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創研eyes パナソニック ライフソリューションズ創研 上席コンサルタント(講師)のコラムです。 日々のコンサルタント活動や研修講師等を通じて感じたことを、プロの目線でお届けします。 パナソニック ライフソリューションズ創研株式会社 人材育成 経営全般 製造全般 営業関連

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創研eyesパナソニック ライフソリューションズ創研 上席コンサルタント(講師)のコラムです。日々のコンサルタント活動や研修講師等を通じて感じたことを、プロの目線でお届けします。

パナソニック ライフソリューションズ創研株式会社

人材育成 経営全般 製造全般 営業関連 財 務

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〒571-8686 大阪府門真市大字門真1048 TEL(06)6908-6863

人材育成

目次 1

経営全般事業活動における「買う」を考える 講師名:中尾 晃一 P.16

時代に即したメンタルヘルス研修のあり方 講師名:中村 弘成 P. 4

部下をやる気にさせるノウハウとは 講師名:宮本 裕司 P. 3

海外中国研修で感じたこと 講師名:田西 登喜男 P.13

技術者に求められるアウトプット 講師名:松下 英敏 P.10

コンサルティングでの気づき~ クライアントとの信頼関係を築くには ~ 講師名:松井 正義 P.11

今技術者に求められる「スキル育成・変革」のあり方 講師名:吉田 和久 P.12

いまでも松下幸之助さんから学んでいます 講師名:浅水 肇 P.14

物をつくる前に人をつくる ~いま求められる現場実践型人材育成~ 講師名:中ノ森 哲朗 P.15

「方針管理・目標管理」の本質 講師名:田渕 鋭ニ P. 8

技術研修の役立ちと人材ネットワーク活用 講師名:千代 和夫 P. 9

ものづくりの"現場力"が利益を生む 講師名:三井 達也 P. 7

今こそ「真の革新型リーダー」が必要!! 講師名:太田 邦幸 P. 6

「教えること」より「育てること」が基本! 講師名:森本 征久 P. 5

「リスクマネジメント」は遠くて身近なもの 講師名:中本 孝徳 P.18

三拍子揃っていた幸之助創業者のOJT 講師名:尾崎 高広 P.17

会社が変わるということ 講師名:安達 健一 P.19

企業OBコンサルタント・講師の意義と使命 講師名:廣野 稔 P.21

マイナンバー制度と情報セキュリティの本質 講師名:薮 貞男 P.20

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製造全般

目次

組立自動化への取り組みと課題 講師名:黒崎 昭雄 P.23

プロとアマ 講師名:柴 五郎 P.24

営業関連真の営業現場力育成の試み~「共創」の考え方の展開による~ 講師名:荒牧 克彦 P.28

"安全衛生活動"について思うこと 講師名:谷口 修二 P.22

財 務財務会計のススメ ~多くの方が苦手とする本当の理由~ 講師名:松本 富雄 P.29

省エネについて、垣間見た各国事情 講師名:箕浦 秀樹 P.26

追いつけ、追い越せ ~日本のモノづくりを考える~ 講師名:神山 増己 P.27

海外(中国)の製造現場の現状と感じること 講師名:松尾 正一 P.25

~中国の製造の現場改善支援から感じたこと~

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部下をやる気にさせるノウハウとは創研eyes人材育成

講師名:宮本 裕司

私が担当している研修の一つに「部下をやる気にさせるノウハウ習得」という研修があります。多くの方にご参加いただき、年々増えてきております。 近のある統計筋によりますと、新卒新社会人の30%の方が、3年間で離職をされるとか・・・。夢と希望の中でスタートを切り、1年が経ち、3年が経ち、5年が経ち、「こんなはずじゃなかった」と感じている姿が、若手社員と上司・先輩の双方にあるのかもしれません。

では、「部下をやる気にさせるノウハウ」とは・・・。ついつい、視点が部下に向いてしまう、なんてことはありませんか? でも、その前にすべき大切なことがあります。一つは、上司・先輩の方々自身の価値観づくりです。つまり、社会・会社・仕事に対する、上司・先輩の方々自身の考え方です。

そして、もう一つは職場づくりです。風通しの良い、相談のしやすい、助け合う一体感のある職場です。勿論、本来「やる気」というのは、自分で高めるものです。でも、自分で自分を高めることができる人は、一部の限られた人です。そこに至るまでの誘導が必要です。それが、上司・先輩の役割であり、職場や部下の成長、そして良き風土・文化の定着につながります。部下は上司・先輩や職場のことをよく見ています。良い点も良くない点も上司・先輩の言動が手本です。私が担当している研修では、部下の意欲を高めるノウハウと、モチベーションの高め方を実践的に学び、職場と部下の同時成長を目指します。 上司、先輩の皆さん、「若手社員の良い手本になろう!!」 じゃありませんか。

【プロフィール】

経歴:1977年松下電工株式会社(現 パナソニック)入社以来、本社人事~各部門人事~人材能力開発センターなど、全社人材開発制度の企画~展開、理論と現場の融合・実践をテーマに、37年間の会社生活を人事担当一筋で過ごす。現在は、階層別研修(管理者・管理者候補・中堅社員・若手社員・新入社員)・マインド改革・部下育成・松下幸之助に学ぶなどの研修、および、人材育成コンサルタントを担当。

宮本 裕司

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時代に即したメンタルヘルス研修のあり方創研eyes人材育成

講師名:中村 弘成

大手広告代理店の社員が自ら命を絶つ・・そのような悲しいニュースが飛び込んできた。メンタルヘルス研修(研修名:ハートフルマネジメント)を担当している私は、背筋が凍る思いがした。何も変わっていなかったのだ。ビジネスの世界から学問の世界に身を転じた某大学教授のコメント「残業100時間くらいで自殺なんて情けない」も非常にショックだった。そして、「自分で解決してくれると娘を信じた」という報道記事から、私の研修自体も、もっと家庭生活でも役立つように改善が必要だと思った。

厚生労働省は、2016年夏の提言「働き方の未来2035」で、物理的な時間や空間に縛られない働き方ができるようになると指摘している。これは個人で仕事をする機会が増えることを意味している。一方、日本生産性本部の調査(2014年11月13日発表)は、下記の(図1)のように、「心の病」が「増加傾向」の組織では、"従業員の孤立化"が進んでいるとの回答が「横ばい」「減少傾向」とする組織より多いと指摘している。

つまり、 小のコミュニティである家族が、心の病の予防や適切な対応について、ますます重要な位置づけとなっていくのではないかと思うのである。人が深刻な警報を鳴らしだした時、その人は非常に視野が狭くなっている。そのときの心理状態は例えば、「疲れた・・もう限界だ・・休んだほうがいいのかな・・でも大変なのは皆も同じだし・・仕事にも責任があるし・・情けないな・・自分は弱いな・・・・・・もっと頑張らなきゃ!」という感じだ。だから、積極的に関与しなくてはならない、このことを忘れてはいけない。深刻な警報に気づくことも、そのときに必要な対応も、まず家族だ。「仕事のことはわからない」などと言っている場合ではない。

したがって、いま一度、我々親世代が育ってきた環境と今の環境が大きく違うことを、我々は認識すべきなのだと思う。そして、私ができたのだから、あるいはこれくらいのことはと、自分基準で判断した上で、子供の適性とのマッチ度を考えていくべきだと思う。 親は子供の特徴を良く知っていると思う。ただ、口を開けば、私もそうなのだが、ネガティブなことばかり言いがちではないだろうか。「お前は飽き性だ」「お前は何をやらせても遅い」などなど。

私が担当するハートフルマネジメント研修は、「人はそれぞれ違う」ことを前提にしている。仕事の向き不向きというよりも、やり方が違うことに重点を置いている。なぜなら自分に合ったやり方で仕事ができればストレスが溜まりにくいからだ。ストレスが溜まりにくければ、前向きに考えることができ、生産性を上げるための工夫もする。

目標達成に向かってがんばるやり方がみんな違うのである。同時に、1990年以降に生まれた「ボーンデジタル」世代は、高度なゲームと共に生きていると考え、マネジメントの方法をゲーム的にやることを真剣に考える時期に来ていると考える。単にタブレットパソコンなどコンピュータを使えばいいのではなく、「おもしろいゲームの仕組み」をマネジメントに組み入れるのである。今この地球上で週に30億時間以上がゲームに費やされており、それは現実世界が複雑で、なかなか達成感が感じられないためだそうである。これから「考える仕事しか残らない」のだから、ますますデジタルな世界に逃避しなければ、つまりゲームをしなければバランスを取っていけなくなるだろう。今回の事件は、従業員の孤立化への配慮と、これだけ皆がゲームに時間を割いている理由を軽視したマネジメントのあり方が招いたように私には思える。

ハートフルマネジメント研修は、このような時代背景を踏まえ、職場のみならず、家庭での心の病の予防や適切な対応についてもプログラム化しています。本研修を通じて、元気で前向きな人づくりにお役に立ちたいと考えています。

(図1) 出典:日本生産性本部 第7回『メンタルヘルスの取り組み』企業アンケート調査より

【プロフィール】

経歴:パナソニック ライフソリューションズ創研 上席コンサルタント大学卒業後、株式会社CSK、日本オラクル株式会社を経て、現在に至る。CSKでは、オペレーターからスタートし、プログラマー、システムエンジニア、社長室経営戦略部、営業企画、営業職と多様な職種を経験。早くからマネジメント経験も積む。独立後は、人の可能性を引き出す活動に全力を注いでいる。現在、職場のメンタルヘルス&コンサルティング、ラインケア、セルフケア等の研修を担当。

著書「講師用!報連相問題集-ヒューマンスキル問題集シリーズVol.1」

中村 弘成

2016.12作成 2019.04更新

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「教えること」より「育てること」が基本!創研eyes人材育成

講師名:森本 征久

旧 松下電工時代に、社内研修講師を担当させていただいてから、早や25年が経ちました。全社の設計技術者を対象とした研修を担当し、現在も商品設計に携わる「技術者必須研修」の1つとして継続しています。 これまでに、2,000名以上の技術者が受講され、日常の設計開発業務に活かしていただいています。特に、開発プロセスに重きを置いた考え方を採り入れることにより、理にかなった開発の進め方ができ、着実に設計力UPに繋がっていると考えています。

話しは少し遡りますが、研修講師をして約3年余り経過した頃、仕事の関連で、定期的に「異業種交流会」に参加していました。 これからご紹介する講演会・意見交換会が、自身の意識改革のきっかけとなり、研修講師としての取り組み姿勢や、考え方、進め方の転換点となりました。 「1994年度(平成6年)・異業種交流会」で、宮大工棟梁・西岡常一氏(当時87歳)の講演会・意見交換会に参加しました。 ご存知の方も多くおられると思いますが、法隆寺金堂、薬師寺金堂、西塔、中門、回廊など、ふんだんな檜を使って、数多くの堂塔の復興や、再建を果たされた 後の宮大工棟梁です。 講演内容の中で、コンサルや、研修を担当するにあたり、変化点となった2点について、その要旨をご紹介します。

【1】 「教えること」より 「育てること」が基本!

