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第Ⅵ編 参 考 資 料

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参考1 本書を理解するための用語集

「エコフィードを活用したTMR製造利用マニュアル」(本書)の利用に資するため、用語に

ついて解説したものです。

1 アルカロイド

植物中に存在する窒素を含む塩基性物質の総称です。植物の窒素代謝の最終生産物の一つであ

って、動物に対して特色のある生理作用があります。

2 牛脂肪交雑基準(BMS)

Beef Marbling Standard の略で、牛脂肪交雑の基準です。No.1~No.12 で評価します。No.12

が最もサシが多く入っています。

3 牛脂肪色基準(BFS)

Beef Fat Standard の略で、牛脂肪色の基準です。No.1~No.7で評価しますが、濃い肉色は

あまり好まれません。

4 枝肉成績

肉用牛の肥育経営では、枝肉の取引規格に基づいた等級の「上位」か「下位」かが大きな関心

事となります。等級は歩留まり等級と肉質等級からなりますが、そこでは、枝肉重量、ロース芯

面積、バラの厚さ、皮下脂肪の厚さ、脂肪交雑、肉の色沢、肉の締まりおよびきめ、脂肪の色沢

と質などが審査されます。肉用牛の飼料の試験(飼養試験)でも、これらの項目が測定されます。

等級は遺伝的形質、飼料、飼養環境に強く支配されます。

5 NDF・NFC

NDFは Neutral Detergent Fiber の略で、中性デタージェント繊維とも呼ばれ、飼料中の繊

維の総量を示す場合に使用されます。NFCは Non-Fibrous Carbohydrate の略で、非繊維性炭水

化物とも呼ばれ、飼料中の糖・デンプン・有機酸類の含量を示す場合に使用されます。牛のND

Fの消化性(消化率)は飼料個々で大きく異なりますが、NFCの消化率は潜在的には 100%に

近い均質な性質を持ち、牛の第一胃内での分解・発酵速度が速いこともNFCの特徴としてあげ

られます。

6 オンデマンド方式

要求(on demand)に応じてということですが、飼料の場合には、飼料工場あるいはTMRセン

ターが畜産農家の要望に応じて、農家個々の飼料設計をベースに配合飼料やTMRを製造し、配

送することを言います。

7 可消化エネルギー(DE)

Digestible Energy の略で、摂取した飼料の総エネルギーから糞として排泄されたエネルギー

を差し引いたものです。

8 可消化粗蛋白質(DCP)

Digestible Crude Protein の略で、飼料粗蛋白質のうち動物に消化吸収される部分です。動物

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が摂取した粗蛋白質量から糞として排泄された粗蛋白質量を差し引いたものです。

9 可消化養分総量(TDN)

TDNは Total Digestible Nutrients の略です。飼料の蛋白質、脂肪、炭水化物の中で家畜に

よって消化される部分の量を表現する栄養指標です。この値が高いほど、その飼料のエネルギー

供給量は多いと評価します。

代表的なエネルギー供給飼料のトウモロコシのTDN含量(牛)は乾物中 92.3%です。それに

対してワラ類は、例えば稲ワラでは乾物中 42.1%と低い値を示します。

10 可溶性炭水化物(WSC)

Water Solube Carbohydrate の略で、冷水に溶解する炭水化物の総称です。

11 乾物(DM)

Dry Matter の略で、飼料を一定温度で加熱乾燥したものを乾物とみなします。

12 揮発性脂肪酸(VFA)

Volatile Fatty Acid の略で、飼料がルーメン内で微生物による分解発酵作用を受けたときに

生成する揮発性で分子量の小さい脂肪酸です。主要な酸は、酢酸、プロピオン酸、酪酸です。

13 コントラクター

「農業経営または全面農作業、または部分農作業を受託し、一定の受託料を収受する組織」と

定義されます(農林水産省大臣官房統計部)。畜産では飼料生産受委託組織が主体で、飼料生産

の効率化、低コスト化や畜産農家の労働軽減に貢献しています。受託組織によっても異なります

が、受託作業としては、飼料収穫、草地更新、糞尿散布が主体です。

14 細断型ロールベーラ

日本で開発された飼料用収穫機械で、比較的新しい(2004 年)ものです。

従来のロールベーラは、乾燥・半乾燥の牧草を長いまま圧縮成型してましたが、この機械では

切断長1㎝程度に細切断して圧縮成型できるようになりました。従来の機械と比べると5割以上

高い密度で成形が可能になり、特に半乾燥の飼料(牧草、トウモロコシ、飼料イネなど)のホー

ルクロップサイレージ調製において品質の良いものが得られるようになりました。最近、この機

械が急速に普及しつつあり、TMRの利用にも使われつつあります。

15 酸性デタージェント繊維(ADF)

Acid Detergent Fiber の略で、植物性材料を硫酸と界面活性剤の溶液で1時間煮沸し、蛋白質、

可溶性炭水化物、脂質、ヘミセルロースなどを溶解・分解した後の不溶性有機物(結晶性セルロ

ースとリグニン)です。

16 嗜好性 Palatability

家畜の飼料などの好みの大きさをさし、採食速度、採食順序、採食量に影響します。

17 脂肪補正乳(FCM)

Fat Corrected Milk の略で、牛乳の脂肪率によってエネルギー価を修正した単位です。脂肪率

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4%を基準に計算されます。

18 消化率

動物が摂取した飼料に含まれる栄養素はそのまま吸収されるわけではなく、吸収される形にま

で変化させる過程を消化といいます。その割合が消化率です。通常使われるのは、真の消化率で

なく見かけの消化率で、次式で表します。

消化率(%)=(摂取成分量-糞尿成分量)/摂取成分量×100

19 飼養試験

牛を用いた試験において、飼料摂取量、栄養摂取量、生産物の量と質を総合的に観察する形の

ものを言います。乳牛の場合の生産物の質と量では乳量、乳脂率、乳蛋白質率、乳糖率等が測定

され、肉用牛の場合には、増体量や枝肉成績が示されます。また、pHなどのルーメン内性状や

血液検査結果が示される場合もあります。多くは、飼料の価値を多面的、総合的に判定する際に

実施されます。

20 正味エネルギー(NE)

Net Energy の略で、動物が正味利用するエネルギーです。

21 食品循環資源

食品製造工場からの副産物、食品卸・小売業からの売れ残り商品、外食産業からの調理クズ、

家庭からの食品残さ等を総称して食品循環資源と呼んでいます。資源としての利用法は飼料化、

肥料化、メタン等エネルギー利用が主ですが、牛用の飼料として主に使用されるのは食品製造工

場からの植物質由来の副産物です。

22 ストックポイント・ストックヤード

飼料の製造とその農家への配送の間に設置された「一定の地域をカバーする量の飼料の一時保

管場所」をストックポイントと言います。地域の配送センターと言ってもよいでしょう。ここで

は、畜産農家の希望によって混合飼料を製造する場合もあります。ストックヤードは、もう少し

小さいもので、TMR製造のために使用する原料の保管庫とか、一般的には壁と屋根を持った施

設(バンカーサイロ)が多くのTMRセンターに設置されています。

23 スラグフィーデング

多量の飼料を短時間内に急速な勢いで摂取する、異常な食行動のさまを言います。「かため喰

い」とも呼ばれます。この行動によってルーメン環境(例えばpH)が大きく変化し、消化器障

害をもたらすことがあります。群飼養の場合には飼養頭数に合わせた十分にゆとりのある飼槽の

長さを持たせるなど、牛が常に飼料にアクセスできる形にしておくことが「かため喰い」の防止

には必要になります。

24 総エネルギー(GE)

Gross Energy の略で、有機物を酸素の存在下で完全に燃焼したときの発熱量です。

25 相対飼料価

飼料の栄養価値を表す単位で、(採食量×消化率)/1.29 により計算します。

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26 粗灰分(CA)

Crude Ash の略で、飼料を完全に燃焼した後の残存部分です。

27 粗脂肪 Crude Fat

飼料の一般成分の一つで、エーテル抽出物(Ether Extract EE)ともいいます。

28 粗飼料因子(RVI)

Roughage Value Index の略で粗飼料評価指数とも呼びます。繊維は炭水化物としてのエネルギ

ー源であるとともにその固さが反芻を促して、第一胃機能を保つ作用を持ちます。これを粗飼料

因子と呼びます。

29 粗繊維(CF)

Crude Fiber の略で、飼料の一般成分の一つです。粗繊維にはセルロース、ヘミセルロース、

リグニン、ペントサンなどが含まれます。

30 粗蛋白質(CP)

Crude Protein の略で、飼料の一般成分の一つです。粗蛋白質には蛋白質以外のアンモニア、

アミド、アミノ酸なども含まれます。

31 代謝エネルギー(ME)

Metabolizable Energy の略で、摂取した飼料の総エネルギーから糞尿やメタンなどで排出され

るエネルギーを差し引いた値です。

32 TMRとTMRセンター

TMRは Total Mixed Ration の略です。牧草や穀類、油粕類、食品製造副産物等の牛に給与さ

れる全ての単体飼料を混合した飼料で、混合飼料とも呼ばれます。自家で調製する場合と、TM

Rセンターで調製されたTMRを利用する二つの製造・調達の形態がありますが、近年、国内の

TMRセンターが増加の傾向にあり、その中には食品製造副産物と自給飼料を活用した形態のも

のも増えつつあります。

33 DDGS

Distillers Dried Grain with Solubles の略です。穀類の糖化・発酵により生成されたアルコ

ールを蒸留した後の残さを乾燥して得られる燃料用アルコール製造の副産物の総称です。トウモ

ロコシを原料とするものが多いところから、「トウモロコシ蒸留粕」とも呼ばれます。乾物中に

は粗蛋白質が 25%前後、粗脂肪が 10%前後含まれ、牛用飼料としてのTDN含量は乾物中 88%

と高い値を持ちます。

34 デーリィゲイン(DG)

Daily Gain の略で1日当たりの増体量の意味です。牛では、主に肉用牛の増体の良否の評価に

用いられます。DGは飼料の栄養価や採食量によって大きく異なります。

35 動物性蛋白質

飼料原料として比較的多く利用される動物性蛋白質は、牛乳(初乳)、脱脂粉乳、血漿蛋白、

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肉骨粉、魚粉などです。牛用飼料として、日本では魚粉が一部、乳牛用に使用されていましたが、

平成 13 年の国内でのBSE発症以降、牛用の飼料として上記の中では牛乳・乳製品の使用が認め

られているだけで、他の動物性蛋白質を使用することは禁止されています。

36 肥育

「飼料を多く与えて家畜・家禽を太らせ、その肉を食用に利用するための飼育法」です。黒毛和

種去勢牛肥育では 10 ヶ月齢から約 20 ヶ月間、乳用種去勢牛肥育では7~8ヶ月齢から約 12 ヶ月

間、交雑種牛(F1)では7ヶ月齢から約 18 ヶ月間、穀類主体の飼料での肥育が国内では主流で

す。

37 フォレージテスト Forage Test

乳牛への飼料給与を合理的に行う必要があり、まず自給飼料の成分を分析し、それに見合った

濃厚飼料を給与することが大切であるという観点からはじめられました。

一般的には、単に粗飼料分析とも呼んでいます。

38 ボディコンディションスコア(BCS)

Body Condition Score の略で、TMRの飽食による飼養管理に配慮すべき指標として、摂取エ

ネルギーの過不足による体脂肪蓄積量を表すものです。

39 ホールクロップサイレージ(WCS)

WCSは Whole Crop Silage の略です。植物体の茎・葉・子実全体を刈り取り時に細断・混合

し乳酸発酵をさせて得られるサイレージ製品です。トウモロコシ、いわゆるデントコーンの生産

量が国内では最も多いのですが、最近では稲からの生産量も多く、作付面積も平成 16 年が

4,375ha、平成 18 年が 5,182ha、平成 20 年が 8,931ha(見込み)と経年的に増加しています。

40 ミキシングフィーダ(またはミキサフィーダ)

和名は「混合給餌機」と表現しますが、関係者の間では一般的にミキシングフィーダといわれ

ています。

まず、数種類の飼料原料をこの機械に投入し、混合調製しつつ給餌場に移動し、走行しながら

飼料の量を計って給与する作業用の機械です。大型(容積 40m3以上)のものは、エンジンや運

転席を有する自走式で、中にはロールベールを丸ごと切断し混合する大きな能力のものもありま

す。比較的小型のものはトラクタによる牽引式が普通です

41 ルーメン

牛の第一胃の一般的な呼称です。第一胃に細菌、原虫、真菌が生息しています。細菌は飼料中

の糖やデンプンそして繊維を分解し、その代謝産物として生成される揮発性脂肪酸(酢酸、プロピ

オン酸、酪酸など)がルーメン壁から吸収され、それが牛の主要なエネルギー源として利用され

ます。したがって、多様な細菌が活躍し増殖するようなルーメン環境の維持が、牛の健康や生産

性を高めるための基本的な要件となります。

そのためには飼料設計(NDFとNFCの比率等)や、飼料給与方式を適切に実行することが

大切です。

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42 ルーメンアシドーシス

第一胃(ルーメン)過酸症とも言います。ルーメン内に乳酸や揮発性脂肪酸などが異常に蓄積

しルーメン内のpHが低下する疾病です。通常、ルーメン内のpHは6~7程度に保たれていま

すが、消化されやすい炭水化物(穀物など)の急激な大量摂取などによりルーメン内発酵が進む

と、pHが5付近からそれ以下に低下し、ルーメン内微生物の数と種類が減少します。ルーメン

内の浸透圧の上昇によって体液が大量にルーメン内に流入し脱水症状を引き起こすこともありま

す。採食量は低下し、乳肉牛の生産性を低下させます。防止のためには適切な飼料設計(NDF

とNFCの比率等)により、穀類など易発酵性の飼料の給与法を適切に管理することが大切です。

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参考2 主な試験成績等文献の要約

<その1>

トウフ粕、トウモロコシサイレージ、農産副産物混合サイレージ給与試験

滋賀県畜産技術センター、農林水産省畜産試験場:農林水産省

畜産試験場研究資料 No.8 (1995)

