CANoe .Ethernet
プロダクトインフォメーション
CANoe .Ethernet
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目 次
1 概要 .............................................................................................................................................................................................. 3 1.1 機能概要 ....................................................................................................................................................................................... 3 1.2 適用分野 ....................................................................................................................................................................................... 4 1.3 詳細情報 ....................................................................................................................................................................................... 4
2 機能 .............................................................................................................................................................................................. 4
3 ハードウェア ................................................................................................................................................................................... 5
4 トレーニング ................................................................................................................................................................................... 5
5 備考 .............................................................................................................................................................................................. 5
V1.0 — 05/2018
CANoe .Ethernet バージョン 10.0 以降を対象としています。
この資料では、CANoe オプション Ethernet の適用分野と、それぞれの機能について説明します。
CANoe については、別途「プロダクトインフォメーション」をご用意しております。
発行元: ベクター・ジャパン株式会社
www.vector-japan.co.jp ※記述されている内容は予告無く変更されることがあります。(発行日:2018 年 8 月 27 日)
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1 概要
自動車分野には、Ethernet および IP をベースとしたネットワーク、そしてそれらを基盤とした最新のアプリケーションプロトコルが導入されていま
す。それらは一般に組込システム、運転支援システム、バックボーン、マルチメディアなどに使用されています。それらのコストを大きく左右するの
は、使用する物理層だけでなく、帯域幅やリアルタイム性能も考慮したネットワークのニーズに基づいた設計です。そのため、各開発フェーズにお
いて、上記のネットワークパラメーターをチェックするためのツールが大いに活躍しています。
オプション Ethernet を使用すると、CANoe の機能を拡張し、Ethernet ネットワークに対応することができます。オプション Ethernet によって、
VN5600 シリーズなどのハードウェアインターフェイスの使用が可能になり、これによって自動車分野で広く使用されている IEEE 100BASE-T1 (OABR) や IEEE 1000BASE-T1 などの物理層に直接アクセスできるようになります。また、SOME/IP、SOME/IP-SD、IP、TCP、UDP、
TSN/AVB をはじめとする数多くの専用プロトコルも、オプション Ethernet で対応しています。
図 1: CANoe.Ethernet での通信シミュレーションと、トレース Window でのシグナルの解析およびフィルターブロックによるフィルタリングの例
1.1 機能概要
> データベース(FIBEX、AUTOSAR ARXML など)へのリンクにより、シグナル、サービス、RPC のパラメーターに直接アクセスすることが可
能
> データベースに基づいたシミュレーション(残りのバスシミュレーション)の自動生成
> インターフェイスハードウェアと CANoe の最適な連携により、2 点間の接続のモニターや検討されたネットワークトポロジーを使って
Ethernet パケットの伝送が可能
> オペレーティングシステムからの影響を受けずに、データトラフィックのシミュレーションと解析が可能
> Ethernet パケットやシグナルが CAPL で処理可能
> Ethernet Packet Builder によるエラーを含むパケットなどさまざまな Ethernet パケットの送信
> Ethernet インタラクティブジェネレーターによる周期送信と単純な IPv4 ソケット通信
> CAPL と.NET によるパケット送信
> シミュレーションノードごとに独立したインスタンスを用いた TCP および UDP クライアントソケット(IPv4 および IPv6)のシミュレーション