(1)「教えること」は一時の満足。教えられた時点で進歩が止まる。

(2)「育てる」という考え方に徹すれば、やり方が変わる。

育てるということは、型に押し込むことではなく、個性を伸ばしてやること。例えば、質問を受けたときに、①「君はどうしたいのか?」 ②「何のためにやっているのか?」等と問い返す。⇒本人は考える(自分の考えを興させる)⇒関係者に尋ねる。 または、現場に行って現物を視てくる。⇒そこでどのような考えが生まれるか!⇒考えた末に、「私ならこうやる (こういう理由で○○する)⇒常に「これでいいのか」という気持ちを持たせることが大事。

要は、「なぜ」と考える(考え続ける)ことで人を育てる。(丸暗記には、「根」がない。「根」がしっかりしないと育たない)

(3)組織のリーダや、育てる側は、「次世代を担う人を育てる」という使命感を強く持ち続けなければ、人は育てられない。

【2】 「法隆寺大工の口伝(くでん)」のご紹介

(1)この口伝は、室町時代からの伽藍を造営する大工たちへの教えや、戒めなどがまとめられています。現在でも、研修講師やコンサルティング、コーチング等を実施するにあたっても、ものづくりの心構え、ものの見方、人との付き合い方などについて、本質を突く、役に立つ「口伝」の数々があります。

【プロフィール】

森本 征久

経歴:1961年松下電工株式会社(現 パナソニック)入社本社R&D部門で配線器具・制御機器商品分野の技術開発、商品開発を行った後、配線器具事業部にて配線器具の企画、技術開発・商品開発を担当工事用ねじなし端子(フル端子)の実用化、量産化に成功(業界初)。「五設一体思想」に基づく自動組立型・配線器具の開発(業界初)、高機能配線器具の新規商品開発(業界初)など1991年以降は、住設建材事業・R&D部門で、電建複合設備の商品企画、技術開発、商品開発を担当する一方、開発責任者として、「新商品開発プロセス改革と統合化」を図ると共に「商品設計プロ・実践力育成強化」を推進現 パナソニック ライフソリューションズ創研 特別上席コンサルタント研修:『寺子屋研修・設計開発力強化』、『商品企画仕様設定力向上』、『設計プロセス基礎』などコンサルタント:『若手技術者の商品設計力向上』、『技術開発・設計仕様設定力向上』など

2016.08作成 2019.04更新

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今こそ「真の革新型リーダー」が必要!!創研eyes人材育成

講師名:太田 邦幸

昔の経営は「K・K・D」、経験と勘と度胸だといわれた。それに対して、現代の「K・K・D」は経験と勘とデータである。キチンとしたデータ分析をもとに戦略的な展開を行なう経営だが、今や、それだけでも足りないといわれる。今求められるのは、データ分析をもとに「仕事の仕組みを変える革新型リーダー」である。それこそが、今求められる「真のリーダー」である。

人材育成はティーチングなくしてコーチングなし現代の人材育成は、社員の個性や自主性を大事にしたコーチングが重要だという。耕していない畑に、いくらいい種を植えても芽は出ない。同じように、基本を教えていない社員に、いくら「よく考えろ」とコーチングしても、いい考えは出ない。

人は教えなければ、勝手に育たない「うちにはいい人材がいない」と嘆く経営者ほど、社員教育をやっていない。やり方のスキルは「習うより盗め」が通用するが、方針管理や目標管理などの経営や仕事の基本は強制的に教えなければならない。

ある会社のリーダー研修より自己主張も強く、会社からも期待されている商品開発リーダーがいた。いい商品を開発するが、いつも開発納期が守れない。本人の考え方は、遅れるのは「商品開発はゼロからの開発だから当然である」という。それは、いつも競争に負けている人が、 後の言い訳として「そもそも競争があるからいけないんだ」というのと同じ論理である。「商品開発はゼロからの開発だから、いつできるかわからない。そんな仕事に、納期があること自体が悪い」では仕事にならない。

期限があるから仕事である仕事はチームプレーだから、「納期に遅れるがベストである」より、「ベターでも納期どおり」でなければならない。まして、ベストが顧客満足ではなく、「自己満足のベスト」では売れない。業績拡大にならない。仕事で納期が遅れることは、売上機会をなくすことである。そのリーダーには、会社に損害を与えているという認識もない。経営や仕事の基本は強制的に教えなければ身に付かない。

会社の業績は、現場のリーダーで決まる昔は「業績は現場の社員で決まる」といった。それは、現場の社員はすべて「正社員」だったからである。今は非正規雇用の社員が多い。これらの社員に、いかにやりがいを持たせて業績を上げるかは、現場のリーダーにかかっている。経営の基本を身に付けないまま、部下の努力と根性だけを要求するリーダーでは、業績が上がらないだけでなく、世にいう「ブラック企業」になりかねない。

「革新型リーダー養成研修」についてこのように時代が求めているのは、今の仕組みのまま努力する「進化型リーダー」ではなく、仕組みから見直してチームをリードし、仕事の効率化と業績拡大を達成する「革新型リーダー」である。革新型リーダーは、社内で自然に育つのではなく、意図して育てなければ作れない。研修では、リーダーの役割と責任等のテーマごとに、受講者と感想や意見交換を行って理解を深め、合わせて1日の内容に対するグループ討議、課題図書の読後感想文、それに自己革新アンケート等を加えた総合的、多面的な研修としている。こうした研修を通して、一人でも多くの「真の革新型リーダー」を育てたいと思う。

【プロフィール】

太田 邦幸

経歴:1968年松下電工株式会社(現 パナソニック)に入社東京で営業所勤務の後、本社で営業企画部長、事業企画部長を歴任1999年、現 パナソニック ライフソリューションズ創研に異動して、住建営業研修センター所長として研修講師を務める現 パナソニック ライフソリューションズ創研 特別上席講師

著書:「松下幸之助の夢を社員たちはどのように実現していったか」(こう書房)「デキる社員と伸ばす経営 強存強栄の法則」(文芸社)

2016.04作成 2019.04更新

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ものづくりの"現場力"が利益を生む創研eyes人材育成

講師名:三井 達也

近、ものづくり現場の"現場力"が落ちてきたと良く言われるがホントかな?何を指して落ちたと言っているのかな?実際、現場にいる人材を見てみると、基礎能力は、一昔前と比べようのない程、高まっていると感じる。では、何故そんな言葉が出てくるのか?これは企業自体の環境が一番の原因であり、ものづくり現場への新人登用の停滞など、企業として人材を育てる気があるのかどうかで大きく変わると考える。

(1)強い製造現場は儲けることができる商品の品質やサービスの良さは、ものづくり稼業に携わる我々にとっては絶対的なもの。品質やサービスの良し

悪しは、そこで仕事をする人の品質(人質)で左右する。従って現場で 「働く人の物の見方や意識を変える」 だけで、品質レベルが上がり、強いては企業としての利益につながることになる。

昔から言われているものづくり現場の合言葉「カン」・「コツ」・「経験」、あとは、「度胸」と「ハッタリ」で仕事をすれば良い、という時代から、誰がやっても同じ精度で仕事ができるようにと、今は全てを標準化することが求められる。しかし、いくら時代が進もうが、ハイテクの裏には必ずローテクのスキルと言うものが必要で、コアになる技能やコツ・経験は絶対的な要件となる。こればかりはいくら標準化を目指しても、おいそれとは実現しない。

(2)人の資質は大企業も小さな会社も変わらない「大きな会社の従業員は優秀で、小さな会社の従業員は能力が低いのか?」。ものづくりの研修担当を通じて感

じることは、現場で働く人材の能力に会社の大小で差はないということだ。会社として教育体制が整っているか否かで、従業員の能力発揮に差が出ていると考える。要は、能力発揮の機会を与えているか、また知的財産を養わさせる機会を与えているか、これだけのことで、大きな差が出てくることを私は体感している。現場従業員を"銭の稼げるプロフェッショナル"に育て上げるのはそう難しいことではない。こんなことがありました・・・ある会社で実践研修として、工場のムダを探ってみようと20名に対して5台のカメラを手渡し4人1組で工場内のムダを探してもらった。日頃見慣れている現場だが、意識をして現場を診るポイントを指導し、彼らに自由気ままにパチリパチリとムダと感じるところを写してもらった。すると、全部で400枚のムダの画像が。そこで自分達ですぐに改善できるところを一覧にし、即お金に還元できる金額を出してもらったところ、経営者層も受講者もびっくり!稼動日なら1日で約3万円の費用削減ができることがわかった。受講者から「社長、明日欲しかった運搬台車買ってもイイよね」との声・・・社長頷く(笑)

(3)人は簡単には育たない人を育て戦力化し、「儲けたいなら金を使うべし」 教育への投資をせずして儲けることは叶わない。更に条件とし

て、上位の期待が従業員に伝われば、従業員は喜んでその期待に応える。「何かにチャレンジしたい」、「今以上に自分を磨きたい」、そのような従業員の想いを察知できず、折角の逸材を埋もれさせていないだろうか?乾いたスポンジは水の吸収量が多く、吸い込む力も強い。

人材育成は漢方薬のようなもの。ジワジワ効き目が出てくるまでは時間がかかる。松下幸之助創業者の言葉「人は磨けば光るダイヤモンドの原石のようなもの」。同感!

(4)研修は潜在能力の着火材製造部門の研修担当として想うことは、研修はあくまでも受講者の気付きをお手伝いすること。しかし、適切な指

導があれば間違いなく個人も企業も損をすることはない。学校の通知簿で 「1」 を「5」 にするのは難しいかもしれないが、標準の「3」にすることは容易である。「3」や「4」も良い導きをしてやれば 「5」 になる。特にものづくり現場の人材は、進むべき方向性やヒントを与えてやれば、見違えるような能力発揮をするものである。人は機会を与えれば 「お猪口がドンブリ鉢に変身する」私の講師経験がら感じることを書かせていただきました。できる人材、企業経営に寄与できる人材、ものづくり現場のプロフェッショナルを育てる、その一翼を担えればと想う今日この頃です。

【プロフィール】

三井 達也

経歴:1970年松下電工株式会社(現 パナソニック)入社金属加工・照明部門に従事。照明生産技術部にて海外工場(タイ・台湾・インドネシア)支援後、人事部人材能力開発センターにて製造部門研修担当後に、現 パナソニック ライフソリューションズ創研にて製造部門の階層別研修・スキル研修等に携わる

現 パナソニック ライフソリューションズ創研 上席講師

2016.03作成 2019.04更新

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「方針管理・目標管理」の本質創研eyes人材育成

講師名:田渕 鋭ニ

経営を効率的にマネジメントするシステムとして、「方針管理」や「目標管理(以下、MBOと呼びます) 」があることは良く知られています。 近、研修やコンサルティングを通じて気づいたのですが、案外この2つのシステムについて、その運用の中心となる部課長の皆さんが誤解しているのではないか、と思う時があります。

例えば、「方針管理と日常の業務管理との混同」です。「方針管理は重点管理」ともいわれます。従って、経営活動のすべてを管理の対象にするわけではありません。

ところが、あれもこれも大切だからといって、課題を10も20も列挙されている部課長をよく見受けます。これでは、重点が何かわかりませんし、組織の力が分散してしまって、肝心の重点課題の解決が進まなくなります。

【プロフィール】

経歴:1974年松下電工株式会社(現 パナソニック)入社品質管理部門を経て、管理技術研修の企画推進、管理技術の普及・活用促進などの管理技術教育の他、人材育成・人材開発に従事。品質管理(TQC、管理技術活用による課題解決支援)、人材育成(方針・計画策定、自己開発促進、多面観察制度の設計、人材アセスメント)などが得意分野現 パナソニック ライフソリューションズ創研 上席コンサルタント主な資格:中小企業診断士担当研修:責任者研修・課題解決研修・ロジカルシンキングなど

田渕 鋭ニ

また、「方針管理をやっているのでMBOは不要」という誤解もあります。方針管理は会社の重要課題を組織的に解決する活動です。しかし、それだけでは、個人レベルまで、課題やそ

の実施事項をブレークダウンしにくい面があります。それを補うシステムがMBOであり、部課長が方針管理とMBOを上手く連動させることで、格段に方針の達成度の向上が期待できます。

さらに、「MBOは結果管理だ」という誤解もあります。これはMBOが「目標による管理」という日本語訳で広まったためだと思われます。むしろ、MBOの本質はプロセス重視です。部課長(上司)が適切な指導、コーチングを行なうことで、個々人の成長を促進する効果が期待できます。

他にもまだまだ、この種の誤解や理解不足があり、せっかく良いマネジメントのシステムがあるのに、十分な効果が得られていないのではないでしょうか?