〔成果の要約〕

1 畜種と給与ステージと試験区分

・10ヶ月齢前後で体重が平均320㎏の黒毛和種去勢牛14頭を供試、肥育ステージは前期8ヶ月、

後期8ヶ月で、26ヶ月齢で出荷した。

・試験区分は試験区(5頭)、対照1区(4頭)、対照2区(5頭)の3区を設定した。

2 給与飼料の内容と組成

・試験区はトウフ粕、トウモロコシサイレージ、農産副産物(大豆桿・小麦ワラ)を利用して穀

類の配合割合を減少させ、対照1区はトウモロコシサイレージを多給し、対照2区は慣行的

な穀類多給、稲ワラ給与の区とした。

・給与飼料乾物中の粗蛋白質含量は各区、前期・後期で11-12%、TDN含量は各区、前期が

78%、後期が80%程度になるように飼料設計をした。

3 飼養試験成績

・試験区と慣行的な対照2区を比較すると、乾物摂取量は試験区が対照2区よりも前期の平均

で1.2㎏/日、後期では0.9㎏/日高く、その結果、日増体量では前期では試験区1.02㎏、対照

2区0.81㎏、後期では試験区0.62㎏、対照2区が0.59㎏と試験区がより高い値を示した。

・全期間の増体量の平均値は試験区が400㎏、対照1区が323㎏、対照2区が341㎏であった。

4 枝肉成績

・枝肉重量の平均値は試験区が439㎏、対照1区が377㎏、対照2区が384㎏であった。

・試験区と対照2区のBMSNo(脂肪交雑度合)は試験区7.2、対照2区6.0と試験区が優れ、

枝肉の格付け成績では、試験区はA-5とB-4が各1頭、A-4が3頭で、対照2区はA

-4が2頭、B-4、A-3、B-3が各1頭であった。

〔考 察〕

⑴ 前期の乾物摂取量が高いことが、試験区の飼養成績を高めた要因の一つと考察されるが、それ

をもたらせているのは、嗜好性の高い豆桿、発酵品質の良いトウモロコシサイレージといった高

繊維質飼料の寄与が考えられる。

⑵ トウフ粕中には乾物中 20-25%の粗蛋白質、5-15%の粗脂肪、50-70%の総繊維が含まれる

が、総繊維の消化率は 70-90%と高く、繊維消化率の高さがTDN含量の高さ(乾物中 91%)をも

たらしている。

⑶ 繊維の消化率が高いことは、牛の第1胃で酢酸の生成量を高めることにつながり、吸収された

酢酸は脂肪組織で脂肪合成の材料になることから、試験区のBMSNoを高めることに貢献して

いると考えられる。

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〔具体的なデータ〕 (試験区と対照2区)

試験区(5頭) 対照2区(5頭)

TMRの組成 (原物%、肥育後期)

トウモロコシ 25.0 45.5

大麦 16.5 27.3

フスマ 7.5 16.4

トウフ粕 19.2 -

トウモロコシサイレージ 25.0 -

大豆桿 2.9 -

小麦ワラ 2.9 -

稲ワラ - 9.0

化学組成(乾物中%)

糖・デンプン類<NFC> 54.2 60.0

総繊維 <NDF> 25.2 20.2

飼養成績

乾物摂取量 ㎏/日 8.1 7.2

全期間日増体量 ㎏ 0.82 0.70

開始時体重 ㎏ 319 305

前期終了時体重 ㎏ 562 497

後期終了時体重 ㎏ 719 646

枝肉成績

枝肉重量 430 384

ロース芯面積 ㎠ 46.6 43.6

BMS No 7.2 6.0

<その2>

ホルスタイン種去勢肥育牛に対するジャガイモ皮サイレージ給与が飼養成績、

肉質及び脂肪組織の脂肪酸組成に及ぼす影響

左 久(帯広畜産大学): 環境リサイクル肉牛協議会機関誌

アグリサイクル、第2号 (2003)

〔成果の要約〕

1 畜種と給与ステージと試験区分

・ホルスタイン種去勢牛を10頭供試し、ジャガイモ皮サイレージ給与区と配合飼料給与区の

2区を設定し、各区に5頭を配置した。

・試験牛導入は18ヶ月齢とし、24ヶ月齢まで、189日間肥育した。

2 給与飼料の内容と組成

・ジャガイモ皮サイレージの組成は、ジャガイモ皮29.6%、ジャガイモカット屑29.6%、ポ

テトグルテンフィード6.7%、コーンコブ8.9%、ビートパルプ3.0%、豆乳粕8.9%、ポテ

トパルプ13.3%で、乾物中の粗蛋白質含量が12%になるように調整した。

3 飼養試験成績

・試験期間中の増体量の平均値は配合飼料区が196.2kg、ジャガイモ皮サイレージ区は185.8

kgであった。平均日増体量は配合飼料区が1.04kg、ジャガイモ皮サイレージ区が0.98kgで

あった。

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・飼料摂取量(乾物)は配合飼料区が2150.2kg、ジャガイモ皮サイレージ区が1974.8kgであ

り、試験期間中の1頭当たりの飼料費は配合飼料区が70,176円、ジャガイモ皮サイレージ

区が56,192円となり、ジャガイモ皮サイレージ区が13,984円安くなった。

4 枝肉成績

・枝肉格付け等級は配合飼料区でB-2が4頭、C-2が1頭、ジャガイモ皮サイレージ区で

は、B-2が4頭、B-1が1頭でほぼ同じ格付け等級が得られた。

・ジャガイモ皮サイレージ給与牛の筋肉は配合飼料区よりも水分が高く脂肪含量が低い傾向

にあり、肉の柔らかさの指標となるSV値はジャガイモ皮サイレージ給与区が有意に低く、

配合飼料多給の牛よりも比較的柔らかい肉が生産されたと考えられる。

・筋肉内脂肪の脂肪酸組成ではステアリン酸とオレイン酸以外で有意な差を生じた。パルミ

チン酸までの炭素数の脂肪酸ではジャガイモ皮サイレージ区が有意に低く、リノール酸以

降の脂肪酸では有意に高くなった。

・ジャガイモ皮サイレージ給与の牛肉の融点は配合飼料給与区よりも高い傾向がみられた。

〔考 察〕

⑴ ジャガイモ皮サイレージ主体飼養では、豆乳粕などで蛋白質の補給を行い、育成段階からそれ

らを給与して慣らしておけば、配合飼料多給飼養と同様の増体が得られる可能性が示された。

⑵ 一方で、枝肉格付けは総合評価の数値ではほぼ同様な結果が得られるものの、肉質項目では、

肉色の光沢、きめ、脂肪の質と光沢で配合飼料給与牛には及ばないことが示された。

⑶ 肥育期間中の飼料費の節減効果は明確なので、ジャガイモ皮サイレージの牛肉生産への活用は、

去勢牛には肉質向上を考慮して、一部配合飼料の代替程度の利用を考えるか、肉質向上を強くは

期待しない経産牛肥育に全面的に取り入れるなどの途が考えられる。

<その3>

乳牛用飼料としてのケールジュース粕の特性と利用性に関する研究

家 木 一(愛媛県畜産試験場):栄養生理研究会報 51 巻1号 (2007)

〔成果の要約〕

1 畜種と給与ステージと試験区分

・ホルスタイン種泌乳牛4頭を用い、試験1としては飼料乾物中10%程度のアルファルファヘイ

キューブをケールジュース粕サイレージで代替給与した。

・試験2では、乾物中25%程度の圧ぺん大麦および大豆粕をケールジュース粕サイレージで代替

給与した。

2 給与飼料の内容と組成

・ケールジュース粕の乾物中の粗蛋白質含量は18.9%、非繊維性炭水化物(NFC)含量は23.4%、

総繊維(NDF)含量は39.3%であった。

3 飼養試験成績

・飼料乾物中10%のアルファルファヘイキューブと代替した試験1では乳量や乳成分に影響しな

かったが、飼料乾物中25%の大麦と大豆粕をケールジュース粕で代替した試験2では、乳脂肪

生産が増加する傾向を示した。

・濃厚飼料をケールジュース粕サイレージで代替することにより、体内保持窒素量を維持しつつ、

乳タンパク質を生産することが明らかになった。ケールジュース粕サイレージは、乳蛋白質生

産の面でも濃厚飼料との代替効果が高いといえる。

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〔考 察〕

⑴ ケールはキャベツと同じアブラナ科の植物でキャベツと異なり結球せず、上部に密生した葉を

つける。葉部には豊富な栄養素が含まれるところから、近年、その搾汁液(ケールジュース)が

健康食品として認知されている。ケールジュース製造時には多量の絞り粕(ケールジュース粕)

が産出される。

⑵ ケールジュース粕は水分含量が約 80%程度と高く腐敗しやすいため、飼料化には乾燥処理やサ

イレージ化などの保存性を高める処理が必要となる。処理コストの面ではサイレージ化が優れて

いる。また、サイレージ化することによって、乾物中に 0.33%程度含まれる硝酸態窒素の濃度が

0.03%程度までに減少し、家畜の健康に対する安全性の面からもケールジュース粕の飼料形態と

してはサイレージ化が望ましいと判断した。

〔具体的なデータ〕

乳牛飼養試験および消化試験成績

試験1 試験2

AC区 K区 大麦・大豆粕区 K区

乾物摂取量 ㎏/日 17.6 17.6 22.8 23.8

TDN摂取量 ㎏/日 12.5 12.7 16.6 16.3

消化率 %

乾物 76.3 78.8 73.9 70.8

総繊維NDF 63.6 69.9 59.6 62.6

飼養試験成績

乳量 ㎏/日 16.0 16.1 36.5 37.9

乳脂率 % 4.7 4.8 3.6 3.7

乳蛋白質率 % 4.0 4.0 3.3 3.3

乳脂肪量 ㎏/日 0.73 0.77 1.30 1.41

乳蛋白質量 ㎏/日 0.63 0.64 1.21 1.25

乳糖量 ㎏/日 0.69 0.70 1.67 1.73

AC区:アルファルファヘイキューブ給与区 K区:ケールジュース粕サイレージ給与区

<その4>

肉用牛に対する食品残さ飼料化の取り組みについて

水宅清二(神奈川県畜産技術センター):養牛の友 399 号 (2009 年6月号)

〔成果の要約〕

1 畜種と給与ステージと試験区分

・F1交雑牛を用いて、食品残さ飼料と市販配合飼料の肥育試験を実施した。

・反芻胃の機能の発達に重要な肥育前期(7~12ヶ月齢)に十分な量の乾草を給与することを

前提として、7ヶ月齢から26ヶ月齢までの給与試験を実施した。

2 給与飼料の内容と組成

・食品残さ飼料給与区では肥育後期において肥育前中期よりも乾燥オカラと乾燥モヤシの配合

比率を下げ、パンくずの配合比率を高めた。

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3 飼養試験成績・枝肉成績

・発育状況、飼料摂取状況および健康状態はおおむね順調に推移し、枝肉成績についても、市

販の配合飼料を給与した場合と同様の結果となった。

・肉のおいしさや風味などの食味について市販の牛肉と比較した結果、評価は同程度となった。

〔考 察〕

⑴ 安定的に入手できる食品残さは時代や地域によって異なり、常にどこでも同じものが原料とし

て利用できるとはかぎらない。しかし、入手可能な原料の特性をよく把握し、栄養バランスや嗜

好性を考慮して配合すれば原料に応じた飼料の調製が可能になる。さらに、地域独自の特色ある

飼料を調製することも可能となり、畜産物のブランド化にもつながると考えられる。

〔具体的なデータ〕

1 食品残さ飼料の配合内容と化学組成

配合割合 (%) 乾燥オカラ 乾燥モヤシ パン屑 野菜屑

肥育前中期 15 10 40 35

肥育後期 10 5 40 35

化学組成と栄養価 (水分以外は乾物中%)

水分 粗蛋白質 粗繊維 TDN

肥育前中期 9.9 17.2 7.3 84.3

肥育後期 8.7 16.3 5.3 86.1

2 枝肉成績

食品残さ飼料区 市販配合飼料区

枝肉重量 kg 477 474

ロース芯面積 ㎠ 46 42

バラ厚 cm 6.7 7.0

皮下脂肪厚 cm 2.9 2.8

BMS No 3.5 3.0

枝肉単価 円 1,362 1,103

販売金額 千円 673 535

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<その5>

乳用牛のTMR給与体系におけるトウフ粕の給与技術

長野県畜産試験場:関東東海農業 研究成果情報(1995)

〔成果の要約〕

1 畜種と給与ステージと試験区分

・2産以上のホルスタイン種乳牛を用い、トウフ粕を組み込んだTMRに分娩前3週から

馴致を始め、分娩後6~110日まで15週間の泌乳最盛期における飼養試験を実施した。

・試験区分はトウフ粕少量区(8頭)、多量区(9頭)、バイパス蛋白補強区(以下「UDP

補強区」;4頭)の3区を設定した。

2 給与飼料の内容と組成

・トウフ粕の混合量は現物比で少量区11%、多量区で30%程度とし、UDP補強区は多量

区と同程度のトウフ粕を混合しながら、加熱大豆を利用してUDPを高める設計とした。

(表1)

・給与飼料乾物中の粗蛋白質、TDN含量(乾物中)は少量区、多量区が17%、73%程度

であるのに対して、UDP補強区では18%、74.5%と高めの飼料設計となった。

3 飼養試験成績

・乾物摂取量はUDP補強区が若干多くなったが有意な差はなかった。また各区ともTD

N充足率は100%以上であり、分娩後の体重の減少も僅かであった。(表2)

・試験期間中の乳量(日量)平均値は少量区が39.8㎏、多量区が41.1㎏、UDP補強区が

41.9㎏であり、乳脂率はそれぞれ3.44、3.34、3.46%であった。

4 第1胃液、血液性状と健康状況

・UDP補強区の第1胃内アンモニア態窒素は他の2区より少ない傾向にあり、設計どお

りの結果となった。また、血液性状ではUDP補強区のコレステロールとBUNが若干

高い傾向ではあったが、全て正常値の範囲内であり、15週間の泌乳最盛期の試験にもか

かわらず、繁殖関係でも異常は認められなかった。

〔考 察〕

⑴ 泌乳最盛期にトウフ粕を使ってのベストミックスを究明するための試験であり、混合比率を 30

%(乾物比で 11%)まで高めても飼料中の蛋白質やエネルギー、繊維水準などを整えた設計にす

れば乳量、乳成分の両者を満足させることができることが判明した。

⑵ トウフ粕と共にコーンサイレージを用いた飼料構成なので、乾物率が 52~55%程度となり、か

なり高水分のTMRとなる。一般的に乾物摂取量を高位に保てる限界の乾物率は 50%程度であり、

このことは高水分の生粕と自給飼料を併用する場合に留意すべき点である。

⑶ 多量区の乳脂率が低めであるのは、トウフ粕の繊維の物理性が不足するとの思惑から稲ワラを

配合したことにより、結果的に可消化繊維が不足したことも一因だと思われる。

⑷ 同じ多量区でも、繊維源として消化性の良い乾草を用い、バイパス蛋白(UDP)を補強する

ことで、乳量、乳成分とも高位生産できることが示されている。

⑸ なお、トウフ粕は製造工場により、含有する飼料成分値が大きく異なるので、飼料設計に当た

っては、必ず成分分析を実施されたい。

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〔具体的なデータ〕

表1 供試飼料の混合割合及び算出養分濃度

混合割合(%) 算出養分濃度(乾物中%)

