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8 デンタルハイジーン別冊 流れでわかる! インプラントのアシスタントワーク・メインテナンス

顎骨内に埋入し骨と結合する部分をイン

プラント体(フィクスチャー),インプラ

ント体に連結され粘膜を貫通する部品をア

バットメント,歯冠部分は上部構造とよば

れます.大別してセメント固定用とスク

リュー固定用があり,それぞれ構造が異な

ります(図3).インプラントを支台・維持装

置とした可撤性の義歯は,インプラントオー

バーデンチャーとよばれています(図4).

❶インプラント体インプラント体の素材には,チタン,チタン合金が使用さ

れることが多く,その表面性状は中等度の粗面に加工されて

いるものが主流です.機械仕上げとよばれる表面に加工がさ

れていないものや,粗面と機械仕上げの両方を組み合わせた

ハイブリッドタイプもあります(図5).中等度の粗面では,

入り組んだ表面の形状から,骨との接触面積が多く強固な結

合が期待できますが,反面,インプラント周囲組織に感染が

生じ,骨吸収をきたした場合には機械仕上げと比較してコン

トロールが難しいため,感染させない注意が重要です(図6).

❷アバットメントアバットメントの素材にはチタン,チタン合金や審美性を

考慮したセラミック,ジルコニアがあります.

基本構造1

素材を知る2

図4:インプラントオーバーデンチャー

図3:スクリュー固定(左)とセメント固定(右)

上部構造補綴スクリュー

アバットメントアバットメントスクリュー

インプラント体(フィクスチャー)

図6:中等度の粗面インプラント表面拡大写真NBJ社:Tiunite(左) Straumann社:SLA

(右)

図5:①機械仕上げ,②中等度の粗面,③ハイブリッド

●①   ●②   ●③

インプラント療法の概要・流れ22

chapter 1

インプラントってなんだか難しそうだなあ

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chapter

1

9

インプラントとは

The Journal of Dental Hygiene EXTRA ISSUE

❸上部構造上部構造には,セラミック,

ハイブリッドレジン,既製人工

歯,金属咬合面,ジルコニアな

どさまざまな素材が用いられて

います.それぞれの利点欠点を

考慮し,機能性や審美性に合わ

せて選択します(図7).

インプラント療法は,大きく分けて,初診から初期治療,インプラント埋入手術・治癒期

間,上部構造作製期間,メインテナンス期があります(図8).

初診時の医療面接では,患者さんの訴えを把握し,全身状態や口腔内の状況を検査しま

す.それらの結果を踏まえて治療計画を立案し,患者さんに十分な説明を行います.患者さ

んが治療の同意をした後,まずは口腔衛生管理を行います.口腔内の環境を改善することは,

その後の治療を円滑に進めるためには欠かせません.

インプラント埋入手術には,1回法,2回法,即時加重法があります.骨質や咬合状態,

患者さんの希望によって選択されます.1回法はインプラント埋入手術時にアバットメント

連結まで行う方法で,2回法はインプラント埋入後,オッセオインテグレーションを獲得す

るまでの治癒期間中はアバットメントを連結せずに,粘膜で覆います.即時加重法はインプ

インプラント療法の流れ3

上顎:約4~6カ月下顎:約3カ月

プロビジョナル

最終上部構造

図8:インプラント療法のおおまかな流れ

初診・医療面接・検査

メタルフレーム試適・色調・形態試適

上部構造作製・装着

定期診査・メインテナンス

上部構造作製用 

印象採得・咬合採得

インプラント埋入手術

治療計画立案・コンサルテーション

初期治療・口腔衛生管理

アバットメント連結(2回法の場合)

印象採得・咬合採得

プロビジョナル・

レストレーション

作製・装着

・即時加重法 

・1回法・2回法 

1回法 2回法 即時加重法

治療期間

図7:上部構造の材質

上顎左側中切歯セラミック

金属咬合面

既製人工歯

上顎前歯ジルコニア(唇側)

ハイブリッドレジン

上顎前歯ジルコニア(口蓋側)

安心な治療には時間がかかるんだね

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chapter

2

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The Journal of Dental Hygiene EXTRA ISSUE

33ch

apter 2

インプラント埋入手術前注意事項

:患者さんに対しての事前説明

口腔の衛生状態が安定し,インプラント埋入手術の準備が整った患者さんは,術前の注意

事項を説明するため,日程調整を行い,書面と口頭で確認します.