方針管理はトップと部課長、MBOは部課長と担当者が中心で推進します(図参照)。そして、双方をしっかりとリンクさせるのは部課長の役割であり、益々その重要性は大きくなってきています。

皆様のお会社でも、以上のような観点で、経営のマネジメントシステムが誤解されていないか、上手く運用できているか等を一度、見直してみてはいかがでしょうか。

2015.11作成 2019.04更新

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〒571-8686 大阪府門真市大字門真1048 TEL(06)6908-6863

技術研修の役立ちと人材ネットワーク活用創研eyes人材育成

講師名:千代 和夫

技術研修の役立ち現在、創研ではコンサル、研修、審査診断の分野のうち、公開研修が主な担当分野となります。特に照明技術

やLED照明関連、省エネ技術研修に関して、オーダー研修も含めて幅広く担当しています。初めて照明の基礎を勉強される方や、 新のLED知識を取得するため研修参加された方々が、研修終了時には満足されてお帰りになる顔を拝見すると、こちらも達成感が沸いてきます。

【プロフィール】

経歴:1975年松下電工株式会社(現 パナソニック)入社照明事業本部配属後、中国、四国、北陸、名古屋のエンジニアリングセンターにて照明設計提案業務や技術コンサルティング活動に携わり、LED照明の展開部署として発足したLED新市場開発部を立ち上げLEDの新規事業開発としてBtoB事業を展開。その後、現 パナソニック ライフソリューション創研に転じ照明技術及び省エネ研修講師を担当

現 パナソニック ライフソリューションズ創研 上席コンサルタント技術士(電気電子)、博士(工学)、照明プロフェッショナル 立命館大学理工学部 客員教授、神戸大学工学部 非常勤講師著書等:オーム社発行「もっと知りたいLED照明」2013年2月

千代 和夫

創研の研修はインターネットを通じてオープンになっていますので、パナソニックグループに関係なく参加できるのが特長です。官公庁、電力会社関係、設計事務所、電気工事業者、製造業、電気保安協会など多様な業界から、また初心者から新規事業展開部門など、幅広い年齢層の方が多数受講されています。創研はメーカー系の研修会社ですが、社外から見ると多才なスペシャリストが講師陣に揃った業界向けの研修機関という位置づけがなされています。京田辺研修所で開催されている省エネルギーセンター様とのコラボ研修もその一例となります。

電材業界における提案活動旧 松下電工のDNAである三直三現による顧客密着型の提案営業が、BtoB事業展開においても注目されて

います。地域に密着した提案活動による発注から受注まで一環した営業活動が、電工時代から継承されてきました。この提案ノウハウと業界知識を研修として開催しており、受講者は各地の営業 前線で活躍されています。これもまた創研の講師陣をうまく展開した創研営業活動の成果の一つです。

人材ネットワークの重要性門真・東京・京田辺・津研修所で受講された方が所属の会社に戻って、後輩や同僚に研修を勧めたり口コミで

広がったりします。リピートされながら受講層が広がってこそ、創研の役立ちが関係業界に貢献することになります。受講先のクライアント様から新規テーマの企画依頼を受けたりすることで、研修コンテンツがスパイラルアップしていきます。そのためにも研修講師と研修営業が一体となって顧客満足に徹することが一番です。まさに人材ネットワークを通じて、研修依頼やコンサル依頼を受けることが、その研修講師の評価であるとの思いで研修コンテンツの充実を図っています。

これまで依頼を受けたセミナーや講演、大学講師、出版企画もすべて、今までの提案活動を通じてご縁ができた方からテーマをいただいたものばかりで、人材ネットワークの重要性を実感しています。創研の講師陣が幅広い分野で講演や、特設記事の執筆、大学の講義などで社会貢献、技術貢献をしていければ、創研の存在感も高まり、これ以上の悦びはないと思います。

2015.11作成 2019.04更新

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技術者に求められるアウトプット創研eyes人材育成

講師名:松下 英敏

早いもので創研の仕事を始めて4年近くになります。これまでいろいろなお客様を対象に研修やコンサルティング

をさせていただきました。私の研修とコンサルの基盤は、現役社員時代の実経験に基づく戦略企画及び技術開発の考え方と進め方です。研修で強い関心を持っていただけるのは、書籍に書いているような「あるべき論」ではなく、実体験エピソードや余談などの「生情報」です。

これまでの活動を通じて、技術開発に携わる皆さんに以下の3点の懸念を感じながら、私なりの考え方をもって、研修とコンサルティングを行なっています。私の考え方のベースは『技術者のアウトプットは技術ではなく、顧客提供価値であるべき』というものです。

①顧客提供価値視点が弱い

技術発想が強すぎると『先進技術が搭載された商品は優れている』という誤解に陥りやすくなり、顧客への提供価値は二の次になってしまいます。その結果、何年もかけて行なった技術開発の結果が商品化されずに消滅したり、運よく商品化されても販売が芳しくないという結果に終わります。『顧客が欲しいのは、商品や技術ではなく、商品を所有し、使用した時に得られる満足価値である』ということを強く認識しておかないと、技術開発の結果が強い商品に結実しません。

この懸念に対しては、若手から中堅技術者、企画者の皆さんに、『新商品開発の考え方と進め方』の研修とコンサルティングを行なっています。

②中長期の戦略視点が弱い

多くの組織では、事業、商品、技術に関する中長期の戦略を描けていないかまたは、ロードマップの書類はあるものの、実際の活動はこれとは関係なく行われていることが多いようです。実際に使える中長期の戦略がないと、リソースの計画的準備や先行技術助走が不十分となり、強い事業や商品作りはできません。

この懸念に対しては、リーダークラスの皆さんに、『戦略と技術で事業を改革するBISAT』研修とコンサルティングを実施しています。

③技術開発マネジメント力が弱い

場当たり的で試行錯誤的な技術開発マネジメントでは、昨今の急激な市場変化や技術進化に追従できないばかりではなく、多様な価値感を持つ技術者のモチベーションの維持と向上も図ることができません。マネジメントは「フレキシブル」かつ「ロジカル」に行なうべきというのが私の持論です。

この課題に対しては、『ロジカル・マネジメント研修』を行なうことで、気付きと自己開発課題発見の機会を提供すると共に、実践編では『ロバストデザインの考え方と進め方』の研修とコンサルティングを実施しています。

これまで蓄積した経験と知見に、新たな情報を加えながら、日夜奮闘されている技術者の皆さん、延いては日本の産業界の発展に寄与して参りたいと思っています。

【プロフィール】

経歴:1975年松下電工株式会社(現 パナソニック)入社本社R&D部門で産業機器商品の先行技術開発を行なった後、ヘルシー・ライフ事業部で健康商品の商品部経営を経験し、その後電器事業部門のR&Dで技術責任者を務める現パナソニック ライフソリューションズ創研 上席コンサルタント

研 修: 『役に立つ事業/商品/技術戦略の立て方』、『新商品開発の進め方と考え方』、『ロジカル・マネジメント』、『ロバスト・デザインの考え方』、『仕事のやりがい』など

コンサルタント: 『事業/商品/技術戦略の立案』、『技術開発課題の設定と推進』、『技術開発体質の改善』など

松下 英敏

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2015.10作成 2019.04更新

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創研eyes人材育成

講師名:松井 正義

創研の上席(OB)としてコンサルタント、講師の仕事をさせて頂き4年が経ちました。その間、外部顧客へのコンサルティング・研修を通じて気づき、感じたことを述べてみたいと思います。

コンサルティングの仕事は一言で言うと、企業の問題点や課題を見つけ出し、 適なかたちで解決していくことです。そして、仕事を通じて、自分自身のスキルアップと役割、立ち位置を確認し、 終的に顧客満足を向上させることだと考えております。

目先の業績向上は、多くの企業で 優先の課題です。しかし、従業員の教育は一朝一夕には対応できません。多くの経営者様から人づくりの難しさ、大切さをよく耳にし、アドバイスを求められます。

人づくりに関するコンサルティングの主要な業務は 、気づきを与え 、意識の変革を促し、それによって 、行動の変革を実践し 、結果(業績)を変えることです。その為にクライアント企業の触媒となり、気づきや勇気を与え、モチベーションを高め、会社を動かしていく推進力ある人を育てていくことが重要な役割となります。

①言われなくても動く人②言われたら動く人、動ける人③言われても動けない人④そもそも言われても動く気がない人

コンサルタントが取り組むべきことは、②のタイプ以上の人をいかに増やしていくかです。

またコンサルティングという仕事は、クライアントとの間に信頼関係があって初めて成立するものです。だからこそ、クライアントとの信頼関係の構築に積極的に取り組む必要があります。「約束を守る」「クライアント企業の身になって親身に経営課題の解決を考える」「現状の課題、問題点を整理し、あるべき姿を提案する」「コンサルティング業務に関する社員の意識の向上を図る」など、当たり前のことの積み重ねです。

企業が商品の改善を行いながら顧客により良いものを提供するように、コンサルタントも自分自身の学びと成長を認識しながら、クライアントの価値を高める努力をすることが、信頼関係を築くうえにおいて必要不可欠です。

今後も、様々なお客様に対して、役立ち度向上に努めてまいります。

【プロフィール】

経歴:1972年九州松下電器株式会社 (現 パナソニック) 入社商品企画、商品開発を経て 生産管理・調達・工場管理 責任者を務める現在は生産管理、調達管理、原価管理、方針管理の研修・コンサルに従事現 パナソニック ライフソリューションズ創研 上席コンサルタント

著書:これだけは知っておきたい「調達・購買の基礎」オーム社 共著

松井 正義

11コンサルティングでの気づき~ クライアントとの信頼関係を築くには ~

2015.09作成 2019.04更新

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創研eyes人材育成

講師名:吉田 和久

私が現在担当している技術者向けの研修メニューの大半は、自身が現役時代に経験・習得した要素技術を

社員に伝承することを目的にしています。その中で、異質な研修の一つに「技術者向け自己変革のためのスキル実践」研修というものがあります。この研修を自ら始めようと考えた経緯とその内容について、ご紹介したいと思います。

私も含め多くの技術者は、自分の強みとする技術分野に関して、時代の先端に追いつけ追い越せで、日夜切磋琢磨してこられたものと推察します。特にスキル育成に関しては、カッツモデル※をベースにコンセプチュアルスキル(概念化能力)、ヒューマンスキル(対人間的能力)、テクニカルスキル(業務遂行能力)の3つのスキルを、定期的に棚卸を行い、目標を設定して、自己開発に取り組んでこられたと思います。

ところで、今技術者に求められているスキルとはどのようなものでしょうか。時流に合致し、社内だけでなく社外でも通用するプロフェショナルなスキルではないかと私は考えています。即ち、時代のニーズにマッチした付加価値の高い商品の創出を実現可能な、エンプロイアビリティの高い技術者が求められていると思うのです。そこで、「従来のカッツモデル主体のスキル開発だけで十分なのか」というテーマを自らに与え、新たな研修メニューの開発に取り組みました。小生の場合、現役を退いて以降、今まで学習してこなかった財務とかマーケティングなどの分野を学習する機会が増えました。そして、自らの強みを伸ばすだけでなく、弱みを補強することの重要性に気づきました。ただ、現実は弱みというより、関心が沸かず、多忙なため、真剣に学習しなかった場合が大半かと思います。

その結果、私なりの結論は、従来のカッツモデルに加えて、「顧客視点(顧客要求に応える)スキル」、「ネットワーク視点(外部と連携する)スキル」、「こだわり視点(代替できない専門性を高める)スキル)」の3つを新たに加えること、さらには、スキル変革を、プロセス重視のPDCAサイクルを回すことによって、自らが目指す自己実現(あるべき姿)につなげることです。

一方、技術者が伸び悩んでいる理由に、自分の専門分野の領域にこだわり過ぎて、周辺技術の情報収集を怠り、視野が広がらないまま、気が付けば価値の小さい技術分野を深堀しているケースが多く見られます。技術者が不得手とする財務、マーケティング等の知識、情報をできるだけ補強することで、付加価値の高い専門技術分野にシフトしていく方法論についても検討しています。

上述のような経緯で、「技術者向け自己変革のためのスキル実践」研修を導入し、現在継続中でありますが、今後、さらにこの研修を進化させていきたいと考えています。

※カッツモデルとは、1955年にハーバード大学教授、ロバート・カッツ氏によって開発された人材育成モデル。担

当者の時期には、テクニカルスキルの開発を重点的に行い、上位管理者になるほどコンセプチュアルスキルの開発を重視する方式で、半世紀以上経過した現在でも多くの企業が人材育成に採用している