少 量 区 多 量 区 UDP 補強区飼 料 名

原物 乾物 原物 乾物 原物 乾物項目 少量区 多量区 UDP 区

トウフ粕 10.5 4.0 29.9 11.5 30.5 11.4 (乾物率) (52.5) (52.6) (54.4)

トウモロコシサレージ 25.3 14.4 23.9 13.6 20.3 11.3 粗蛋白 16.7 16.9 17.8

稲わら ― ― 4.0 6.4 ― ― 粗繊維 19.5 19.2 19.6

チモシー乾草 9.5 14.5 4.0 6.1 10.2 15.1 DCP 12.9 13.0 13.8

ヘイキューブ 6.3 10.3 6.0 9.8 6.1 9.7 TDN 73.1 73.3 74.5

ルーサンペレット ― ― ― ― 4.1 6.7 Ca 0.8 0.8 0.8

ビートパルプ 6.3 10.3 6.0 9.8 6.1 9.7 P 0.5 0.5 0.5

綿実 2.7 4.7 2.0 3.4 1.0 1.7 澱粉 15.6 14.7 15.4

豆皮 1.5 2.5 2.0 3.3 2.0 3.3 油脂 3.5 3.9 4.8

大豆粕 2.7 4.5 2.0 3.3 2.0 3.2 ADF 22.7 22.8 23.5

加熱大豆 ― ― ― ― 3.1 4.9 NDF 38.6 38.1 38.7

モロコシ圧片 ― ― ― ― 4.1 6.4 OCW 42.6 43.0 44.6

濃厚飼料 21.1 34.0 19.9 32.2 10.2 16.0

添加剤 0.4 0.8 0.4 0.8 0.4 0.8 飼料単価 43.3 36.2 42.5

水 13.7 ― ― ― ― ― (円/㎏)

*飼料単価については購入飼料での試算値

表2 採食および産乳成績

乾物採食量 (kg)

体 重 (kg)

乾物体重比 (%)

乳 量 (kg)

F C M 量 (kg)

乳脂肪率 (%)

乳蛋白質率(%)

乳 糖 率 (%)

S N F 率 (%)

体細胞数(千/ml)

TDN充足率(%)

DCP充足率(%)

CP充足率 (%)

少量区 多量区 UDP補強区

25.3 25.5 26.0

638 660 648

3.97 3.88 4.03

39.8 41.1 41.9

36.5 37.0 38.5

3.44 3.34 3.46

2.91 2.88 3.01

4.74 4.82 4.80

8.49 8.55 8.66

126 58 72

103 102 102

145 141 148

118 117 121

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<その6>

食品製造副産物を主体とする発酵飼料を用いた黒毛和種去勢牛の低コスト肥育

千葉県畜産総合研究センター、生産技術部研究報告 7号(2007)1-7

〔成果の要約〕

1 畜種と給与ステージと試験区分

・11ヶ月齢程度で体重が平均290㎏前後の、黒毛和種去勢牛(「北国茂の息牛」)8頭を供

試、肥育ステージは前期5.3ヶ月、中期5.3ヶ月、後期7ヶ月で、29ヶ月齢で出荷・と畜し

た。

・試験区分は発酵区(発酵飼料;4頭)、対照区(市販配合飼料;4頭)の2区を設定した。

2 給与飼料の内容と組成

・肥育ステージ毎に給与飼料の粗濃比(乾物)を前期25:75、中期15:85、後期10:90とし

て自由採食させた。

・発酵区は、市販飼料(配合、とうもろこし)の約55%を小麦ダスト、トウフ粕など食品

製造副産物で代替して発酵飼料としたものを用いた(表1)。対照区は市販配合飼料と

稲ワラ給与の区とした。

・発酵飼料は稲わらを除く材料を混合して籾殻用ポリ袋に詰め、掃除機で抜気して密閉貯

蔵したが、繊維含量が高い食品副産物を多く用いたため、そのNDF含量は対照区に比

べて10~14%高かった。

・給与飼料乾物中の粗蛋白質含量は両区とも前期12%、中期と後期は12.5~13.4%程度で

あったが、TDN含量は対照区が前期68-中期73-後期76(%)であるのに対して、発酵

区では前期66-中期70-後期72(%)程度と若干低い設計になった。

3 飼養試験成績

・発酵飼料の品質はpH3.6~4.1、Vスコア(発酵品質)も95と極めて良好で牛の嗜好性

も良かった。

・乾物摂取量は肥育期間通算で発酵区8.1㎏/日、対照区7.7㎏/日と発酵区が多く、体重と

日増体量は対照区が勝る傾向があった(表2)。

4 枝肉成績(表3)

・枝肉重量の平均値は発酵区が398㎏、対照区が434㎏であった。

・BMSNoは発酵区8.0、対照区4.8と発酵区が有意に優れ、枝肉の格付け成績では、発

酵区はA-5が2頭、A-4が2頭で、対照区はA-3が3頭、B-3が1頭であった。

〔考 察〕

⑴ 水分含量を 45%程度に調整した食品残さを主体とする混合飼料を密閉貯蔵して調製した乳酸発酵

飼料は、嗜好性が高く、増体成績は配合飼料給与と比べて劣ったが、肉質が優れ枝肉単価は向上した。

⑵ 食品残さ中の繊維は一般的に粒子が細かく、牛の反すうを刺激する効果が低いことから、粗飼

料は通常の肥育飼料と同水準にするのが安全である。

⑶ ロース芯の肉質としては、発酵区は水分と粗蛋白質の含量が低く粗脂肪含量が高い傾向であり、

肉のせん断力価と皮下脂肪の融点が低かった。この傾向は、脂肪含量の多い食品製造粕を使った

飼料共通の点であり、その肉質を消費者がどう評価するかがポイントとなる。

⑷ 飼料の㎏単価を、ビール粕・小麦ダスト 10 円、配合飼料 40 円、トウモロコシ 36.5 円、フスマ

28.5 円、コーンスチープリカー5円、稲わら 48 円、豆腐粕・コーヒー豆薄皮・モミガラは無料と

して肥育に要した飼料費を計算すると、対照区 205,692 円、発酵区 138,367 円となり、発酵飼料

の給与により飼料費を 67,325 円(約 33%)削減することが可能である。

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〔具体的なデータ〕

表1 発酵飼料の配合割合・乾物中成分値・発酵品質(%)

前期 中期 後期 前期 中期 後期発酵飼料の

配合割合 原物 乾物 原物 乾物 原物 乾物

給与飼料の

乾物割合 56.5 52.4 54.0

市販配合飼料 6.8 10.8 7.0 12.0 7.7 12.8 乾物中成分割合発酵区 対照区発酵区 対照区発酵区 対照区

トウモロコシ 14.6 22.3 14.7 24.3 16.2 26.0 粗蛋白質 11.9 11.9 12.5 12.9 13.1 13.4

小麦ダスト 9.7 15.2 10.1 17.0 11.1 18.2 粗脂肪 3.8 2.0 4.0 2.1 4.2 2.2

コーヒー豆薄皮 6.8 10.8 6.8 11.6 7.5 12.4 NDF 44.8 33.7 42.0 28.2 39.8 25.5

トウフ粕(生) 20.4 7.5 20.5 8.1 22.6 8.7 TDN 65.9 67.9 69.5 73.2 72.3 75.8

ビール粕(生) 7.3 3.3 7.4 3.6 8.1 3.9 発酵品質

フスマ 2.9 4.6 3.1 5.2 3.4 5.6 原物中の有機酸配合 VBN/T-N

コーンスチープリカー 1.9 1.8 1.9 1.9 2.1 2.1 乳酸 酢酸 n-酪酸 (%)V スコアー pH

モミガラ 7.3 11.7 4.6 8.0 3.1 5.1 2.28 0.67 0.01 5.3 94.5 3.9

稲ワラ 7.8 12.1 5.0 8.3 3.3 5.3

水 14.6 19.0 14.9

発酵飼料は、稲わら以外の材料を混合してモミガラ用ポリ袋に密閉貯蔵して調整した

表2 飼料乾物摂取量、体重、日増体量

乾物摂取量(㎏/日) 体 重(㎏) 日増体量(㎏/日)

対照区 発酵区 対照区 発酵区 P 対照区 発酵区 P

前 期 8.0 8.5 432 432 0.97 0.95 0.92 0.80

中 期 8.1 8.6 560 538 0.46 0.80 0.66 0.09

後 期 7.3 7.4 692 634 0.13 0.60 0.44 0.06

通 算 7.7 8.1 413 352 0.09 0.77 0.65 0.09

※ 飼料乾物摂取量は、群飼育のため4頭の合計摂取量を4で除した値

※ 体重は、各期の終了時に測定

※ 体重の通算成績は、試験期間の増体量

表3 枝肉の格付け成績、枝肉価格

区 分 対象区 発酵区 P値

枝肉重量 (㎏)

枝肉等級 (頭)

枝肉等級 (平均)

ロース芯面積 (㎠)

バラの厚さ (㎝)

皮下脂肪の厚さ (㎝)

BMS No.

枝肉単価 (円/㎏)

枝肉価格 (万円)

434.3

A3:3頭

B3:1頭

3.0

52.5

6.9

2.5

4.8

1,735

75.4

397.5

A4:2頭

A5:2頭

4.5

55.0

6.7

1.9

8.0**

1,984**

78.9

0.20

0.46

0.67

0.27

0.002

0.001

0.48

**P<0.01

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<その7>

乳牛への野菜屑サイレージ給与が乳生産性と栄養代謝に及ぼす影響

兵庫県農林水産技術総合センター研究報告(畜産) 42号(2006)23-28

〔成果の要約〕

1 畜種と給与ステージと試験区分

・泌乳牛10頭(初産3頭、2産以上7頭)を用い、分娩後日数200日前後の泌乳中期(産乳

日量25㎏前後)において、馴致7日間、予備期12日間、本試験2日間の計21日間の飼養

試を行った。

・野菜屑サイレージをTMR原料に用いる試験区と、デントコーン・ソルガム混播サイレ

ージを用いる対照区を設けた。

2 給与飼料の内容と組成

・野菜屑は県内のドライブインのセントラルキッチンから排出されたもので、キャベツや

白菜の外葉と芯、大根の皮などが主体である。

・サイレージ調製は、原物重量比で野菜屑67%に対して、ヘイキューブ28%で水分調整し、

糖蜜5%を加えて混合し、ビニール袋に20㎏づつ密閉、脱気して貯蔵した(成分値は表

1)。

・TMRは圧片トウモロコシ、大麦、ビートパルプ、輸入乾草などを主体にし、試験区は

野菜屑サイレージを15%(乾物比)、対照区はデントコーン・ソルガム混播サイレージを

12%混合する飼料設計とした(表2)。

・給与飼料乾物中の粗蛋白質含量は試験区14.8%、対照区13.8%であったが、TDN含量

は試験区が74.7%であるのに対して、対照区は69.5%となり、泌乳中後期のエネルギー

濃度としては試験区がやや高めの設計になった(表2)。

3 飼養試験成績(表3)

・体重、乾物摂取量、日本飼養標準養分(ME、TDN、CP)要求量に対する充足率には

両区間に有意差はなかった。

・本試験の産乳日量の平均値は試験区が22㎏、対照区が26㎏であり、乳脂率はそれぞれ4.76、

4.07%、無脂固形分率は8.83、8.72%で、いずれも有意差はなかった。

4 第1胃液、血液性状と健康状況

・第一胃液性状から第一胃内の発酵異常を示す所見は両区とも認められなかった。

・血液性状から栄養代謝異常を示す所見は両区とも認められなかったが、飼料摂取の前と

後、いずれにおいても尿素態窒素(BUN)は試験区が有意に低値を示した。

・以上より、本試験における飼料構成割合とTMR給与方式で野菜屑サイレージを給与し

た場合、乳生産性や栄養代謝等に悪影響は及ぼさないと考えられた。

〔考 察〕

⑴ これまでに野菜生産現場や流通過程で排出する野菜屑を活用して、飼料コストを下げる事例は

いくつか報告されているが、外食産業から排出する野菜屑をリサイクル目的で乳牛へ給与した事

例は本試験のみである。

⑵ 飼養成績をみると乳量が試験区で約4㎏少なかったが、試験開始時点でも同様の差があり、供

試牛の処理区への配置上生じた偏りによるものである。

⑶ 試験区は粗蛋白含量が高かったにも関わらず、第一胃液のアンモニア態窒素と血液中の尿素態

窒素(BUN)とも低かった。これは試験区の野菜屑サイレージに第一胃内発酵が著しく速い糖蜜

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が含まれていることが影響した可能性が考えられた。しかし、これらの変化は乳生産と健康状態

には大きな影響はもたらしていなかったと思われた。

⑷ 実際に酪農家で野菜屑給与を実施する際は、まず量の確保が問題になる。今回の野菜屑は外食

産業から恒常的に排出されるとは言え、乳牛に給与するために十分な量を安定的に確保するには、

数か所から効率よく収集してサイレージ調製する体制づくりが不可欠である。そのためには、食

品業者と酪農家を結びつける行政的な支援が必要と考えられる。

⑸ 自給飼料の生産コストは都府県の場合、62 円/TDN㎏となっている(飼料自給率向上促進マ

ニュアル)。これに基づいて野菜屑サイレージの目標コストを計算すると、今回供試した野菜屑

サイレージは乾物率 38%で乾物中TDNが 55%であったので,原物中TDNは 0.38×0.55=0.209

㎏となり、62×0.209≒13 円/原物㎏と算定される。

しかし、実際の生産コストを野菜屑と混合したヘイキューブ(43.3 円/㎏)、糖蜜(114.6 円/㎏)

およびビニル袋(2円/枚)から試算すると1袋 20 ㎏入りで約 359 円となり、野菜屑サイレージは

約 18 円/原物㎏と、自給飼料サイレージより高コストになる。

これに輸送コストを加えると更に高価になってしまうので、その場合の目標コストとの差額に

ついては、廃棄処分費の一部を食品リサイクル推進に充当するとの考えに立って、食品業者と行

政側で負担の方法を協議すべきであると考えられる。

〔具体的なデータ〕

表1 供試サイレージの養分含量

項 目 野菜屑サイレージ 混播サイレージ 1)

(試験区) (対照区)

乾物 38.0 30.1

粗蛋白質(CP) 19.6 6.8

粗脂肪(EE) 2.0 2.9

NFE2) 38.5 51.4

粗繊維(CF) 25.3 31.0

粗灰分(Ash) 14.4 7.9

ADF3) 18.1 38.6

NDF4) 分析せず 73.5

NFC5) 12.0

栄養価 6)

