更新されていない多くの要素があります。従来のリレーショナル データベースおよびエンタープライズ BI のパッケージが、広範囲にわたって継続的に使用されています。同社ではこの 2 年間、より優れた顧客とのエンゲージメントを実現する戦略をサポートするため、中核をなすデータ インフラストラクチャへの大きな投資を開始しました。従来のデータウェアハウスから最新のデータ アプライアンスへの移行を果たし、ビジネス ユーザーを支援するためのセルフサービスの SaaS ベース BI パッケージを追加しました。また、ソーシャル ネットワークなどの新しいデータ ソースからインサイトを獲得し、クラウド ベースのビッグデータおよび分析技術の試用を開始しています。

3. データ利活用レベルの習熟度に対する評価

同社は成熟したエンタープライズ データウェアハウスとAdvanced Analyticsの能力を備えています。エンタープライズ データウェアハウスについて、最新のアプライアンス ソリューションを導入し、最近買収した企業から獲得したデータの統合を実施しました。分析においては予測モデルや規範モデル、データ ストリーム処理など、最新のクラウドベース技術で高度な能力を実現しています。業務データベースやデータレイクなどその他の製品分野では、最新化への取り組みが進行中です。

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機密事項、開示禁止、本文書には秘匿性の高い情報が含まれます。本文書の意図された受領者でない者、本文書を意図され

た受領者に引き渡す義務を負う従業員またはその代理人は、本文書を流布、配布、複写することを固く禁じます。

4. 将来のプラン

同社ではデータ プラットフォームの転換を開始したばかりで、いくつかの改善の余地が見られます。たとえば、同社ではビジネス アプリケーションと業務データベースを合理化しており、またクラウドベースの Hadoop の試用を拡大し、時間をかけてフルスケールのエンタープライズ データレイクを開発してゆくことを検討しています。

比較的成熟しているワークロードの能力を高めることにも価値を認めています。また機械学習など、顧客の製品とのかかわりを分析する技術を拡大しています。エンタープライズ データウェアハウスでは、最近買収した企業から獲得した新しいデータや販売時点情報管理 (POS)、およびビジネス アプリケーションからのデータをより高速に統合するためのデータ準備および仮想化ソフトウェアに注目しています。それに加えて、マスター データ管理 (MDM) プラットフォームの実装にも注目しています。