【プロフィール】

経歴:1974年松下電工株式会社(現 パナソニック)入社解析評価分野を中心に、研究開発から製品評価、品質技術マネジメント、会社経営(専門技術集団の会社設立)など、幅広い業務分野を歴任。現 パナソニック ライフソリューションズ創研 上席講師

・LS社技術者研修 :「信頼性」「解析評価技術の基礎」「電気接続スイッチング技術の基礎」「技術者向け自己変革のためのスキル実践」「第二種電気工事士(筆記)」

・オーダーメイド研修 :「ロジカルシンキング」「リーダーシップ」「経営情報マネジメント」・その他研修実績 :「経営品質マネジメント」「技術経営のあり方」

吉田 和久

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「スキル育成・変革」のあり方今技術者に求められる

2015.08作成 2019.04更新

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海外中国研修で感じたこと創研eyes人材育成

講師名:田西 登喜男

松下電工(現 パナソニック)を定年退職する少し前、ある先輩に誘われ軽い気持ちで創研で仕事をさせて頂くこと

になりました。主要な業務は、コンサル・研修等の講師をすることです。現役時代、金型開発、生産技術開発、商品開発、プレス・成型・めっき・実装の部品加工等々に携わり、事業運営、工場運営、海外責任者を経験しています。一通りのものづくりは経験しているものの、会社で学んだ知識・経験を人に伝え教えることはできるのだろうか?そのような疑問を抱きながら8年間も経過してしまいました。今回は「海外中国研修で感じたこと」を記すことにいたします。

日本のものづくりの探究心は一日の長

日本のものづくり現場は「作業者の自主性・自律行動」。典型的な事例は「QC活動」とか「設備の自主保全・予防保全活動」だと思います。中国での研修事例で考えると、参加者は選ばれているという自負心があり、一つでも多くの知識を吸収しようとする姿勢が強く出ているように感じます。自分で考え体験する経験値より、講師が経験した「ノウハウ・具体例」を学びたがります。なぜと言う深さはなくても知識を吸収したい。そのためか、中国の研修ではよく質問が出ます。周りの空気とかお構いなしの質問も多く、研修時間をコントロールすることに多少苦労します。

日本でも我々が励んだ「高度成長期」はそうだったのでしょう。ただ、「ものづくり成熟期」の現在では「守ることへの比重が高く」意欲が消極的になって来ています。「過去のルールに縛られ過ぎ」です。しかし、ものづくりへの探究心はまだまだレベル差があると思います。高い意識・積極性・意欲を見習いながら、自律行動に磨きをかけて欲しいと思います。

中国での人気の研修1.中国人経営者層は「成功物語」

数年前、上海と北京で、我が社の海外工場と取引のある「サプライヤー様」向けに「経営者のための実践研修」を企画し開催いたしました。参加者は10名前後で、計6日の研修です。内容は「経営管理の基礎」「品質管理の基礎」「現場管理の基礎」で構成いたしました。

冒頭、パナソニック創業者の松下幸之助社主の「生い立ち」「経営方針」「名言」等々を加味した「講義とDVD視聴」で始めたところ大好評で以降の研修がスムースに進みました。当然、経営者層が対象ですから「更に大きな成功を治めたい」「もっと儲けたい」との気持ちがあり、20世紀の成功者からより多くのことを学びたいという姿勢です。

ただ、不思議なことにDVDを借用し従業員に勉強させたいとの申し出もありました。社員教育などには余り関心が高くないと理解していたのですが、変化に気付いていませんでした。経営者だけの力に頼るのでなく、「衆知経営」を目指している企業も出始めているのです。

2.中国人作業者層は「ノウハウもの」

ものづくり現場研修の代表例は「QCサークル」「品質管理」「5S活動」「工程改善」「設備保全」等々ではないでしょうか?中国も同様です。日本のものづくり現場の知恵が結集した上記研修は底が深く、語り尽せない程の多くのノウハウがあります。彼らが学びたいのは実施例です。成果発表会映像には食入るように視聴し、多くの知識を吸収しようと真剣そのものです。

根本的に大切なことは「仕組みと運用力による底上げ」だと思うのですが、関心度はさほど高くありません。組織視点ではなく個人視点なのです。この点は日本人とは少し違います。ただ指導の方法で変わるのかとも思います。QCを中心とした仕事の進め方は非常に上手くこなし個々の能力の高さを感じます。ポイントは「テーマ設定と導き方」。運用力も身に付きます。

【プロフィール】

経歴:1966年松下電工株式会社(現 パナソニック)に入社金型設計・製造の基礎スキルを蓄積。会社生活中盤は、新商品企画・開発を皮切りに製造部門の運営に携わり、海外展開、部門経営・工場経営の任に当たるまた、中国上海にて、責任者も歴任

現 パナソニック ライフソリューションズ創研 特別上席コンサルタント

田西 登喜男

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2015.07作成 2019.04更新

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いまでも松下幸之助さんから学んでいます創研eyes人材育成

講師名:浅水 肇

私は、松下電工(現、パナソニック)に昭和32年に入社し、平成6年に定年退職しました。その間、いろいろな業

務を通じて、経済界、政治家、文化人、芸能人、スポーツマンなど、たくさんの著名人に会いお話をきかせていた

だく機会がありました。

その中で、一番多くお会いできたのが松下幸之助さんでした。仕事が終わったあと、仕事の話を聞いていただい

たり、人生と仕事の心得について聞かせていただくことができました。また、松下幸之助さんは数多くの著書や講

演、テレビでご自身の経験を話されましたが、その中で特に私の記憶に鮮明に残っているお話があります。その一

つが松下幸之助さんが80歳の時に話されたことです。

「仕事は自分で会得しなければいけない。人の話を参考にするのはいいが、しかし、本当に身につけるには自分で

体験して悟るしかない。あなたはあなたの生き方、私は私の生き方というものがあっていい。しかし、他人の考え方

に同化するということは危ない。自分をしっかりとつかんでいないといけない」と。

もう一つのお話は、日本人の精神についてです。

「日本は戦後30年は高度成長により経済が発展してきた。それは外国の援助というもので発展したわけです。

戦争に負けたその日から技術は教えてあげましょう、食べ物も援助してあげましょう、政治の方も教えましょうと、そ

ういう結構な戦争の負け方などない。そこにそもそも甘えがあったわけです。日本人が培ってきた日本の精神を

失ってしまったのです。その甘えがつもりつもって、今日、そのつけを支払わなければならないのです。物資は豊か

になりましたが精神は貧困です。戦後30年にしてようやく日本は精神的に敗北したのです。ここらで精神復興しな

ければならないのです。精神復興、即、それが本当の日本の復興です」。

松下幸之助さんが日本人の精神の貧困を危惧して70年です。果たして日本の古来から積み重ねてきた精神は

復興されたでしょうか?松下幸之助さんがご存命なら、今の日本人の行動をどう見ているのでしょうか?

一方、企業人はどのような育成をされているでしょうか? IQ(知能指数)知識、スキルの育成に力を入れ、企業

人に大切なEQ(心の指数)、考え方、創造力、意欲、忍耐力、熱意、勇気、信念、責任感、協調性、行動力、品

格、人柄、気づかい、思いやりなどの育成にはおろそかになりがちのようです。

ここで、商人の原点とはなにかを"謙虚に反省"し、"素直"な心で学び直す時ではないでしょう?

【プロフィール】

経歴:1957年松下電工株式会社(現 パナソニック)入社宣伝、広報、人事業務を担当幸之助創業者の右腕として松下電工の社長を務めた丹羽正治に帯同し、日常の何気ない会話や行動から“人材育成の本質”を学ぶ。また、普通では知りえない幸之助の考え方や人柄について教示される。現在、講演会の講師として活躍中。

現 パナソニック ライフソリューションズ創研 特別講師

浅水 肇

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2015.06作成 2019.04更新

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物をつくる前に人をつくる創研eyes人材育成

講師名:中ノ森 哲朗

【プロフィール】

経歴:1972年松下電工株式会社(現 パナソニック)入社本社部門・住設建材部門にてデザイン、商品開発担当し住建購買・海外開発部長を務める現 パナソニック ライフソリューションズ創研 特別上席コンサルタント

コンサル:国内海外の物づくり改革コンサル 研修:購買担当者の交渉力著書 :これだけは知っておきたい「調達・購買の基礎」オーム社 共著

中ノ森 哲朗

「物をつくる前に人をつくる」という松下精神を引き継いでいる創研は、様々な支援先で信頼を得ています。

営業開発で創研の紹介をする際には、経営者に、必ずその精神を説明します。従業員がスキルを向上させることや仕事のやりがいを持つことで、現状設備でも大きな改善を実現する事ができることをご理解頂き、支援に繋げるようにしています。いくつか、具体例をご紹介いたします。

ある会社では、社長は社員のもの作りの意識を向上させるために支援を決心されました。しかし年配の幹部は懐疑的な中で支援がスタートしました。

6ヵ月後の発表会では、当初見られなかった活発な発表と積極的な改善が実現できており、社長自身が望んでいた方向に社員が変化したと感謝いただきました。

その後、半年間自走していただき、定着できているかを観察しました。次の打合せをした際に社長から、懐疑的な幹部から「 近社員の行動が変わったな」と言われ、さらに改革への気持ちが強まったと喜びのお話をいただきました。

別の事例です。

福岡県の大川地区は家具の町として業界では有名で、約150社の家具工場があります。その大川地区で「物づくり改革のセミナー」を開催し、幾つかのお会社で改革の支援をさせていただいております。

春と秋に開催される大川市を上げての木工祭りのテレビCMで支援先の会社の家具生産工程のもの作りをPRする内容が取り上げられました。

この会社の支援は社長の思いを従業員が理解し、それぞれの工程を見直し、全員参加の改革と従業員のスキル向上で成果につながった会社です。社長は、さらなる改革への強い思いををお持ちで、私もさらなるご支援ができればと思っています。

また、国内だけでなく海外でも創研の改革改善の支援を待っている会社が多くあります。

海外の会社はワーカーの定着と生産性、コストダウンなどで苦戦されています。マネージャークラスの教育で仕事に対する動機付けや物づくりの重要なポイントなどのスキルを習得し、ワーカーへの指導も明確にできる会社が成長しています。「物をつくる前に人をつくる」の精神は海外でも共通です。

現場密着型のコンサルや研修を通じて、今後も様々なお会社への支援をしていきたいと考えています。

~いま求められる現場実践型人材育成~15

2015.05作成 2019.04更新

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事業活動における「買う」を考える創研eyes経営全般

講師名:中尾 晃一

【プロフィール】

経歴:1975年松下電工株式会社(現 パナソニック)入社。電子回路応用機器の開発・設計、製造技術、製造にかかわる調整・検査設備の開発・設計、商品開発部門のマネジメントに携わる。ISO国際技術規格の国内ワーキングメンバーとして技術規格案検討、国際会議参加。火災報知機工業会およびガス警報機工業会での技術委員として業界共通新規技術基準制定。旧 松下電工株式会社の連結製造子会社 代表取締役を務める。全社調達戦略の企画・推進、調達職務人材に対する教育育成体系および具体施策の企画・推進を担当。

2012年より、現 パナソニック ライフソリューションズ創研 上席講師として活躍中。2014年、創研調達管理チームの共著として「これだけは知っておきたい 調達・購買の基礎」(オーム社)を出版。担当研修:原価管理概論、量産原価管理の基本、他

中尾 晃一

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調達・購買分野の研修講師をメインに、早くも6年を越えて、創研での活動を続けてきました。この間の率直な感想としては、調達・購買業務に対する認知度と重要度の認識がまだまだとの想いを強く感じています。

かく言う私自身も、商品設計・製造技術・製造を職務担当していた頃は、必要とするモノが欲しいタイミングにあって当たり前だと思っていて、そのための苦労と努力がいかほどのものかなど全くわかっていなかったのが実状です。

また、どこから購入するのかについても、自らの利便性を優先させた主張がほとんどで、予断を排し本気の複数比較を徹底して決定することは非常に稀なことでした。

◆個人生活における「買う」ここで、個人生活における「買う」を一度振り返ってみてください。 生活必需品や食材・食生活関連品については、どこが安いのかを日々見極めながら「買う」ということを行っていませんか?様々な家電製品についても、価格比較とともにアフターサービス視点も加味してどこから「買う」のかを決めているのではないでしょうか?(ネットでの購入も含む)もっと高額なモノ(自動車、住宅など)の場合は、しっかりと見積りを取り、交渉を何度も繰り返して本当に欲しいモノを納得いく形で「買う」のではないでしょうか?