代謝エネルギー(ME)

(Mcal/㎏) 2.00 2.25

可消化養分総量(TDN)

(乾物中%) 55.0 60.7

1) デントコーン:ソルガム=6:4

2) 可溶性無窒素物(NFE=100-CP-EE-CF-Ash)

3) 酸性デタージェント繊維

4) 中性デタージェント繊維

5) 非繊維性炭水化物(NFC=100-NDF-CP-EE-Ash)

6) 寺田ら 11)の推定式より算出

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表2 供試TMRの飼料構成と養分含量

飼料名 試験区 対照区

飼料構成 (乾物中%)混播サイレージ 1) 12.3野菜屑サイレージ 15.1ビートパルプ 7.0 7.2圧片トウモロコシ 20.7 24.8皮付圧片大麦 10.7 11.0大豆粕 2.8 7.1綿実 3.7 3.8アルファルファ乾草 13.9 14.3クレイングラス乾草 11.0 7.5トールフェスク乾草 10.7 7.4コーングルテンミール 0.7 0.8ソイプラス 2) 1.4 1.4エナジー1203) 0.7 0.8ミネラル・ビタミン4) 1.6 1.6

養分含量 5)(乾物以外は乾物中%)乾物 56.7 59.2粗蛋白質(CP) 14.8 13.8粗脂肪(EE) 4.4 3.8NFE6) 49.8 51.6粗繊維(CF) 24.5 22.2粗灰分(Ash) 6.5 8.6NDF7) 41.7 40.7NFC8) 36.0 36.5

栄養価 9)

代謝エネルギー(ME)(Mcal/㎏) 2.87 2.64

可消化養分総量(TDN)(乾物中%) 74.7 69.5

1) デントコーン:ソルガム=6:42) 加熱大豆粕(TDN=88.2%, CP=48.6%, CPバイパス率=61.8%)3) エネルギーサプリメント(TDN=132%, CP=8.5%, CPバイパス率=42.8%)4) CaCO3:CaHPO4:NaCl:NaHCO3:ビタミンプレミックス=2:2:1:1:15) 分析値6) 可溶性無窒素物(NFE=100-CP-EE-CF-Ash)7) 中性デタージェント繊維8) 非繊維性炭水化物(NFC=100-NDF-CP-EE-Ash)9) 寺田ら 11)の推定式より算出

表3 飼養試験成績

項 目 試験区 対照区 有意差1)

終了時体重 (㎏) 671±38 675±37 NS

乾物摂取量 (kg/日) 18.0±2.9 19.3±3.2 NS

ME充足率 (%) 105.3±7.0 98.8±4.6 NS

TDN充足率 (%) 98.9±6.6 94.1±4.4 NS

CP充足率 (%) 103.2±6.7 96.4±4.2 NS

乳量 (kg/日) 21.9±5.3 26.2±6.7 NS

4%脂肪補正乳量 (kg/日) 23.8±5.6 25.5±6.2 NS

乳脂率 (%) 4.76±0.6 4.07±0.4 NS

乳蛋白質率 (%) 3.47±0.2 3.34±0.2 NS

無脂固形分率 (%) 8.83±0.3 8.72±0.2 NS

乳糖率 (%) 4.36±0.1 4.38±0.5 NS

体細胞数 (万個/ml) 3.6±2.5 7.1±5.0 NS

乳中尿素態窒素 (mg/dl) 13.6±1.1 13.2±2.2 NS

1) NS:有意差なし

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- 167 -

<その8>

ニンジンサイレージの調製と飼料価値

野中和久、名久井 忠、篠田 満(北海道農業試験場)

北海道農農業試験場研究報告 159 号(1994)

〔成果の要約〕

1 畜種と給与ステージと試験区分

・泌乳中期牛(体重 475~651 ㎏、平均乳量 19.8 ㎏)を6頭供試し 14 日間の給与試験を実

施した。

・試験区分は試験区(3頭)、対照区(3頭)の2区を設定した。

2 給与飼料の内容と組成

・試験区は原物重でニンジンサイレージ 40.8 ㎏、トウモロコシサイレージ 20.0 ㎏、配合

飼料 6.1 ㎏を給与し、対照区はトウモロコシサイレージ 30 ㎏、配合飼料 5.2 ㎏を給与

した。

・給与飼料中のβ-カロテン含量は、試験区が 2783 ㎎(うちニンジン由来が 2412 ㎎)、

対照区が 491 ㎎であった。

3 給与試験成績

・ニンジンサイレージ(根部)は水分含量が 93%と高水分であったため、発酵品質はpH

が 4.2、VBN/TNが 11.6%、酪酸が 0.4%と若干劣質であったが、試験区の採食は良

好で残食はなかった。

・血漿中β-カロテン濃度は試験区が 1125μg/dl、対照区が 674μg/dl であった。また生

乳中β-カロテン濃度は試験区が 45μg/dl、対照区が 29μg/dl であり、ニンジンサイ

レージ給与によって顕著に増加した。

〔考 察〕

⑴ ニンジンは水分を 90%以上含むため、サイレージ調製すると埋蔵初期の乳酸発酵が緩慢になり

酪酸発酵によるVBNや酪酸の生成が認められた。しかしながら消化性は高く、採食も良好であ

ることから品質は並であり、飼料として充分利用可能であると考えられる。

⑵ ニンジンを3㎝に切断したサイレージと無切断のものを比較した結果、無切断サイレージの発

酵品質が優れていた。これはニンジンが高水分であるため、切断すると埋蔵時に切断面から水分

や水溶性糖類などが多量に流出し、排汁ロスが多くなった結果と考えられた。そのため、ニンジ

ンは無切断での調製が有利と考えられる。

⑶ 本試験のニンジンサイレージ給与量は1日当たり原物で 40.8 ㎏と高水準であったが、実際の酪

農現場ではこれだけの大量給与を行う必要はなく、1日当たり 10 ㎏前後の給与でβ-カロテンの

推奨値を満たすことができるものと考えられる。

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〔具体的なデータ〕

生ニンジンおよびニンジンサイレージの化学組成と栄養価

(水分、β-カロテン以外は乾物中%)

生ニンジン

(根)

ニンジンサイレージ

(根)

ニンジンサイレージ

(根+葉+茎)

水分 92.8 93.3 90.5

粗タンパク質 10.3 13.4 14.1

粗脂肪 2.7 6.2 6.5

ADF 15.5 30.3 31.4

NDF 15.5 30.9 44.1

WSC 34.2 5.3 3.2

β-カロテン 910 599 未分析

TDN 81.2 77.9 75.8

注1)β-カロテンの単位は乾物中の㎎/㎏

注2)WSCは可溶性炭水化物の略

ニンジンサイレージの発酵品質(pH以外は原物中%)

ニンジンサイレージ

(根)

ニンジンサイレージ

(根+葉+茎)

pH 3.7 4.0

VBN/TN 12.6 7.1

酢酸 0.25 0.44

プロピオン酸 0.10 0.01

酪酸 0.20 0.21

<その9>

肥育牛に対する屑ナガイモの給与効果

真山 隆、嶽 肇、石田武男(青森県畜産試験場) 東北農業研究 31 号(1982)

〔成果の要約〕

1 畜種と給与ステージと試験区分

・ヘレフォード種去勢牛の同性双子2組4頭を供試。肥育前半(154 日間)をナガイモ給

与期とし、ナガイモと濃厚飼料の給与量の違いにより制限区と飽食区の2区を設けた。

・制限区と飽食区におけるナガイモ給与量は、それぞれ体重の 1.5%および不断給餌とし

同じく濃厚飼料はそれぞれ体重の 1.4%および体重の 1.0%とした。

・肥育期間の後半はナガイモ無給与とし、両区とも体重比 1.7%の濃厚飼料と不断給餌稲

わらで飼養した。試験期間は体重 250 ㎏から概ね 550 ㎏に達するまでの 36日間であった。

2 飼養試験成績

・ナガイモの飼料成分は、分析の結果、ジャガイモとよく類似していた。

・ナガイモ給与期における1日当たり増体量(DG)は制限区 0.80 ㎏、飽食区 0.85 ㎏で、

ナガイモ無給与期のDGは制限区0.83㎏、飽食区0.74㎏であり、全期間では制限区0.82㎏、

飽食 0.79 ㎏であった。

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・ナガイモ給与期の飼料摂取量をみると、ナガイモは飽食区が多く(制限区 717 ㎏、飽

食区 2,452 ㎏)、濃厚飼料は逆に飽食区が少なかった(制限区688㎏、飽食区508㎏)。

・ナガイモ給与期におけるTDN摂取量は前項の飼料摂取量と同様の傾向を示し、濃厚

飼料からのTDN摂取量は、飽食区が制限区より少なかった。

・と殺前の体重は制限区 557.5 ㎏、飽食区 542 ㎏であった。枝肉量はそれぞれ 323.5 ㎏、

324.8 ㎏と同等であった。枝肉格付では外観、肉質ともに差は認められず、枝肉等級は

両区とも中1、並1と同じであった。

〔考 察〕

⑴ 肥育前半では、ナガイモの飽食給与によって、制限給与よりも濃厚飼料摂取量が少なかった。

ナガイモを肥育前半に飽食させると、ナガイモを全く給与しない場合と比べて、計算上、濃厚飼

料を約 35%節約できると考えられた。

⑵ 両区の肉質、枝肉量に差がなかったことから、ナガイモは濃厚飼料を節約する目的で利用する

ことができると考えられた。

〔具体的なデータ〕

ナガイモの一般成分

原物中% 乾物中%

水分 82.45

粗タンパク質 1.98 11.3

粗脂肪 0.11 0.60

NFE 14.24 81.10

粗繊維 0.30 1.70

粗灰分 0.92 5.20

DCP 1.0

TDN 15.0

TDN摂取量(単位:㎏)

制限区 飽食区

ナガイモ給与期

ナガイモ 107.6 367.8

濃厚飼料 512.6 379.0

稲わら 190.0 149.7

ナガイモ無給与期

濃厚飼料 1217.3 1147.3

稲ワラ 218.5 189.2

全期間

ナガイモ 107.6 367.8

濃厚飼料 1729.9 1525.8

稲わら 408.5 339.0

合計 2246.0 2232.6

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- 170 -

<その 10>

ビール粕を活用した乳牛への飼料給与技術

安部好文、渋谷清忠、平井庸夫(大分県畜産試験場)

九州農業研究 64 号(2002)

〔成果の要約〕

1 畜種と給与ステージと試験区分

・平均産次 2.5 産、分娩後日数平均 145 日、平均体重 669.5 ㎏のホルスタイン種乳用牛

を供試。

・試験区・無添加区に4頭ずつ供試し、給与試験は1期3週間×3期の2重反転法で実施。

2 給与飼料の内容と構成

・ビール粕区はビール粕を 10㎏/頭・日混合給与し、無添加区はビール粕を使用しない

飼料とした。

・両区ともTDN、CPの充足率が 120~130%となるように混合給与した。

3 飼養試験成績

・両区の採食量、養分摂取量に差は認められなかった。乳量・乳質にも差は認められず、

原物 10 ㎏程度の給与が可能と考えられた。

・飼料のコストは試験区が最大で 63.8 円/頭・日と無添加区に比べ安価であった。

〔考 察〕

⑴ ビール粕は粗蛋白質含量が高いため飼料設計が必要であるが、低コストで給与可能で、原物 10

㎏/頭・日給与では問題は起きず、泌乳牛用飼料として十分活用できることが明らかになった。

⑵ ビール粕の混合給与では、外気温の高い時期に二次発酵が見られたことから、夏季の長期保存

は避けるべきと考えられた。

〔具体的なデータ〕

ビール粕の成分(乾物中%)

粗蛋白質 粗灰分 粗脂肪 粗繊維 NFE

26.77 3.87 10.32 19.35 39.69

採食量・養分摂取量と乳量・乳成分(1日1頭当たり平均値)

試験前平均 ビール粕区 慣行区

乾物摂取量(㎏) - 24.65 24.27

TDN 摂取量 (㎏) - 18.05 17.70

CP 摂取量 (㎏) - 4.37 4.21

乳量 (㎏) 34.43 31.50 31.13

FCM 乳量 (㎏) 28.43 27.90 29.26

乳脂肪率 (%) 2.84 3.28 3.44

乳蛋白質率(%) 2.94 3.07 3.05

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<その 11>

ビール粕を利用した黒毛和種去勢牛の発育および枝肉形質の経時的変化

谷本保幸、小山信明、千田雅之(近畿中国四国農業研究センター):

近畿中国農業研究 102 号(2001)

〔成果の要約〕

1 畜種と給与ステージと試験区分

・試験開始時において平均月齢 9.6 ヶ月、平均体重 355 ㎏の黒毛和種去勢牛 12頭を供試、

肥育ステージは前期(14ヶ月齢まで)、中期(15~24 ヶ月齢)、後期(25~32 ヶ月齢)

とした。

2 給与飼料の内容と組成

・肥育前期はチモシー乾草を2㎏以上採食させるようにビール粕混合飼料を1~8㎏の

範囲内で調節、不足分の蛋白質を補うため配合飼料を約2㎏給与した。肥育中期はビ

ール粕混合飼料を約 10㎏と稲ワラを約 1.5 ㎏、肥育後期はビール粕混合飼料を約 6 ㎏、

乾燥ビール粕混合飼料を約 4 ㎏および稲ワラを約 1 ㎏給与した。

3 飼養試験成績

・各肥育期間におけるビール粕の乾物給与量は、前期 0.1~0.7 ㎏、中期約 0.9 ㎏、後期

約 0.7 ㎏であった。

・供試牛の体重と体高の平均値は、黒毛和種正常発育曲線の平均と上限の範囲内で推移

した。

・出荷時の平均月齢 31.6 ヶ月、平均体重 783 ㎏であり、肥育期間は全国平均値(610 日)