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> Ethernet ノードおよびゲートウェイのシミュレーション
> すべての車両ネットワークを時刻同期して表示
> 異なるバスシステム間の通信解析と、ゲートウェイ機能の検証
1.2 適用分野
Ethernet ベースのネットワークをサポートし、車両開発においては特にビデオデータ送信、ブロードバンドのバックボーン用 Ethernet ネットワー
ク、Diagnostics over IP (DoIP)、電気自動車と充電ステーションとの通信といった分野で、CAN バスシステムの場合と同様にご利用いただけ
ます。
CANoe.Ethernet ならではの優位性の 1 つが、複数の Ethernet ノードのシミュレーションです。CANoe では個々のネットワークノードが個別
の TCP/IP スタックを使用できます。これによって、シミュレーションでの通信動作を、実際のノードの通信動作と合致させることができます。さらに、
異常な Ethernet パケットを意図的に発生させることで、組込システムで再現テストを行い、プロトコルエラー時のシステムの堅牢性を高めることも
可能です。自動車分野で一般的に使用されるデータベース形式(AUTOSAR ARXML および Fibex)とプロトコル(SOME/IP や DoIP など)のサ
ポートにより、ユーザーはアプリケーションシグナルに直接アクセスできます。これによって通信とアプリケーションデータの解析が容易となります。
CANoe.Ethernet と VN5600 シリーズを併用すれば、ゲートウェイが車両内の他のネットワーク用にシグナルを変換する際の遅延時間を測定
できるようになります。これによって、たとえば車両全体の診断情報を追跡し、その整合性をチェックすることが可能になります。Ethernet プロトコ
ルレイヤー2(データリンクレイヤー)でのエラーを確実に検出して表示できるだけでなく、それらのスティミュレーションも実施できます。同じく、自動
車分野で一般的に使用される、IEEE 100BASE-T1 (OABR) や 1000BASE-T1 などの物理レイヤーを直接利用できます。
1.3 詳細情報
> ベクターダウンロードセンター CANoe に関する各種ドキュメントはベクターの Web サイトに掲載しています。たとえばデモ版には、さまざまな用途に応じたサンプル用コン
フィギュレーションと、CANoe の全機能を説明した詳しいオンラインヘルプが付属しています。さらに、テクニカルアーティクルや各種製品資
料で、ベクターのさまざまなノウハウを利用できます。
> CANoe の機能マトリクス バリアント、チャンネル、バスシステムへの対応についての詳細は、機能マトリクスに記載されています。
2 機能
CANoe.Ethernet は以下のような Ethernet 専用の機能を CANoe に追加します。
> Ethernet チャンネルを最大 32 個まで設定可能(1 つの Ethernet チャネルに複数の Ethernet ポートを含めることが可能。使用可能なポ
ートの数は使用される PC の処理能力に依存)
> ベクターの Ethernet インターフェイスである VN5600 シリーズと PC の Ethernet インターフェイスをサポート
> Ethernet インターフェイスが独立しているため、ネットワーク通信が Window オペレーティングシステムやその他のアプリケーションの影響
を受けずに済み、リアルタイムシステムでは必須ともいえる要件をクリア
> FIBEX-4.x または AUTOSAR3.x/4.x ベースのデータベースとリンクすることにより、シグナルおよび RPC パラメーターの使用が可能
> Ethernet とその上位プロトコル(VLAN、AVB、IPv4、IPv6、ICMP、DHCP、UDP、TCP、SOME/IP、DoIP など)をサポート
> 各種フィルター機能(ハードウェア/測定設定 Window/ビューフィルター)
> トレース Window では、プロトコルヘッダー情報の他にも、Ethernet フレーム内の個別の PDU を表示可能
> Ethernet および UDP に基づく独自プロトコルに対し、ユーザー独自のシグナルプロトコルデコーダーDLL を使用可能
> Ethernet パケットを GUI 上で設定および送信可能な Ethernet Packet Builder
> Ethernet、UDP、TCP のペイロードデータを周期送信可能な Ethernet インタラクティブジェネレーター
> CAPL または.NET からのアクセスに対応する Ethernet 用関数ライブラリー
> SOME/IP に基づくシミュレーションノードを作成するためのインタラクションレイヤー
> シミュレーションノード(IPv4 および IPv6)ごとに独立した TCP/IP スタックインスタンス
> 受信/送信方向、チャンネル、タイムスタンプを含んだデータトラフィックのログ機能をサポート
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図 2: Ethernet Packet Builder と Ethernet インタラクティブジェネレーターを使用して、プログラミングをすることなく容易に Ethernet パケットの作成と送信が可能
3 ハードウェア
Ethernet 通信を解析するには、少なくとも 1 つの Ethernet インターフェイスが必要です。このインターフェイスには、ベクターの Ethernet イン
ターフェイス(VN5600 シリーズ)か、PC 内臓の Ethernet インターフェイスが使用できます。VN5600 シリーズの Ethernet インターフェイスは
シミュレーションと測定に特化して設計されており、高精度のタイムスタンプ、ベクターの他のバスインターフェイスとの同期、2 点間の接続やトポロ
ジーに適したシミュレーションや刺激入力といった独自の優位性を備えています。100BASE-T1 (OABR) や 1000BASE-T1 などの、車載固有
の物理層もサポートされています。詳しくは、VN5600 シリーズのサイトをご覧ください。
4 トレーニング
ベクターでは、CANoe に関するトレーニングを開催しています。また、お客様ご指定の場所でのオンサイトトレーニングも実施しています。
各コースの詳細やスケジュールにつきましては、ベクターの下記 Web サイトをご覧ください。 http://www.vector.com/vj_training_jp.html
5 備考
CANoe .Ethernet にはカリフォルニア大学バークレー校およびその協力者によって開発されたソフトウェアが含まれています。
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