◆事業活動における基本要素次に事業活動に視点を移して、すべての事業活動を支えているのが「何」であるのかを考えてみてください。よく言われるように、「ヒト」「モノ」「カネ」に「情報」を加えた4つの要素が挙げられます。 ここで着目いただきたいのが、「モノ」と「カネ」です。製造業で例示するなら、原材料がなければ生産活動が始まりませんし、自社外からの様々な部材も必要です。作業工具がなければ加工ができず、パソコンやコピー用紙・ボールペンがなければ管理的な業務もできないのが実態です。すなわち、「カネ」を使い自社外から「モノ」を「買う」ということが的確に行われなければ事業活動はマヒしてしまうのです。

◆重要要素としての「買う」まず、「買う」に際して「カネ」の使い方を誤れば事業経営に大きな影響を与えます。さらには、何処から「買う」のかを誤れば、事業活動がストップしてしまうことも顧客や社会に損害を与えることも起こりうるのです。

加えて認識いただきたいのが、事業活動を構成する全ての職務に「買う」が付随することです。 単に生産用部材や販売用製品などを直接購入する職務だけではなく、それ以外の職務を全うするに際しても必要となるモノの購入(「買う」)が必ず発生しているのです。すなわち、事業活動を担う全ての「ヒト」にとって、「買う」は他人事ではなく自らの職務につながる重要な要素であることを認識することが大切なのです。

特に、経営トップや部門・部署責任者にこの重要度認識を持っていただき、活動実態の見直しと人材育成をすすめることで事業成果の拡大を実現することが必要だと考えます。

◆事業活動に貢献する「買う」の具体化具体化に際しては、「買う」に関連する情報を正しく把握し、詳細に分析し、将来を考えどう対応するかを見極めることが重要で、成り行きまかせでは事業貢献には程遠いものになってしまいます。≪事業活動において必要な「モノ」を「買う」≫行為について、どのような考え方と対処の仕方で具体化すればよいかを体系的に学ぶため、創研では『新しい研修体系』を作り上げました。 全ての研修を受講するスタイルだけではなく、自社の実態を踏まえて必要な研修を選択受講するスタイルや自社の実態・ニーズにあった形に研修要素を組み合わせて活用するスタイルなど、様々な形での学びが可能になる研修体系です。

事業貢献できる「買う」を具体化できる人材の育成に際して、必要とされる知識・スキル・課題対応力(実践力)を身につけるための有効手段として、この研修体系を役立てていただけることを期待しております。

購入品の調達・購買管理の16研修 「これだけは知っておきたい 調達・購買の基礎」(オーム社)

2018.11作成 2019.04更新

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三拍子揃っていた幸之助創業者のOJT創研eyes経営全般

講師名:尾崎 高広

【プロフィール】

経歴:1980年防衛大学校 航空要員 国際関係論卒業後、松下政経塾へ第1期生として入塾。5年間在塾。松下幸之助創業者が85~90歳の間に直接薫陶を受ける。1985年松下政経塾卒業後、松下電工株式会社(現 パナソニック)に入社。首都圏で営業経験を経て、人材・能力開発部の経営理念主管講師を担当。2017年より、現 パナソニック ライフソリューションズ創研にて経営理念研修講師として活躍中。

尾崎 高広

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私は創業者が85歳~90歳の5年間、松下政経塾で直接ご指導を頂くという貴重な機会に恵まれました。そこでは本当に沢山のことを学ばせて頂きましたが、今年はパナソニックグループの創業100周年にあたりますので、創業者の我々塾生に対するご指導の姿勢についてご紹介したいと思います。

まず創業者は、人の話を聞くのが本当に上手な方でした。普通の人よりもかなり大きな耳を傾けながら「そうか、なるほどなあ、君の言うことはもっともやなあ」と真剣に我々の話を聞いてくれました。その際、途中で話を遮るようなことは一度もありませんでした。そして一通り話を聞かれた後「けどな、こういう見方、考え方もあるんとちがうか?」と必ず適切且つ本質を突いたアドバイスをしてくれました。

次に人を褒めるのが非常にうまい方でした。創業者は、我々若い塾生一人一人の性格や個性を十分に掴んでおられ、その持ち味をできるだけ引き出すように、絶妙のタイミングで指摘や助言をされ、 後は「なかなかいいことに気づいたやないか!」「君ならできるで!」とほめてくれました。この力強い言葉に我々塾生は大変勇気づけられました。

そして創業者は叱るのも大変うまい方でした。一人の経営者、人間として明確な判断軸や哲学・思想を持っておられましたので、そこから外れたような言動や態度に対しては、まさにピシャリと厳しい発言やご指導をなされました。「猫に小判とは君らのようなのを言うんや!」とか「政経塾は、こういう人材をつくるところや!」など、真剣勝負のOJTの場面では、本当に怖いと思うような方でありましたが、その根底に流れる人間的な温かさも併せて感じられるようなご指導であったと思います。

要は、まさに「聞き上手」「褒め上手」「叱り上手」の三拍子揃った名人だったと思います。役職者や先輩として部下や後輩に指導する上で、これほどの「お手本」はないと、今でも確信しています。その真実のお姿をこれからも多くの方に伝えていきたいと思います。

2018.06作成 2019.04更新

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「リスクマネジメント」は遠くて身近なもの創研eyes経営全般

講師名:中本 孝徳

【プロフィール】

経歴:1978年松下電工株式会社(現 パナソニック)入社設計支援システム開発、エンジニアリング事業企画部長、開発営業部長、リスクマネジメント室長など歴任現 パナソニック ライフソリューションズ創研 上席コンサルタント企業危機管理士、日本リスクマネジメント学会等会員

【実績】BCP作成支援、CSR普及、リスクマネジメント構築支援、エンジニアリング事業企画・会社設立、特機営業顧客開発等

中本 孝徳

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「リスクマネジメント」は遠くて身近なもの「皆さん、リスクやリスクマネジメントとは一体何なのでしょうか?」

私の研修はいつもこの言葉からスタートします。受講生の方々は会社経営幹部、責任者、一般社員に関わらず、会社業務の一環として受講されているわけですから、当然、企業経営に繋がるよう頭の中で考え、整理しようとなされます。実際、今までは何となく分かっているようで、いざ尋ねられたら実は適当な答えが見つからない、日常の業務とは無縁のもの、というのが現実のようです。

■リスクマネジメントを日常生活で考えてみるリスクマネジメントについては、世の中には既に様々な専門分野での文献、マスコミ報道などが溢れ、それぞれ深堀りされた多彩な解

釈なり説明がなされています。元々、リスクマネジメントは経営学の分野において進化してきた考え方ですので、当然、企業経営に関わる内容に関連付けられています。しかしながら、ここでまずは「リスクマネジメント」を身近なものとして感じるために、「公」の企業経営ではなく、「私」の日常生活(家庭生活)について考えてみましょう。日常会話では、リスクとかリスクマネジメントなどというフレーズは殆ど出てきませんが、次のような場面はよく経験することです。(1)インフルエンザの季節になると「インフルエンザにかかる」というリスクを避けようとして、「予防接種を受ける」というリスクマネジメントを

実践します。(2)自動車を運転する場合、体調が悪い時や睡眠不足の時、「交通事故」というリスクを避けようとして、「運転を取り止める」というリスク

マネジメントを実践します。(3)外出の際、雨模様の天気予報を見て「雨に濡れる」というリスクを避けるために「傘を持参する」というリスクマネジメントを実践します。(4)そしてどうしても避けられない場合の損失被害を想定して、その補填のために医療関連保険、自動車関連保険などの「保険を掛け

る」というリスクマネジメントを実践します。このように日常生活において人は無意識に、想定されるリスクを避けようとして何らかのリスクマネジメントを実践しているわけです。

■企業経営におけるリスクマネジメントこれを企業経営や業務に置き換えてみましょう。

企業は今、言うまでもなく実に様々なリスクに直面しています。【図1】に示すように、自然災害・事故による人命・財産の喪失リスク、政治・経済・社会情勢に影響されるリスク、ビジネスに関わるリスク、業務上発生するリスクなどです。これらのリスクは普段気がつかない潜在的なものもあれば、以前とは違う形で発生するもの、そして繰り返し発生するものなど多彩です。しかしながら、これらのリスクに対して日常生活上のように無意識で対応するにはさすがに難しいですが、かと言って何も手を打たず、放っておくと後々企業にとって重大なインシデント(究極は倒産など)の発生を招いてしまいます。そこで企業では、【図2】に示すようなリスクマネジメントサイクルを回

してリスクへの対処を図ることになります。これは平常時にリスクマネジメントとして、このサイクルを繰り返し継続的に回していく活動です。 特に、"リスクアセスメント"を通じて「企業・事業の屋台骨を揺るがす重大なリスクは何か?」を明確にした上で、そのリスクに対する も効果的な対策を選択し、実施することにより、事業目的の達成に結び付けていくよう継続的にモニタリングすることが重要です。昨今、"リスクアセスメント"は内部統制上も欠くことのできない必須事項となっています。

これらを実践することにより、 小のコストでリスクの発生そのものを抑制する、またはリスク発生時の被害や影響を 小限に抑制することが可能になるわけです。

■「リスク」を「クスリ」に後に、「リスク」とはイタリア語でリジカーレという語源に由来し、「切

立った断崖の間を航行する」、「勇気をもって試みる」という非常に挑戦的な意味をもつ言葉だそうです。 つまりリスクマネジメントは、これからの企業経営についての岐路に遭遇した時、取るべき選択や決断を意味するものと考えられます。 会社経営幹部、責任者、一般社員など立場々に応じた選択と決断を実践することにより、「リスク」を「クスリ」にして的確な企業経営の舵取りをされることを望んでやみません。

【図1】

【図2】

2018.05作成 2019.04更新

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会社が変わるということ創研eyes経営全般

講師名:安達 健一

【プロフィール】

経歴:1962年松下電工株式会社(現 パナソニック)に入社本社研究部/電器事業(彦根工場)部門に在籍。家電商品開発を20年担当の後、生産技術・製造部門を経て、1999年から旧 名古屋松下電工株式会社 代表取締役を務める。。2003年より現 パナソニック ライフソリューションズ創研で「事業方針管理・商品技術開発・製造改革」などのコンサルティングに携わる。

安達 健一

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「安達さん、会社を変えたいのです 」コンサル活動のヒアリングで良く聞く言葉です。「儲かる会社にしたい 」「お客様に喜ばれる会社にしたい 」など到達表現は違っても、今の会社をもっと進化させたいと願う、経営者が多いことは「改革こそ継続の始まり」を信奉する私には嬉しいかぎりです。

私は、そのような前向きなご相談に「会社を変えたいなら商品を変えていきましょう」と提案しています。企業価値は商品価値と直結するものです。 会社が変わるということは、商品が良い方向に変わっていくことにほかなりません。会社の売上は、商品売上が唯一の要素です。意外とこのことに気付かず、商品価値向上を忘れ拡販策を練っている企業も多くありません。

商品価値とは自社都合でない「お客様目線」から高まります。このことを反映した商品の変化は、必ず会社を良い方向に変えます。優良企業は見えるところ、見えないところで日々商品を進化させています。

重ねて言いますが 、商品が変わらないのに会社が変わることはありません。会社の仕組みを「商品価値向上ファースト」に切り替えませんか。開発を担当する技術は当然ですが、製造も販売も人事も経理も、すべての仕組みを「商品価値向上ファースト」にする。多分その活動が貴方の会社を見違えるように活性化するはずです。

2017.06作成 2019.04更新

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マイナンバー制度と情報セキュリティの本質創研eyes経営全般

講師名:薮 貞男

マイナンバー制度は、行政の効率化、国民の利便性、公平・公正な社会を実現する社会の実現のためですが、民間事業者からは、取扱いが分からないとの声を聞きます。そして、民間事業者には、厳重に管理することを要請されています。政府の安全管理措置を確認すると、情報セキュリティとして考える内容であることがわかります。