と比べて約2ヶ月間延びた。

4 枝肉成績

・全国平均値と比較して、供試牛の枝肉重量は 492 ㎏と重く、ロース芯面積 57.5cm2、バ

ラ厚 8.0cm といずれも大きく、BMS No(脂肪交雑度合)も 5.8 と良かった。

・肉質等級は供試牛 12頭中8頭(67%)が4以上であり、良好な産肉成績であった。

〔考 察〕

⑴ 肥育中期後半において、ビール粕多給と暑熱が原因と思われる体重の一時停滞が認められた。

過去の報告と併せて考えると、ビール粕の乾物給与量は 0.8 ㎏以下に抑えることが望ましいと考

える。

⑵ 供試牛の 30 ヶ月齢時の体重、体高を推定すると 770 ㎏、体高 142cm となり、全国平均値より良

好である。この推定値は、成熟値の体重の 93%、体高の 97%に相当することから、30 ヶ月齢以降、

肥育期間を延長しても肉量の増加は顕著でないと推察する。

⑶ ビール粕を利用した黒毛和種去勢牛の肥育は、全国平均と同等の肥育期間(30 ヶ月齢)でも、

全国平均に劣らない産肉成績が得られると考える。

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〔具体的データ〕

飼養試験結果および枝肉成績

実測値 全国平均

出荷時月齢 31.6±0.6

出荷時体重 (㎏) 783±70

日増体量 (㎏/日) 0.64±0.10

肥育期間 (日) 664±14

枝肉重量 (㎏) 492±55 420±54

ロース芯面積 (㎠) 57.5±9.7 50.0±7.4

バラ厚 (cm) 8.0±0.9 7.2±0.9

皮下脂肪厚 (cm) 2.8±0.7 2.5±0.9

歩留基準値 (%) 73.5±1.2 73.2±1.4

BMS No. 5.8±2.1 5.2±2.1

注1)全国平均は、平成 10 年度産肉性調査事業結果(去勢牛)より

注2)枝肉重量=出荷時体重×0.614

<その 12>

醤油粕の飼用利用化技術(乳牛)

長松 始、斎藤武司、田川恵富、片岡正盛(香川県畜産試験場)

香川県畜産試験場報告 27 号(1990)

〔成果の要約〕

1 畜種と給与ステージと試験区分

・ホルスタイン種泌乳牛4頭を用い、対照区と醤油粕区の2区を設定し、各区に2頭を

配置した。

2 給与飼料の内容と組成

・イタリアンライグラスおよびイタリアンライグラスに原物当たり 20%の醤油粕を添加

したものをサイレージ調製した。

・対照区では無添加サイレージを、醤油粕区では醤油粕添加サイレージを飽食給与した。

すべての牛に対して濃厚飼料を乳量に合わせて定量給与した。

3 飼養試験成績

・醤油粕添加サイレージの発酵品質はあまりよくなかったが、栄養価は無添加サイレー

ジに比べ可消化粗蛋白質(DCP)で2倍以上、TDNで 20%程度向上した。

・醤油粕添加サイレージの嗜好性は良好であり、養分摂取量は醤油粕区が対照区より高

くなった。

・乳量、乳脂補正乳量、乳脂率および無脂固形分(SNF)率は、両区の間で差が無か

った。

・第1胃液のpHは、醤油粕給与の影響を受けなかった。

・血中GOT、GPTおよびNaは、正常値範囲内であった。

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〔考 察〕

⑴ 高水分牧草に原物当たり 20%の醤油粕を添加したサイレージを泌乳牛に乾物体重比で 1.2%程

度給与した場合、醤油粕は泌乳牛用飼料として十分に利用可能であると考えられる。

〔具体的データ〕

サイレージの発酵品質および成分

無添加サイレージ 醤油粕添加サイレージ

発酵品質

pH 4.3 4.3

フリーク評価 40(中) 47(可)

成分

水分 % 78.0 67.6

粗タンパク質 %乾物 8.3 18.5

粗脂肪 %乾物 4.4 11.4

可溶無窒素物 %乾物 37.0 32.3

粗繊維 %乾物 38.4 25.4

粗灰分 %乾物 12.4 12.4

DCP %乾物 4.8 12.0

TDN %乾物 54.6 67.3

乳牛飼養試験成績

対照区 醤油粕区

乾物摂取量 ㎏/日

サイレージ 4.7 7.8

濃厚飼料 11.3 11.3

合計 16.0 19.1

TDN 摂取量 ㎏/日 11.2 13.8

泌乳成績

乳量 ㎏/日 18.6 19.8

乳脂補正乳量 ㎏/日 17.3 18.0

乳脂率 % 3.6 3.5

無脂固形分(SNF)率% 8.4 8.3

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<その 13>

肉用牛に対する尿素処理デンプン粕サイレージの利用

杉本昌仁、齋藤早春、左 久、木田克弥、大井幹記、佐藤幸信、齋藤利朗

(北海道立畜産試験場) 栄養生理研究会報 51 巻2号(2007)

〔成果の要約〕

1 畜種と給与ステージと試験区分

・9.1 カ月齢、219.3 ㎏ の黒毛和種去勢牛 12 頭を 30カ月齢まで供試した。

・試験区分は対照区、試験区の2区を設け、6頭ずつ配置した。

2 給与飼料の内容と組成

・対照区は濃厚飼料として肥育用指定配合飼料(TDN72%, CP12.5%)を用いた区、

試験区は対照区の配合飼料の 30%(乾物ベース)を尿素処理デンプン粕サイレージで

代替した濃厚飼料を給与する区とした。

・肥育開始時の濃厚飼料は、1日あたり給与量が配合飼料換算で4㎏(原物ベース)か

ら始め、自由採食量となるまで1カ月に1㎏ずつ増給した。肥育期間の粗飼料は 14カ

月齢までは細切乾草を、それ以外は細切麦稈を自由採食させた。

・デンプン粕サイレージは、0.5%尿素処理した粕に9%(原物ベース)のビートパルプ

ペレットと混合し、バンカーサイロで 11 カ月貯蔵し、調製した。

3 飼養試験成績

・9から 20 カ月齢の肥育前期の日増体量は、対照区および試験区で 0.96 および 0.99 ㎏、

20 から 30カ月齢の肥育後期では 0.63 ㎏および 0.51 ㎏と区間で差はなかった。肥育終

了体重は対照区が 719 ㎏、試験区が 696.8 ㎏となり、統計的に有意な差はないが、対

照区の方が 22.2 ㎏大きかった。

・肥育期間における粗飼料摂取量は両区で差は認められなかったが、濃厚飼料摂取量は

試験区で有意に低く、TDN摂取量も試験区で低かった。

4 枝肉成績

・枝肉重量は対照区が 441.3 ㎏、試験区が 423.6 ㎏であり、有意ではないが試験区の方

が 17.7 ㎏小さかった。

・枝肉歩留、ロース芯面積、皮下脂肪厚、バラ部厚、BMSNo、胸最長筋の粗脂肪含量、

煎断力価は区間で差は認められなかった。

〔考 察〕

⑴ 試験区の肥育前期の増体は変わらないが、肥育後期になると増体は鈍化するようであり、これ

は摂取量の低下によるものと考えられる。

⑵ 肥育後期になると、濃厚飼料摂取量が高まるため、デンプン粕サイレージで配合飼料の 30%を

代替するのは高すぎるのではないかと考えられる。

⑶ 試験区では、出荷体重が小さく、枝肉量がやや小さくなることがうかがえたが、脂肪交雑や胸

最長筋の理化学特徴には差はなく、同等品質の枝肉が生産できると考えられる。

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〔具体的なデータ〕

対照区 試験区

日増体量 (㎏)

9~20ヶ月齢 0.96 0.99

20~30 ヶ月齢 0.63 0.51

通算 0.81 0.77

飼料摂取量 (㎏ DM)

粗飼料 542.5 600.3

濃厚飼料 4275.9 3766.2

総乾物摂取量 4818.4 4366.5

TDN 3788.0 3299.7

枝肉成績

枝肉重量 (㎏) 441.3 423.6

ロース芯面積 (㎠) 53.5 49.8

皮下脂肪厚 (cm) 2.8 2.5

BMS No. 5.3 5.2

<その 14>

バレイショデンプン粕サイレージの飼料特性と泌乳牛への給与法

大下友子ら(北海道農業研究センター)日本草地学会誌 53-3(2007)

〔成果の要約〕

1 デンプン粕は高水分で変敗しやすいが、早期に密封保存することで乳酸発酵が行われ、

良質サイレージとして利用することができる。

2 デンプン粕サイレージの飼料成分組成と消化特性

・デンプン粕サイレージは粗蛋白質含量が4%と少ないが、ペクチン 14%、デンプン 25

%を有し、TDNは 76%で消化性の高いエネルギー飼料と言える。

・第一胃内の乾物消化速度は穀類よりも早い。

3 デンプン粕サイレージを圧片トウモロコシ2㎏の代替えとして給与飼料乾物の8%程

度混合しても乾物摂取量、乳生産量に影響を与えることはない。

〔考 察〕

⑴ デンプン粕は単少糖類は少ないものの、乳酸菌等の添加物を使用しなくとも早期に密封するこ

とで安定した品質のサイレージになる。工場においてコンテナサイロやプラスチックドラム缶を

利用して保存流通することが望ましい。

⑵ デンプン粕をTMRに利用する場合には消化速度が速いことを考慮して分解が緩やかな他の飼

料素材との組み合わせに配慮するとよい。

⑶ ジャガイモの病原菌を拡散させないため、デンプン粕を給与した牛の排せつ物は草地に還元し、

畑への施用は行わない。

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〔具体的なデータ〕

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<その 15>

廃糖蜜(サトウキビ)の飼料成分と泌乳牛に対する嗜好性

神谷 充ら 九州農業研究、第 66 号(2004)

〔成果の要約〕

1 廃糖蜜(サトウキビ)は単少糖類が多く、多量に摂取させるとルーメンアシドーシス

を起こす危険性があるので、給与上限の設定が必要である。

2 粗灰分含量が高く(22.4%)、特にカリウム含量は 12.0%と多いので、乾乳期の給与は

注意を要するが、夏季や泌乳初期などのカリウムが不足がちな時期の利用に有効である。

3 トウモロコシサイレージを主体としたTMRに廃糖蜜を希釈して混合し、泌乳牛の嗜

好性を調査したところ、対照区に対して有意に採食量が多く、採食量を向上させたい場

合に有効と考えられた。

〔考 察〕

⑴ サトウキビの廃糖蜜は製造方法から灰分が多くなる。特にカリウム含量が高いことから分娩後

に乳熱を発生し易く、分娩前3週間は給与を控えるよう指導している。

⑵ 一方、テンサイを原料とする廃糖蜜は灰分が少なくカリウムの過剰給与の心配がないので北海

道では乾乳期のボデイコンデションスコアーが 3.5 以上の肥満の牛には糖蜜飼料1㎏(糖蜜で 350

g)のトップドレッシングをすると難産率が低下するとしている。

〔具体的なデータ〕

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<その 16>

肥育前期における黒毛和種去勢肥育牛へのTMR給与効果

岡野洋ら 沖縄畜産試験場研究報告 42号(2004)

〔成果の要約〕

1 肥育前期 127 日間TMR給与区と分離給与区の比較試験を行い、中期以降はTMRの

同一給与を行って飼料摂取量、増体成績、枝肉成績を比較した。

2 TMR区は前期に粗飼料の食い込みがよく、中期、後期と乾物摂取量が増加したが、

分離給与区は中期、後期と乾物摂取量が低下した。

3 前期のDGは両区とも同じだったが、分離区は中期、後期のDGが低く、試験終了時

の体重に大きな差が出た。

4 枝肉重量はTMR区で 522kg と分離区の 442 ㎏より大きく、ロース芯面積、バラ厚と

もにTMR区が勝り、販売価格に大きな差が生じた。

〔考 察〕

⑴ 肥育前期のTMR給与によって粗飼料乾物摂取量が増加したことがルーメンの発達に好影響を

与え、中期以降の飼料摂取量、増体成績の向上につながったものと推察される。

⑵ TMR給与区のDGが前期 1.13 ㎏、中期 1.05 ㎏、後期 0.97 ㎏、全期間 1.04 ㎏となり、試験

終了時(27 か月令)に 811 ㎏となったことは暖地における黒毛和種去勢牛としては十分な発育成

績が得られ、肥育前期におけるTMR給与の有効性が確認された。

〔具体的なデータ〕

表1 1日1頭当たりの飼料摂取量

TMR区 分離区

T M R (DM)

前期 9.11±0.95 ―

中期 9.93±0.86** 8.71±0.99

後期 10.39±0.67** 7.86±0.72

濃厚飼料 (DM)

前期 5.80±0.61** 6.31±0.83

中期 8.48±0.83** 7.56±0.85

後期 9.36±0.61** 7.08±0.65

粗 飼 料 (DM)

前期 3.31±0.35** 2.50±0.45

中期 1.45±0.51** 1.15±0.21

後期 1.03±0.07** 0.78±0.07

表2 増体成績

区 分 n 試験開始時 中期開始時 後期開始時 試験終了時

体 重(㎏)

TMR区 4(3) 300.0±45.3 444.0±25.0 664.8±15.9 811.0±35.8*

分離区 4 292.8±48.5 432.8±56.1 620.3±57.3 703.3±36.5

差 7.2 11.2 44.5 107.7

D G(㎏) 前期 中期 後期 全期間

TMR区 4(3) 1.13±0.20 1.05±0.16 0.97±0.14* 1.04±0.17

分離区 4 1.10±0.20 0.89±0.03 0.54±0.14 0.84±0.06

差 0.03 0.16 0.43 0.20

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表3 枝肉成績及び販売価格

項 目 TMR区(n=3) 分離区(n=4)

枝肉重量 (㎏) 522.2±42.3* 442.6±28.3

ロース芯面積 (㎠) 59.3±8.3 52.5±4.4

バラ厚 (cm) 8.8±1.1 7.9±0.9

皮下脂肪厚 (cm) 3.2±0.9 2.7±0.4

歩留基準値 (%) 73.6±2.0 73.5±1.2

BMSNo. 5.3±1.5 5.0±2.0

販売価格 (円) 911,269 806,991

<その 17>

泡盛もろみ酢粕は乳牛の飼料として大豆粕に代用できる

島袋宏俊ら 沖縄県畜産試験場研究報告 41(2003)

〔成果の要約〕

1 泡盛もろみ酢粕は乾物率 45.5%で乾物中のCPおよびTDN含量は大豆粕と同程度で

ある。

2 泡盛もろみ酢粕は乳牛飼料として大豆粕を代用し、乾物給与量の3%給与しても、乾

物摂取量および泌乳成績に影響なく使用することができる。

〔考 察〕

⑴ 泡盛もろみ酢粕は乾物中CP47.7%、TDN83.0%と大豆粕と同程度の栄養価であり、大豆粕

の代替え飼料として利用することができる。

⑵ 水分が高く、栄養成分が多いために腐敗しやすいのが欠点である。排出後直ちに密閉容器に入

れて空気を遮断すれば 1 週間程度は保存できるが、酸が強いので、ステンレス容器またはプラス

チック容器で保存する必要がある。

⑶ 泡盛蒸留粕(液状)を乾草や配合飼料に混合して発酵飼料として給与する技術を民間企業と大

学が共同で研究している。

〔具体的なデータ〕

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<その 18>

育成期TMR給与による乳用種去勢肥育牛の発育性及び枝肉成績向上技術

福岡県農業総合試験場・家畜部 九州沖縄農業研究成果情報(2006)