術前の準備も考慮し,ゆとりをもたせた時間を設定するようにしましょう.

静脈内鎮静法を併用する場合には,手術前の食事制限(午前中開始手術では朝食,午後開

始手術では昼食),水分は約1時間前までに摂取をすませていただくよう伝えます.また,

患者さん自身が運転する車での来院は,避けていただくことも忘れず伝えなければいけませ

ん.

日常的な服用薬がある患者さんの場合,事前にかかりつけ医に対診をとり指示を仰ぎま

す.休薬等の指示はその薬を処方している主治医が決定するものであり,歯科医院や患者さ

んの勝手な判断で休薬してはいけません.

患者さんが準備している緊急薬剤がある場合には,手術当日に忘れずに持参していただき

ます.

術後処方する薬についてもアレルギーがないか,現在服用中の薬と重複しないか,併用禁

忌のものがないかなど,前もって確認しておきましょう.

来院日時の確認1

服用薬2

来院の手段やつき添いの有無も事前に確認しておこう!

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22 デンタルハイジーン別冊 流れでわかる! インプラントのアシスタントワーク・メインテナンス

44ch

apter 2

器材の準備

術前には,各種機器が正常に機能するかどうかの確認や,必要な材料の発注を行います.

術中に使用する酸素や笑気,静脈鎮静に使用する薬剤などの残量も確認しておきます(図

10).当日直前の確認では,不具合があった場合,対処が間に合わない恐れがあるため,少

なくとも手術予定日の3日前までに確認しておきます.手術室内の無影灯やシャウカステ

ン,X線用モニタ,エンジン機器や生体情報モニタなども同様に作動確認を行います.

当日までの器材準備1

図10:手術室

埋入用エンジンなどの作動確認 酸素や笑気の残量の確認

生体情報モニタ

お次は手術に欠かせない器材の準備だ!

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66 デンタルハイジーン別冊 流れでわかる! インプラントのアシスタントワーク・メインテナンス

11ch

apter 5

少なくとも,インプラント埋入手術の1週間前までに,患者さんの口腔内衛生を良好な状

態にしておく必要があります.歯周基本治療を完了させ,当日の術前にはスケーリングなど

の観血処置は避けます.

手術の流れ (図1,2)1

当日術前の患者対応と準備

図1:インプラント埋入手術のための術前準備(一例)

図2:インプラント埋入手術のための術前ドレーピング(一例)

患者さんを手術台へ誘導

(姿勢,安頭台の位置確認)

生体情報モニタの装着(血圧,

脈拍数,動脈血酸素飽和度,心拍数)

ドレーピング直前の

口腔周囲皮膚面消毒

滅菌覆布による

頭部のドレーピング

滅菌覆布による

身体のドレーピング

滅菌経鼻カニューレの装着

滅菌乾ガーゼによる

エアウェイの確保

口腔周囲への滅菌フィルム

の貼りつけ

1週間前 当日の流れ

歯周基本治療を完了させておく

当日の体調,服用薬などの確認

バイタルサインの測定

歯科衛生士による口腔清掃(歯・歯間・口腔粘膜・舌)

含嗽(1分間,口腔内使用可能薬剤,濃度を厳守)

表面麻酔・術者による局所麻酔

口腔周囲皮膚面の消毒

入室前のバイタルサインの測定

申し送り(術者,直接介助者へ)

患者さんを手術室へ誘導

歯科医師の指示のもと

前投薬を服用(抗菌薬)

患者さんに,術衣への着替え,キャップ

の着用,排尿をお願いする

次は患者さんへの対応だよ

診察室

手術室