企業にとって大切なものとしてヒト・モノ・カネ・情報と言われていますが、情報は、よく分からないと感じているのではないでしょうか。この理由として、ヒト・モノ・カネには実体がありますが、情報は様々な形態で実体がわからないからと考えています。すなわち、情報は、紙面に記載された情報、試作品のような外観などの情報、電子媒体に保存されている情報、人に記憶されている情報のように色々なものの中で存在しています。したがって、情報を保護することは、情報のある媒体を保護することになります。

【プロフィール】

経歴:1976年松下電工株式会社(現 パナソニック)入社技術開発、情報セキュリティ事務局などの業務に従事2013年より上席コンサルタントとして、情報セキュリティマネジメントシステム、事業継続マネジメントシステムの導入支援、研修、コンサルを担当【主な資格】ISO審査員補(情報セキュリティ、事業継続)、企業危機管理士(日本リスクマネジメント学会認定)

薮 貞男

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情報は、①取得・創造、②活用・利用、③保管、④廃棄のどこかのステージにありますが、ステージに合った保護をすることが大切です。しかし、企業の状況によって、情報漏洩、紛失のリスクが違っていますので、このリスクを考慮して、保護の手順を作ることが必要になってきます。情報を保護するときに基本となるのは、人の介在を 小限(情報の取扱者を限定など)にするとともに、情報の移動空間を 小限(鍵をかけた部屋に置くこと等)にすることと考えています。インターネットで、情報が飛び回る時代ですから、そのために、アクセス制限を設定するなど情報の移動回路を制限することが情報の移動空間を 小限にすることになります。

本来、情報は人・企業に利用されて、初めて、利益などの価値を生み出すものです。しかしながら、悪用された場合には、信頼を失墜し、金銭を搾取されたりして、情報を保有している人・企業は大きな損失を被ることになります。マイナンバー制度の目的のためには、企業が、従業員の個人情報を保護することが必要となります。そして、マイナンバーでとどまらず、この情報保護のノウハウを企業活動に活かすことが、たくましい企業づくりではないでしょうか。

2015.12作成 2019.04更新

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企業OBコンサルタント・講師の意義と使命創研eyes経営全般

講師名:廣野 稔

創研という会社で、OBとしてコンサルタント、講師の仕事をして12年が経ちました。近、社内でもOBになってからコンサルタント、講師の仕事に就きたいという人が増えています。結構なことだと思います。

ただし、自分は専門職として仕事を極めてきたからとか、管理職として幹部管理職だったからとかの理由で、この仕事ができると思うと失敗する可能性があります。企業OBという冠言葉の意味を考えて、コンサルタント、講師との関係を述べてみたいと思います。

【プロフィール】

経歴:1967年松下電工株式会社(現 パナソニック)入社生産技術、商品開発を経て、国内工場、海外製造会社、連結会社の経営者を務める専門分野は、経理管理・工場運営・生産技術・財務分析・海外企業経営と多岐にわたる現 パナソニック ライフソリューションズ創研 特別上席コンサルタント

現在は、経営管理マネジメントシステム・財務分析他、中国・台湾・タイなどの製造会社でコンサル、研修に従事「情熱」と「忍耐」がモットー

廣野 稔

(Ⅰ)企業OBコンサルタント・講師の意義と使命

(Ⅱ)事例として「私のコンサルタント・講師の歩み」の紹介

1.企業OBの現役時代とは企業で、現役社員として働き、定年を迎えた人を指します。現役社員のときは、大抵の人は定年後コンサルタント。講師をしようと思って仕事している人は稀です。それぞれのポストで、その仕事を精一杯している人が大半です。この精一杯仕事をしたということが大切な前提です。但し、このOBの仕事のキャリア・経験は、本にたとえれば目次が書きにくいものになっています。現役時代の仕事は、本を書くように整然と整理されたものではないからです。2.企業OBの経験は貴重である企業が永遠に存続するには常に新しいことに挑戦することが基本です。現役社員が仕事を頑張る中で、足元を照らす灯りがあればと思います。その1つが、OBの経験です。 この経験はたな卸しをして、整理整頓をしておきます。この整理された経験を現役社員に伝承することができればと思います。3.伝承には準備が必要である現役のときは、部下指導のなかでOJTという言葉のもとで伝承行為をしてきました。これは、その都度行われ、断片的といわれても仕方がない側面があります。しかし、OBコンサルタント・講師として仕事をするときは、この混沌とした状態ではうまくいきません。コンサルタント・講師として伝承するには準備が必要です。4.コンサルタント・講師をするときは目的・テーマがあるコンサルタント・講師をするときは目的とテーマがあります。この目的とテーマに対して起承転結をまとめます。このまとめの中に、自らの経験をちりばめます。この経験のちりばめが後輩に対して印象を強めます。これが企業OBのコンサルタント・講師の付加価値です。

つまり、企業OBのコンサルタント・講師は自らの経験を整理・整頓し、それを現役社員に筋道を通して分かりやすく伝承するという意義と使命があります。また、伝承は単に経験を伝えることでなく、新たなものを生み出すことを重視します。(決して、自分の成功談、自慢話をしないという戒めも忘れてはいけません。)

現在、パナソニック ライフソリューションズ創研は約200名のOBコンサルタント・講師が活動を行っています。この松明の灯がいつまでも続き、現役の皆様の役にたつことを強く願っています。

1.私のキャリア私は当時の松下電工(現 パナソニック)に入社し、工場配属になり生産技術担当としてスタートしました。その後、工場の事務以外の部門をすべて担当させてもらい、工場長として工場経営でそれらの集大成をさせていただきました。海外での会社立ち上げに参画するチャンスをいただき、その後子会社の役員を経験いたしました。2.キャリアから得た経験38年間のキャリアから得た経験大きく分けると3つに分かれます。

1 コンセプチュアル系の経験2 ヒューマンリレーション系の経験3 テクニカル系の経験

(詳細は省略します)3.コンサルタント・研修市場でニーズのある分野から整理・整頓私の場合、テクニカル系の「原価管理」を研修テーマとしてスタートしました。このテーマは私の生産技術者、商品開発、工場長、社長としてのキャリアにいつもついて回っていたテーマでした。これは合理化、VE、原価構築とその幅は広がり、深さも原価計算から、原価層別人材育成まで広がっていきました。次は「品質管理」です。バラツキを無くして不良を無くすという個別テーマ解決から品質システムまで幅が広がり、 終は人質を高めるという領域までテーマは及びました。つまり、経験の整理・整頓は現役時代の経験が芋づる式につながり、ネットワーク化していきます。4.方針管理で会社全体をまとめる組織力は簡単に強くなりません。トップ方針も社内になかなか行き渡りません。やはり、セオリー通りのビジョン、戦略、人を動かすという経営管理が必要です。それを動かすリーダーの存在も欠かせません。5.これらをニーズに合わせ、コンサルタント・研修として提供しますコンサルタント、研修のときは当然経験以外の領域に活動、話が及びます。これは、よく理解し自分の言葉で語れるまで昇華することが求められます。6.「昔の名前で出ています」は現役の邪魔になる現場は変わっています。現在どうなっているかを謙虚に受け止め、現状を現役社員と共有化することが大切です。決して、「昔」を押し付けてはいけません。

(Ⅲ)会社の無形の財産の1つはOBの経験

会社には有形の財産は多くあり、それらは財務的にも管理されています。しかし、無形のものは意外に放置されています。また、観念的な対応が多いようです。しかし、創研には理念を明確にし、組織化し、人を配置し、現場でOBが貢献する姿を見ることができます。私もこの12年間で延べ1万人強の若い社員に対して、コンサルタント、研修を通じて経験の伝承できたの創研というビジネスモデルのおかげです。

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2015.05作成 2019.04更新

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創研eyes製造全般

講師名:谷口 修二

工場の中を見渡すと、"安全第一"との表示に出会うことが多いと思います。この言葉の発祥についてご存じでしょうか?

これは、世界有数の鉄鋼メーカーであった米国のUSスチール社のゲーリー社長が1906年に会社の経営方針として掲げたものです。彼は敬虔なクリスチャンでしたが、労働者だけが災害に遭うというのはおかしいと言うことで①生産第一 ②品質第二 ③安全第三としました。

ところがその年はいずれも悲惨な結果に終わったようで、それではということで①安全第一 ②品質第二 ③生産第三と変更しました。

翌年の変更は嘘みたいな話ですが、この経営方針を掲げたことは大成功となりました。そのことがその後口コミで世界中に広がり現在に至っています。

厚労省の平成27年度データによると、日本では労災保険に加入されている企業での労災は次のような状況です。・死亡災害 972人・休業4日以上の死傷災害 116,311人

これを何とか減少させようと各社努力を行っていますが、現在はやや横ばいの状態です。災害が1件発生しますと、直接費用を1とすると、間接費用は4倍必要だと言われています。しかし、このように安全衛生活動は一朝一夕には向上しないのが実状です。

一方で、世間には労働災害がほとんど発生していない企業も存在します。なぜなのでしょうか?安全衛生活動に対して、社長、安全衛生活動のトップが熱心に行動し、バックアップしていくことが活動を成功へ導く大きな鍵であることは間違いありません。

しかし、もう1つ大切な欠かせないことがあるのではありませんか?それは職場のコミュニケーションを良くすることだと思います。長年の経験からこのことがポイントだと痛感しています。

創研においては活動の要素である・危険予知活動の進め方・リスクアセスメント活動の推進・マネジメントシステムの構築を中心に支援させて頂いております。

儲かる安全衛生活動を目指すために、活動を進められる際には、是非とも創研にご相談をお願いいたします。

【プロフィール】

谷口 修二

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経歴:1965年松下電工株式会社(現 パナソニック)に入社。工務部(後の生産技術研究所)にて機械設備の設計業務を担当。その後、総合技術研究所にて工法開発を担当。生産技術研究所を経て、現 パナソニック ライフソリューションズ創研に転籍。定年退職後もパナソニック ライフソリューションズ創研 特別上席コンサルタントとして工程改善、安全衛生、省エネ技術を担当し、現在に至る。他、精密機械加工も得意分野としている。

"安全衛生活動"について思うこと

2017.04作成 2019.04更新

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組立自動化への取り組みと課題創研eyes製造全般

講師名:黒崎 昭雄

2003年から現在まで13年間、創研にて現場改善の研修、コンサルの業務をさせて頂いています。近中国の電機部品の組立をしている民間中企業の現場改善支援を実施しました。その過程で感じたことを紹介

させて頂きます。

■現場の組立自動化への取り組み状況中国の製造現場では、人件費の高騰(約10%)により昨今、自動化が積極的に行われています。省人化による解雇問題は毎年約20%の自然退職者もあり、あまり心配されていません。 近はロボットや設備の機構部品等は安価に入手できるようになり、人手作業の自動化がどんどん推進されています。ネジ締め、半田付け、接着、ラベル貼り等の部分自動化です。しかし、それらの設備は"チョコトラ(ちょこっとトラブル)"も多く、5分程度の間隔で故障する設備も多く散見されます。主な原因は部品供給、位置決めの不備による挿入、ネジ締めミス等が目立ちます。自社開発された設備で信頼性の配慮が少し不足しています。サプライヤーの部品不良等でも苦労されており、オペレーターがトラブル復旧しながら生産している状況です。それでも従来の人手組ラインに比べると、省人化で生産性は大幅にアップしています。

■「線」の自動化は今後の課題経営者の方は組立の「点」の自動化から「線」の自動化、源泉工程と直結し、仕掛り在庫の大幅削減を早くしたいという思いがあります。しかし少し時間が掛かりそうです。私は、部分自動化設備の"チョコトラ"対策、不良削減が先決課題と感じています。また、大手の顧客の商品といっても対象商品寿命は数年しかないので、投資効果を考えると全工程を直結した「線」の自動化よりも、人とロボット、設備が調和したセルラインでタクトタイム生産が 適ではと思っています。