〔成果の要約〕

1 乳用種去勢牛肥育の育成期においてTMR(TDN71%、CP17%)を給与すると肥育期

間中の増体が優れ、枝肉成績が向上する。

2 育成期および肥育前期に栄養水準を高めたTMR(育成期TDN74%、CP18%、肥育前

期TDN77%,CP17%)を給与すると肥育後期の飼料摂取量および日増体量が低下する。

〔考 察〕

⑴ 育成期の慣行的な栄養水準でTMRを給与した場合は、分離給与に比べて乾物摂取量が多く増

体が良好であり、その後の肥育期間を通じてTDN摂取量と増体成績がよい。

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⑵ 育成期にTMRの養分濃度を高め(TDN74%、CP18%),高栄養水準で肥育した場合には肥

育後期に飼料摂取量が低下し、低い増体成績になる。

⑶ 全期間を通して飼料摂取量の多い慣行養分濃度のTMR区では枝肉成績もよく肥育差益は向上

する。

〔具体的なデータ〕

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<その 19>

乳用種去勢牛肥育飼料への麦焼酎粕(液)添加による飼料費低減効果

稲田 淳ら 九州農業研究 65 号(2003)

〔成果の要約〕

1 乳用種去勢牛に対して、全肥育期間を通じて麦焼酎粕(液)を給与混合飼料原物中 30%

添加して給与した場合、乾物摂取量はやや少ないものの増体成績には差がなかった。

2 焼酎粕を給与した肥育牛の枝肉成績は、無添加と比較して差はなかった。

3 全肥育期間を通した焼酎粕の給与量は肥育牛1頭当たり 1.7 トンとなり、飼料費を 11%

低減することができた。

〔考 察〕

⑴ 試験で使用した麦焼酎粕は減圧蒸留麦焼酎粕を熱処理したもの(DM9.6%、TDN66.2%、C

P40.4%)であり、1週間程度の保存が可能である。

⑵ 焼酎粕(液)はpHが 3.9 と低く、混合飼料に添加すると調製後の発熱を抑制することができ

るが、飼槽中では牛の唾液により中和されるので、利用できるのは1日である。

〔具体的なデータ〕

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<その 20>

黒毛和種去勢牛の肥育におけるTMR方式によるモミ殻給与技術

千葉県畜産総合研究センター、茨城県畜産センター、栃木県畜産試験場、

群馬県畜産試験場 森ら 肉用牛研究会(2001)

〔成果の要約〕

1 肥育前期(11~19 か月)のTMRは粗濃比を 25:75 とし、粗飼料はモミ殻を 80%、切

断稲ワラを 20%とした。対照区のTMRはすべて切断稲ワラを混合した。

肥育後期のTMRは粗濃比を8:92 として、粗飼料は稲ワラだけとした。

2 肥育前期の乾物摂取量はモミ殻TMR8.7 ㎏、稲ワラTMR8.5 ㎏で差はなかった。

3 増体と枝肉成績は両区に差はなかった。

〔考 察〕

⑴ 稲ワラの不足している地域ではモミ殻で肥育前期粗飼料の 80%代替えが可能で、飼料費の低減

が期待できる。

⑵ 飼料の給与方法は濃厚飼料と混合したTMR給与とするが、モミ殻給与の馴致期間を十分とり、

個体の観察をしっかり行う必要がある。

〔具体的なデータ〕

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<その 21>

焼酎粕濃縮液混合による発酵TMRの乾物回収率の向上と開封後の変敗抑制

九州沖縄農業研究センター・イネ発酵TMR研究チーム

九州沖縄農業研究成果情報(2007)

〔成果の要約〕

1 米あるいは麦焼酎粕濃縮液は栄養素の構成からTMRの原料として乾物比 30%までは濃

厚飼料と代替え可能であり、濃縮粕の混合によりTMRのpHは低下する。また緩衝能、

VBNが高まる。

2 夏季においてはpHが 4.0 以下と低く、酪酸の少ない良質の発酵TMRが調製される。

冬季においては濃縮液混合量が 30%ではpHの上昇がみられる。

3 夏季において濃縮液を混合した発酵TMRは、糸状菌の増殖等に起因する開封後の温度

上昇を抑制することができる。冬季では濃縮液 30%混合区で好気的変敗が起こった。

4 米あるいは麦焼酎粕濃縮液のTMRへの混合割合は乾物 20%までは発酵品質に優れ、好

気的変敗を抑制する効果がある。

〔考 察〕

⑴ 夏季は焼酎粕濃縮液を 30%まで混合しても問題はないが、冬期に 30%混合した場合にpHがや

や高くなった。

⑵ 夏季は焼酎粕濃縮液を添加した各区で開封後の温度上昇がみられず、好気的変敗を抑制する効

果があった。冬季では濃縮液 30%添加区で温度上昇がみられ、20%添加区までは好気的変敗の抑

制効果があった。

〔具体的なデータ〕

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<その 22>

有色カンショ粕の飼料化

神谷 充ら 九州沖縄農業研究センター・畜産飼料作研究部 九州農業研究 64号(2002)

〔成果の要約〕

1 有色カンショ粕の飼料成分は、CPは 2.57%と少ないがNFEが93%と多く、TDNは

81%と高い高カロリー飼料である。

2 カンショ粕にビートパルプとアルファルファミールを加え、これをイタリアンライグラ

ス乾草主体またはコーンサイレージ主体のTMRに乾物比20%混合して泌乳牛に給与した。

3 乳牛の乾物摂取量、乳量、乳成分に異常は認められず、TMRの配合原料として利用す

ることができる。

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〔考 察〕

⑴ 原料のカンショ粕は色素抽出のための酸を含み、pHが2~3と強酸性であることから取り扱

いに注意が必要である。

⑵ ビートパルプやアルファルファと混合した後はpHが上昇し、腐敗しやすいので短期間に給与

する。

〔具体的なデータ〕

<その 23>

梅酒漬け梅を利用した交雑種雌牛の肥育

大阪農業技術センター研究報告 38号(2002)

〔成果の要約〕

1 漬け梅と乾燥トウフ粕を配合した肥育飼料を調製して交雑種雌牛に給与した。

漬け梅を1日1㎏以上給与すると乾物摂取量、飼料効率、増体重が向上する。

2 漬け梅給与区の枝肉重量、ロース芯面積、BMSスコアーが対照区にまさった。

3 漬け梅給与区の第一胃内VFA産生量が増加し、血中コレステロール濃度が高くなった。

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〔考 察〕

⑴ ほとんど廃棄処分されていた漬け梅を肥育飼料に利用することで、良質牛肉を生産してブラン

ド化を図ることができる。

⑵ 漬け梅およびトウフ粕を肥育飼料に配合することにより非デンプン性炭水化物をエネルギー源

とすることでルーメン機能が改善されて飼料摂取量が向上したと考えられる。

⑶ 漬け梅中のアルコールがエネルギー源として利用され、脂肪蓄積を促進したことがBMSスコ

アーの向上に貢献したことも考えられる。

⑷ 漬け梅を現物で3㎏以上給与すると肝機能(GDP)に影響がみられるので、注意する必要が

ある。

〔具体的なデータ〕

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参考3 飼料安全法

(「飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律」(昭和28年法律第35号))

飼料等の使用が原因となって、人の健康をそこなうおそれのある畜産物など(有害畜産物)が生産

されること、家畜などに被害が生ずることにより畜産物の生産が阻害されることを防止するため、飼

料の安全性、品質(栄養性)の両面から、基準及び規格を設定するなどして規制が行われています。

飼料安全法令の詳細については、法令データ提供システム(総務省行政管理局:

http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxsearch.cgi)に収載されております。また、都道府県(畜産課

など)、独立行政法人農林水産消費安全技術センター(埼玉県さいたま市中央区新都心2-1さい

たま新都心合同庁舎検査棟、電話048-601-1176、ホームページ(http://www.famic.go.jp/)で手

続きなどについて、ご相談を受けております。

1 法の目的(第1条)

飼料の安全性の確保及び品質の改善を図り、もつて公共の安全の確保と畜産物などの生産の安定

に寄与することを目的としています。

2 定義(第2条)

家 畜 等:牛、豚、めん羊、山羊、しか、鶏、うずら、みつばち、ぶり、まだい、ぎんざけ、

かんぱち、ひらめ、とらふぐ、しまあじ、まあじ、ひらまさ、たいりくすずき、す

ずき、すぎ、くろまぐろ、くるまえび、こい(食用)、うなぎ、にじます、あゆ、

やまめ、あまご、にっこういわな、えぞいわな、やまといわなが政令で指定されて

います。

飼 料:家畜などの栄養に供することを目的として使用されるものをいいます。

飼料添加物:飼料の品質の低下の防止その他の目的で飼料に添加、混和、浸潤その他の方法によ

つて用いられる物で、農林水産大臣が農業資材審議会の意見を聴いて指定するもので、

ビタミン類などの栄養成分の補給目的のもの、抗生物質などが飼料添加物として指定さ

れています。

3 基準及び規格(第3条~4条)

大臣は、有害畜産物が生産されたり畜産物の生産が阻害されることを防止する見地から、飼料、

飼料添加物の製造・使用・保存の方法、表示の基準、飼料、飼料添加物の成分規格を定めています。

(具体的には、「飼料及び飼料添加物の成分規格等に関する省令」(昭和51年農林省令第35号)

に定められています。)

4 検定及び表示(第5条)

インド産落花生油かす、抗生物質については、①独立行政法人 農林水産消費安全技術センターの

検定を受け、これに合格したことを示す特別な表示を付されたもの、②登録特定飼料等製造業者、

登録外国特定飼料等製造業者が製造したものであって、その旨の表示の付されたもの以外の販売は

禁止されています。

5 有害な物質を含む飼料等の製造等の禁止、廃棄等(第23条~第24条)

大臣は、飼料の使用が原因となって、有害畜産物が生産され、又は家畜等に被害が生ずることに

より畜産物の生産が阻害されることを防止するため、必要があると認めるときは、当該飼料などの

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製造、輸入、販売、使用(給与)を禁止することができ、また、大臣又は都道府県知事は、これら

の飼料などの廃棄、回収などの必要な措置を命ずることができることとされています。

6 飼料製造管理者(第25条)

抗菌性物質、インド産落花生油かす、尿素又はジウレイドイソブタンを含む飼料、飼料添加物の

製造業者は、飼料等の製造を実地に管理させるため、その事業場ごとに飼料製造管理者を置き、大

臣に届け出なければなりません。

7 公定規格及び規格適合表示(第26条、27条、29条)

大臣は、飼料の栄養成分に関する品質の改善を図るため必要があると認めるときは、飼料の種類

ごとに栄養成分の最小量又は最大量その他栄養成分に関し必要な事項の規格(公定規格)を定めて

います。

登録検定機関、都道府県が公定規格による検定を行ったときは、公定規格に適合したことを示す

表示(規格適合表示)を付すことができます。

また、登録規格設定飼料製造業者が登録に係る規格設定飼料を製造したときは、規格適合表示を

付すことができます。

8 表示の基準(第32条)

大臣は、飼料の消費者がその購入に際し栄養成分に関する品質を識別することが著しく困難であ

る飼料で、使用上当該品質を識別することが特に必要であるため当該品質に関する表示の適正化を

図る必要があるものとして政令で定めるものについて、栄養成分などの事項につき表示の基準とな

るべき事項を定めており、飼料には該当する項目について表示する必要があります。

9 製造業者等の届出(第50条)

飼料等の製造業者、輸入業者は大臣に、販売業者は都道府県知事に、その事業を開始する2週間

前までに所定の事項を届け出る必要があります。食品リサイクル法において、登録再生利用事業者

としての登録を受けた場合には、飼料安全法による届出を行ったものとみなされ、届出を行う必要

はありません。

しかし、この項目以外の事項についての規制は適用されます。

10 帳簿の備え付け(第52条)

飼料などを製造、輸入したとき、譲り受け、譲り渡したときは、その名称、数量などを帳簿に記

録し、8年間保存しなければなりません。

11 厚生労働大臣との関係(第59条)

農林水産大臣は、基準規格の設定、改正等に際して厚生労働大臣の意見を聴かなければならず、

また、厚生労働大臣も基準規格の改正などについて意見を述べることができます。また、農林水産

大臣と厚生労働大臣は相互に情報又は資料を提供するものとされています。

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参考4 食品残さ等利用飼料における安全性確保のためのガイドライン

(平成18年8月30日付け18消安第6974号 農林水産省消費安全局長通知)

第1 目的

飼料を製造する場合には、最終生産物を食品として摂取する人及び飼料を与えられる動物の

健康への悪影響の防止に配慮する必要がある。

このため、本ガイドラインは、食品残さ等を利用して製造される飼料の安全性確保及び家畜

衛生の観点から、原料収集、製造、保管、給与等の各過程における管理の基本的な指針を示す

ものである。

なお、この指針は飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律(昭和28年法律第35号。

以下「飼料安全法」という。)及び家畜伝染病予防法(昭和26年法律第166号)の遵守を前提と

している。

第2 定義

本ガイドラインで用いる用語は、下記により定義するもの並びに飼料安全法及びその関係法

令に用いられているものの定義と同様とする。

1 食品製造副産物等

米ぬか、酒かす、しょうちゅうかす、しょう油かす、でん粉かす、ビールかす、ふすま、

麦ぬか、コーングルテンミール、果汁かす、とうふかす、パン屑、ビートパルプ、バガス、

茶かす、糖蜜、コーンスチープリカー等食品の製造過程で得られる副産物及び野菜カット屑

等加工屑をいう。

2 余剰食品

飯、パン、麺類、とうふ、野菜、菓子、牛乳、アイスクリーム、総菜、弁当等食品として

製造されたが、食品としての利用がなされないものをいう。

3 調理残さ

調理に伴い発生する残さをいう。

3-1 事業系調理残さ

食事を提供する事業所から排出する調理残さをいう。

3-2 家庭調理残さ

一般家庭から排出される調理残さをいう。

4 食べ残し

調理されたものが食用に供された後、食べ残されたものをいう。

4-1 事業系食べ残し

食事を提供する事業所で発生する食べ残しをいう。

4-2 家庭食べ残し

一般家庭で発生する食べ残しをいう。

5 食品残さ等利用飼料

食品製造副産物等、余剰食品、調理残さ及び食べ残し(以下「食品残さ等」という。)を

そのまま飼料として利用するもの又は原料として加工して飼料として利用するものをいう。

6 生残飯

調理残さ及び食べ残しを収集したもので、更なる加熱加工等がされていないものをいう。

7 A飼料

飼料等及びその原料のうち、農家において反すう動物(牛、めん羊、山羊及びしかをいう。)

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に給与される又はその可能性のあるものとして動物由来たん白質等が混入しないように取り

扱われるものをいう。

第3 原料収集、製造等に関する基本的な指針

1 原料収集

⑴ 原料排出元の分別

① 食品製造副産物等

食品製造副産物等のうちほ乳動物に由来するたん白質(乳及び乳製品並びに農林水産

大臣の確認を受けた豚肉骨粉、ゼラチン及びコラーゲンを除く。)、家きんに由来する

たん白質(卵及び卵製品並びに農林水産大臣の確認を受けたものを除く。)及び魚介類

に由来するたん白質(農林水産大臣の確認を受けたものを除く。)を原料にすると飼料

安全法第4条違反となることから、確実に分別すること。

② 事業系調理残さ及び事業系食べ残し

調理残さは、調理器具の破片等の異物の混入がないことを確認し、それのみを分別し

専用の容器(以下「分別専用容器」という。)に入れる。病原微生物等に汚染されてい

る蓋然性が高いものは、製造段階において加熱処理を実施することなどにより確実に感

染が防止できる場合を除き、原料としてはならない。

食べ残しは、調理残さに比べ有害なものが混入する可能性が高いことから、たばこ等

の食品以外の異物の混入がないことを確認し、はし、つまようじ等を除去した後、蓋付

きの分別専用容器に収納する等により、有害物質を確実に除去できる場合以外は使用し

ないこと。

なお、分別専用容器は、収集後は洗浄又は消毒する。また、国際線の航空機及び海外

航路船から排出される調理残さ等は、動物検疫の観点から原則として陸揚げが認められ

ていない。これらを含め外国関連施設から排出される調理残さ等は、飼料原料として使

用してはならない。

③ 家庭調理残さ及び家庭食べ残し

②に比べて多種の異物が混入する可能性が高く、安全性の確保が難しいことから原則

として原料としてはならない。

ただし、食育の観点等から、例外的に原料として利用する場合には、②以上に厳格に

分別しなければならない。特に、ほ乳動物由来たん白質等を含むペットフードなどの食

品以外の異物が混入することのないように分別を徹底する。

また、モニタリングの徹底などにより、排出元ごとの分別状況の確認及び記録をする

こと。

⑵ 原料収集時の分別

① 全般

かびの発生及び腐敗の状態を目視及び臭気により確認し、かびの発生又は腐敗が認め

られるものは原料としてはならない。

② 余剰食品

包装品にあっては、包装資材を極力除去する。

③ 事業系調理残さ及び事業系食べ残し

⑴の②の分別状況を確認し、不適切なものは収集の対象としない。

④ 家庭調理残さ及び家庭食べ残し

⑴の③の分別状況を確認し、不適切なものは収集の対象としない。

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⑶ 排出元の責任

排出者は、1の⑴に規定する分別の徹底を図り、目視による確認の困難な洗剤等の混入

も防止する。

保冷庫又は冷暗所に保管する等、排出物の種類及び収集までの保管期間に応じた、かび

の発生及び腐敗を防止する対策をとること。

また、保管に際し、病原微生物汚染を防止等する観点からカラス、イヌ、ネコ、ネズミ、

キツネ、ゴキブリ、ハエ等(以下「カラス等」という。)からの隔離及び異物の混入を防

止するため、原則として蓋付きの専用容器に入れること。

自己確認又は収集者等(食品残さ等を原料として飼料を製造する業者及び農家を含む。)

による確認において、1の⑴及び⑵の観点等から原料として不適切と認められたものは、

飼料原料として排出してはならない。

⑷ 排出元との契約

食品残さ等を原料として飼料を製造する業者等と排出元は、以下により契約を締結する。

なお、収集業者が介在する場合にあっても相互に又は三者で契約を締結する。

① 余剰食品

⑶の内容、保管条件、飼料原料としての品質確保のための努力義務等について契約を

締結する。

② 事業系調理残さ及び事業系食べ残し

⑴の②及び⑶の内容、保管条件、飼料原料としての品質確保のための努力義務等につ

いて契約を締結する。

③ 家庭調理残さ及び家庭食べ残し

⑴の③及び⑶の内容、保管条件、飼料原料としての品質確保のための努力義務等につ

いて契約を締結する。

④ 生残飯

生残飯を畜産農家で直接利用する場合には、収集に際して、畜産農家は排出元と直接

契約を締結しなければならない。なお、他の畜産農家と契約を締結している排出元から

は収集しないこと。

⑸ 排出元での確認

食品残さ等を原料として飼料を製造する業者等は、排出元に定期的に出向いて⑷の契約

内容の遵守状況について確認する。

⑹ 排出元の教育・要請等

食品残さ等を原料として飼料を製造する業者等は、⑷の契約締結に際して、異物分別等の具体

的手法等について排出元に対して必要に応じて教育を行う。また、収集開始後、分別状況等に不

適切な事例が認められた場合には、分別等の徹底を改めて要請するとともに、必要に応じて教育

又は原料の受入停止等の措置を行う。

2 原料の運搬・保管

野菜カット屑等加工屑、腐敗しやすい食品製造副産物、余剰食品、調理残さ及び食べ残し

を原料とする場合には、以下により運搬及び保管を行う。

⑴ 排出元での保管期間は極力短くし、迅速に収集しなければならない。

⑵ 運搬に際し、カラス等から隔離し、及び異物の混入を防止するため、原則として蓋付き

の専用容器に入れる。専用容器は、使用後洗浄又は消毒する。

⑶ 運搬は、保冷車で行うことが望ましいが、保冷車を用いない場合には、極力移動距離を

短くし、腐敗、脂質の酸化等の品質劣化を防止しなければならない。

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⑷ 供給先に運搬した原料は、できるだけ早く製造又は使用に供し、一時保管する場合は保

冷庫又は冷暗所で保管しなければならない。特に、食べ残しを含む原料については排出か

ら製造又は使用までを迅速に行い、長期保管は行わないこと。

3 製造

⑴ 原料受入時の分別

① 全般

かびの発生、腐敗等が認められ原料として不適当なものは、製造又は使用に供しては

ならない。

② 余剰食品

原料収集時に分別できなかった包装資材を分別除去する。

③ 事業系調理残さ及び事業系食べ残し

原料収集時に分別できなかった金属異物、はし、つまようじを目視、網ふるい、磁石

等により除去する。

⑵ 細菌、ウイルス等病原微生物汚染対策

生肉等が混入している可能性のあるものは、「豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指

針」(平成18年3月31日農林水産大臣公表)の第1の1の⑴及び「豚コレラに関する特定

家畜伝染病防疫指針に基づく発生予防及びまん延防止措置の実施に当たっての留意事項に

ついて」(平成18年3月31日付け17消安第11229号農林水産省消費・安全局長通知)の(別

添)3に基づき、70℃、30分以上又は80℃、3分以上加熱処理する。

なお、生肉等が混入している可能性がない場合であっても病原微生物汚染を防止する観

点から必要に応じて適切な温度で加熱すること。

また、加熱方法によっては設定温度と実際の品温が大幅に異なることがあることから、

品温のモニタリングを適切に行う等により、上記の加熱条件を満足することとする。

発酵乾燥法においては、切り返し及び品温のモニタリングを適切に行う等により、製品

全体が上記の加熱条件を満足するようにすること。

⑶ A飼料の製造

農家において反すう動物(牛、めん羊、山羊及びしかをいう。)に給与される又はその

可能性のある飼料には、飼料安全法ではほ乳動物由来たん白質(乳、乳製品、農林水産大

臣の確認を受けたゼラチン、コラーゲンを除く。)、家きん由来たん白質(卵、卵製品、農

林水産大臣が指定するものを除く。)及び魚介類由来たん白質を含んではならないと規定

されている。具体的には、「反すう動物用飼料への動物由来たん白質の混入防止に関する

ガイドライン」(平成15年9月15日付け15消安第1570号農林水産省消費・安全局長通知。

以下「ABガイドライン」という。)に基づき動物由来たん白質の混入防止の徹底を図ら

なければならない。

⑷ 配合飼料原料の製造

配合飼料の原料を製造する場合には、粉末乾燥処理を行い、水分については13.5%以下

にすることが望ましい。

⑸ 飼料添加物の使用

抗酸化剤、防かび剤等の添加物を用いる場合には、飼料添加物を用いなければならない。

また、その際には定められた基準・規格を遵守しなければならない。

4 品質管理

⑴ 試料の採取

試料の採取は、「飼料等検査実施要領」(昭和52年5月10日付け52畜B第793号畜産局長

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通知)に準じて行う。

⑵ 分析項目及び分析頻度

有害物質又は病原微生物の汚染の防止を図る観点から、それぞれの製品の特性に応じて

かび毒、残留農薬、重金属、病原微生物、脂質の酸化生成物、食塩、硝酸塩、揮発性塩基

性窒素等の中から分析項目、分析頻度等を選定する。

⑶ 分析方法及び分析場所

分析方法は、「飼料分析基準」(平成20年4月1日付け19消安第14729号農林水産省消

費・安全局長通知)によることを原則とするが、市販の簡易検査キット等を用いることも

できる。分析は、自社の品質管理室又は外部の分析機関で行う。

⑷ 品質管理基準

製品の品質管理の基準は以下を参考とする。

サルモネラ 陰性

農薬等 別紙

⑸ 品質管理台帳及びその保存

品質管理台帳に製造年月日、試料採取年月日、分析者、分析結果、分析結果に基づいて

実施した措置内容等について記載し、8年間保存する。

5 製品の保管、出荷等

⑴ 異物混入の排除

製品は、カラス等からの隔離又は異物混入を防止するため、紙袋、トランスバック等密

閉容器に保管する。

⑵ 製品の保管

水分含量等製品の状況に応じた温度管理を行い保管することとするが、可能な限り早く

出荷すること。

⑶ 出荷先の制限

ほ乳動物に由来するたん白質、家きんに由来するたん白質及び魚介類に由来するたん白

質(以下「ほ乳動物由来たん白質等」という。)を含む飼料は、豚用又は家きん用以外に

出荷してはならない。

⑷ A飼料の輸送

A飼料の輸送に当たっては、ABガイドラインの規定によるA飼料又は反すう動物用飼

料専用である旨を表示した専用の容器を用いる。

⑸ 製品の表示

製品を出荷する際には、以下の内容を表示する。

① 飼料の名称又は種類

② 製造(輸入)年月

③ 製造(輸入)業者の氏名又は名称及び住所

④ 製造事業場の名称及び所在地(輸入に係るものにあっては、輸入先国名)

⑤ ほ乳動物由来たん白質等を含有する場合には、次の文字

「使用上及び保存上の注意

1 この飼料は、牛、めん羊、山羊、しか及び養殖水産動物には使用しないこと(牛、

めん羊、山羊、しか又は養殖水産動物に使用した場合は処罰の対象となるので注

意すること。)

2 この飼料は、牛、めん羊、山羊、しか及び養殖水産動物を対象とする飼料(飼

料を製造するための原料又は材料を含む。)に混入しないよう保存すること。」

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⑥ 飼料添加物(抗酸化剤等)が添加されている場合には、飼料安全法に定められた表示

事項

6 帳簿の記載等

⑴ 製造時の帳簿の記載

製品を製造した場合には、遅滞なく、次の事項を帳簿に記載しなければならない。

① 名称

② 数量

③ 製造年月日

④ 製造に用いた原料又は材料の名称及び数量

⑤ 製造に用いた原料又は材料が譲り受けたものであるときは、譲り受けの年月日及び相

手方の氏名又は名称

⑵ 排出元リストの入手

原料を自ら収集しない場合には、収集業者から収集日ごとに排出元のリストを入手する。

⑶ 製品の譲り渡しに際しての帳簿の記載

製品を譲り渡したときは、その都度、次の事項を帳簿に記載しなければならない。

① 名称

② 数量

③ 年月日

④ 相手方の氏名又は名称

⑤ 荷姿

⑷ 帳簿の保存期間

⑴、⑵及び⑶の帳簿等は、8年間保存しなければならない。

7 飼料製造業者届等の提出

飼料安全法第50条に基づき農林水産大臣に飼料製造業者届を提出しなければならない。な

お、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律第10条に基づき登録を受けた者はこの限

りではない。

また、プロピオン酸等を飼料に添加する場合には飼料安全法第25条に基づき飼料製造管理

者を設置するとともに、農林水産大臣に飼料製造管理者届を提出しなければならない。

第4 製造等管理体制

1 飼料業務管理規則

⑴ 第3の1から6までを効果的かつ効率的に実行するため、飼料業務管理規則を策定し、

これを書面化することが望ましい。なお、ABガイドラインで規定する飼料業務管理規則

は、別途定める必要がある。

⑵ 飼料業務管理規則に基づく業務管理の実施及びその確認については、その内容を記録し、

8年間保存することが望ましい。

⑶ 飼料業務管理規則に基づく業務管理を的確に実施するため飼料業務管理責任者を設置す

ることが望ましい。

2 飼料品質管理規則

⑴ 第3の4の具体的内容を定めた飼料品質管理規則を策定し、これを書面化することが望

ましい。なお、ABガイドラインで規定する飼料品質管理規則は、別途定める必要がある。

⑵ 飼料品質管理規則に基づく分析の実施及びその結果については、その内容を記録し、8

年間保存することが望ましい。

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⑶ 飼料品質管理規則に基づく品質管理を的確に実施するため飼料品質管理責任者を設置す