■製造技術者の育成と定着化への支援ベテランの設備設計者が会社を辞めることも日常茶飯事です。会社への帰属意識を持たせる考慮が必要だと感じます。私が支援している会社では、日本の顧客先の工場見学(予備日は観光)等で 新のモノ作り現場を直に見せることも実施し、見学後は朝会で何を学んで、どの様に活かすか?等を発表するといった取り組みをされています。当社の工場も見学いただいています。彼らは自分が苦労している設備の機構等はスケッチしたり、びっくりするほどノウハウの吸収意欲は旺盛です。多少の失敗はあっても、新しい技術情報を吸収してそれを活用し実践させてやることも励みになり、社員の定着化の一つになっています。また、利益の十数%を社員の賞与支給に当てることが多く、若い人は高賃金と自分がこの会社で伸びる余地があるかが定着化の鍵のようです。

製造技術メンバーは休日出勤、残業で大変ですが、メンバーの目は輝いています。ムダ取り改善と自動化推進を自社の力で手を汚しながら一生懸命に取り組んでいるメンバーと一緒になって、今後も現場リーダー、製造技術者の育成と生産性アップで工場の利益確保に貢献していきたいと思います。

【プロフィール】

黒崎 昭雄

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経歴:1968年松下電工株式会社(現 パナソニック)入社。冶工具設備開発、実装機・ロボット組立ライン導入等の生産技術業務に従事。台湾では工場管理。その後、現 パナソニック ライフソリューションズ創研にて研修、コンサル支援に携わる。国内及び中国・台湾など海外で「ムダ取り」「セル生産」「生産保全」「5S」による生産性改善、在庫削減、設備保全、品質改善などの現場改善の研修コンサル支援で活躍中。

~中国の製造の現場改善支援から感じたこと~

2017.02作成 2019.04更新

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プロとアマ創研eyes製造全般

講師名:柴 五郎

工場改善支援のために、岐阜県可児市の日本ライン今渡駅に降り立ちました。20年前のことです。

待合せ時刻までにまだ時間があるので、喫茶店に入り時間調整をすることにしました。コーヒーをすすりながらふと壁を見ると、そこに 「プロとアマの違い」 と書いたポスターが懸かっておりました。私はそれを読んで本当に衝撃を受けました。

生産技術部門や製造工場部門で永く勤務したあと、コンサルティングセンターという部門で新しい仕事をすることになり、ファイトだけは負けないものの、不安と迷いを抱えた毎日でした。ちょうどその時期、このポスターに出会ったのです。

仕事を効率的に進めるためには、集団が組織的に動くことが必要ですが、その組織に守られ始めると、考えがアマ的に逆戻りする恐さが出てきます。例えば、"やってみる前に「それは出来ない」"とか、"前例主義"に走るとか、とにかく殻にこもりたがる傾向があるように思います。

セネカの言葉に「癒ろうと欲することが治療の一部である」(病気に逃げこんでいる人は「癒ろうと欲」しない)という言葉があります。工場の改善活動においては、人の意識改革がすべてのPhaseで必要となってきます。この工場を良くしようと欲する気持ちがないところでは改善は進みません。

"シナリオを確り描き、出来る方法を編み出し、成功するまで努力する" をモットーとして、これからも、工場で課題を抱えて「何とかしたい」と日々取組んでおられる国内外の工場の皆さんや、立派な製造マン・製造ウーマンとして成長が期待されている皆さん達と、もっと強いスクラムを組んで、より一層改善活動を進めて行きたいと思っています。

【プロフィール】

柴 五郎

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経歴:1957年松下電工株式会社(現 パナソニック)入社建材工場製造ラインの設計、生産技術、品質管理を主に担当。1999年より、現 パナソニック ライフソリューションズ創研でコンサルタトとして従事。木工加工設備、セル生産システム、自動化ライン設計、工程改善、設備管理などを得意とし、支援会社数は海外含め、これまで60社を超える。現在も特別上席コンサルタントとして、50数年にわたる「ものづくり工場」の設計・建設から、生産活動までの色々な経験を踏まえ、「今、工場で困っていること」を“現場改善”と“ものづくり技術”両面からサポートを継続中。

2016.10作成 2019.04更新

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海外(中国)の製造現場の現状と感じること創研eyes製造全般

講師名:松尾 正一

現役時代から海外の工場とは色んな場面でお付き合いさせていただき、それなりに理解していたつもりでしたが、上席として、ここ 近3年間、実際にコンサルという立場で現場のリーダーや責任者とお付き合いさせていただくと、今まで感じていたイメージと違うところがかなりありました。今回、その中から特に強く感じた3点についてご紹介したいと思います。

① 技術情報の収集力の高さについてまず 初にびっくりさせられたのは、現場リーダー(日本での職・班長)の新技術、新情報の収集力の高さです。彼

らは常にタブレットを小脇に抱えて仕事しており、私たちと話をするときは現場でも即座にタブレットを使い、この様な設備が日本のこのメーカーにあるということを検索して写真まで出してミーティングします。この技術収集力は日本のリーダーよりはるかに高いと思います。

但し、彼らの弱点はその情報が耳学問を高めるまでに留まっており、その設備を実際に見たり使ったりしたことがないので、この場面でこの設備が使えるかといった話に掘り下げていくと停滞してしまいます。

しかしながら、彼らに実際に使われている動画などを提供してあげると、食い入るように視聴し、ノウハウを吸収しようという姿勢にはびっくりさせられます。この弱点を補うために何らかの形で体験を積んでいったら日本のリーダーにとっては脅威になるかと思います。

【プロフィール】

松尾 正一

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経歴:1969年松下電工株式会社(現 パナソニック)入社生産技術部にて自動化生産設備や検査設備開発に約20年従事。その後、照明部門にて製造部門を担当。工場長として工場運営に携わった後、ものづくり・購買の責任者も歴任

現在、パナソニック ライフソリューションズ創研 特別上席コンサルタントとして、国内外で活動中

② 品質保証についての考え方ここ 近まで海外商品(特に中国)は「安かろう、悪かろう」

が代名詞みたいに言われてきましたが、かなり変わってきているのが実情です。もちろん、今でも一部の会社・工場ではこのことが蔓延していますが、大手企業(輸出などしている企業)では低品質な商品をお客様に届けてはいけないという意識がかなり高まっており、日本より厳しい品質基準の場面も見受けられます。

一方、日本と根本的に違う品質保証のあり方は、日本では各生産工程で品質を確保するというプロセス重視ですが、中国では 終的に不良品を出さなければ良いという出荷検査重視のスタイルです。

③ スキルズアップについて自分で勉強したり、経験したことを部下や後輩に教えることをしない傾向が強いと言われていますが、今回コンサ

ルを実施して改めてしみじみと感じました。何度かミーティングの中でスキルズアップや小集団活動を職場共通の財産にすることが、会社のためになり、しいては皆さんのために返ってくるという会社帰属意識からの話をしましたが、この点は現段階において、全く妥協点が見出せないのが実情です。各個人がスキルズアップを継続するのは大切なことですが、特に技能伝承などは業務としてマニュアル化などに取り組んでいくことが必要だと感じています。

以上①~③のように日本人とかなり考え方の違っている部分はありますが、真剣に仕事に取り組む姿勢は持っていますので、今後も現場の中に入り彼らと同じ目線で少しずつでもギャップを縮めていきたいと思います。

従って、日本流の「1工程1チェック」という考え方は皆無といっても過言ではありません。その代わり出荷前の検査に、多くの労力と時間をかけて全数エージングなどをやっています。日本流の取り組みの良さを説明しても中々理解してもらえません。その背景には、製造工程での付加価値が非常に少ない商品が多いので、各工程で多額の検査設備投資と労力をかけるより出荷検査だけに特化したほうが投資効率が良いという考え方があります。このことについては、かなり議論が必要と感じています。

2016.02作成 2019.04更新

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省エネについて、垣間見た各国事情創研eyes製造全般

講師名:箕浦 秀樹

省エネに関する支援業務で、いくつかの海外の国を訪れる機会を得ましたが、その傍らで見聞したことを少し紹介

したいと思います。私の限られた範囲・知識の主観的なものの見方であることをお断りしつつも、同様の事例が今の

日本でも見られることもあり、省エネ先進国としておごらずに他山の石にせねばと考えています。

初は、中央アジアのカザフスタンです。冬場-30℃を下回る現地では、温水供給による地域暖房が生命線で

すが、旧ソ連時代の計画経済の流れで、気温におかまいなしで、カレンダー優先で温水供給が行われていました。

暖房費用は、使う使わないに関係なく床面積で一元的に決まるシステムですので、誰もバルブを絞ろうとはしていま

せんでした。

インドにおいては、我々外国人からは真底は判りませんが、カースト制度がいろいろな場面でかなり影響しているよ

うです。細分化された身分制度と職務内容が一致しているために、省エネに限らず、1つの用件がなかなか1人の

人で完結しません。偏見かもしれませんが、皆自分の担当業務ではないといったような顔つきと態度に見えました。

タイでは、誇り高くふるまう国民性が表に出やすく、なかなか本音レベルに到達しません。省エネの手法や技術に

ついては十分に知っていると言いながら、実際の運用管理面では過剰な冷房温度設定がなされているなど、知行

不一致のケースが多々ありました。

後は中国です。世界 大のCO2排出国でありながら、環境よりも経済優先とのイメージを今まで持っていました。

しかし、行政側からの省エネの圧力の高まりと、エネルギー費用を減らしたい経営層の意向も加わって、指示を受

けた人だけはかなり熱心になっています。ただし、すぐに大きな成果を期待するため、 新の省エネ設備を使った

設備改善に目が行き勝ちで、使い方を工夫する運用改善やその下支えの全員活動はどうも後回しのようです。

以上、省エネへの考え方・取り組みはその国の環境や背景によって大きく違っています。表面的にはやり尽くした

感のある省エネですが、日頃とは違う視点で改めて周りを見渡してみると、まだまだ発見がありそうに考えています。

今後の支援にも役立てて行きたいと考えています。

【プロフィール】

経歴:1974年松下電工株式会社(現 パナソニック)入社住宅設備機器の技術開発・商品企画開発、商品部経営マネジメントに従事工場のモノづくりと合わせた環境省エネコンサルを得意分野としている水処理専門誌への論文執筆など多方面でも活躍

箕浦 秀樹

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2015.07作成 2019.04更新

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〒571-8686 大阪府門真市大字門真1048 TEL(06)6908-6863

創研eyes製造全般

講師名:神山 増己

少し遡るが、今年のスタートも箱根駅伝のテレビ中継にどっぷり浸りながら時間を過ごしてしまった。驚いたのは今まではあまり知られていない青山学院大学が2位に4分59秒差の大差で強豪校を破り優勝したことである。その後、マスコミでは中国電力の営業マンから11年前に同校の陸上部監督に転じた原普氏の選手の指導法、モチベーションのやり方がとり上げられたのは皆様も知ってのとおりである。そのことにも興味があったが、私はなぜか「追うものの立場と追われるものの立場」それぞれが抱いたであろう心境を思ってしまった。原監督はまさに追う立場にあって、同校を予選会も通れない弱小校の時代から、強豪校のやり方を学びつつ、強い自負心をもって工夫、努力を積み重ねて、ついには勝つチーム、勝ち続ける体質のチームを作った。一朝一夕にできるものではない。そして追いついて、ついには追い越した。

昨今の日本のモノづくりはどうか。かつては、欧米の国々のモノづくりを追う立場にあったが、戦後はそれらの国から良く学び、良く働き1980年代には「ジャパンアズナンバーワン」といわれるに至って、今度は追われる立場になった。そして今、中国、韓国、台湾などの東アジアの国々は急激に力をつけ日本に追いつき、一部では追い越した分野もある。

2月に、たまたま某公的機関が主催する海外のモノづくり会社の経営者、現場責任者への生産管理研修(2週間)中で「品質管理研修」を1日担当させていただいた。受講生は東アジアではなく、タイ、インドネシアなどの東南アジアとパキスタン、スリランカ、ネパールなど西アジアの人たちが中心であったが、近い将来、確実に日本のモノづくりに追いつくだろうと感じた。たった1日の研修であったが、今まで国内でやってきた研修とは違う空気を感じた。とにかく良く発言する、質問する、一口で言えば元気、活力がある。皆な国を代表して学びに来ているという自負心もあってのことと思うが、全員真剣な眼差しで聞き、発言し、もちろん居眠りするような人は一人もいない。日本の製品も良く知っているし、日本という国柄にも興味を持っている。しかも 全員が自国語と英語を難なく話せる。なんとはなしに皆、私の国はこれから発展していくのだという上昇感覚を持っているようにも思えた。