ることが望ましい。

第5 農家における製造、保管及び使用

1 製造

第3の3の⑴から⑶による。

2 保管

カラス等からの隔離又は異物混入を防止するため、紙袋、トランスバック等密閉容器に保

管する。

3 使用

⑴ 使用の制限

ほ乳動物由来たん白質等を含む飼料は、豚又は家きん以外に使用してはならない。

⑵ 使用上の注意事項

搬入された飼料は、速やかに使用する。また、食塩、硝酸塩の含有量を含め栄養成分量

を把握し、適切な割合で使用する。

⑶ 生残飯の取り扱い

生肉等が混入している可能性のあるものは、70℃、30 分以上又は80℃、3分以上加熱処

理した後に使用する。なお、生肉等が混入している可能性がない場合においても病原微生

物汚染を防止する観点から必要に応じて適切な温度で加熱して使用する。

⑷ 帳簿の記載等

① 製造時の帳簿の記載

第3の6の⑴による。

② 使用時の帳簿の記載

飼料を使用後に、飼料安全法に定められた次に掲げる事項を帳簿に記載して保存する

よう努めなければならない。

ア 当該飼料を使用した年月日

イ 当該飼料を使用した場所

ウ 当該飼料を使用した家畜等の種類

エ 当該飼料の名称

オ 当該飼料の使用量

カ 当該飼料を譲り受けた年月日及び相手方の氏名又は名称

③ 帳簿の保存期間

①の帳簿は、飼料安全法に定められた8年間保存しなければならない。

②の帳簿は、以下により保存することが望ましい。

ア 牛 8年間

イ 採卵鶏 5年間

ウ 豚、ブロイラー 2年間

エ ぶり、まだい、かんぱち、ひらめ、とらふぐ、しまあじ、ひらまさ、たいりくすず

き、すずき、くろまぐろ、こい(食用に供しないこいを除く。)、にじます、やまめ、

あまご、にっこういわな、えぞいわな、やまといわな 4年間

オ ぎんざけ、まあじ、すぎ、うなぎ 3年間

カ あゆ、くるまえび 2年間

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第6 配合飼料工場における利用

食品製造副産物等に由来する食品残さ等利用飼料を豚及び家きん用配合飼料の原料に用い

る場合には、当該食品残さ等利用飼料に、ほ乳動物由来たん白質(乳及び乳製品並びに農林

水産大臣の確認を受けた豚肉骨粉、ゼラチン及びコラーゲンを除く。)、家きんに由来する

たん白質(卵及び卵製品並びに農林水産大臣の確認を受けたものを除く。)及び魚介類に由

来するたん白質(農林水産大臣の確認を受けたものを除く。)を含まないことを確認する。

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< 別 紙 1 >飼 料 中 の 残 留 農 薬 の 基 準 値単 位 : m g / k g ( p p m )

対 象 と な る 飼 料 及 び 基 準 値農薬名 配合飼料又は混合飼料小麦 大麦 ライ麦 とうも エン麦 マイロ 牧草

備 考ろこし 鶏又は 豚用 牛、めん

羊、山羊うずら又はしか用用

γ-BHCを示すリンデン 0.4 0.05 0.05 0.4、 、 、2,4-D 0.5 0.5 0.5 0.05 0.5 0.5 260 2,4-D 2,4-Dナトリウム塩 2,4-Dジメチルアミン塩

2,4-Dエチル,2,4-Dイソプロピル、2,4-Dブトキシエチル及び2,4-Dアルカノールアミン塩を含むα-BHC,β-BHC,γ-BHC及びδ-BHCの和BHC 0.02 0.005 0.005 0.005αーBHC、β-BHC及びγ-BHCが検出された場合は、γーBHCの検出の有無に関わらずBHCの基準を適用

pp'-DDD、pp'-DDE,pp'-DDT及びop'-DDTの和DDT 0.1 0.1 0.1 0.1アセフェート 0.5 3アトラジン 0.3 0.02 0.02 0.2 0.02 0.02 15アラクロール 0.05 0.05 0.2 0.1 0.1 3アルジカルブ 0.02 0.02 0.02 0.05 0.2 0.2 1アルドリン及びディルドリン ディルドリン及びアルドリンの和0.02 0.02 0.02 0.02イソフェンホス 0.02イミダクロプリド 0.05 0.05 0.05 0.1 0.05 0.05 6エチオン 20エンドリン 0.01 0.01 0.01 0.01

カルタップ,ベンスルタップ及びチオシクラムの総和カルタップ、チオシクラ 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2 0.7をカルタップに換算ム及びベンスルタップ

カルバリル 2 5 5 0.1 10 10 250カルベンダジム、チオファネート、チオファネ カルベンダジム、ベノミル,チオファネート及びチオファネートメチルの総和を0.6 0.6 0.6 0.7 0.6 0.6 10ートメチル及びベノミル カルベンダジムに換算したものの和

カルボフラン及び3- ヒドロキシカルボフランをカルカルボフラン 0.2 0.2 0.1 0.1 0.1 130.05ボフランに換算したものの和

キャプタン 10グリホサート、グリホサートアンモニウム塩、グリグリホサート 5 20 0.2 1 20 20 120ホサートイソプロピルアミン塩、グリホサートトリメシウム塩及びグリホサートナトリウム塩を含むグルホシネート、N-アセチルグルホシネートをグルグルホシネート 0.2 5 150.1ホシネート換算した物及び3-メチルホスフィニコープロピオン酸をグル ホシネートに換算したものの総和。乾牧草は、N-アセチルグルホシネートを除く

クロルピリホス 0.5 0.2 0.01 0.1 0.75 0.75 13クロルピリホスメチル 10 6 7 7 10 10

E体及びZ体の和クロルフェンビンホス 0.05 0.05クロルプロファム 0.05 0.05 0.05 0.05クロルベンジレート 0.02シアナジン 0.1 0.05 0.01 0.1 0.01 0.01 0.01

ジカンバ、ジカンバイソプロピルアミン酸、ジカンジカンバ 0.5 0.5 0.1 0.5 3 3 200バジメチルアミン酸、ジカンバカリウム塩及びジカンバナトリウム塩を含むジクロルボス及びナレドをジクロルボスに換算したジクロルボス及びナレド 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2 10ものの和

ジクワット 2 5 0.03 0.05 2 2 100- -198

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対 象 と な る 飼 料 及 び 基 準 値小麦 大麦 ライ麦 とうも エン麦 マイロ 牧草 配合飼料又は混合飼料農薬名

備 考ろこし 鶏又はう 豚用 牛、めん

羊、山羊ずら用又はしか用

ラムダ-シハロトリンを含むシハロトリン 0.05 0.2 0.02 0.04 0.2 0.2 0.6各異性体の和シフルトリン 2 2 2 2 2 2 3

シマジン 0.3 9ジメトエート 0.04 0.2 1 20.05 0.2 0.2ダイアジノン 0.1 0.1 0.1 0.02 0.1 0.1 10チアベンダゾール 0.5 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 10

デルタメトリン及びトラロメトリンの和デルタメトリン及びトラ 1 1 1 1 1 1ロメトリンテルブホス 0.01 0.01 0.005 0.01 0.05 0.05 1トリシクラゾール 0.02 0.02 0.02 0.02 0.02 0.02 5二臭化エチレン 0.1 0.01 0.01 0.01 0.01 0.01パラコート 0.05 0.05 0.05 0.1 0.5 0.5 5パラチオン 0.3 0.5 0.05 0.3 0.08 0.08 5ピペロニルブトキシド 24 24 24 24 24 24ピリミホスメチル 1 1 1 1 1 1フィプロニル 0.2 0.01 0.02 0.02フェニトロチオン 10 5 1 1 1 1 10フェノブカルブ 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3フェンチオン 5フェントエート 0.4 0.4 0.4 0.4 0.4 0.4

各異性体の和であり、エスフェンバレレートを含むフェンバレレート 13 0.5 4 8フェンプロパトリン 20ブロモキシニル 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2 0.1

ヘプタクロルエポキシドを含むヘプタクロル 0.02 0.02 0.02 0.02各異性体の和ペルメトリン 2 2 2 2 2 2 55

ベンタゾン 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2 3ペンディメタリン 0.2 0.2 0.2 0.2 0.1 0.1 0.1ホスメット 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 40ホレート 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 1.5マラチオン 8 2 2 2 2 2 135メチダチオン 0.02 0.02 0.02 0.1 0.2 0.2 12メトプレン 5 5 5 5 5 5

※ 1 基 準 の 対 象 と な る 飼 料 原 料 は 、 そ れ ぞ れ 次 に 定 め る 部 位 を い う 。え ん 麦 、 大 麦 及 び マ イ ロ … 脱 穀 し た 種 子小 麦 及 び ラ イ 麦 … 玄 麦と う も ろ こ し … 外 皮 、 ひ げ 及 び し ん を 除 い た 種 子牧 草 … 茎 葉 及 び 脱 穀 前 の 種 子

2 牧 草 に つ い て は 、 牧 草 の 水 分 が 10% を 超 え た 場 合 、 当 該 牧 草 の 重 量 の 10% を 超 え る 水 分 の 重 量 を 当 該 牧 草 か ら除 外 し た も の と す る 。

3 牧 草 に つ い て は 、 乾牧草(稲わら、ヘイキューブ等を含む)及びサイレージを含むが、ビートパルプ、バガス等は 含ま な い 。

4 「飼料中の残留農薬の基準値」は 「飼料及び飼料添加物の成分規格等に関する省令 (昭和51年7月24日農林省令35、 」号)による。

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<別紙2>「飼料の有害物質の指導基準の制定について」

昭和 年 月 日付け 畜B第 号農林水産省畜産局長通知)( 63 10 14 63 2050)( 単位:ppm

種 類 有害物質名 対象となる飼料 基 準10農 薬 イミダクロプリド 稲わら3稲発酵粗飼料0.7カルボスルファン 稲わら1稲発酵粗飼料2クロチアニジン 稲わら1稲発酵粗飼料0.5スピノサド 稲わら0.2稲発酵粗飼料2ダイアジノン 稲わら1稲発酵粗飼料0.5チアクロプリド 稲わら0.2稲発酵粗飼料0.2チアメトキサム 稲わら0.1稲発酵粗飼料

20テブフェノジド 稲わら10稲発酵粗飼料0.2フイプロニル 稲わら0.1稲発酵粗飼料2フェンチオン 稲わら0.1稲発酵粗飼料2フェントエート 稲わら1稲発酵粗飼料

25ブプロフェジン 稲わら15稲発酵粗飼料0.2マラチオン 稲わら5メトキシフェノジド 稲わら2稲発酵粗飼料5アゾキシストロビン 稲わら1稲発酵粗飼料

10エディフェンボス 稲わら1稲発酵粗飼料0.2クロロタロニル 稲わら0.1稲発酵粗飼料0.04チウラム 稲わら0.02稲発酵粗飼料0.3カルベンダジム、チオファネート、 稲わら0.1チオファネートメチル及びベノミル 稲発酵粗飼料

130フサライド 稲わら0.05フルジオキソニル 稲わら0.1稲発酵粗飼料

20フルトラニル 稲わら5稲発酵粗飼料0.2プロクロラズ 稲わら0.1稲発酵粗飼料0.5メタラキシル 稲わら0.2稲発酵粗飼料

2,4-D 1稲わら0.2グリホサート 稲わら0.2稲発酵粗飼料0.5グルホシネート 稲わら0.05ジクワット 稲わら0.3パラコート 稲わら0.2ハロスルフロンメチル 稲わら0.1稲発酵粗飼料0.3ベンタゾン 稲わら0.1稲発酵粗飼料3.0重金属等 鉛 配合飼料、乾牧草等7.5魚粉、肉粉、肉骨粉1.0カドミウム 配合飼料、乾牧草等2.5魚粉、肉粉、肉骨粉0.4水銀 配合飼料、乾牧草等1.0魚粉、肉粉、肉骨粉2ひ素 配合飼料、乾牧草等(稲わらを除く)7稲わら7魚粉、肉粉、肉骨粉

かび毒 アフラトキシン 配合飼料(牛用(ほ乳期子牛用及び乳用牛用を除く)、B10.02豚用(ほ乳期子豚用を除く)、鶏用(幼すう用及びプロ

イラー前期用を除く)、うずら用)配合飼料(ほ乳期子牛用、乳用牛用、ほ乳期子豚用、

0.01幼すう用、ブロイラー前期用)

注 基準の対象となる配合飼料には、混合飼料を含み、養殖水産動物用飼料は含まない。1乾牧草等」は、乾牧草、ヘイキューブ、稲わら、綿実及びビートパルプを指す。2「肉骨粉」には、家禽処理副産物を含む。3基準の対象となる稲わら又は稲発酵粗飼料は、飼料及び飼料添加物の成分規格等に関する省令(昭和 年農林省令第 号)の4 51 35別表第 の の( )のセに定める牧草の基準値の対象に含まない1 1 1フサライドは、当分の間、稲発酵粗飼料用稲に使用しないこと。5牛(肉用に出荷する牛又は搾乳を行うために飼養する牛をいう。)にイミダクロプリド、テブフェノジド又はブプロフェジンを6

使用した粗飼料(乾牧草、生牧草、稲発酵粗飼料、サイレージ等)を給与する場合、当分の間、その割合を飼料全体の概ね 割以7下に抑えること。

- -200

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< 別 紙 3 >

「ゼアラレノンの検出について」

(平成 14年3月 25日付け 13生畜第 7269 号農林水産省生産局畜産部飼料課長通知)

平成 14 年3月 18 日に、米国から輸入した飼料用マイロからゼアラレノンが検出されたとの報

告があったところです。ゼアラレノンはカビが産生する代謝産物であり、高濃度に飼料に含まれ

た場合は、給与された豚において繁殖障害等の有害作用を生じる可能性があることが知られてお

ります。今般、米国から輸入されたマイロは配合飼料の原料として使用されることから、当面の

対策として、念のため、飼料中のゼアラレノンの暫定許容値を下記のとおり設定したのでお知ら

せします。またその周知徹底状況について、別記様式のとおり生産局長まで報告下さるようお願

いします。

なお、ゼアラレノンの分析については飼料分析基準(平成 20 年4月1日付け 19 消安第 14729

号農林水産省消費・安全局長通知)により行うこととします。

家畜に給与される飼料に含まれることが許容されるゼアラレノンの最大値

1.0 ppm

< 別 紙 4 >

「飼料中のデオキシニバレノールについて」

(平成 14年7月5日付け 14生畜第 2267 号農林水産省生産局畜産部飼料課長通知)

今般、厚生労働省から小麦に含有するデオキシニバレノールについて行政上の指導指針として

暫定的な基準値が設定されました。

デオキシニバレノールを生産する赤カビについては、「赤黴による被害麦の飼料としての取扱

について」(昭和 37 年9月 11日付け 37畜B第 4187 号畜産局長通知) により、注意を喚起して

きたところですが、今般の厚生労働省の措置に伴い、「飼料及び飼料添加物の成分規格等に関す

る省令」(昭和 51 年農林省令第 35 号)改正までの間の対策として、飼料中のデオキシニバレノ

ールの暫定許容値を下記のとおり設定したのでお知らせします。

今後、暫定許容値を超えた飼料が市場に流通しないよう効果的な運用をお願いいたします。

なお、デオキシニバレノールの分析については飼料分析基準(平成 20 年4月1日付け 19 消安

第 14729 号農林水産省消費・安全局長通知)により行うこととします。

家畜等(生後3ヶ月以上の牛を除く。) に給与される飼料に含まれることが許容されるデオキ

シニバレノールの最大値

1.0 ppm

生後3ヶ月以上の牛に給与される飼料に含まれることが許容されるデオキシニバレノールの最大値

4.0 ppm