翻って、日本の将来を担う「モノづくり現場」の若者はどうか。将来に対してむしろ漠然とした不安や重石みたいなものを感じていないだろうか。努力や研鑽が自らの成長や組織利益にどう役立つか確信を持てず、現状に甘んじて、ついつい居心地の良い世界に満足していないだろうか。総じて、自らが希望して、進んで学ぶという意欲が希薄になっていないか心配になってきた。なんとかしなければならない。日本のモノづくりはまだ追われる立場にある。各国の若者がたくさん学びに来る。追われる立場はつらいけど、漫然と手をこまねいていては、日本の生命線ともいえるモノづくりは、必ず追いつかれる。私達は「追う立場、追われる立場の逆転」を様々な場面で見てきた。それが解っているなら、今のうちだ。

海外のモノづくり現場の若い経営者、責任者への熱心な研修も大事だが、それ以上に日本の「モノづくり現場」への研修やコーチングの重要性を感じた。幸い創研はこの分野で多彩なコンテンツを持っている。しかし、それらを「学ぶ人の熱いマインド」をどう引き出すかがもっと大事だし、難しい。今時点で、この課題にぴったりの妙案は浮かんで来ないが、今年はその辺のことを考えてみたい。諸兄からのご教示を乞う。

【プロフィール】

経歴:1973年松下電工株式会社(現 パナソニック)入社住設建材部門・本社部門における品質責任者を歴任の後、本社CSR・社会貢献室・企業倫理室長を務める

現 パナソニック ライフソリューションズ創研 上席コンサルタントコンサル:経営方針管理、品質マネジメント、現場品質改善、コンプライアンス研 修 :階層別研修、品質現場力研修、方針管理研修、コンプライアンス研修、品質マネジメントセミナー

神山 増己

追いつけ、追い越せ~日本のモノづくりを考える~

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2015.04作成 2019.04更新

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創研eyes営業関連

講師名:荒牧 克彦

創研には「上席」と呼ばれるパナソニック出身のOB講師が多く在籍しておりますが、皆、現役時代に、現場での多くの経験をつんでおります。経営、営業、製造、経理など、その領域は多岐にわたっており、その経験を活かして、人材育成や現場改善支援のお手伝いをしております。私は、現役時代、営業や営業企画の仕事を約40年に亘り勤めましたので、その経験を元に研修講師をさせていただいております。今回は「真の営業現場力」育成の試みについて、ご紹介したいと思います。

■真の営業現場力ここでいう「真の営業現場力」とは、机上で教科書のマーケティングを語ったり、営業の企画や計画を考えるのではなく、現場(商品とお客様との接点)で「売れる仕組みと仕掛け」を考える実践的なものを言います。

■共創の考え方ものが売れるということは、その商品の価値を消費者の方が認めてくれたということです。そして、更に言うと、その商品が生活の中に定着化してはじめて、受け入れられたことになります。

【プロフィール】

経歴:経歴:1966年松下電工株式会社(現パナソニック)入社以来、富山、大阪、沖縄、福岡等で営業を経験の後、1999年より人材育成や事業の再生構築に携わったのをきっかけに各社の人材育成やコンサル指導に携わる

現在、パナソニック ライフソリューションズ創研 特別上席コンサルタント独自の手法(仕事の2×4工法やMAP営業法や課題解決のベストスコップ法等)を取り入れた「マーケティング戦略構築」「実践力養成」「リーダー力養成」など営業部門の課題解決分野を担当特にダッシュ塾、プロ塾、拠点経営塾など一方通行でなく双方向の研修を得意としている

荒牧 克彦

28真の営業現場力育成の試み~「共創」の考え方の展開による~

図に示す通り、横軸、商品のソリューションと、縦軸、それを使う人のリレーションとが上手くコミュニケーションしていくことです。別の言い方をするなら、ニーズとシーズが上手くフィットすることが売れるということであり、事業の数字が見える化できたということです。私は、これを「小さな経営」が上手くいったと表現します。この「小さな経営」を膨らまして大きな経営にしていくわけですが、なかには「期待の星」と言って、この「小さな経営」は小さなきっかけから始まるのです。私は常々、二つの違った考え方で一つの事象を捉えることで、新しい切り口を探します。すなわち、「営業と技術」、「営業と業務」、「ハードとソフト」、「デジタルとアナログ」と言った2軸で「共創」するのです。「共創」することにより、創智の効果、相乗効果(シナジー)が生まれます。そのシナジーの効果は測り知れないほど大きくなり、第3の提案を生み出す可能性を秘めています。今、流行りのインターネットではこの「共創の効果」は得られません。

■松下の経営の真髄松下幸之助さんが「あなたの成功の要因は何ですか?」とNYタイムスの記者に聞かれたとき、こう語っておられます。1.私は貧乏だった。だから一生懸命、働いて「自主責任経営」をやらねばならなかった。2.私は学歴がなかった。だから「衆知経営」を終始一貫して心掛けた。3.私は病弱だった。だから「共存共栄」で関係先の力を借りなければならなかった。これは、生涯の「真髄」として、すべての底に流れていると言え、真の営業現場力育成にも通じると思っています。○自主責任経営

社員稼業、事業部制の考え方の基本で、どんな小さな経営体でも、価値をつくり、自立して責任経営を果たさねばならない。私はこれを「共創の価値化」で具体化してみたいと考えています。

○衆知経営一つの目的に向かって全員の知恵と力を集めて「一丸」となることで、個人の能力の総和以上の「チーム力」を発揮します。私はこれを「共創の組織化」で具体化してみたいと考えています。

○共存共栄顧客に近づくために、流通の味方とWin-Winの関係を築き、顧客満足を高め、世の繁栄に寄与します。私はこれを「共創の前進化」で具体化したいと考えています。

■ 後に今回、ご紹介いたしました「真の営業現場力」を育成する事により、 終的には、経営基盤の強化を目指しております。また、前述しましたように創研では、現場経験の豊かなOB講師が皆さまのお会社の人材育成他、あらゆるお困り事の解決のお手伝いをしております。この機会に、経営基盤の強化の取り組みを始めてみてはいかがでしょうか?

■真の営業現場力育成 3つのポイント真の営業現場力育成する際、実際にはその会社毎の状況に合わせてアプローチするのですが、その中で、根幹となる3つのポイント=共創の3つの展開をご紹介します。1.共創の価値化(価値の創出):VE(Value Engineering)営業という考え方で「あったら

いいな」価値=ウォンツ価値を発見します。2.共創の組織化(価値の伝達):組織を挙げて、伝達の目的に向かって一丸となる方

法を探ります。3.共創の前進化(価値の実現):BtoBtoCという考え方で、小売すなわち代理店を支

援し、顧客満足を高める方法を探ります※BtoBtoCとは「Business to Business to Consumer」の略。BtoBtoCサービスとは、

『企業が個人消費者相手に商売するのを、手伝う商売』のこと。

2016.01作成 2019.04更新

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創研eyes財 務

講師名:松本 富雄

●財務会計知識が必要なのは、本当は従業員全員なのです一般的に財務や会計の知識が直接業務に必要となるのは、経営陣や経理関係部署となります。しかし、組織の経営数字を把握することは、“部門経営者”である管理職も当然身につけておくべき事項です。また、取引先の与信管理などを日常的に行う担当者であれば、判断力を養うためには知っておきたい知識です。さらに新人や若手にも、日頃から利益やコストに対する意識を高める上で、経営数字がどのように作られるのかを知っておく意味は大きいと思われます。

●知っていると得をする「経営状況」と「経営展望」自分の会社の経営がどのような状況にあるのかを知ることは、特に管理職にとって必要不可欠と言えるでしょう。ただし、詳細な財務諸表を端から端まで把握しなければならないというわけではありません。大まかに全体像を捉え、チェックすべきポイントを掴み、その上で自身が担当する部門の数字を詳しく分析することが求められます。経営数字が読み込めるようになれば、「トップはなぜ今、そのような判断をしようとするのか」もそこから理解できるようになります。

●競合他社を知るライバル企業の経営状況がわかれば、そこから相手の出方を予測することが可能になり、自社の戦略の立て方にも生かせます。つまり、財務や会計の知識を身につけることで、本来内部の人間でなければ知ることのできないような情報も、開示されている財務諸表から予測し得ます。

●まずは、企業会計の基礎知識と財務3表を知ることから経営数字の見方を学ぶ目的は様々であっても、学ぶべき内容の基本は変わりません。まずは、決算書の種類や企業会計の周期、企業会計の目的、簿記など、財務にかかわる基礎知識を身につけます。その上で、損益計算書、貸借対照表、キャッシュ・フロー計算書の、いわゆる財務3表の基本的な仕組みや勘定科目の表す意味などを学びます。各項目の意味するところや財務諸表同士の数字の繋がりを理解することができれば、これまで"暗号"にしか見えなかった財務諸表のヒミツがわかるようになります。

●財務会計がなぜとっつきにくいのか。その本当の理由はコレです①特有の専門用語が存在し、専門用語は約150年前の日本語です

~福沢諭吉先生が翻訳時に作成された日本語が今でも生きているのでとっつきにくく感じます。(借方、貸方、財務諸表、損益分岐点など)

②多くの講師は基本的な考え方の部分の説明を、所与のものとして、はしょりがち~財務3表の関連を理解できるように説明しているものは多くありません。

③経理の数字表記は千進法 日本人の金額感覚は万進法~日本語は「万」「億」「兆」、欧米は 「T」「M」「B」「T」(千、百万、十億、一兆)3桁で区切ると桁ずれを起こしやすいしくみに、もともとなっているのです。

④多くの人は財務会計は数字を扱うので「計算科目」と考えています~これは、全くの間違いで、財務会計は「暗記科目」なのです。

⑤どんなにたくさん問題をこなしても上達できないしくみになっています~正しいロジックに基づく計算方針を先に決めてからでないと、正解にたどり着きません。計算方針が自分の言葉で表現できたら問題は解けます。逆に言うと、それまではいくら問題をやっても、時間の無駄なのです。複数のロジックをどう組み合わせるかを知っているかどうかで決まるからです。これが「暗記科目」である所以です。

⑥計算術は学校で教えてくれない~数字に強くなるための「計算術」は存在しますが、誰も教えてくれません。数多くの受講生の皆さんとの会話の中で気づいた「不都合な真実」です。

【プロフィール】

経歴:1982年松下電工株式会社(現 パナソニック)入社経理業務、海外開発支援、営業業務に従事。1989年以降、タイ、ドイツで海外勤務を経験し、工場設立やM&Aに携わる。帰国後は本社経理部にてIR担当の後、現 パナソニック ライフソリューションズ創研にてコンサルティングやセミナー講師に従事する。2013年、中小企業診断士登録。2015年、コンサルタントとして独立創業し、経営コンサルティング事務所を開設。

事業会社役員、経営コンサルタント、研修講師の実務経験を活かし、社員自らが「次の一手」を考え、主体的に行えることを価値として、社員教育、組織コンサルティングサービスを提供する。「企業の健康 サポートします」がモットー。

担当研修:創業支援、中期経営計画策定、マーケティング、経費削減、業務改革の他、階層別研修やビジネススキル等の企業研修

松本 富雄

29財務会計のススメ~多くの方が苦手とする本当の理由~

2016.05作成 2019.04更新

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〒571-8686 大阪府門真市大字門真1048 TEL(06)6908-6863

memo

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本社

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このカタログの掲載内容は2019年4月現在のものです。

東京研修所

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TEL:03-5332-5200 FAX:03-5332-5600

2019年4月1日よりエコソリューションズ創研は、ライフソリューションズ創研へ社名を変更しました

ご質問・ご不明な点などございましたら、お気軽にお問い合わせください。お問合先 06-6907-5534

パナソニックライフソリューションズ創研株式会社 03-5332-5200営業推進(大阪)東京研修所